ナタリー・シュトゥッツマン指揮
オルフェオ55の演奏による
YouTube で初めて聴いた時は
さほどとも思いませんでしたが
しばらくして再度、聴いてみて
感動したという話を以前
当ブログで書きました。
シュトゥッツマン指揮の演奏で
ソプラノを担当している
エメーケ・バラートの
演奏はもちろんですけど
その佇まいに惚れ込んでしまい
バラートのことを調べ始め
出ていることを知ったのが
今回ご案内の盤になります。
(洪 Hungaroton: HCD-32795、2017.8.8)
「洪」はハンガリーの略語で
リリース月日は
タワーレコード・オンラインに拠りました。
伴奏は
エメセ(エメシェとも)・ヴィラーグ。
録音は
2016年7月4~9日
フンガロトン社のスタジオにて
行われました。
収録曲は
ポール・ヴェルレーヌの詩に基づく
《マダム・ヴァスニエのための艶なる宴》
通称《艶なる宴》第1集(5曲)と
ポール・ブールジェの詩に基づく
《二つのロマンス》(2曲)
ピエール・ルイスの詩に基づく
《ビリティスの3つの歌》(3曲)ほか
全部で21曲、収録されています。
Wikipedia によれば
マダム・ヴァスニエは愛人で
当初、含まれていた2曲
「パントマイム」と「マンドリン」は
《艶なる宴》の出版譜(1903)から
外されたのだとか。
となると
バラートの本盤では
手稿譜に基づいて
演奏されていることに
なりそうですけど
だとしたら
なぜ手稿譜版が演奏されたのか
ライナーをさっと見たところ
書かれてないようです。
(執筆は Gergely Fazekas)
あと
手稿譜に基づいているのだとしても
《艶なる宴》の
〈月の光〉や〈操り人形〉は
手稿譜が第1稿で
後に改稿されたようですが
本盤ではどちらが歌われているのか
ということも不詳です。
ブールジェの詩に基づく
《二つのロマンス》の2曲も
バラバラに収録されており
それによって察するに
各曲は創作順に従って
収録されているのかもしれず。
と思ってはみたものの
Wikipedia にアップされている
「ドビュッシーの楽曲一覧」で
確認してみたところ
必ずしも創作順とは
いえないようです。
ドビュッシー関連の書籍資料は
手元には皆無に等しいので
これ以上のことは今のところ
調べがつきませんでした。
前にも書いた通り
ドビュッシーの歌曲は
守備範囲外? なので
他の演奏に
ほとんど接しておらず
演奏の良し悪しについて
あれこれいうことは難しい。
唯一、聴いている
サンドリーヌ・ピオー盤と比べると
軽やかさという点では
一歩譲るような気がされ
21曲通して聴いたら
やや疲れる感じがしないでもない
というのが正直なところです。
それでもたとえば
以下にリンクを貼った
ブログで書かれているように
評判は必ずしも
悪くはないようです。
上掲のブログでは
バラートが歌う映像として
モーツァルトのハ短調ミサ曲から
第1曲のキリエ(おそらく)が
アップされています。
ですが個人的には
ヴィアルディのオラトリオ
《勝利のユディータ》のアリア
〈松明と蛇で武装して〉を歌う
以下の映像の方が
バラートらしいのではないか
という気がしています。
歌も表情も迫力満点。( ̄▽ ̄)
個人的なベストはもちろん
最初にもふれた
シュトゥッツマン指揮の
《スターバト・マーテル》ですけどね。
ちなみに
取り上げた際に
『ドビュッシー・ソング・ブック』
という本を紹介しましたが
あの本を買うきっかけは
バラートの本盤を購入し
歌詞の日本語訳を知りたかったから
だったりするのでした。
そのおかげで
ピオー盤も
楽しめるわけですから
なんでも買っておくものです。
(手前味噌w)