王道日本:佐野雄二 -9ページ目

野田政権の終焉、3大政党制

1224日、野田内閣は2012年度予算案を閣議決定した。特別会計に計上した復興費と

基礎年金の国の負担を加えると、事実上、過去最大の967000億円の予算規模となった。


この予算案で明らかになったことは、八ツ場ダムの建設再開、高所得者への「子ども手当として5000円支給」、高速道路無料化の予算削除など、民主党がマニュフエストに掲げた内容の数多くが方向転換されたことである。


 異論はあろうが、私自身は、民主党の掲げた政策で、何点かは評価していたものがあった。それは「官僚主導から政治主導」であり、(民主党はそうではないが)技術立国へ向けた子ども手当の使い方などである。

しかし、民主党は党の綱領=共通理念さえ持たない党である。官僚主導を廃するというなら、政党の中にシンクタンクは最低、持つべきだが、それ無しで政務3役だけで立ち向かった。

国家戦略局も同じで、科学的に政策を積み上げるシンクタンクがあって、その上に(政党の中に)国家戦略が組まれるべきだが、内閣の一つとして設けただけである。


また子ども手当の誤りは、「控除から手当てへ」などと言って、扶養控除を無くしたことが、そもそもの誤りであった。かっての自公政権のように、控除を残したまま手当を増額するのであれば、ここまでの混乱はなかったであろう。



鳩山政権・菅政権と続いた中で、野田内閣は、ある意味、民主党の最後の切り札とも言えた。それは、政権交代したばかりだから、もう一度、期待してみようという国民の願いと、野田氏の低姿勢ぶり、党内融和最優先の姿勢が評価されたからである。

しかし、就任4ヶ月にして、もはやこの政権に期待する人はほとんどいないだろう。低姿勢は良いとして、原発事故の収束や対応が自国だけで満足に出来ないのに他国に輸出するという無反省さ。まだ先行き不透明なのに収束宣言を出す無神経ぶり。


TPPにおいては、すべての関税をゼロにするという国家主権の放棄であり、ひいては国民主権の放棄であるのに、アメリカへの迎合・低姿勢ぶり。4年間上げないと言った消費税の増税路線の採用、そしてマニュフエストを何故、変更するかを明示しないままの八ツ場ダムの再開である。


 

野田政権の終わりが見えてきたということは、民主党政権の終わりでもあり、同時に「2大政党制=小選挙区制」が日本に合わないことの証左でもある。

なぜなら民主党は2大政党制を意識して、自民党とほぼ反対の政策を主張をしてきた。控除から手当てへ、コンクリートから人へ、官から民へ、官僚主導から政治主導へなど、皆、そうである。


小選挙区制は、政権交代可能な2大政党制を前提とするが、この考えは欧米模倣のものである。欧米では勝負事を決するのに、コインの裏表、ゼロか1かの二元論である。宗教でもキリスト教対ユダヤ教、キリスト教対イスラム教のように、のっぴきならない非難合戦を繰り広げるのが2大政党制である。


一方、日本では勝負事はジャンケンのように3つで決める。絶対的な強者はいないから、宗教的な対立に陥ることはない。2つの意見が争っていたら、ケンカ両成敗で第3の道・中庸を探す。3つが争えば「3方一両損」で、互いに譲りあうのが日本的解決であり、政治の手法である。

だから近い将来には、3大政党制を想定したシステムに変えるしかない。民主党がダメだからと言って自民党に戻るだけでは、何の進歩もないと考える。



ついでに言えば、参議院も廃止するしかないだろう。参議院は、かっては「良識の府」と言われたが、今では「ねじれの府、圧力団体の府、プロレスラーやプロ野球、売れなくなったタレントの府」でしかない。

民間では決断にスピードを要求されるのに、衆参でねじれるために何一つ決まらない。衆院を「小選挙区2人当選:比例代表併用制」にすれば小政党も生き残れるから、野党となった政党が「良識」を発揮できるのである。


この制度を簡略に示すと、各党の議員の当選の総数は全国1区の得票総数で配分する。それを前提に、選挙区では上位2名を当選させる。ドイツ型に近いが、全体の議席数が過剰とならないよう、比例分で調整する。選挙区の数は250×2名、比例で100名の合計600名の衆議院となるが、参議院を廃止するから、その程度はやむを得ないと考える。



次の選挙で自民党が単独過半数に達しない場合、この3大政党制のシステムの導入のチャンスと思われる。それまではしばらく辛抱しよう。


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通貨安競争のために政府紙幣の発行を!

最近の日本経済は相当に病んでいる。その傷の深さと広がりは限界に達していながら政府や日銀は適切な対策を打てないでいる。


 特に目が余るのは「円高」と「税収不足」ある。1ドル84円を切ったら、国際的に展開するトヨタやホンダなどは為替による損失が多大となり、海外に工場移転を考える企業が続出すると言われて久しい。しかし、その対策は貧困で、この円高が何に依っているかを冷静に分析する政府関係者や学者はほとんどいない。ために「政府による円売り・ドル買い介入」を示唆するしか方法が無いという無策ぶりである。

最近の円高の原因は大きく分けて二つある。一つはアメリカがサブ・プライム・ショックやリーマン・ショックで落ち込んだ景気を回復させようと、強力にインフレ策をとっており、その反映で円高となっている。

市場に出回るお金を増やせば金余りとなり、物価は上昇する。それは企業の売上げ増を意味するから、金融緩和は景気回復のための常套手段である。


逆にデフレではモノの値段が下落し、売上げが減少する。給料も減らされるが、借金や固定費は減らず、資金繰りに困る企業や個人が続出する。ために前年比12%増のインフレが望ましいと政策誘導するのがインフレ・ターゲット策である。

インフレ政策は国内経済のみならず、外国に対しても有効である。なぜなら金余りとなる分、自国の通貨安にすることが出来、輸出競争力がつくからである。

アメリカの中央銀行であるFRBの総資産は、リーマン・ショック前と比べて2.7倍にも膨れ上がっており、その分、ドルを過剰に刷っていることが明らかである。

この状況はEUも似たようなもので、ギリシア通貨危機やイタリア、スペインの財政危機を抱えて、何とか輸出拡大でしのごうと通貨供給を増やし、「ユーロ安」の政策を採っている。このように米欧の2大勢力から通貨安の競争を仕掛けられていることが、最近の円高の大きな原因の一つである。

もう一つの円高の原因は、どこまで円高が進んでも日本の「経常収支黒字」が止まらないことである。経常収支とは、モノの取引である貿易収支に海外投資や配当などの所得収支が加わったものである。


日本はこの30年間、1度を除き、経常収支が連続して黒字である。ために世界最大の債権国となっているが、この海外投資による配当などが、年間10兆~15兆円の黒字となって円高をもたらしている。

変動相場制では、貿易収支が黒字になれば円高に振れる。円高になれば輸出競争力が落ち、一方では輸入品が安くなって増えるから貿易収支は均衡する。したがって円高は止むのだが、海外からの配当などの所得収支の場合は違ってくる。

世界最大の債権国であることが原因だから、多少、円高に振れても10兆円が8兆円に減るぐらいで、経常収支の黒字要因であることに変わりはない。つまり最近の「止むことのない円高」は、世界最大の債権国であることが原因で起きている。

所得収支が黒字の分、貿易収支が年間10兆円超は赤字でないと円高が止まらないわけで、その分「失業の輸出ではなく、輸入」である。

この解決策は中々困難で、方法としては海外からの投資収益を日本に持ち込まないことぐらいしかない。すでに中国がやっているが、自国の通貨高を避けるため、輸出で稼いだドルを海外の資源や農地・山林の購入、企業買収に再投資して国内に持ち込まない。中国の場合、自国の利益ばかりで他国に警戒心を抱かせるが、似たようなことを相手国の利益も考えながら日本もやるしかない。これは将来、為替制度を変動相場制から変更したとしても、他に解決法のない問題である。

以上2つが、ここ45年の急激な円高の原因である。したがって対策も、これらを踏まえたものでないと効果が薄いことは当然である。

その対策であるが、特に「通貨安競争」が問題である。通貨安競争をすれば、世界的に余ったマネーは資源や食糧、途上国の株式や企業買収に向かう。そうしたマイナス面にも配慮しつつ、日本も防衛上、通貨安の政策を採るしかないというのが現状だろう。政府による「円買い・ドル売り」だけでは、実物取引の50倍から100倍にもなる為替投機に対抗できるわけはなく、「変動相場制のシステムを分かっていない」と叱責されるのがオチである。

自国の通貨安の典型的方法は日銀の金融緩和であるが、10年末の日銀の当座預金残高は22兆円、日銀券の発行残高は82兆円、タンス預金は推定30兆円超と充分に金融緩和している。

民間の資金需要が細っているのだから、たとえ金利がゼロであっても今以上の金融緩和はできない、というのが日銀の言い分であろう。 

確かに日銀のやれることは限られており、その意味では金融ではなく財政の方が大胆な対策はとりやすい。

財政面からの通貨安の方法としては、日銀の国債直接引き受けと政府紙幣の発行がある。このうち前者は法律で禁止されており、日銀が引き受けを拒否すれば不可能であるから、方法は政府紙幣発行に限られる。政府紙幣であれば、今でも500円玉や100円玉などの貨幣は、財務省所轄の独法・造幣局が発行しているし、一々日銀に許可を得ずとも財務省と国会の権限でできる。

私はかって日銀の直接引き受けや政府紙幣の発行には否定的であった。財政規律への歯止めがなくなり、インフレ懸念が拡がるからである。

しかし、米欧の通貨安競争による円高は度を越えており、はっきりした対策を打たなければ立ち上がれないほどのダメージとなっている。

その解決のために、国民1人当たり30万円、4人家族で120万円、計40兆円弱のバラマキを2年続けて行なうことにする。もちろん、その政府紙幣は強制的に日銀に引き取らせる。

こうすれば、無駄な公共事業ではなく、国民に公平にお金が行き渡って消費が活発になり、税収も上がる。同時に適度のインフレになり、経済が活性化する。合せて通貨安競争にも有力な対抗手段となって円安に誘導できる。13丁にも4丁にもなる策だと思うが如何だろうか?

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TPPに突き進む野田政権

野田総理がTPP交渉参加を決断した。与野党から相当、反対の声があったにも拘らず、この土・日の1213日にハワイで開かれるAPEC(アジア太平洋経済協力会議)で参加表明する方針は変えないようである。


JA農協グループがTPP参加に反対する請願の紹介議員を募ったところ、衆参の議員定数722人の半数を超える363人が集まった。つまり全国会議員の半数以上が反対といっているのに、参加を強行するとは、一体、どこの国の総理かと疑いたくなる。

TPPに関する議論を見ていると、財界のように、輸出拡大のためにTPPに参加せよという意見、あるいは対中国を意識してアメリカとの同盟を強化せよという議論がある。


これはどちらも間違いで、TPPの最大の眼目は「原則・関税ゼロ」である。関税とは国家主権の重要な一部であるから、これは「国家主権を放棄し合う協定」というに合い等しい。だから関税だけでなく、国民を守るための制度、医療とか健康保険とか、食の安全に関する検査なども、国家主権を放棄してアメリカ基準に合わせるか否かが問題になってくる。


憲法では国民主権をうたっているが、国民主権の前提には国家主権がある。TPP参加で国家主権が無くなれば、その後で国民主権を叫んでも無駄である。そうなると対中国も何も関係が無くなるわけで、国民は、独自の権限の無くなった国家や政治家に対し愚痴や皮肉をいうだけで終わる。それほどの破壊力のあるのがTPPであり、賛成派の人々は、そのことを先ず知る必要がある。

次に、TPPに参加すればGDPが2.7兆円アップするという議論があるが、これもお粗末である。なぜなら輸出がそれだけ拡大すれば、当然、貿易黒字は増え、円高になる。今でさえ限界を超えているのに更なる円高になれば、輸出企業は海外に工場を移転する。それなら始めから消費地の海外で生産すれば、今以上円高になることは無いし、関税も関係がない。


逆にTPPに入らずに韓国などに押されて輸出が減れば、貿易赤字となって円安となる。円安となれば、外国産品と競合する国内企業は復活し、雇用は増え、輸出も伸びる。したがってTPPに入らない方が国内の雇用は拡大するのである。

特に問題なのは、前原氏の「農業のGDP構成比は1.5%、そのために残りの98.5%が犠牲になって良いのか」との考えである。これはまったく農業の大切さを分かっていない。農業は独立した国家として食糧自給率を向上すべきなだけでなく、食の安全を通じて、国民の健康を守ることに直結する。


それだけでなく、日本は縄文時代以来、「木と土の文化」を持ち、農耕文化の中で育ってきた。民族文化の大元の根源を放棄すれば、頭デッカチの根なし草、放浪の民ばかりが育つ。民主党に「頭デッカチの根なし草」タイプが多いのは、現代日本の精神的窮状を反映しているのかも知れない。

その他、TPP賛成派の浅薄な議論を見ていると、

参加すれば輸入品が安く入り、消費者には良い。⇒消費者として良くなっても、彼は、消費する収入をどこで稼ぐのか?

TPP参加で安い輸入品がさらに出回れば、競合する国内企業は雇用を圧縮する。またTPP参加で貿易黒字が増えれば、さらに円高となって輸出は減る。いずれにおいても雇用は縮小するから、消費者はワーキングプアになるだけで、収入を得る場所もなくなるのである。


アジアの成長を取り込む。 ⇒それは結構だが、取り込んで輸出が増えれば、さらに円高になる。円高となれば海外に工場移転となるわけで、結局、アジアで消費される物はアジアに拠点を移して生産する、アメリカで消費するモノはアメリカで生産するという「地産地消」が正しい選択となる。

一国の貿易黒字は他国の貿易赤字である。貿易黒字は「他国に失業を輸出」することであるから、国際的な交易においては経常収支が互いに均衡することが望ましい。もう先進国だけが貿易黒字をため込んで、金権ぶりを謳歌する時代は終わりにしなければならない。


その意味でも、変動相場制の為替システムを見直し、より優れた為替制度にしないと、何が諸悪の根源か分からなくなっている。

私の見るところ、デフレ、ワーキングプア、増える失業と自殺者、止まらない円高、雇用問題などの大半は、為替制度を変更することで解決可能である。

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福島原発の最終の処理

ちょっとした関係から、福島第一原発のガレキ処理の簡易調査をすることになった。今日はその話をしたい。


 福島県を中心に、放射性物質に汚染された汚染土壌は、東京ドーム23杯分とも80杯分ともいう。放った放射線量はチェルノブイリ原発の約3倍と言われ、時間が経てばたつほど、今回の事故の規模の大きさが明らかになる。


 本当に紙一重で東京全体が人の住めない街になるところであったが、そうした情報の隠ぺい体質と、もう一つ、メルトスルーした核燃料の処理方法が問題である。

 いわゆる原発の「トイレなきマンション」問題が、さらに問題悪化して存在するという状況である。



 文部科学省は、1980年代に、使用済み核燃料や放射性廃棄物の無害化のため、「オメガ計画」という構想を発表した。これは使用済み核燃料などに対して、加速器で陽子や中性子を衝突させて核分裂させ、他の物質に変換するというもので、当時は目新しかったこともあり、世界的に注目を浴びた。

しかし、それから30年弱、参議院議員の浜田和幸氏が最近、文科省に問い合わせたところ、「データを喪失した」との答えであったという。



その意味するところは、粒子加速器で放射性廃棄物の1つ1つの分子のすべてに適確に陽子を命中させて核変換を起こさせるなど、無理ということである。原子核の構造を知る者なら分かることだが、間違って1つや2つの分子に当たることはあっても、それだけで終わる話である。


 他には、使用済み核燃料を「プラズマ溶融」させるという考えがある。プラズマとは物質が高温の中、ガス化し、電子が分離した状態だが、これでセシウムやプルトニウムは無害化できるのではと考えた。

しかし、それは誤りで、専門家に聞くと、プラズマ状態になっても放射性物質は無くならず、セシウムなどの半分はガスとなるのでフィルターに付着させる。残りの半分は、ガレキなどの表面に付着していた分が、溶融することによってスラグの中に均等化するため、外部に放出される放射線が相対的に少なくなるだけだという。



この原理は、さらに超高温にしてプルトニウムやストロンチウムをプラズマ状態にしても同じだそうで、結局のところ、プラズマ溶融では、使用済み核燃料や放射性廃棄物の無害化は出来ないことになる。

まさに「トイレなきマンション」で、地中埋立て処分しか方法が無いということを改めて思い知らされた。その危険性は、何十年、何百年か経って内容物が地下水に沁み込んで、大騒ぎになることを想像していただきたい。

そんなわけで、あらためて、既存原発の「トイレ問題」を解決するには、トリウム熔融塩炉しかないという現状を知った次第である。





アメリカの「日本化」

アメリカの主要都市でデモが続いている。理由は金融界中心の救済策や優遇策がアメリカの経済格差を拡大していると抗議するもので、ウォール街を占拠してもう10日以上が経つ。その主張は至極もっともなもので、アメリカも大きな岐路に立っているなと感じ入る。



グローバリズムが進むと、国内格差が拡大することは日本の例でも分かる。多国籍化した企業は、より安い賃金を求めて中国、ベトナム、バングラデッシュへと生産拠点を移す。先進国の雇用者は途上国の低賃金労働者と競争を強いられるから、賃金はドンドン下がり、若者の雇用の場は無くなる。物価は途上国からの輸入で低下するから、デフレ傾向は止まず、GDPは横ばいか下がり気味となる。



特に問題なのは自国の企業が、途上国の低賃金労働者を徹底指導して、自国の消費者向けの製品をつくることである。ユニクロ、青山、ニトリ、100円ショップなどがそうで、これが進むと先進国では雇用の場が急速に無くなり、ワーキング・プアや失業者が街に溢れることになる。こうなると、財政支出も金融緩和もほとんど効かなくなり、いわゆる「失われた15年、20年」という状態になる。



私はこの状態を、「グローバリズムによる円高デフレと100円ショップ・デフレの複合状態」と名づけている。1991年のバブル崩壊以降、日本で起こっていることであるが、それが拡大してイギリスやアメリカに起こっていると見てよい。その意味で、米欧が「どのような経済政策を打っても効果が無く、日本化している」と自嘲気味に言っているのは間違いではない。まさに「日本は、先行してヒナ型を為す国」なのである。



そして、このグローバル化に輪をかけているのがアメリカのマネー資本主義である。アメリカでは上位1%の者が4割の富を所有すると言われるが、その多くを金融関係者が占めてきた。


グローバリズムを進める理論にリカードの「比較優位の原則」というのがある。これは国際分業を進めた方が全体の生産力が上がるという理論で、この理論を根拠に、米英は他国にも関税を低くする自由貿易を提唱してきた。その結果、アメリカは電気製品や機械の製造を日本などに任せて撤退し、自らは金融業中心のマネー資本主義を築いてきた。



金融業というのはモノ造りと異なり、コンピューター化できる部分が多く、ほとんど新たな国内雇用を生まない。だから数字上はGDPが上がっても国内消費を支える中間所得層がいなくなり、社会格差は広がり、失業者が街にあふれるという結果となる。アメリカの経済政策は、この点で二重の誤りを犯してきたのである。



この解決策はどうすれば良いかというと、グローバリズムを止め、国内にモノ造りを復活させ、国内雇用重視の政策を採る。そのために為替レートを徹底して「円安(アメリカであればドル安)」にする。もちろん、貿易黒字をため込んだまま円安にすることはできないから、変動相場制を止め、為替制度を、絶えず輸出入同額となる「半固定・半変動相場制」に変更する。その上で固定レートを円安に設定すれば、デフレや雇用の問題はほとんど解決するのである。



この政策はいわば「保護主義」である。何を保護するのかというと、国内でのモノ造り、雇用を保護する。そのために「失業の輸出も輸入もしないよう為替制度を変更する」のである。


「グローバリズム・新自由主義には致命的欠陥があった。たしかに生産力は増したが、国内に失業者・ワーキング・プアを溢れさせてしまった。結果として先進国では金融政策も財政政策も効き目が無くなり、消費は低迷し、失うものが多すぎる」と、世界の有識者が気づきつつある。


それなのに野田内閣は関税ゼロのTPPに参加したい意向のようである。しかし、TPPこそグローバリムの最たるものである。



TPP参加で輸出は少し伸びたが、その分、すぐに円高になり、効果は減殺されてしまった。結果として止まらない円高で企業の海外移転は続き、国内雇用は無くなり、モノ造りは途絶えてしまう。

TPPに参加すると根無し草となり、無根洋才に輪をかける日本の行く末は見えている。民主党・野田内閣はいい加減、目を覚まさないとダメなのである。


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野田政権の滑り出しと無税国家論

民主党3人目の代表である野田氏が総理に就任した。菅政権の欠点であった「党内融和=小沢派への配慮」と、野党への低姿勢をつらぬき、支持率も高く順調そうな滑り出しである、と思ったら早くもつまずいた。国会の会期を4日間で閉じようとして自民・公明の反発を買い、紆余曲折の後、930日までの延長となった件である。


野田政権がどれだけ長持ちするかは、党内野党=小沢派への配慮と、もう一つ、公明党を如何に巻き込むかによるだろう。たえず公明党と歩調を合わせておけば自民党も対立的な言動はできず、結構長持ちする内閣となる。なぜなら民主と公明を合わせれば、参院でも過半数となり、衆参ねじれに苦しまなくて済むのと、1票の格差に違憲判決が出ており、選挙区の区割りを直さないと総選挙が出来ない状況だからである。


そんな中、国会会期4日に固執して、一度は破談になりそうになったのは極めて稚拙である。国対委員長の平野博文氏は、鳩山内閣の官房長官をやった時から平気でウソをつく、すぐトボける。閉鎖的で庶民感覚のない体質の人物だと思っていたが、その横柄な体質が問題をこじらせそうになった。適材適所ではなく、派閥均衡人事の弊害で、今後もたびたび同じような問題が起きてくるだろう。


野田内閣の性格自体は、低姿勢で好感が持たれているようだが、財務省の思惑通りに動き、増税路線とTPP推進基調であることが気にかかる。

国債の日銀引き受けでもして通貨供給を増やし、一気に資金調達とデフレ解決をするのが望ましい。ただし、そのためには日銀の直接引き受けを禁止した法律改正の必要があり、次善の策として、国債担保による日銀からの借り入れという手段がある。満期日が来たら、担保国債と相殺すれば、事実上、国債を償還しなくて済むので、この方が法改正も必要がなく、手っ取り早い。


またTPPは関税自主権だけでなく、国家主権の放棄であることを知るべきである。TPPに参加して貿易黒字が増えれば、さらなる円高になる。これ以上円高になれば企業は海外移転を進めて国内雇用は減る。逆にTPPに参加しないために貿易が減れば、円安になる。円安になれば国内産業が復活して雇用が増え、輸出も増えるからTPPに参加しない方が経済的にも良いのである。


野田総理の特徴の一つに、初の松下政経塾出身者という点がある。ご存知の通り、パナソニックの創業者・松下幸之助氏がつくった政治塾で、「保守主義と新自由主義」を基本とする。その意味で、新自由主義政策の頂点とも言えるTPP参加の意向は、同塾の影響かも知れない。


ちなみに「みんなの党」の最高顧問・江口克彦氏は松下政経塾の関連会社PHP研究所の社長であった。彼が早くから道州制にのめり込み、自民党の「道州制ビジョン懇談会 座長」の職にあったのは、ひとえに中曽根康弘氏の「引き」による。その点で、中曽根氏―江口氏―みんなの党は道州制でつながっている。


ちなみに道州制は「夕張市を全国につくる」と言われているように、日本国をバラバラに分割して競争させ、税率や規制の一番緩やかなところに企業が移転しようという、大企業のための新自由主義政策であることは何度か述べた。

 

 その松下幸之助の遺訓に「無税国家論」というのがある。これは毎年の税収の一部を積み立てて、その運用益で国の運営をまかなえるようにすれば、やがて無税にすることができるという考えである。


この考えを実践しようとした杉並区・元区長、山田宏氏によれば、区の予算を歳入の9割で回し、1割を積み立てに回す。利子率を2%として、その入金分を減税に充てると33年後には住民税が4分の3になり、53年後には2分の178年後には無税になるという。


2%は、株式で運用するのか不動産で運用するのか知らないが、経済が順調に回っている場合には素晴らしい考えである。ただし、それらが必ず利益を生むとは限らないし、不動産運用などの場合は民業圧迫にもなる。


もっと懸念すべきなのは、海外で運用して無税国家にしようという発想である。同塾出身の原口一博氏などが「国家ファンドを組んで国外で運用せよ」と主張していたのは、根底に無税国家の考えがある。


この考えが極めて問題であるのは、海外で運用して運用益を国内に持ち込めば、その分、経常収支は黒字になり、円高となることである。

変動相場制の外国為替システムは、経常収支が黒字であれば、絶えず「ドル売り・円買い」の状態となり、円高に振れる。逆に円安になるためには経常収支が赤字である必要がある。


すでに日本は、この30年間でわずか1回しか貿易赤字でなかったため、海外債権は260兆円にも及ぶ。その配当などが年間約10兆円の黒字となっており、現在の円高の根拠になっている。つまり、かっては「日本は貿易黒字をため込んで、失業を輸出している」と批判されたが、逆に所得収支(海外投資)が黒字の分、「毎年、失業を輸入しないと円高が収まらない」ようになっているのである。


無税国家のつもりで国家ファンドを組んで海外に投資し、上手く行けばその利回り分の「失業の輸入をする」というのでは、先の読めない、システムの分からない連中のすることで、すでに同塾の思想に重大な欠陥のあることを知るべきだろう。


本当に無税国家にしたいなら、為替制度を今の変動相場制から、絶えず輸出入が同額となる「半固定・半変動制」に代え、その上で関税をアップすることである。

関税であれば、すべて物価に転嫁されるため、痛税感がなく、事実上、無税と同じである。海外からの輸入品が高くなるが、その分、国内雇用が復活するし、円安に設定すれば海外に出た企業も戻ってくる。もちろん、円のレートや関税をいくらに設定しようと為替制度の特徴により、たえず輸出入同額となるから、外国に迷惑をかけることもない。


WTOなどからの批判があれば、「大震災からの復興のための30年間の時限措置だ」と言っておけばよいのである。


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脱・原発の具体的方法

各政党の原発に対する今後の方針が、やっと語られ出してきた。与党の民主党は菅総理が「脱・原発」を言いながらも、その代替エネルギーとタイム・スケジュールを言えないために、全体としては「減・原発」の方向だという。その内容はストレス・チェックをした後、従来より多少、安全面を配慮して再稼働し、輸出もするようである。



事故があった場合の原子炉の冷却や汚染水の処理をアメリカやフランス・アレバ社に頼みながら、一方では外国に売るというのは全く無責任である。何か故障やトラブルがあれば、日本独自の技術では対応できないものを売るわけで、輸出に熱心なメーカーを含めて、何の反省もない行為だと言える。


日本のエネルギー政策の今後をどうすべきか、どの党も明確な方針とタイム・スケジュールを出せていない。そこで筆者がまとめて提案させていただく。

◎まず全体としては「脱・原発」の方向に向かうべきだろう。福島原発と同様の事故が今度は西日本でもあれば、恐らく日本全体が何十年も何百年も人の住めない土地になりかねない。

被害は世界中に拡散するから、今後も「原発推進だ」という御人は「ヒトの命よりGDPや経済が大事」という考えの持ち主だと言える。


 問題は「脱・原発」のスケジュールであるが、これには代替エネルギーの開発状況が絡む。代替エネルギーとしては、地熱発電を除いて自然再生エネルギーにはまだまだ多くの問題点がある。その中ではトリウム溶融塩・発電が最も有望だと、これまでも何度か書いた。




その後の調査では、「トリウム推進議員連盟」を立ち上げ、メーカーなどに告知すると同時に、経産省所管の「新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)」に調査予算、開発予算をつけさせ、メーカーに「委託研究」させるのが早いとのこと。そうした手順を踏んだとして、実証テスト後、完成・稼働には710年がかかる。


その期間は既存原発を動かすことになるが、条件として、「もんじゅ」やプルサーマルの「核燃料サイクル計画」はすべて取りやめる。つまり再処理・再利用は行なわないことを明言する。これは福島第1原発・3号炉の反省だが、再処理してプルトニウムが78倍になったMOX(混合燃料酸化物)燃料を使えば、事故が起きた時の被害が甚大であるし、そもそもMOX燃料は事故が起きやすいことは、複数の識者の指摘するところである。

ちなみに再処理を行わなければ、使用済み核燃料がたまることになるが、それらはトリウム溶融塩炉が完成すれば、無害化できる。既存原発の「トイレなきマンション」問題を解決できるのは、今のところトリウム炉だけなのである。


自然再生エネルギーには既存原発の「トイレ問題」を解決する力はない。だから、自然エネルギーへの移行をいう市民運動家も、廃棄物の処理を含めて真の意味で「脱・原発」をするにはトリウム炉を推進するしかないのである。



既存原発を再稼働するにしても、安全基準を高め、運転30年に至った炉は原則として廃炉にする。今は運転40年を基準にしているが、中性子が当たることによる炉の劣化は、予想以上と考えた方が良い。


トリウム炉の完成に合わせて既存原発を廃炉にしてゆくことになるが、その期間は10年ほど、つまりトリウム炉の研究開始から最長20年ほどと見た方が良いだろう。これは自治体の原発関連収入の減少や雇用の転換のために、段階的に縮小・廃止とするためである。



トリウム炉が完成するまでの経過的措置としては、既存原発のほか、不足分はガス炉や火力発電による。しかしドルやユーロの大量発行が資源に向かい、すでに資源高騰のおそれがあるから、依存度は押さえた方が良い。

一番良いのは大企業の自家発電装置に補助金を出し、余剰分を買い取ることで、そうすれば大企業が海外に出ていくことは無い。あるいは企業の工場電力につき、優遇措置を設けることも検討して良い。


ついでに発送電の分離について述べると、私としては現状では分離しない方が良いと考えている。というのは、電力の一日の需要曲線は、基礎の固定消費部分があって、それに昼から午後5時頃までをピークとした台形がのっかった形である。

電気は蓄電出来ないことを前提とすると、一日ないし一年の電力需要の変化に充分耐えられる「安定供給」が一番の要件である。発送電の分離の目的は競争による電力料金の低下にあるのだから、別の対応で価格の低下は可能である。


思うに電気の供給と水道の供給は良く似ている。水道は自治体が管理し、地域独占であるのに誰も「自由化しろ」とは言わない。「安全で安価な水が安定して供給」されているからである。電気も同じで、「(原発に頼らない)安全で安価な電気が安定して供給」されれば、誰も「自由化しろ」とは言わないのである。そのためには、

電力会社の広告費をゼロないしは5億円程度にする。今までは1社年200億円近くで「反原発」の言論を封殺し、「安全神話」を振りまいてきた。

もんじゅもプルサーマル計画も止める。これで大幅な経費削減になる。

電力会社の役員報酬総額に上限を設ける。

官僚の天下りを止めさせる。


電力料金は「総括原価プラス3%の利益」であるから、以上を実施すれば電力料金は明らかに下がるのである。



「トイレなきマンション」に関連して、もう一つ。政府は高レベル放射性廃棄物(キャニスター、略してキャスク)の最終埋立てを、アメリカと組んでモンゴルに行う予定で動いている。最新の原発をモンゴルにつくる見返りのようだが、自国で処理できない核のゴミを他国の地に押し付けるのは止めた方が良い。


また国内では瀬戸内海の直島と近くの寺島、そして対馬に的を絞ったようである。直島は三菱鉱山による精錬所があり、近くの寺島は全島・三菱の所有で無人島だから反対運動は起きないだろうというのが予測である。

そして対馬は日本で最も古い鉱山があった。国有地で、採掘時に地下300メートル以上掘って堅い地下岩盤であると確認されているという。



この政策を容認するかどうかであるが、対馬の金属鉱山のあった場所は、すでに閉山となっているのに今も地下水がカドミニウムやヒ素、スズ、亜鉛といった有害物質で汚染され続けている。それを東邦亜鉛という会社が溜まる水をくみ上げ、浄水管理しているという。そうしなければ地上に溢れ、水俣病やイタイイタイ病など、漁業や農業に大変な被害をもたらすからである。

キャニスターを埋めてそれ以上の事態にならないか、危惧するのは私だけではないだろう。



地中埋立てを含めて、人間の科学技術は大自然の動きの全てを予測することは出来ない。絶えず「想定外」のことが起こるのが大自然であり、地球である。その地球という星から見て、唯一最大のガンが「技術におごる日本の指導者達」ということにならないよう、謙虚さが求められている。


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ストレステストと脱・原発

菅内閣の閣内不一致が続いている。九州・玄海原発の再稼働の条件にストレステストを加えたことと、「脱・原発」を突然言い出したことに、閣内から強力な反発があることが原因である。


どちらも重要なので取り上げると、先ずストレステストについては、欧州連合が「やる」と言ったので、それに右へならえしているだけである。

EUのストレステストとは、地震と津波、全電源喪失などにつき、コンピューター上のシュミレーションで「余裕度」を測るものである。あくまで机上の計算であるから、重要な懸念事項については回避される可能性が高い。


たとえば玄海原発については、1号炉が75年の稼働で既に35年、2号炉は30年が経っている。識者によれば、規定の耐用年数にはまだ間があるが、1号炉の原子炉格納容器などは中性子が当たって素材の劣化が激しく、不安があるという。しかし、コンピューターのシュミレーションでは現実の検査をするわけではないから、無視されるだろう。

また3号炉は、再処理され、プルトニウムが78倍に増やされたMOX(混合酸化物)燃料を使うから危険度が何倍にも増す。

福島第1原発・3号炉でもMOX燃料を使っていたため、水素爆発を超えて小型の核爆発の様相となり、飛散した放射線もハンパではなかった。それを考えると再稼働するにしても、MOX燃料の使用だけは止めた方が良いのだが、コンピューター上は、そうした判断材料は出てこない。電力会社や保安院がMOX燃料の危険度が高いことを認めていないからである。

次に脱・原発の路線であるが、その方向自体は間違ってはいない。もはや新規の原発設置は困難であることは、誰の眼にも明らかだろう。それなのに何故、民主党内での反発が強いかというと、民主党は昨年、「今後、原発への依存度を50%超にする」と決めたばかりである。これはCO2削減対策と経済成長戦略の意味が大きかったが、自民党も驚くほど原発依存度を高め、海外への原発輸出を積極的に行ってきた方針との整合性が問われることになる。特に仙石氏を中心とする原発推進派の反発は大きいようである。

問題は福島原発の事故をどう捉えるかである。被害の大きさを知れば、将来的に「脱・既存原発」を掲げない政治家の方がおかしいわけで、菅総理の誤りは、その代替案とタイム・スケジュールを掲げていない点にある。


民主党は原発代替案や核燃料サイクル計画の危険性、CO2問題への知識がほとんど素人集団と一緒である。官僚の考える思考の範囲と言っても良いが、政治主導を掲げながら「議員主導」でしかない底の浅さ、情報収集力と分析力の弱さ、ブレーンの脆弱さ、国家戦略性の無さが現れている。


困ったもので、菅総理の交代だけでなく、民主党政権の終了そのものが望まれているのかもしれない。汚染水処理でお粗末なアレバ社や米キュリオン社に高額な報酬を払うことも含めて、これだけの試練と考慮の材料、時間を与えられていながら、国民を適切に導く国家的方針を出せないというのは、そもそも政権担当能力が無いことを意味する。実際、菅総理退陣後は、仙石・前原氏の「スーパー新自由主義」路線かと思うとがっくりする。

かといって自民党は、まだまだ反省が足りない。財界と一体となっての原発推進が変わるならまだしも、とても無理だろう。自民でも民主でもない第3極の政治勢力が待ち望まれる次第である。

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原発問題の今後の方針

71日より、節電15%の規制が始まった。夏の電力使用ピーク時を考えれば、原発を動かせない状況では止むを得ないだろう。この夏の乗り切りは節電に頼るとして、今後の中長期の電力をどれにするか、菅政権はダッチロール気味である。というか全く整理できていない。

浜岡原発を止めたことは評価するが、他の原発については安全性が確認され次第、再稼働を要請している。一方、海外では「2020年代には1000万戸の屋根に太陽光を設置し、自然再生エネルギーの割合を20%以上とする」と打ち上げ、また、「自然再生エネルギーの全量固定買い取り法案」の成立を総理辞任の条件としている。

既存原発の安全性を確認次第、すべて再起動するというなら、それほど自然エネルギー、特に太陽光にのめり込むことは、無駄な行為である。


なぜなら、以前にも述べたように、太陽光のエネルギー変換効率は依然として15%程度と低く、1キロワット時当たりの単価は4549円と高い。他の発電方法の34倍の価格であり、これを全量固定で買い取るというのは、電気料金の上昇を招く。 消費者の負担とならないよう国が補助するとしたら、国債発行で子供たちにツケを回す。


太陽光の発電効率の3倍アップ構想は、数年前から経産省主導でメーカーがやっており、その完成を待ってから全国展開するべきだろう。将来的には自然再生エネルギーに移行するとしても、今のままでは、「全量固定買い取り」を「金もうけ」ともくろむ事業家の思うツボである。休耕田を太陽光に利用するのも、「将来、食糧生産のため、いつでも田畑に復活できることを条件」と釘を刺しておくべきである。

菅政権がダメなのは、そうした自然再生エネルギーへの移行の手順と既存原発の再稼働の条件が整理できていないことである。再稼働のためには、単に安全性向上だけでなく、「想定外の事故」が起こった場合の対応部隊を自衛隊を中心に編成しておくべきだろう。今回の事故対応ぶりを見ると、汚染水の除去を含めて、あまりにも「何も想定せず、準備もなかった」と言わざるを得ない。

また、特に重要なのは、既存原発を再稼働する場合、「核燃料サイクル構想」をどうするかを再検討すべきことである。

これは自民党時代からのことであるが、日本の原発政策は、「燃料を増殖する、あるいは再利用する」という考えで来た。資源の無い日本では資源を自給できることになり、その考えで高速増殖炉<もんじゅ>をつくり、それが事故でダメとなると、「プルサーマル計画」といって、核燃料の再利用計画を進めてきた。


しかし、これが問題で、核燃料の再利用として、使用済み核燃料からプルトニウムを抽出し、ウランと混ぜてMOX燃料(混合酸化物)をつくり、これを既存の炉で核分裂させると、混入するプルトニウムの量は79倍となるため、大事故や暴走の危険性が高まってくる。


事実、福島第一原発の3号炉は、このMOX燃料が使われていた。政府や東電は3号炉も水素爆発と説明していたが、その爆発力のすさまじさや直後の写真で見る黒煙の吹上げぶり、放射性物質の異様な多さから、水素爆発ではなく、「核爆発」ではないかと言われている。MOX燃料を使うと、事故が起こった時は、小規模の核爆発になるという、巨大な実証例と考えた方が良い(このことはもっと追究されるべきである)。

結局、核燃料サイクル構想はすべての面で、破綻している。そもそも青森県六か所村の再処理工場が18回も延期して稼働できないのは、天の配剤と考えた方が良いのである。

リサイクルしようと思えば、使用済み核燃料の貯蔵⇒輸送⇒再処理⇒高レベル放射性廃棄物の産出⇒プルトニウム抽出・管理⇒輸送⇒<もんじゅ>あるいは軽水炉でのMOX燃料使用⇒再処理、と全ての過程で、大事故の危険性が増加する。

事実、アメリカやドイツなどでは再処理工場での事故が起こり、コスト面での問題もあって、再処理を止めてしまった。再処理をしているのはフランスとイギリスだけであるが、フランスなど、再処理で生ずる放射性廃棄物は空中散布や海中放棄が当たり前で、6ヶ所村の設備もそうなっている。

困ったもので、再利用は止めた方が良いというのが結論であるが、では一回限りの核燃料使用である「ワンス・スルー」であれば良いかというと、これも地中埋立地がない。既存原発の「トイレなきマンション」状態は依然として変わっていないのである。

原発を再稼働すれば、各地で使用済み核燃料が生まれる。その貯蔵場所が、青森県六ヶ所村の再処理工場などを貯蔵場所として使ったとしても、あと67年で満杯となる。満杯となれば、全国すべての原発を止めざるを得ない。かといってリサイクルすれば、大事故の危険性は増すから、絶対やめた方が良い。

つまり、「原発継続」と言っている経団連や経産省も、あと67年で、すべての原発を止めざるを得ないという結論となる。それを知っているから、<もんじゅ>の再稼働に挑戦したり、福島3号炉を「水素爆発」と強弁するのだろう。

結局、こうした状況を考えると、トリウム溶融塩炉を開発稼働させるしかない。他にあったら教えてほしいが、既存原発の使用済み核燃料やプルトニウムを無害化できるのはトリウム溶融塩炉しかないというのが、私の調査結果である。


トリウム炉の世界的権威である古川和男博士のところには、ロシアが「すべての研究開発費を持つ」と言って猛烈にアプローチしている。また、アメリカもトリウム溶融塩炉を海軍の原潜に使おうと、2010年に予算付けした。中国も古川博士の本を熟読し、「トリウムで特許を取る」と息巻いている。古川博士の知識や経験を無視ないしは過少評価しているのは日本だけ、というのは、あまりにもお粗末・怠慢である。誰か、「トリウム炉をやろう」という金持ちは日本にいないのだろうか。

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原発と CO2問題

 原発とCO2問題


615日、衆院の会議室で「エネシフジャパン」の超党派の勉強会が開かれ、菅総理が出席した。すでに報道されているが、自然エネルギーの全量固定買い取り制度(FIT)の法案の陳情を受け、「(他党の議員は)そんなにこの顔を見たくなければ、この法案を通せ(ば辞めてやる)」と自虐ネタを披露していた。会場は大いに盛り上がっていたが、しかし、冷静に考えると、極めて問題のある法案である。



何故かというと、家庭だけでなく民間企業がドンドン自然エネルギーに乗り出し、それを政府が固定価格で買い取っていたら、その負担は誰がするのか?


一定の利益を乗せて国民の電気料に反映させるしかないが、それでは国民・消費者が高い電気料を払うことになり、納得しない。

結局、政府が高く買い取り、消費者には安く売る。差額は税金で負担せよという話になるが、なにも電力を安定供給するのに、政府が「固定価格で全量を買う」というリスクを冒す必要はない。


すでに受益者負担の論理で円滑に供給されているものを、原発の事故があったからと言って、ムダな税金を使う必要はないのである。「脱原発」は正しいとして、徐々に原発を減らしていく、ぐらいの時間的余裕はある。



これは発送電の分離をしても同じことで、元々、石油にしろガスにしろ、市場の取引で価格変動するのがエネルギー資源の相場である。それを自然エネルギーだけ全量を固定価格で買うというのは、無理がある。



 特に民主党・菅政権の全量固定買い取り制度は、鳩山内閣の「温室効果ガスの90年比25%削減」を達成するための手段として、大震災の311日に閣議決定された。動機が極めて不純で、地球温暖化CO2原因説がねつ造されたものであるということが、まったく考慮されていない。


これは「クライメートゲート事件」といって、099月にイギリスの気候研究所の所長などのメール1000通以上がハッキングされて明らかになった。それによれば、1960年代以降、急速に温暖化しているというデータは、英科学誌『ネイチュアー』に掲載されたものがすでにねつ造後のもので、国際機関のIPCCもそれを無批判に採用した。


現実はどうかというと、地球はこれまで何度か温暖状態と低温状態を繰り返してきたが、温暖状態になると海水に含まれていたCOが放出されて大気中のCOが増す。低温状態になると海水のCOの濃度が上がって大気中のCOが減るということを繰り返してきた。


海水温と大気中のCOの変動をグラフに表すと、両者は連動しながらも、たえず海水温の上下動が先行して変化してきた。つまり、COの増加は温暖化の結果であり、原因ではないのである(『隠される原子力 核の真実』京大助教・小出裕章著、草思社、P92~97)。


それがなぜ、CO地球温暖化の原因とされてきたかというと、原子力発電を進めたいためにCO2が温暖化の原因であると、逆転させてデータをねつ造した。CO2温暖化原因説が行き渡れば、CO2を出さない原発にシフトせざるを得なくなるという政策誘導である。



さらに問題なのは、CO2削減率が、絶えず90年比で計算されることである。91年のソ連崩壊前を基準にすれば、EUは削減義務をほとんど負わないで済む。なぜならソ連崩壊で、かっての社会主義国や途上国がたくさん独立し、それらが順次、EUに加盟してきた。したがって90年比で見れば、EU全体としての平均的なCO2排出は、何の努力をしないでも、ほとんど増えていないのである。


90年比で比較した場合、国際的な排出権取引の買い手の80%を日本が占めるというのは、そうしたカラクリがある。つまりEUはぜひとも90年比にこだわりたいわけで、それが2005年比などでは困るのである〈2005年までに旧ソ連領のほとんどの国がEUに加盟した〉。


こういうと、「では、2010年にメキシコで開かれたCOP16の会議などで、京都議定書の延長を承認しない日本に対し、途上国の政府高官たちが『化石大賞』などのレッテルを貼り、日本を批判したのは何故なのか?」という疑問が湧く。


その理由は、原発推進でもうけたい多国籍企業や国際金融グループが、途上国の高官にワイロを渡し、日本たたきを依頼しているのだと考えられる。だから大排出国のアメリカや中国が参加していない京都議定書に固執して、日本たたきをするのである。



多国籍企業は、途上国の土着の農業をやめさせ、先進国向けのコーヒーやカカオをつくらせる時にも、その国の高官などにワイロを渡して政策誘導してきた。途上国の高官=弱者の代表=善人ではないのである。



つまり地球温暖化が問題なのではない。CO2を利用して原発を進め、同時に日本たたきをして排出権取引に大金を出させるのが目的なのである。もし本当に温暖化が問題なら2大排出国である米中の参加していない京都議定書に意味はなく、彼らを交えて公平に2005年比などでやれば良いのであるである。


「そんな馬鹿な!」と思う人もいるかも知れないが、日本人が冬季オリンピックのジャンプ競技で上位を独占すると、すぐにスキーの板の長さが、「身長を基準とする」ように改められた。

典型的な「日本いじめ」で、国際業務を営む銀行の自己資本比率8%以上という規制も同様である。これも日本の銀行が自己資本比率が低いことを狙われたもので、その証拠に07年のアメリカのサブ・プライム・ローン問題の時、銀行の自己資本比率の規制はまったく役に立たなかった。


アメリカの銀行は、預金を預かって貸し付ける商業銀行ではなく、資金を集めてローンを組み、それを証券化して他者に転売するという投資銀行の手法でサブプライム・ローンを増やしていた。銀行と証券の垣根を定めたグラス・スティーガル法を廃止してまで行ったわけで、銀行の自己資本比率の規制は「日本いじめ」のためだけに利用されたことになる。



このように、国際金融などの陰謀論を書くと、ネット上での私への嫌がらせが増える。中々執拗で、多分、お金をもらってやっているのだろうが、日本人の中にもそのような者が増えてきたのは嘆かわしい限りである。



話を戻すと、菅政権は残りがわずかだとしても、「エネルギーの全量固定価格での買い取り」などを通そうと思わずに、もっと地に足をつけた政策を考えた方が良い。浜岡原発を止めたことは評価するが、その他は、あまりにも科学的・論理的に充分、煮詰められていない政策が多すぎると感じているのは私だけではないだろう。


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