第1章 藍の向こうの碧い海へ宣侯 (5-2)
7月17日、4日目の朝を迎えた。そろそろ小笠原の島々が見える頃である。4時47分朝もやの中に島影が見え隠れする、「見えた!」鳥肌が立つような感激を覚える。徐々に島が近づいてくる、あれが夢にまで見た小笠原諸島か。最初に取り付いたのが弟島、次に西島、兄島、そして父島へと続く。我々が目指すのは父島の二見港である。
まだこの地点からだと3時間はゆうにかかる。小笠原諸島は何故か親兄弟の名称が多い。それもある一定の大きさの島に限ってであり、それ以下の小さな島には西、南、平島などと言った名称がつけられている。小笠原諸島は南北に約130キロメートルと長く点在している島群を言い、その中心が父島で下田の南南東約1100キロメートル、広さ39平方キロメートルの島である。
父島周辺には兄島、弟島、孫島など男名称の島が父島を取り巻くように点在している。父島からおよそ約50キロメートル南に下がったところに母島がある。母島の周りには姉、妹、姪島などの女性名称の島が母島を取り巻くように点在している。どうして、いつごろからこのような名前をそれぞれの島につけたのか非常に興味がある。それにしても面白い名前の付け方であり、そういわれれば島の形や、点在位置がなんとなくその名前に似つかわしく思えてくるのも不思議なものである。
7時55分小笠原父島二見港に入港。湾内にはさんご礁あるいは沈船などの障害物が無数にあるとのことで、GPSをフルに活用しながらゆっくりと進入していく。中ほどまで進むと、昨日の早朝まだ太陽が昇る前、一隻の大型客船が我々を追い抜いていった、近づいてみると、どうもその船らしく船体に小笠原丸と記してあった。小笠原丸は小笠原父島と東京を結ぶ唯一の交通手段で、30時間ほどで東京小笠原間を結ぶとのこと、そしていよいよ接岸である。ここからこのドラマの第2章が始まるとは夢にも思わず、この航海の無事をひたすら喜び、舫いも念入りに結んだものである。

