第2章 太古の匂いが今も残る島 (6-2)
曲がりくねった山道を登り詰めたところに父島で最も標高のある中央山318メートルがある。この山に登ると父島全島、母島をはじめ周囲の島々が一望にみられる。エメラルドグリーンの海に囲まれ、その景観はすばらしい。小笠原諸島は今ユネスコの世界遺産に登録申請を出しているだけあって、この景観や自然は是非後世に残したい、日本の大切な財産かと思われる。
今回私達は見られなかったが、小笠原にはこの島にしか生息していない固有種も数多くある。例えば渡辺さんが生息観察している小笠原カラス鳩などもその固有種の一つである。それ以外にメジロと言う小鳥はよく耳にするが、小笠原には目の周りが黒い、母島メグロ(大きさ姿はメジロと同じ)と言う小鳥が生息している。
今それら固有種は外来種などの天敵により、絶滅したりあるいは生息数が激減している。このような貴重な種がいなくなり、ただの景観だけでは世界遺産への登録はかなり難しいことになる、生息数激減の元凶は生物で、何種類かあるが私が見知った限りでは、野ヤギ、トカゲの一種のグリーンアノールなどが筆頭に上げられる、グリーンアノールは小笠原シジミと言う蝶の幼虫を食べてしまいほぼ絶滅状態までに追い込んでしまった元凶である、グリーン色のカメレオンに似た、愛くるしい顔をしたトカゲであるが、これもやはり駆除しないと種の保存は難しい。
父島の水はあまり美味しいとは思わなかったが水量は十分にあり、その為、湿った土壌も多く、湿った土壌に繁殖するシダ類もうっそうと茂っている。そのシダ類の一種だと思うがマルハチの木というのがある。面白いのはシダは一般的に地を這うように茂るものであるが、マルハチは木のような幹を持ち、おそらく10メートルくらいの高さまで成長する。
その幹には小判のような模様が規則正しく付いている珍しい植物である。これも固有種だと云われ、昔は化粧材として乱伐されたり、外来種のアカギという木の侵食等によって、このマルハチの木も激減しており、手厚い保護が必要とされている。今、小笠原は屋久島についで世界遺産に登録申請しており、その一環として小笠原の固有種である動植物の種の保存に島民全体で取り組んでいるが、私の見た限りでは手が足りないようであり、もう少し本腰でこの問題に取り組む必要があるのではなかろうか。この島が世界遺産としての貴重な生態自然を今以上にきちっと整備したならば、この島を含め小笠原諸島はきっと世界遺産に登録されるはずである。そしてもしも登録できたら、この島の自然は保護された楽園として残って行くかもしれない、ましてや東京都から世界遺産に指定された島が出現するなど、夢のような話であり、是非実現してほしいものである。



