航海日誌

航海日誌

創刊53周年「沖俳句会」公式ブログです。
主宰 能村研三 創刊主宰 能村登四郎

 

沖 中央例会 特選句

令和5年2月

 

能村 研三選

 

【特選】

 

 立春大吉水は両翼拡げたり  平松うさぎ 

 

今日は、立春の句が多かったが、この句も立春のこの日に合わせて、意欲的に作られたのだろう。立春はまだまだ寒の延長で寒いが、なんとなく日差しも明るくなり、春への兆しが、感じられる。噴水の水か蛇口の水か具体的な事は分からないが、「水は両翼拡げたり」に寒い中の微妙な春への兆しが捉えられている。

 

【準特選】

 

 臘梅や日暮は固き風の音  菊地 光子

 

臘梅は冬の季語だが、一月の終わり頃に咲く花だ。まだ冬の硬さが残っている。特に日中は少し暖かいが、日暮は寒くなり、行ったり来たりの感じがある。「固き風の音」でこの頃の微妙な季節感をうまく表現している。

 

森岡 正作選

 

【特選】

 

 赤べこと頷き合うて春を待つ  能美昌二郎

 

赤べこは、福島の民芸品で私も持っているが、真っ赤なので、何かとよく目につく。その感じから「春を待つ」になるほどと思った。ちょっと嫌なことがあっても、赤べことうなづきあって、自分を励ます。そんな風に赤べこに気持ちがいったので、頂いた。 

 

【準特選】

 

 河馬の尻尾ぷるんと春愁払ひけり  富川 明子

 

春愁を抱え、動物園を歩いている。その悩みを一瞬にして、笑いに変え、明るさに変えたのが「ぷるん」と言う擬態語だ。河馬の尻尾は巨体の割に、細く短い。面白い所を捉えたと思って頂いた。

 

 

 静岡新聞 2/28 の「四季の森」に

 能村研三主宰の句が掲載されました。

 

 

朴の芽を育むための月あかり  研三 

 

こちらも静岡支部の鈴木さんより情報をいただきました。

ありがとうございます。

 

今夜は満月

3月の満月は、「土から虫が顔を出す頃」などから

「ワームムーン」と呼ばれているそうです。

 

この情報をいただいてから、庭にでて

久しぶりにカメラを構えてみました。

明るく優しい月が撮れました。

 

 

そして

朴の木越しの満月

とても明るい光が朴の木を照らしています

 

 

こちらは

数日前の朴の木

木の芽が膨らんできています。

 

芽吹くのももうすぐ

 

 

 

 

 

 

 

 静岡新聞 2/28 の「四季の森」に

 沖同人の塙誠一郎さんの句が掲載されました。

 

  さりげなく来てさりげなく二月去る  塙 誠一郎

 

 

 

沖静岡支部の鈴木さんより情報をいただきました。

ありがとうございます。

 

 

 

 

沖2023年3月号ダイジェストを

公開いたしました。

https://www.oki-haiku.com/

ぜひご覧ください

 

『沖』は皆さまのご参加をお待ちしております。


【見本誌を希望される方】
・見本誌代は1冊500円です。
・上記ホームページの見本誌・お問合せフォームより

 必要事項を入力してお申込みください。
・担当者より折り返しご案内メール(もしくはお電話)をいたします。

 

 

 

 

 

沖2023年2月号ダイジェストを

公開いたしました。

https://www.oki-haiku.com/

ぜひご覧ください

 

『沖』は皆さまのご参加をお待ちしております。


【見本誌を希望される方】
・見本誌代は1冊500円です。
・上記ホームページの見本誌・お問合せフォームより

 必要事項を入力してお申込みください。
・担当者より折り返しご案内メール(もしくはお電話)をいたします。

 

                       

沖 東京例会 特選句
令和4年12月11日

 

能村 研三 選 

 

【特 選】  

ブロッコリー一致団結して昏し     辻 美奈子

 

【評】

一致団結が面白い。冬野菜のブロッコリーは緑いろであるが固まっていると色濃く見えそれを昏いとしたのだろう。

二句一章として読むと、世の中にはよくあることで一致団結といっても決してそうではないだろうと捉えた。

ブロッコリーの形状を描写した一句一章としても読むことができる。

 

【準特選】

敬称を略すごとくに枯木立      澤田 英紀

 

【評】

敬称略とは全ての肩書をはずしてすっくと立っている人格・風格が伝わってくる。それを枯木立としてとらえた。

何の飾気もない素の世界が感じられる

 

森岡 正作 選

 

【特 選】  

ふくろふの夜を引き裂くことのありぬ  坂本 緑

 

【評】

梟は穏やかに見えるが夜を引き裂くような声で鳴いたのだろう。親しみのある愛すべきふくろうそのものには、神の使いのイメージがある。読者に物語を紡がせる句である。

 

【準特選】 

浮世とはどんな世かしら餅を焼く   千田 百里

 

【評】作者は餅を焼いているのだろう、ユーモアがある。

明るいタッチの力を抜いた句なりの良さがある。

穏やかな膨らみがありほんわかとしてくる。

今生きているのが浮世ならほんわりと優しいものであって欲しいと作者は思っているのだろう。

又あの世とはどんなものかしらとも思っているのかもしれない。


沖 中央例会 特選句

令和4年11月5日

 

 

能村 研三 選
 

【特 選】  

油差しぺこんぺこんと冬に入る  林  昭太郎

【評】 

ここで詠まれた「油差し」今の時代では使われていないかもしれない。半球形で真ん中に針のようなものが建っていて、底をペコンぺコンと押すと油ず出てくる。「冬に入る」の季語の斡旋がよかった。

 

【準特選】  

太棹の変調や急秋深し     栗原 公子

【評】

先日の青森に出かけた時の句であろう。津軽三味線は厳しい冬を迎える人たちが自ずと出来たリズムであろうか。曲の途中で急に変調したリズムに変わってクライマックスを迎える。

 

 

【高点句】

    林檎捥ぐ津軽の空を引つぱつて  大橋 松枝

    嘘よりも悪態許すゐのこづち   甲州 千草

    スカイツリーの影廻り来る干蒲団 中西 恒弘

    福耳で聞き合ふ羅漢小六月    峰崎 成規

    息白く朝市の荷を展げをり    佐々木よし子

 

 

あけましておめでとうございます。
昨年は三たびの延期、三年越しの「沖」創刊50周年記念大会を

ロナ禍の感染が落ち着いている時期に開催することが

出来ました。

当初より小規模な内輪の会とはなりましたが、

大きな節目となる会を開催出来たことは大変よかったと思います。


 新しい年を迎え、「沖」は創刊から53年目の年となり、

私も主宰を継承して22年目となります。

コロナ禍から始まった「オンライン句会」に加えて、

3つの例会をコロナ感染に最大限に注意を払いながら

対面句会で実施していきたいと思っております。

 

また出来る限り時間を作って地方支部へも伺いたいと思っています。

さあ、創刊から53年目の新春、今年も飛躍の年となるよう、

頑張りましょう。
今年もよろしくお願い申し上げます。     

 

 「沖」主宰   能村 研三
           令和5年1月

 

 

 

沖 東京例会 特選句

令和4年11月13日

 

能村研三選 

 

【特 選】  

浮世絵に影無かりけり都鳥      関根 瑶華

 

【評】浮世絵は木版画なので奥行きのある陰影をつけるのが

難しかったと言われている。

もともと日本には影を描く習慣がなかったそうで、浮世絵は

写実的に描かれたものではないので、影を描かれていない。

浮世絵によく描かれる都鳥を見ながら、作者はふと浮世絵に

影が無いことを認識した。

 

 

【準特選】

月翳りつつあれが命の速度とは     頓所 敏雄

 

【評】先日、めずらしい皆既月食を見ることができた。

月食は科学的に解明するより、俳人はそのロマンを

探し求めた方が良いように思う。

月の翳るのを見ながら人間の命の速さというものを感じた。

 

 

森岡正作選

【特 選】  

釣瓶落しタワーを夜が駆け上る     峰崎 成規

 

【評】釣瓶落しは普通、日が短いとか暮れるのが早くなると詠まれるが、これは高いタワーが下からたちまち暗くなっていく。

夜がこれから始まるというところを夜が駆け上るととらえた

発想が良い、良いところを見つけた。

 

【準特選】

垂れ籠めて二戸八戸冬構       能美昌二郎

 

【評】青森大会が開かれ皆さん出かけられて、

青森がいろいろ詠まれたのでしょう。

下北の海の近くの二戸や八戸、空がどんよりとしていて,

今にも降り出しそうな青森の景が見える。

二戸八戸と青森の地名を詠み一気に冬構まで、

読みやすくリズム良く詠まれている。

 

 

 

 

 

塙 誠一郎さん 『家系図』

 

 

沖蒼茫集同人の塙誠一郎さんが

句集『家系図』(ふらんす堂刊)を

上梓されました。

 

 

 

その序文の一部を紹介いたします。

 

 

  余生でも晩年でもなし去年今年

 

  晩成と言はれて成らずちやんちやんこ

 

  いつよりと言へぬ晩年さるすべり

 

  水戸つぽの気質ときに現はれ青あらし

 

  曝す書に朱線・疑問符・感嘆符

 

  ここに掲げた句は、いずれも塙さんの人生の生き方の

 在り様を述べた句であるが、その時々の瞬間を大切に

 しながらも何事にも真摯に取り組んでいこうと姿勢が

 うかがえる。

 会社の仕事を終えた後もそれを余生として捉えるのではなく

 前向きに全力を尽くされている生き方はすばらしい。

 水戸つぽの思い込んだらそれをとことん貫き通す一本気な

 性格なのである。                 

             (句集『家系図』序文・能村研三)

  

 序:能村研三
 跋:森岡正作
 装丁:和兔
 四六判上製フレキシブルバックスタイル
 244頁
 2022/10/22刊行  (税込: 3,080円)

 

 著者略歴

 

 1941年(昭和16年) 東京 本郷生まれ
 大手損害保険会社に勤務
 2001年(平成13年) 作句開始
 2006年(平成18年) 「沖」入会 能村研三に師事
 2015年(平成27年) 「沖」潮鳴集同人
 2021年(令和3 年) 「沖」蒼茫集同人
 俳人協会会員
 国際俳句交流協会会員
 千葉県俳句作家協会会員
 市川市俳句協会幹事
 沖同人会副会長

  

 ふらんす堂代表の山岡喜美子様の日記にも

取り上げられております。

 

 

 

ふらんす堂 様のホームページで

紹介されております。

 

 

   ふらんす堂オンラインショップにて購入可能です。