ども、レベルの低い再会を果たした岡田達也です。

 

 

 

昨日、25年振りに友人に会った。

西垣くん(通称ガキ)。

 

小学校、高校の同級生。

フェンシング、元・日本代表選手。

 

そして……

5年前の僕の日記に登場している人物でもある。

もしもお時間があったら読んでみてほしい。

涙無しでは読めない、西垣くんの戦いの話を。

というか、今日の日記が何倍も面白くなるかも。

 

 *

 

2012年8月6日の日記

『走れ!エリマキトカゲ!』

 

2012年8月7日の日記

『走れ!エリマキトカゲ! その2』

 

2012年8月8日の日記

『走れ!エリマキトカゲ! その3』

 

2012年8月9日の日記

『走れ!エリマキトカゲ! その4』

 

 *

 

先日、帰省したとき。

同級生がミニ同窓会を開いてくれた席で教えてくれた。

「おいっ、達也が日本海新聞に載った前の週にな、ガキが同じ新聞の同じ欄に出とったで!」

 

ええっ?

あいつ、何かやらかしたのか?

 

「ちがうがな!フェンシングの日本代表コーチに就任しただって!」

 

おおっ!

それはすごい!

 

「で、鳥取出身で活躍しとる人ってことで、達也と同じ欄に取り上げられただが!」

 

なるほどなぁ

 

「わしらのクラスメイトが二人も続けて日本海新聞に載るってすごいがな!自慢だで!」

 

みんなたいそう喜んでくれている。

犯罪じゃなくて良かった。

 

酒の勢いもあり、僕はその席で西垣くんに電話した。

25年前に二人で東京で会ったきりだ。

突然の電話に出てくれるのだろうか?

 

「……もしもし」

 

「おおっ!ガキか?」

 

「オカタツ、久しぶりだな。どうかした?」

 

「いや、今、鳥取に帰っとってなぁ。同級生が集まってくれて飲みよるだが。で、ガキの声が聞きたくなって。今、大丈夫か?」

 

「今ならいいよ。ちょうどね、トランジットの最中だから」

 

「ん?トランジット?え?もしかして海外か?」

 

「そう。ヨーロッパ遠征の途中」

 

「おおっ!カッチョイイ!!!!!」

 

こんな電話があり、東京に戻ったら二人で会おうと約束していた。

 

お互い50歳を迎えようとしているが、最後に会ったのは25年前

つまり、今までの人生のちょうど半分のところ

まだまだ若かった。

彼がオリンピック代表に選ばれながら試合に出られなかった後

(詳しくは上の日記に書いてあります)

僕が劇団に入る直前

そんなタイミングだった。

 

次に会って話したら、人生について深い話ができるかもしれない。

我々もそんな年齢になったのだ。

 

そして昨日。

 

あまりにも懐かしい再会となったが、小学校1年生からの付き合いだ。

あうんの呼吸がある。

お互いに近況報告と、会ってなかった25年、何をしていたかを語り合った。

 

「子供が二人いるよ」

 

「ええっ!そうなんだ!フェンシングは?やらせとるんか?」

 

「うん。俺ほどは強くならんかったけど。でも県で6位に入った」

 

「十分だ!ちゃんと褒めたれよ!」

 

「来年から大学生だ」

 

「じゃあ、ガキと同じ法政大学に行かせてフェンシングの勉強か?」

 

「いや、あいつ、誰に似たのか頭が良くてな」

 

「うん」

 

「慶応大学に行く」

 

「……え?」

 

「……おかしいだろ?俺、鳥工(鳥取工業高校の略)出身だぞ。その息子が慶応って」

 

「そうだよな」

 

二人の動きが止まった。

 

確かにおかしい。

僕には子供がいないが、どう考えても俺たちの子供が慶応に行くなんて。

何の間違いだ?

 

僕はしばし考えて聞いた。

 

「奥さんが頭がいいとか?」

 

「普通。何でこんな両親から生まれたのか理解できん……」

 

「そうか。でも良かったが。お父さんは日本代表コーチに呼ばれて、息子は来年から慶応に通うなんて。それは素晴らしい人生だ」

 

僕は心底そう思い、彼に言った。

 

「いや、そんなことより……」

 

西垣くんは真顔で声を潜めた。

 

「なんだ?」

 

「オカタツ、来年、篠田麻里子ちゃんと共演するだろ?」

 

「うん」

 

「そのほうがすごいで」

 

「……」

 

真剣だ

真剣そのものだ

50歳のおじさんが、眉間にしわを寄せて、真顔で言うことか?

 

「AKB以外は?」

 

どうやらこいつ、アイドルに興味があるのか?

 

「え~っと、乃木坂の子とは共演させてもらったな」

 

「す、すごいな、オカタツ!」

 

……いや

どう考えても日本代表を教えてるキミのほうがすごいと思うが

 

「オカタツ」

 

「なんだ?」

 

「欅坂はまだか?」

 

「……あのな、彼女たちは芝居とかやらないだろ」

 

「そうか」

 

「そうだ」

 

「じゃあ、川栄李奈は?」

 

「だから共演してないし!そもそも、俺はほとんど映像の仕事やらないから!たぶん、一生、縁ないし!」

 

「そうか」

 

「そうだ」

 

「ところで川栄李奈はどうしてあんなに売れたんだ?」

 

「知らんがな!!!」

 

 *

 

とてもじゃないが恥ずかしくてクラスメイトに言えない。

 

日本海新聞に載った

お前たちの

自慢のクラスメイト二人は

新宿にある

安い居酒屋で

こんな会話をしている。

 

僕は別れ際、どうしても訊きたかったことを口にした。

「18歳のとき、こんな50歳になるって思ってたか?」

 

「1ミリも思ってなかった」

 

「……だよな」

 

 

 

では、また。