Evensong for Ash Wednesday(Stereo LP盤)

(英 Argo: ZRG 5365、1964)

 

リリース年は

レコードのレーベル面に

年代が印刷されているのみで

そちらに拠りました。

 

録音年は

どこにも表示されてませんけど

前回ご紹介のCD

《ミゼレーレ》が

1963年3月とありましたから

それと同じでしょう。

 

 

CDも出ているようですが

Amazon や

タワーレコード・オンラインでは

現在、在庫切れのようです。

 

中古で出ていないかなあ

と思って検索していたら

ディスクユニオンで

LPが出ているのを見つけて

思い立って買いに行ったのが

おとといのことでした。

 

 

プレーヤーは故障中なので

いつ聴けるか分からないにも拘らず

買ってしまったわけですが

CDを見つけるまでのつなぎに

という考えもありましたけど

やはり当時出た形態のものは

見ているだけで趣きがあります。

 

古い壺を鑑賞するのと

同じような気分

とでもいいましょうか。

 

壺を愛でる趣味は

持ち合わせておらず

鑑賞能力があるわけでも

ないんですけどね。( ̄▽ ̄)

 

 

Discogs で

本盤のページを見ると

ステレオ盤とモノラル盤が出ており

さらに同じ年に

ステレオ盤のみなのかどうか

分かりませんけど

再リリースされています。

 

よほど人気があった

ということでしょう。

 

今回入手できた盤は

Penguin Stereo Record Guide

Top Recommendation

というシールが貼ってあるので

おそらくは同年の

再リリース盤の方かと思われます。

 

 

値札も貼られていて

£3•99(3ポンド99ペンス)

とあります。

 

こちらのブログによると

 

 

1960年代当時の1ポンドは

1008円だそうですから

当時の日本で買った場合

約4000円ほどになりましょうか。

 

上記ブログの記事は

タイムスタンプが2021年ですが

その時の日本円で換算すると

1ポンド4000〜5000円程度

とのことですので

今買えば1万2000円もします。

 

ですが、今現在買えば

1万2000円するというより

1960年代に買う時の感覚が

今の1万2000円くらいのものを

買おうとする時の感覚に近い

と考えた方がいいんでしょうね。

 

輸入盤レコード

特にヨーロッパのものは

それくらい高かった

ということでしょうか。

 

 

前の記事にも書いた通り

本盤の《ミゼレーレ》は

英語に訳された歌詞です。

 

歌詞は

ジャケ裏に載ってるんですけど

それを見ることができたのが

今回の盤を買って

良かったと思えたことの

ひとつでしょうか。

 

 

トマス・カウスタン(カウストン)

リチャード・ファラント

という馴染みのない作曲家の他

バードやパーセルの曲も

収録されているようですが

当時、行われていた式典そのままなので

従来からの讃美歌や続唱が歌われたり

聖書を読み上げるだけのトラックも

あるようです。

 

どのトラックがそれに当たるのか

手元の辞書を見たり検索したり

タワーレコード・オンラインの

商品ページを見たりして

だいたいは見当をつけましたが

正確なところは聴いてみないと

よく分かりません。(^^ゞ

 

それでも

参考のために、備忘もかねて

以下にあげておくことにしましょうか。

 

ご笑覧いただければ幸いです。

 

●SIDE ONE

01. ファラント:Hide Not Thou Face From Us, O Lord

  おお主よ、我らから御顔を隠すことなく

02. Sentence 聖書からの引用句

03. バード、ウィルコックス編:Preces and Responses

  先唱句と応唱句

04. Psalms 143 讃美歌 第143番《主よ、私の祈りを聞いてください》

05. Psalms 130 讃美歌 第130番《深き淵より、我御身を呼ばわる》

06. First Lesson: Isaiah 57,13-21

  第一日課:イザヤ書 *第一日課は旧約聖書からの朗読

07. Lent Prose: Hear Us, O Lord, Have Mercy Upon Us

  四旬節の続唱[セクエンツィア]:

  おお主よ、我らが祈りを聞き、憐れみたまえ

08. カウスタン、ウィルコックス編:Magnificat

09. Second Lesson: St. Luke 15, 10-32

  第二日課:ルカ伝 *第二日課は新約聖書からの朗読

10. カウスタン、ウィルコックス編:Nunc Dimittis

  今こそ去らせたまわん

 

●SIDE TWO

11. The Apostles' Creed 使徒信条(クレド)

12. バード、ウィルコックス編:The Lesser Litany 小連禱

13. The Lord's Prayer 主の祈り

14. バード、ウィルコックス編:Versicles and Responses

  小詩句と応唱

15. Collects 集禱文

16. パーセル、ウィルコックス編:Anthem: Hear My Prayer, O Lord

  アンセム:主よ、私の祈りを聞いてください

17. Prayers Read by the Dean

  教会執事(あるいは学長か?)による祈りの言葉の朗読

18. アレグリ、ウィルコックス編:Miserere (Psalm 51)

  憐れみたまえ

 

さて

レコード・プレーヤーは

いつ買えるのか。

 

(諸物価高騰の折から

 近々には難しそうですが……)

 

プレーヤーを買う前に

CD盤に出会えるのかどうか。

 

すべて運次第です(遠い目)

昨年、翻訳された海外ミステリに

ジャン=クリストフ・グランジェの

『ミゼレーレ』(2008)

というのがありました。

 

J=C・グランジェ『ミゼレーレ』創元推理文庫

(平岡敦訳、創元推理文庫、2024.9.27)

 

タイトルの《ミゼレーレ》は

グレゴリオ・アレグリ作曲の

合唱曲に基づいています。

 

そこで《ミゼレーレ》の録音を

何枚か集めてみたんですが

その集めた中に

ケンブリッジ・キングス・カレッジ合唱団

The Chor of King's College, Cambridge

のものが2枚あります。

 

1枚は、先日

横浜のディスクユニオンで

見つけたばかりのこちら。

 

ウィルコックス指揮KKC《パレストリーナ:スターバト・マーテル、他》

(ポリグラム POCL-6022、1999.6.2)

 

指揮は

サー・デイヴィッド・ウィルコックスで

録音は1963年3月と同年8月です。

 

1963年8月に録音されたのは

併録のパレストリーナの曲で

ライナー小冊子の裏表紙に

パレストリーナ集の

LPジャケットが

復刻されています。

 

ウィルコックス指揮KKC《パレストリーナ:スターバト・マーテル、他》ライナー裏表紙

 

そちらの収録曲は

《スターバト・マーテル》

《今日、聖なる乙女は》

《老いびとはおさな子をいだけり》

《マニフィカト》

《聖母マリアへのリタニア》

の5曲。

 

 

アレグリの《ミゼレーレ》は

Argo レーベルから

1964年にリリースされた

《灰の水曜日の夕べの祈り》

Evensong for Ash Wednesday

というLPのB面(SIDE TWO)の

最後に収録されている1曲です。

 

こちらは

ハイC(高音のド)を歌う

トレブルのソロを

のちに

バロック・ヴァイオリン奏者として

また指揮者として名をなす

ロイ・グッドマンが担当しており

これは知らなかったので

びっくりでした。

 

ライナー小冊子には

「少年時代の幸福な記憶」と題する

グッドマン自身の文章が

掲載されています。

 

 

手元にある

同合唱団が歌う

もう1枚のCDはこちら。

 

クロウバリー指揮KKC《ミゼレーレ》

(ポリグラム POCL-1830、1998.6.1)

 

録音は1996年7月で

最後の1曲

ジョン・タヴナー《アテネの歌》のみ

1997年9月に録ったようです。

 

こちらの指揮は

スティーブン・クロウバリーで

(クレオベリー、クレオバリーとも。

 以下クレオベリーで記す)

演奏譜はジョージ・ゲスト版。

 

ジョージ・ゲストは

英語版 Wikipedia によれば

1951年から1991年までの間

ケンブリッジの

セント・ジョンズ・カレッジで

オルガニストと合唱団長を

務めた人物だと思われます。

 

もしそうなら

学寮は違えど

キングス・カレッジの

ウィルコックスや

クレオベリーの立場と同じ

ということになりますね。

 

同姓同名でもう1人

16世紀後半から17世紀にかけて

イギリスで活躍した

オルガン奏者で作曲家

という人もいるんですが

ライナー小冊子には

どちらとも書かれておらず

よく分かりません。

 

 

《ミゼレーレ》の

トレブルのソロを歌うのは

アラステア・フッサイン。

 

ライナー小冊子には

フッサインの名前の後に

エドワード・ガードナー(カントル)

と併記されています。

 

カントルといえば

バッハが

ライプツィヒで勤めた

役職ですけど

本盤の場合は

独唱指導ということでしょうか。

 

 

クレオベリー盤には

《ミゼレーレ》の他に

モーツァルト《アヴェ・ヴェルム・コルプス》

ヘンデル《司祭ツァドク》(ザドクとも)

バッハ《種よ人の望みの喜びよ》

メンデルスゾーン《鳩の翼があれば》や

フォーレ、ブリテンなど

バロックから近現代までの

有名曲が揃えてありますけど

《ミゼレーレ》が

13分程度と、いちばん長くて

他は3〜5分の曲がほとんどです。

 

アレック・ギネス主演の

BBCのテレビ・ドラマ

《ティンカー、テイラー、

 ソルジャー、スパイ》で

主題歌に使われたという

ジェフリー・バーゴン(1941- )

《主よ今こそあなたは》Nunc dimittis

という気になる曲も入ってますし

バッハは英語に翻訳された歌詞による

演奏が収められています。

 

近現代曲は概ね馴染みがないため

あまりそそられる1枚とはいえず

5チャンネル・サラウンド・サウンド

という録音がウリのようですが

(ライナー小冊子に

 レコーディング・エンジニアの

 解説が載っています)

《ミゼレーレ》に関していえば

トレブルの歌唱が耳遠く聴こえてしまい

これは少々いただけません。

 

ですから

《ミゼレーレ》を聴くなら

個人的には

ウィルコックス指揮の

旧盤がおすすめです。

 

 

ただし

これは聴いている時は気づかず

Amazon のレビューを見て

教えられたんですけど

ウィルコックス盤は

英語歌詞で歌われているそうで

それが惜しい。

 

知らないで聴いていると

まったく気にならないんですが

知って聴くと気になる

という(苦笑)

 

でも、そういわれて聴き直しても

自分程度の耳では

確かにこれは英語だ!

という判断が

なかなかつきません。( ̄▽ ̄)

 

ちなみに

ウィルコックス盤の

ライナー小冊子には

原詩(ラテン語)と

その日本語訳が載っていて

英語歌詞が載っていないのみならず

英語で歌われていることすら

どこにも書かれていません。

 

これだと

まさか英語で歌われているとは

思いもよらないですね。

 

慌てて確認してみたところ

クレオベリー盤は

原詩で(ラテン語で)

歌われているようです。

 

 

ロイ・グッドマンの文章によれば

カタログを見ると、彼[註・アレグリのこと]の《我を憐れみたまえ》は、38種ものCDで出ているが、本録音はその最初のものである

とのことで

演奏譜はウィルコックス版だとか。

 

なお上記引用中の

《我を憐れみたまえ》は

歌詞の冒頭 Miserere mei の訳で

かつては主としてそちらが

曲の邦題でした。

 

他に

《憐れみたまえ》とか

《ミゼレーレ・メイ》

という邦題もあったかと。

(今でもあるかも)

 

 

アレグリの《ミゼレーレ》は

パレストリーナとのカップリングで

リリースされることが多いようです。

 

これは

パレストリーナが就任していた

システィーナ礼拝堂の聖歌隊員を

アレグリも務めていたからで

いちばん知名度がある(と思われる)

タリス・スコラーズによる録音も

パレストリーナとの

カップリングですね。

 

いずれそちらの録音も

ご紹介できれば

と思っている次第です。

昨日、歯医者に行ったあと

いろいろ所用を済ませて

新宿に出たことは

前回の記事で書いた通りです。

 

郵便局から駅に向かう途中

いつもと違う道を通っていって

目にとまったのが

こちらの花。

 

バーベナ

(2025年7月1日撮影。以下同じ)

 

ハナノナで調べてみたところ

「バーベナ

 別名:クマツヅラ属、ビジョザクラ」

と出ましたが

 

バーベナ(ハナノナ)

 

これは一発で正解でした。

 

 

念のため

自分のブログを検索してみたら

美女桜は以前にも

取り上げてましたけど

以前のものとは

葉っぱの形状が違う。

 

それでいろいろ

調べてみたんですが

こちらの記事に

 

匍匐性のものが多いが、立性のものもある。葉は対生し、切れ込みの少ない”単葉系”、細く切れ込みの入る”複葉系”がある。

と書かれていて

前回のは単葉系で

今回のは複葉系だと

腑に落ちました。

 

バーベナ(サイド)

 

品種としては

リンクを貼った

「植物写真館」の記事に紹介されている

「タピアン」だと思われます。

 

検索してみたところ

フランス語の「絨毯」ないし

「カーペット」を意味する

tapis に由来するようですね。

 

ちなみに前回の品種は

「花手毬」かと。

 

 

英名は

学名の属名そのままに

バーベナです。

 

Wikipedia だと

バーベイン vervain

となってますが

手元の辞書によれば

これは「クマツヅラ」を

指すようですね。

 

クマツヅラ科ですから

構わないわけですけど。

 

 

学名は

季節の花300」によれば

Verbena hortensis

属名は宗教上の神聖な花を指し

種小名は「園芸の」

という意味だそうです。 

 

先に貼った

「植物写真館」の記事に

Verbena cvs. とありますが

「AIによる概要」によれば

cvs. というのは cv. の複数形で

cv. というのは

cultivar(栽培品種)の

略語だそうです。

 

以下でリンクを貼った記事に

学名の表記法について書かれていて

 

 

属名+種小名+「cv.」+「園芸品種名」

と記すのが決まりだとありますから

Verbena hortensis cvs. 'Tapian'

ということになるのかしら。

 

ちなみに

Wikipedia だと

学名が Verbena L. となってますが

この「L.」は

カール・フォン・リンネが

命名したこと表すそうです。

 

バーベナ(アップ)

 

ブログのタイトルは

「美女桜」としましたけど

園芸品種が主体のようでもあり

素直に「バーベナ」とした方が

妥当だったかもしれません。

 

「タピアン」だけでは

分かりにくいですから

その意味でも

「バーベナ」が妥当でしょう。

 

でも、前回の記事で

「美女桜」としましたので

今回もそれを踏襲しました。

 

ご海容くださいませ。m(_ _)m