【中央例会】沖 東京例会 令和5年7月 特選句 | 航海日誌

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主宰 能村研三 創刊主宰 能村登四郎

 

 

東京例会

令和五年七月九日  

 

 

能村 研三 選 

 

【特選】

 日本の木の家に住み水を打つ      鈴木 基之

 

【評】「日本の」という出だしが実に良い。木の家に住み水を打っていると自分の心も静まっていくようであり、家も静まっていくという風情が感じられた。日本人ならではという句だと思う。「水を打つ」で落ち着いている感じを醸し出している。

 

 

【準特選】

ランウェイのごと堰堤の黒揚羽     阿部眞佐朗

 

【評】ファッションシヨーの花道をモデルが歩いているように、堰堤に黒揚羽が飛んでいる様子で、きらきら感が出ている。蝶では少し小さいかとも思うが、ランウェイという格好いい言葉を使ったところが良かった。

 

 

森岡 正作 選

【特選】

黒南風や縦列に行く自衛艦       福島  茂

 

【評】「縦列に行く自衛艦」で不穏な感じを出し、黒南風の黒がとても良く効いていて、不安感を季語が語っている。縦列という言葉で重量感までよく捉えられていると思う。

 

 

【準特選】

大いなる梁仰ぎゐる涼しさよ      高橋あさの

 

【評】白川郷の合掌造りの家を思い浮かべた。「仰ぎゐる」で重厚感があり天井が高く

大きい家だとわかる。句柄が大きく気持ち良く、簡潔で語調も良く整った句である。季語「涼しさ」が効いている。