普段使いの

ディスカウント・スーパー

OKへ買い物に行く時は

通りかかる

駐車場の土手の草むらを

今さら新しい雑草など

見つからないと思いつつ

いつも覗くようにしています。

 

駐車場の土手下あたり

 

本日、雨がほぼ止んだ

曇り空のなか

買い物に出た際

例によって覗き込むと

八重葎[やえむぐら]の花が

咲いているのに気づきました。

 

八重葎

 

八重葎は

茎の節ごとに

8枚ほどの葉が

放射状につくので

花が咲く前から

見当がつきます。

 

ただ、この花が小さい。

 

胡瓜草よりも小さい。

 

米粒よりも小さく

その3分の1程度かも。

 

だから写真を撮ろうとしても

なかなかピントが合わず

苦労させられるんですが

今回は比較的

綺麗に撮れました。

 

それでも

花弁の中の蕊の様子は

まったく分かりませんけどね。

 

 

八重葎という名前は

藤井伸二監修、髙橋修著

『野草図鑑』(ナツメ社、2014)や

山田隆彦監修『草花・雑草図鑑』

(池田書店、2020)などによれば

幾重[いくえ]にも生い茂って生える

葎[むぐら]=雑草の藪[やぶ]

という意味だそうです。

 

八重葎の稜(茎の角)には

下向きの棘が生えていて

この棘を他の植物に引っ掛け

寄りかかって伸びていくのだとか。

 

その棘も

くっきりはっきり撮れて

なかなかに嬉しい。

 

葉っぱにも棘がびっしり。

 

八重葎(側面)

 

上の写真は

葉っぱが段々につくのが分かるように

と思って撮ったものです。

 

この葉っぱ

8枚のうち2枚が本来の葉で

残りの6枚は托葉が変化したもの

と、よく説明されてますけど

そもそも托葉[たくよう]が

どういう役目を持つのか

というところまでは

手元の図鑑を読んでみても

説明されていません。

 

そこで検索してみると

筑波大学生物学類のページ

ヒットしました。

 

芽生えの時は

葉身[ようしん]を保護していて

葉身の成長と共に

落ちてしまうものが多いのだとか。

 

そして托葉のタイプを

いくつかあげていますが

八重葎のような場合は

葉間托葉[ようかんたくよう]

というそうです。

 

 

ところで

よくよく見ると

下の方の茎の節には

種子がなっています。

 

八重葎(種子マーキング1)

 

鉤状の毛が生えていて

これが動物の毛にくっつき

散布されるそうで

ひっつき虫ですな。( ̄▽ ̄)

 

八重葎(種子マーキング2)

 

上の写真を拡大すると

上部の花には

中央に黄色いのがひとつ

確認できるので

雌蕊かもしれず

その下の花になると

蕊が複数ある感じですから

雄蕊かもしれませんね。

 

 

さて

自宅からいちばん近い

ローソンに寄ってから

OKに向かう途中の

街路樹の下にも

八重葎が群生してました。

 

街路樹下の八重葎

 

これなんかは

互いに棘で寄りかかって

伸びている感じでしょうか。

 

街路樹下の八重葎(アップ)

 

八重葎は日本固有種なので

英名はないかと思ったんですが

念のため検索してみると

Catchweed

Stickywilly

Bedstraw

False baby's bedstraw

Hedge bedstraw

と出てくるわ出てくるわ。

 

Catchweed は

寄りかかる性質に

由来するんでしょう。

 

Stickwilly の willy は

手元の辞書によれば

柳細工の籠(魚を取る笯[ど])

と出ておりましたので

輪生した葉の形状に

由来するものと思われます。

 

Bedstraw は

マットレス代わりに用いる

床藁であると同時に

ヤエムグラ属全般を指す語としても

使われているようです。

 

それに baby's とつくのは

その前に fales(偽の)とあるので

赤ん坊用の床藁

という意味でしょうか。

 

hedge は形容詞で

「生垣用の、路傍の、野外の」

といった意味が

辞書には載っています。

 

 

和名の別名があるかといえば

金田洋一郎の『山野草図鑑』

(朝日新聞出版、2020)には

クンショウバナ、トリグサ

というのが出ています。

 

山田隆彦監修の

『草花・雑草図鑑』(前掲)に

棘が生えているので

茎を折りとり

ワッペンのように服につけて

遊べると書いてあることから

クンショウバナの漢字表記は

「勲章花」だろうと

想像がつきます。

 

 

トリグサの方は

漢字表記は不詳です。

 

ただ

「八重葎 トリグサ 由来」

で検索してみると

トリバナをオオバコのこととする

地域があると書かれているらしき

国立国語研究所の論文が

ヒットしました。

 

リポジトリなので

ダウンロード可能ですが

全文を読んでいる余裕はなく……。

 

大葉子には

茎と茎を引っ掛けて引っ張り合う

大葉子相撲という遊びが

ありますので

ここから連想するなら

相撲を取ることに由来すると考えられ

だとすれば漢字は「取り草」

ということになりましょうか。

 

 

まだありまして

「八重葎 別名」で検索すると

住友化学園芸のページ

ホレグサ、モンツキ、スネカキ、マンキンタン

等々があがっています。

 

ホレグサは「惚れ草」でしょうか

由来は不詳ですけど。

 

モンツキが「紋付」だとすれば

勲章花から展開したものかも。

 

スネカキは

「脛掻」かもしれませんが

これまた由来は不詳。

 

脛のあたりに

ひっつき虫の種子が

あるからでしょうかね。

 

マンキンタンは

漢字がまったく

思い浮かびません。( ̄▽ ̄)

 

薬の萬金丹に由来するのだとしたら

種子の形状からきたものかも。

 

 

Updating details & Diary

というブログにはさらに

ウズラ、クチキリ、イゲハコベ

というのがあがっています。

 

イゲハコベの漢字は

「棘蘩蔞」とあり

由来の見当がつきますが

他はやっぱり不詳ですね。

 

ウズラは鳥の鶉でしょうか。

 

 

当たり前に見られる雑草は

当たり前に見られるだけに

地方地方によっていろいろ

名付けられる可能性があるわけで

それを見事に証明しています。

 

深掘りすると

ドツボにハマる

という典型かも。( ̄▽ ̄)