昨日は濱口竜介監督の
『急に具合が悪くなる』を観に行きました。
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感想の言語化が難しい映画
いやはやまったくお見事な展開の
『急に~』でした。
終わった直後、普段めったにUPしない
facebookストーリーズのほうに
「圧巻の3時間16分」
と発作的に書きましたが、
帰宅してから
「国宝は圧巻だったけど、
今回のは違うなぁ。
じゃ、どう言語化?」と悩む内容でした。
こういう時は尊敬してやまない
糸井さんの文章作法(?)を。
↓
気をつけていることはあまりないが、
あえて言えばこうなる。
一、誰が言っても
同じことをできるだけ避ける。
二、わからないことは
わからないまま書く。
三、あまりにもつまらんと思ったら、
もうひとつ書く。
このあたりのルールを守っていると、
書くのが嫌じゃなくなる。
~糸井重里:著(2004)
『ほぼ日刊イトイ新聞の本』
講談社より~
ということで今日はこの一と二を踏まえ、
ネタバレも気をつけながら。
よかったらお付き合いくださいませ。
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私の心を揺さぶったベスト1のセリフ
原作は哲学者・宮野さんと
人類学者・磯野さんによる同名の
往復書簡を元にした書籍だそうです。
(↓パンフレットを購入。
詳細な情報が盛りだくさん。
但しすんごい小さな字で:苦笑)
これを大胆にアレンジしたのが
今回カンヌで主演女優賞の快挙となった
『急に具合が悪くなる』。
原作はまだ読んでいませんが
主演のお二人は
あて書きしたかと思うほど
ピッタリなやりとりでして、
その中のいくつかの
セリフやシーンに心が震えました。
そのベスト1は
「近くで見たら、
誰もがまともではない」。
この言葉は劇中で何度も用いられていました。
まともではない二人が出会い、
まともではない時間を過ごすのです。
(↑このカードが
このセリフに一番近いかな)
見ていて段々と
「人生って、そういうことだよ」
と思いましたし、
「人との縁ってそういうことだよ」
とも思いました。
二人の主人公のうちの一人、
マリーが施設長を務める
介護施設は経営や方針において
様々な「葛藤」を抱えているところから
物語は始まります。
ですので彼女はスタッフと
しょっちゅう衝突をし、
今にも空中分解しそうな状況・・・。
そんな時にひょんなことから、
独創的な演劇の演出家であり
ステージ4で転移を繰り返している
がん患者の真理と出会うのです。
その出会いを通してマリーは
真理や施設のスタッフや入居者達に
物理的にも心理的にも
近くに寄っていき、
(時には寄って行かざるをえなくなり)
お互いのまともじゃなさを確かめていきます。
あなたも私も、まともじゃない。
近づいて見なければ、
人ってわからないもの。
これは映画の中の言葉というだけでなく、
カウンセリングやコーチング、
セラピーやセミナーのファシリテーション
(進行、促進)、教育者等、
人の心に寄り添う仕事には
欠かせないセンスでもあります。
と偉そうに書いてますが
この感覚が欠落している時、
失敗をやらかしているなぁ、
と反省。
自分の思う「当たり前」に該当しないものは、
つい「おかしい」
と思ってしまうけれど、
自分の思う「当たり前」なんて、
びっくりするくらい通用しません。
自分の思う「普通」に該当しないものは、
おかしいと思ってしまうけれど、
自分の思う「普通」なんて、
びっくりするくらい偏ってます。
深い所で河合隼雄氏とも繋がっていた
こうしたことを
かの心理療法の大家である
故・河合隼雄氏は著作や講演の中で
何度も語っています。
例えば
(下記は二つとも
『村上春樹、河合隼雄に会いにいく』
河合 隼雄 &村上 春樹 :著(新潮文庫)
↓
近代社会が作った『枠組み』に
うまくはまらない人が
たくさん出てきている。
僕らの仕事は、
その枠から外れてしまった人と、
その人だけの『物語』を
一緒に生きることなんです。
専門家というのは、
放っておくと自分の
『理論の枠組み』で
相手を裁こうとする。
それを意識的に外して、
相手と一緒にあやふやな場所に
降りていかなくちゃならない。
上映時間が大変長い映画でしたが、
「近くで見たら、
誰もがまともではない」が
随所に挟み込まれ、
その度に私の心は浄化されたように
感じましたので、
肝に銘じておきたいと思います。
まだこの映画については
書きたいことがあるのですが、
長くなっているのでまた後日に。
~~~~~★~~~~~
こぼれ話:旧友との魂の邂逅(かいこう)
映画『急に~』のダブル主演の
お一人である真理は
先月急逝した旧友と
重なる部分がいくつかあったのも
想定外の感慨深いことでした。
それはまず容貌。
映画の中の真理同様、
高校からのクラスメートであり、
セカンドキャンサーサバイバー同士だった
友人はショートカットで
昔からスリムでした。
そして4年前から二度目のがんを
ステージ4で告知されたのもあり、
転移を重ねて生き抜く、
真理を演じたモデル出身の
岡本多緒さんと重なって見えました。
なんたって我が友人のタミは
高校時代から美人で、
女優の木村佳乃さんに似ていたので。
そして何よりも友人は
国際文化に造詣が深かったので
会うといつも色んなジャンルの
話が出来たのです。
特に昨秋、長く話し込んだ時、
→ こちら
「この資本主義から抜け出せないね。
だからこの檻の中でどうやって幸せを?」
を真面目に語りあったりもしたのです。
ですので映画の中で、
ソルボンヌ大で哲学を修めた真理が
そのキャリアを生かして、
まるでレクチャーのように
白板を使ってこのことを理論立てて
マリーに語るシーンには
鳥肌が立ちました。
もう叶わない夢ですが、
一緒にタミとこの映画を観たかったし、
感想を聞きたかった、
と切に思いました。
先月に大事な友人がお空に引っ越した、
→ こちら というこの時期に
この映画がカンヌで賞を取り、
日本で凱旋上映というのも
神様の采配のようにも感じた
3時間16分でした。
今日も最後まで読んで下さり、
ありがとうございました。
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