以前、ヴィヴァルディ作曲
〈まことの安らぎはこの世にはなく〉の
YouTube にアップされている
さまざまな映像を取り上げた際
紹介したことがあります。
その際
「ソプラノはなんと
サンドリーヌ・ピオーで」
と特筆すべきことのように
書きました。
というのも
ピオーについては
特別視すべきか
という意識が
あったからでした。
ヴィヴァルディの歌曲絡みで
いろいろと検索した際
ピオーが歌うヴィヴァルディ歌曲も
何件かヒットしたんですけど
そうした記事には必ず
枕詞のように
〈吉田秀和氏絶賛!〉
〈故吉田秀和氏が
「鈴を転がすような声」
と絶賛したソプラノ〉
というふうに書かれていました。
それが頭にあったから
「なんとサンドリーヌ・ピオー」
という書き方になったのでした。
その、
吉田秀和が絶賛した
ピオーのアルバムが
こちらです。
(仏 naïve: V4932、2003.3.21)
録音は2002年7月に
ベルギーに建つ
行なわれました。
伴奏は
古楽ファンにはお馴染み
楽器は1897年製の
エラール・ピアノを
使用しています。
吉田秀和は本盤を
『レコード芸術』2003年7月号の
「今月のディスク」で
絶賛したようですが
ヴィヴァルディ盤を調べていた頃
そのレビューについては
まだ知らず
どこで絶賛したんだろう
とか思っていました。
その後、たまたま
新宿のディスクユニオンで
だったと思いますけど
吉田の『之を楽しむものに如かず』
(新潮社、2009年9月30日発行)
を購入し
目次を眺めていたら
当該文章を見つけたのでした。
それで Amazon で
ピオーの盤を
中古で購入したのだと
記憶しています。
ドビュッシーの歌曲なんて
守備範囲外? ですけど
フォルテピアノによる伴奏
というあたりが
古楽ファンの琴線に
ふれたんでしょう。( ̄▽ ̄)
一聴してみたところ
なんだか懐かしい
という感じが
されたことでした。
懐かしいというのは
むかし聴いたことがある
ということではなくて
藍川由美の歌う橋本國彦の
初期の歌曲を聴いた時の印象と
よく似ている気がしたからです。
具体的な曲としては
「お菓子と娘」とか
「黴[かび]」
「斑猫[はんみょう]」あたり。
『舞〜橋本國彦歌曲集』↓の
(カメラータ・トウキョウ
30CM-532、1998.6.25)
藍川執筆のライナーによれば
当時の橋本は
「ドビュッシーやラヴェルに代表される
近代フランス音楽に傾倒していた」
とのことですから
さもありなんというか
むべなるかなというか。
ですからストレスなく
聴き通せましたが
直輸入盤なので
歌詞の対訳はついてません。
でもそれも
ありがたいことに
こんな本↓が出ておりまして
(山田兼士訳/澪標[みおつくし]、2013.3.3)
購入済みだったので
まったく問題なし。
近代の音楽家だと
こういうのも
出してもらえるんだなあ
と、バロック音楽ファンとしては
複雑な気分にもなりますけど
そこはそれとして。
ちなみに今回
ピオー盤のリリース年月日を
確認するため
タワーレコード・オンラインの
ディスコグラフィーを見ていたら
手持ちのCDのジャケ写が
いくつか目にとまって
これにも参加していたのか
と驚かされました。
タワレコのディスコグラフィーでは
いちばん古い録音になっている
フィリップ・ヘレヴェッヘ指揮
メンデルスゾーン《真夏の夜の夢》を
たまたま買って聴いていたので
これにいちばん驚かされた次第です。
長いこと買っていると
こういうことって
あるもんなんですねえ(しみじみ)