前々回の記事

エマニュエル・アイム指揮

ル・コンセール・ダストレ合唱団が

フランクフルト放送交響楽団と共演する

YouTube の映像を

紹介しました。

 

その映像に自分が惹かれたのは

エメーケ・バラートと

レア・デザンドレが

ソロのゲストとして

出演しているからでした。

 

ナタリー・シュトゥッツマン指揮

オルフェオ55の伴奏で

エメーケ・バラートが

カウンターテナーの

フィリップ・ジャルスキーと共に

ペルゴレージの《スターバト・マーテル》

歌っているのを観て以来

バラート・ファンになったこともあって

おおっと思ったわけです。

 

 

ところで

バラートとエマニュエル・アイムの共演は

先にご案内のYouTube以外にもありまして

それが今回ご紹介する

こちらのディスクです。

 

ル・コンセール・ダストレ20周年記念盤

(Warner Classics/Erato

 0190296278426、2022.4.22)

 

リリース月日は

タワーレコード・オンラインに

拠りました。

 

タワーレコード・オンラインの

商品紹介ページで訳されている

《新バロックの祭典

 〜ル・コンセール・ダストレ

 創立20周年記念ライヴ》

というタイトル通りの内容。

 

2021年11月8日に

ベルリン国立歌劇場で

開催されたライヴと

同年11月12日、フランスの

シャンゼリゼ劇場で開催された

2つのライヴを

2枚のCDに収めています。

 

 

1枚のCDがベルリン・ライヴ

もう1枚がフランス・ライヴ

というふうになっておらず

シャッフルして収録されているので

さまざまなソリストによる

アリアのアンソロジー

というような感じになっています。

 

どうして

ライヴそのままではなく

シャッフルしたのか

ちょっと妙な感じがしますが

尺を整えるためなのかも。

 

ちなみに

CD1は81分21秒

CD2は87分35秒と

ともに長尺ですが

1日のライヴが90分程度とは

とうてい思えないので

編集して抄録したもの

と考えるのが妥当でしょうか。

 

 

CD1は主として

ジャン=フィリップ・ラモーを

中心に構成されており

アンドレ・カンプラや

ヘンリー・パーセルが

添えられていますけど

全体としては

ラモー盤といったところ。

 

CD2は

主としてヘンデルを中心に

パーセルとヴィヴァルディが

添えられていて

こちらはヘンデル盤

という感じでしょうか。

 

 

CD1の最後には

エマニュエル・アイムではなく

ゲスト指揮者サイモン・ラトルが振った

歌劇《ボレアド》に基づく

管弦楽のための組曲が

収められています。

 

これはアイムが

レザール・フロリサンの

アシスタントを務めている時に

ラトルのアシスタントも

務めていたという

縁があるからでしょう。

 

 

基本的に

歌劇やオラトリオからの

アリアがメインで

全曲録音でないのを聴くのは

抵抗がなくもないんですが

聴いているうちに

フランスのアーティスト名鑑

という感じのアンソロジーとして

楽しめばいいのかなあ

という気になってきました。

 

ここに登場する歌い手の

ほとんどは馴染みがありませんが

だからこそ一種の

アーティスト名鑑として

聴けるわけですね。

 

もっとも

名前に馴染みがある歌手の歌に

どうしても注目しがちになるのは

致し方のないところですし

聞き覚えのある名前といえば

バラートの他

レア・デザンドレ

サビーヌ・ドゥヴィエル

サンドリーヌ・ピオー

ナタリー・デセイと

ソプラノ歌手ばかりなのでした。(^^ゞ

 

 

本盤はそもそも

バラート目当てで

購入したのでした。

 

そのバラートは

CD2の方で

ヘンデルのオラトリオ《テオドラ》から

テオドラのアリア

〈私の嘆きと同じほどの深い闇をもって〉

With darkness deep as is my woe

そして歌劇《インドの王ポーロ》から

王妃クレオフィーデとポーロのデュエット

〈親愛なる/甘き友情!〉

Caro/Dolce amico amplesso!

カウンターテナーの

カルロ・ヴィストーリと共に

歌っています。

 

買った時は

たった2曲かよ

と思ったものですけど

その後、名前を知る歌手が

増えるに従って

バラート以外の歌手の歌も

徐々に面白がれるように

なっていった次第です。

 

 

以前、当ブログ

バラートらしいと書いた

ヴィヴァルディの

《勝利のユディータ》からのアリア

〈松明と蛇で武装して〉を

本盤ではデザンドレが歌っていて

今回、この記事を書くために

聴き直すまで、忘れてました。(^^ゞ

 

これは聴きものですが

このアリアに関しては

映像の迫力とも相まって

やっぱりバラートの方が

好演だと思います。

 

ただし発音は

デザンドレの方が

さすがイタリアの血を

引いているだけあって

といっていいのかどうか

語尾がくっきりと

分かるように歌っている感じ。

 

 

と思っていたら

フランスのリュート奏者

トーマス・ダンフォード率いる

アンサンブル・ユピテルの伴奏で

デザンドレが歌っている映像が

YouTube にアップされてました。

 

 

2019年に

アップされたものですけど

アンサンブルが

こじんまりとまとまってて

いいですね。

 

2021年にアップされた

フランスのヴァイオリニスト

ジュリアン・ショーヴァン設立

ル・コンセール・ド・ラ・ロージュ伴奏の

バラートの映像も再掲しておきます。

 

 

端正ともいえそうなデザンドレか

貫禄あるケレンともいえそうなバラートか

観比べて楽しむのも一興でしょう。

 

 

バラートから始まって

いろいろとソプラノ歌手を

聴くようになりました。

 

そんな自分が聴いた限りでの

狭い見聞から受けた印象ですけど

いっとき(今でも?)

フランス系の演奏家の活躍が

目立っているような気がします。

 

以前ちょっとふれた

アマンダ・フォーサイス

アメリカ系であるわけですけど

イギリスやイタリア、ドイツ系が

なぜかアンテナに

引っかかってこない。

 

何事もタイミング次第とはいえ

不思議に感じている

今日この頃です。