決断し出した菅総理
菅総理は、焦点となっていた法人税の引き下げで、国と地方を合わせた実効税率を5%引き下げることを指示した。企業の税負担を減らして「成長と雇用拡大とデフレ脱却」につなげようとの思惑である。
法人税を下げたからといって、投資や雇用が増えるわけではない。投資や給料の支払いは費用に落ちるので、それらを控除した後の金額に法人税がかかるからである。
また、デフレはグローバリズム=新自由主義と変動相場制による円高傾向、並びに100円ショップ・デフレが真の原因である。だから、法人税を安くすることと、成長や雇用を拡大し、デフレを脱却することは全く関係がない。
とは言っても日本の税率は高い。海外では他国から企業を呼び込むためにシンガポールにしろ、香港にしろ税率の引き下げ競争をしている。困ったものであるが、日本もある程度の配慮をしなければならないというのは事実である。
ただ、日本の場合、巨額の赤字国債を発行している。それを考えれば減税するにも、きちんと財源の手当てをして、後世にツケを残さないことが重要である。
消費税の輸出免税制度を廃止する、あるいは半減させるなどすれば、すぐに1~2兆円の税収が上がるし、受取配当金の益金不算入の制度を廃止しても、相当の税収となる。そうした対策を取らないでの減税は、財源不足に陥るだけである。収支均衡を考えない菅総理は、その点で失格である。
ただ、最近の菅総理を見ていると、わずかではあるが、変化の兆しが見られる。それは法人税減税にしろ、小沢氏招致問題にしろ、自らの言葉で明確に語り出した点である。これまでは重要な決断を仙石氏にほぼ丸投げしていた。本人も「仮免許だった」というように、丸投げ総理、真空総理であったことを自覚し出したのだろう。結果の良し悪しは別にして、総理が自ら判断せず、丸投げを続けていれば、評価が落ちるのは当然である。
擁護するわけではないが、菅総理が退任すると、ちょっと後任が見当たらない。前原氏では「対米従属のスーパー新自由主義」であるし、岡田氏では頑迷固郎居士に近く、難局での政治解決は無理である。もちろん、小沢氏の再登場では国民的反発はまだまだ強く、当面は内閣改造で派閥優遇を求めるのが精一杯であろう。
自民党も含めて、どの勢力も決め手に欠く「ナギ状態」が続きそうである。
それ以上に重要なことは、民主党と自民党とで政策の違いが、ごくわずかになってきた。子供手当と農家の所得保障が違うくらいで、対米従属・大企業優位・消費税増税・関税ゼロの自由貿易協定参加検討と、大きな方向はほとんど変わらなくなっている。
小選挙区制をとっていることと、統一地方選が迫っているために、ポーズとして対立的な姿勢を取っているが、いつ大連立があってもおかしくはない、方向性の一致ぶりである。
菅総理が折々で決断力を示せば、支持率は30%くらいまでは上向く可能性もあり、何でもありの予測困難な政治状況が続くことになる。
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菅総理は仙石切りを!半島情勢
11月26日夜、仙石官房長官と馬淵国土交通大臣の問責決議案が参議院本会議で可決された。法的拘束力はないものの、自民党は2閣僚が辞任しなければ審議に応じないと言っている。
仙石氏らを更迭しなければ年明けから開かれる通常国会の予算審議が進まないのは確実であり、その時には菅総理に、仙石氏を切ることをお勧めしたい。
菅内閣の最大の失点は、尖閣諸島での中国漁船の体当たり事件に始まっているが、最初に体当たりのビデオを公開していれば、状況は一変していたはずである。報道によれば、菅氏の奥さんとの会話ではビデオの公開を考えていたが、仙石氏の「刑事訴訟法に触れる」という主張で、非公開にしたということである。
その程度の法律知識に論破されるというのも困ったものであるが、それはさておき、菅氏がダメだと民主党には他に人材がいない、前原氏では関税ゼロのTPPに大賛成の「スーパー新自由主義」だから、円高デフレと
100円ショップ・デフレがさらに進む。TPPに参加して輸出が増えれば円高となるためで、産業はさらに空洞化し、メキシコなどの低賃労働者と賃下げ競争をするために、ワーキング・プアと若年貧困層が一層増えるだけなのである。
では総選挙をやって自民党が勝利すればどうかというと、また官僚天国・対米従属・業界利益誘導の政治に戻るだけである。最近の自民党を見ると、与党の失言や対応を批判することに熱心であるが、建設的な政策論は全くない。小選挙区制で、対立的な行動をとらざるを得ないと言っても国政の一翼を担っているという意識が低すぎる。これではもう少し野党をやってもらうしかないであろう。
そもそも仙石氏の問責決議案が可決された理由について、「自衛隊は暴力装置」と左翼用語を使ったから、と説明されているが、それは表の理由である。
裏の理由は公明党が賛成したからで、仙石氏は公明党と対立関係にある矢野絢也元公明党委員長の息子を秘書とし、さらに矢野氏を秋の叙勲で顕彰した。これは公明党からは明白な敵対行為で、あまりにも稚拙な政治判断であった。
つまり仙石氏は中国漁船への対応で根本的に誤り、連立相手と想定した公明党対策ではみずから墓穴を掘ったのである。
仙石氏を切ることは小沢一郎氏との復縁を意味する。おそらく菅氏が延命するには、その選択しか残されていないように感じるが如何であろうか?
ところで半島情勢が緊迫している。23日に北朝鮮が韓国の住宅地を砲撃し、大騒ぎとなっているが、その1時間前に、韓国は軍事演習の一環として、北朝鮮の領海に向けて砲撃を行ったことを認めている。
また11月28日から4日間の予定で米韓の海洋軍事演習が行われているが、田中さかい氏のメルマガによれば、この演習はずっと前から決まっていたものだという。
本当は23日の韓国による単独砲撃も、当初は米軍も参加の予定であったが直前に取りやめたそうで、米国の相当の作為を感じざるを得ない。
つまり、米軍は空母ジョージワシントンを韓国・北朝鮮沖の黄海に入れて中国などを牽制するために、韓国に単独で北朝鮮向けに砲撃させ、北朝鮮を挑発した可能性が高い。先の3月26日の韓国哨戒艇の沈没も、北朝鮮ではなく米潜水艦との同士討ちという指摘もあり、そのような推定が成り立つのである。
アメリカは財政難で軍事予算が削減される方向である。米軍や軍需産業からすれば、世界のあちこちで小衝突が起き、米軍の出番が増えれば予算を削られずに済む。
さらには日本などに米軍駐留経費の負担増を求めることもできる。合わせて中国への牽制もできれば覇権争いで優位を保つことができる。
民主党も自民党も対米従属一辺倒ではなく、こうした情報分析を多面的にして国益を考えて行動しないと、沖縄の基地は固定化されるわ、お金はけむしり取られるわで、ノー天気な日本となるだけだから注意していただきたいものである。
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国家主権放棄の菅政権
国家主権放棄の菅政権
最近の菅政権を見ていると、尖閣諸島沖での中国漁船の事件処理を発端に、すでに末期症状を呈してきている。その原因は政治主導という名の「市民外交、素人外交」のツケが出ていることであるが、もっと掘り下げると「国家主権をどう捉えるか」ということと、「戦後憲法」をどう捉えるかという問題が絡んでくる。
何故かというと、中国漁船の日本領海域での体当たりは、明らかに日本の国家主権への挑戦である。これに対して、中国も1972年の日中友好条約の時から「(近くに海底油田が発見されたので)結論は次の世代へ」と、暗に自国にも権利があるかのように主張していた、そのことに配慮すべしという意見がある。
しかし、歴史を見れば日本領であることは明らかである。過去に自民党政権下であいまいにしてきたのは、日中友好を優先したからで、所有権でもめた時は、どこまで突っ張るかは別として、明確に権利を主張するのが主権国家の当然の行為である。
北方領土問題も、民主党の「友愛外交」や「東アジア共同体構想」といった、甘ちゃん外交が狙われた点はあるが、自民党時代から「2島か4島か」で解決困難に陥っていたのだから、民主党だけの問題ではない。
北方領土は複雑な経緯が絡むから、またの機会として、尖閣諸島は国家主権の問題が絡み、今後の同様事例でどう対処するのか、研究しておくべき課題である。なぜなら戦後の体制は「武力による威嚇又は武力の行使は国際紛争を解決する手段としては永久にこれを放棄する」と憲法9条にあり、国家主権を一部放棄したところから始まっているからである。
この対象は自衛隊だけでなく海上保安庁も同じはずで、文面通り読めば、中国船が今回の体当たり以上の行動をとってきた場合でも、日本側が「武力で対応するのは憲法違反」ということになる。
別に武力行使を奨励するわけではないが、中国のやり方を見ると、将来、尖閣諸島の領有権を主張しての軍事行動が予想されるし、東シナ海のガス田採掘も軍事力を背景に単独で強行する可能性が高い。その場合、日本はどう対応するのかをシュミレーションしておいた方が良いことは間違いがない。
もう一つ、国家主権が問われているのが、TPP(環太平洋パートナーシップ協定)やAPECにおける自由貿易協定の参加の検討と推進である。これも関税をゼロにすることによって国家の壁を無くするのだから、明らかに国家主権の放棄である。ちなみにWTO(世界貿易機構)は関税だけでなく非関税障壁の撤廃の方針を掲げており、理想は世界統一政府か大陸ごとの統一政府、という構想を背景に持っている。
そもそも国家とは「国の家」と書く。その民族・国民が暮らす大きな家が国家である。家には柱があり、壁があって雨露をしのげるが、関税ゼロで国家の壁を取り外すと雨風さえしのげない。
それだけでなく、戦後の日本は敗戦によるGHQ支配の下、民主主義が定着し、国の柱が無くなった。武士道精神は学校で教えられなくなったし、農耕文化に端を発する日本文化は農業や自然の減少とともに揺らぎ、家族を支えた価値観なども揺らいでいる。
柱は官僚制と国民主権だが、官僚は「官僚天国」が暴露されたし、「主権者様」とまつられた国民はビジネスや遊び、日常茶飯の井戸端会議に忙しい。もちろん政治家諸兄も大半は世論重視、選挙中心の発想で、国を支える気概と大局観には疑問符がつく。
結果として国を支える柱はなく、関税ゼロで壁までなくすのだから、いずれ日本人は、「家無き子」、ホームレスとなって流浪の民となるしかなくなるのである。
困ったものであるが、一度は経験しなければわからないとして、もう「政治主導という名の議員主導」のお粗末さは分かったから、野党も救国内閣に協力して、日本再建のため頑張ってほしいものである。
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自由貿易協定は日本を破壊する
自由貿易協定は日本を破壊する
菅内閣が、関税の完全撤廃を目指す「環太平洋パートナーシップ協定(TPP)」への参加に前向きである。
TPPは06年にシンガポール、ニュージーランド、チリなどから始まった。アメリカも09年に参加表明したために、日本も参加を検討する事態となっている。
内閣府の試算では、TPPへの参加で域内の関税が撤廃され、日本の輸出が増えてGDPが3兆円前後増える。さらにTPP参加をきっかけにEUや中国との貿易・投資自由化も加速するので、GDPの押し上げ効果は7兆円前後に達するとしている。
しかし、この議論で無視されているのは、TPP参加で日本の農業が自給率14%となって壊滅するだけではない。
そんなに輸出が増えれば、貿易黒字の増加でさらに円高になることである。その分、輸出企業は打撃を受けて、将来的には円高に耐えきれず、輸出先に生産拠点を移すことになる。それなら初めから生産拠点を海外に移して現地生産すれば良いわけで、関税を気にする必要など全くないのである。
そういう意味で、TPPという自由貿易協定を進めたい財界も政府も、輸出増加による円高を全く考慮しないのは問題である。
TTPに限らず、関税撤廃の自由貿易協定はグローバリズム=新自由主義の最たるものである。それは小泉・竹中政権以来、顕著に見られた、円高デフレ、ワーキング・プアや失業、自殺者の増加を促進するものである。
なぜなら、新自由主義的政策により、域内のベトナムやペルーなどの低賃金国の労働者と、我が国の若者やパート労働者との賃金を競わせるからである。今でさえ、年収200万円以下の人口が1000万人になっているのに、それをさらに増やすのが自由貿易協定である。
自由貿易協定は、大企業にとっては良いが国内的には貧困層が増え、円高となって苦しむだけだから、止めた方が良いのである。
それにしても、このTPPにつき前原外相は、「国を開くことを本気で考えないと、日本の競争力は低下してしまう」と語っている。なんという近視眼、何という学習能力の無さかと呆れてしまうが、仙石・前原路線が民主党の主流派だから、どうしようもない。
国の役割は国民生活を守ることであり、そのためには雇用と食料安保、治安の維持が最優先事項である。関税撤廃は、その第1、第2の役割を放棄するものである。
農産物について「地産地消」が言われている。これはエネルギー使用や化石燃料の抑制、鮮度の維持などの観点から、農産物について、生産される地で消費することが最も合理性があるという考えである。
似たような観点から工業製品についても、消費される地で生産する地産地消が理想である。その方が省エネルギーで、現地での雇用に役立ち、途上国の自立と南北格差の縮少に役立つことになる。
先進国だけでなく、全人類が工業技術発展の恩恵を受けるわけで、自由貿易協定ではなく、工業製品の地産地消を進めるべきと考える。そうすれば関税ゼロで安心して生産活動を営めるし、日本が「失業の輸出をする」という批判も受けないで済むのである。
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4つのデフレと、健全な保護主義
4つのデフレと、健全な保護主義
円高が止まらない。10月14日の欧州外為市場では、1ドル80円台となり、15年半ぶりに79円台の史上最高値に迫りそうな勢いである。アジア通貨も軒並み高くなっており、円高というよりはドルの全面安というべき現象である。
この背景にはアメリカ・FRBが景気回復のため、11月にはさらなる金融緩和に動くとの予測がある。それほどアメリカの景気低迷がひどいわけだが、自国の通貨安になることが輸出競争力を増すため、どこの国も途上国の市場で優位を占めようと、自国の通貨安のための政策に余念がない。日本でも、産業界が日銀に「金融緩和とドル買いを!」と訴えて、通貨安競争に負けないよう要望している。
いよいよグローバリズムも「何でもあり」の末期的症状を呈しているが、この円高は、日本にさらなる「円高デフレ」をもたらす。円高デフレとは、あまり聞かない言葉かも知れないが、これを機会に、今一度、デフレ問題を整理しておきたい。企業エコノミストや学者、官僚、政治家を含めて、原因もわからずに大局観のない対策を訴えている。
デフレとは物価が持続的に下落していく現象であるが、その原因は一つではなく、およそ4つに分けられる。
その第一は需要不足型のデフレ。これは供給に対して需要が少ないために、物が余って値段が下がる古典的なデフレで、換言すれば供給過剰型のデフレである。また、リーマン・ショック後のアメリカなど典型例であるが、輸出相手国の都合によって輸出の需要が大幅に減る場合も、広く言えば需給ギャップでのデフレである。
デフレが生ずると、何でもこのタイプにデフレだとして、政府に財政出動を求める評論家が多い。しかし、途上国で成長が多く見込める国はともかく、成熟した国においては必要なモノはほとんど各家庭に揃っている。それを無視して過剰生産をして需給ギャップが生じている場合が多いので、原則は自己責任である。それを前提に、過剰在庫を整理するまでの金融支援が有効である。
次には通貨不足型のデフレ。これはモノの取引に対して使えるお金が少ないために通貨の価値が上がり、物価が下がってデフレになる。この対策としては通常取引が円滑に行くように通貨供給量を増やすことであるが、近年は中央銀行による通貨管理が発達しており、このタイプのデフレはほとんど起きない状況である。
第3には円高デフレ。これは90年代以降、特に顕著になっているが、円高になることによって輸入製品や輸入材料の値段が下がる。当然、それと競争する国内産品も値段を下げざるを得ない。
また円高になれば、輸出は海外での値段を上げざるを得ず、価格競争力が落ちて売上ダウンとなる。売上がダウンすれば従業員の給料引下げ、下請けへの仕事減少で値段の低い方へ動くので不景気となり、デフレ傾向となる。
最後に「100円ショップ型デフレ」。これはグローバリズム・新自由主義によって生じるが、日本の企業が海外に移転するだけでなく、日本で消費される物を、意図的に最も人件費の安い中国、ベトナム、インドなどの発展途上国でつくる。
100円ショップに限らず、ユニクロ、青山などもそうであるが、日本企業が日本人に合ったモノを現地人に徹底して教えてつくるので、ごく特殊なものを除き、良い製品が相当に安い値段でつくられ、日本に輸入される。
そうすると、国産品では人件費・家賃の安さに太刀打ちできないので、企業縮小・倒産に追い込まれ、労働者は給料引下げか失業となる。この流れは全体の購買力の低下となるので輸入品と競合しない分野にもデフレは及ぶ。結果として単純労働や若者達の賃金は優先的に引き下げられ、雇用は縮小され、デフレとなる。
この100円ショップ型デフレに円高デフレが加わったのが、ここ20年近く続いているデフレである。いわゆる「日本の失われた10年」であるが、リーマン・ショック以降、この傾向はさらに顕著になっている。さらに言うと、この複合タイプのデフレは、変動相場制をとり、関税障壁を低くしてグローバリズム=新自由主義の政策を進めると、世界中に広まることになる。
なぜなら、このデフレの下限は、世界の最貧国の賃金との競争になるからである。中国・ベトナム・インド・バングラディッシュなど、世界に貧困国の人口は何十億人もいる。大企業は安い賃金と勤勉な国民性を求めてドンドン移動するので、いつまでも先進国の単純労働の賃金が上がることはない。結果、国内的にはフリーターや派遣社員など、正社員となれない低所得者層、貧困層が溢れ、貧富の差が拡大して若者に夢の無い、自殺者の多い社会となる。グローバリズム・新自由主義の明らかな弊害で、このままグローバリズムを続けるのか否かが問われるところである。
この解決策は、少しの円安誘導では「焼石に水」である。1日に約340兆円も通貨取引のある為替市場に単独でドル買い介入しても愚の骨頂である。関税をかける、あるいは輸入制限をすることが有効であるが、これには「保護主義だ」と言って、新自由主義者・グローバリスト・WTOが反対する。しかし、国家が自国民の雇用や食糧確保を考えて保護主義に走るのは当然の行動と考える。
保護主義を悪だとする論者は、第二次世界大戦の原因が、世界に保護主義が広まったことにあると指摘する。しかし、それは誤りで、現実には、1929年の世界恐慌のあと、イギリスがオタワで会議を開き、植民地との間で特恵制度による強力なブロック経済圏をつくって他国を排斥した。他の欧米諸国も対抗措置として、それぞれ植民地を中心に排他的なブロック経済圏をつくり上げた。そこから締め出された日本、ドイツ、イタリアが新たな経済圏をつくるべく「3国軍事同盟」に走り、第2次大戦にもつながっていった。だから悪かったのは「排他的なブロック経済」であって、保護主義ではない。
また、保護主義を「自分だけよければ病だ」と非難する人がいるが、これも間違いである。貿易の基本は自国の不足分を他国から輸入し、自国の余剰分を他国に輸出することである。だから同じようなものを同じような値段でつくっている国同士は貿易関係は発生しない。
2国間でも多国間でも互いに無いものを補い合う、国家の自立をおびやかさない補完関係が貿易の基本である。換言すれば、互いに自国の雇用と食料安保などを考えながら貿易をすることが大切で、これこそ「健全な保護主義」である。
それによって互いの貿易額が減ったからといって、困るのは海運会社と貿易商社、銀行で、国民経済としては、かえって健全さを増す。何故なら保護主義により自国民の雇用が確保され、賃金が払われ、内需が維持されるからである。
つまり、必要なのは失業を輸出せず、自国の雇用と安全保障を考えた「健全な保護主義」であって、グローバリズム=新自由主義ではないのである。
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民主党は外交が弱い
民主党は外交オンチ
沖縄県・尖閣諸島沖で起きた日本の巡視船と中国漁船の衝突事件で、日本は拘留していた中国人船長を突然、釈放した。何の前触れもなく、びっくりすると同時に菅・仙石政権の大きな弱点が露呈した感がある。この問題は尾を引くと思えるので、今後の課題を含めて分析したい。
⑴ まず、事件が起こったのは9月7日、民主党が代表選をやっている真最中であった。代表選は9月1日告示、14日投開票であったから、円高と同じく、代表選の真最中に大きな事件が起こったわけである。
円高の方は代表選が終わった直後に、1ドル83円を切ったところで為替介入し、今は85円前後であるから、何とかギリギリ、政権として役目は果たしたと言える。
しかし、漁船衝突事件については、発生後、2週間以上立つのに、日本側は中国に対し、何の積極的な対応をしなかった。代表選一色になった民主党の第1の誤りである。
⑵日本側の言い分は、「尖閣は我が国固有の領土。ゆえに領土問題は存在せず、国内法にのっとって冷静に対応していく」との考え。また、漁船の船長逮捕についても、「停船命令を何度も無視し、漁船の方からぶつかってきた。そのビデオもある」。
一方、中国側は、「尖閣は歴史的、地理的にも中国の領土」、「今回の事件は漁船が正常操業中、巡視船がぶつかってきた」とし、船長の無条件即時釈放を要求していた。
この対応であきれるのは、中国側が「衝突のビデオがあるなら、すべて見せてほしい」と言っているのに、日本側・仙石官房長官は「ビデオの公開は困難だ」と軽く却下し、「早急にハイレベルの話し合いをもった方が良い」と言っていたことである。
これは二重の意味で間違っている。なぜならビデオの公開を困難とするのは、国内事件の訴訟を念頭に置いた考えである。たしかに国内の裁判では重要な証拠物件を事前に見せることはしない。裁判官の前で初めて見せてこそ決定力があるからである。
しかし、事は外交問題である。国内の刑事事件と同じ考えで対処しようというのは弁護士的発想で、政治家としての状況判断が全くできていない。仙石氏は本件が、単純な国内の刑事事件ではなく、外交問題であるとの認識を持つべきであった。
この点で思い当たるのは、現在の政権を称して「弁理士・弁護士政権」と称する評論家がいた。だが、「市民運動家と弁護士政権」と言うべきであろう。いずれにしろ、そのうち「弁護士政権」の悪い部分が出た。弁護士は国内裁判の延長で考えやすいが、外交や政治には法律や訴訟とは別の、大局観・状況判断が重要となる。
また、最初からハイレベルの協議もするべきではない。話し合いが失敗すれば、その後に交渉できる人物がいないから、まずは中国大使が赴いてビデオを見せ、こちらの主張を冷静に伝えることが必要であった。第2、第3の誤りである。
⑶さらに、今の中国大使は6月に任命された前伊藤忠商事相談役の丹羽宇一郎氏、71歳である。通常は主要国であるから、外務省の幹部経験者がなるのが普通である。特に共産党体制や歴史問題を考えれば、堅実な人事が求められた。
民主党が民間人を登用した理由は、明らかに「脱官僚」を意識したパフォーマンスである。つまり人事で「政治主導」を示したかった訳だが、早速、そのツケが出てきたことになる。中国は、当初、アジア外交経験者を望んでいたが、民間大使の就任に首をかしげていたという。
ここに「市民派政権」の危うさがある。市民派政権は「脱官僚で民間から選ぶ」ことにこだわるが、国家の運営とくに外交では、能力不足・経験不足・交渉力不足を露呈し、相手とまともな交渉ができない。丹羽氏はビジネス界の出身であるが、一般に市民派は環境問題や貧困問題への取り組みといった人道面には強いが、国益をかけての外交交渉は無理で、第4の誤りである。
今回、希望してなった前原外相は「国内問題に準じて冷静に対処する」と言ったきり、何もしていない。せいぜいアメリカへ行って「尖閣は日米安保の対象」という言葉をクリントン国務長官から引き出したくらいである。
アメリカはかって尖閣諸島を支配下に治め、沖縄返還と同時に日本へ返したのだから、尖閣を日本の領土とするのは当然である。だが、日米安保の対象と認めたからといってアメリカはアフガンや国内景気の悪化、中国・元の切り上げや台湾への武器売却問題を抱えており、この問題で動くことはなかった。「日中でよく話し合ってほしい」というのが本音である。
前原氏は、民主党の中では次期総理をねらう可能性が高いが、希望してなった割には仙石氏らと認識も行動も変わらなかった。対中強行路線をとる時は威勢が良いが、複雑な問題は対応困難のようである。
日中関係に長く携わってきた外務省OBによれば、「中国は尖閣を自国領土とするよう国内法を整備したので、日本が国内法適用を主張すれば正面衝突は避けられない」と言っていた。今後、本件はすでに領土問題であるとの認識で対処すべきと考える。
韓国が竹島を実効支配しているように、日本も尖閣沖で日米の合同演習をする、米軍と自衛隊の共同・臨時基地をつくるなど、アメリカを巻き込んで実行支配の形にしないと、中国のやりたい放題が続く。
それが軍事衝突に至らないよう配慮しながら、アメリカを引き込むことがポイントで、一杯、お金を払って日米安保を維持しているのは、こういう時のためだと認識する必要がある。
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円高は、今後も続く
9月15日、政府・日銀は2004年以来の為替介入を行った。アメリカのドル安政策、ユーロ安のあおりを受けて独歩高となっていた円につき、6年半ぶりとなる介入である。
この為替と経常収支の動きを見ていると、日本の経済・雇用の先行きにつき、相当に暗くなる。何故かというと、経常収支の黒字体質が日本企業には沁みついており、今後、相当に円高が進むのではないかと思われるからである。
経常収支を理解するために、用語の意義と最近の傾向を確認すると、その国の通貨の価値を決めるのは経常収支である。経常収支は貿易収支、旅行などのサービス収支、外国から得た投資収益と外国へ支払ったものとの差額である所得収支に分けられる。
これらのうち、モノの取引である貿易収支を取り上げてみると、2007年夏のサブプライム・ローン問題発覚後、黒字は相当に減り、08年のリーマン・ショックによって貿易収支はほぼ均衡するほどの数値にまで下がっている。これはその時々で著しく円高に振れ、合わせてアメリカへの輸出数量が大幅に減ったことが原因である。
問題は投資収益で、リーマン・ショック以降、貿易収支がほぼ均衡し出しているのに、所得収支が一貫してプラスとなっており、これが経常収支の黒字を押し上げている。所得収支はすでに毎月7000億から1兆円のプラスであり、年間では約10兆円のプラスが生じている(下記サイト参照)。
http://www5.cao.go.jp/j-j/wp/wp-je09/pdf/09p01022.pdf
日本の貿易収支は、この30年間で赤字は08年の一回のみであった。つまり、その蓄積された貿易黒字の大半は外貨預金や海外への投資となって収益を生み、今度はその投資収益の黒字が円の価値を大幅に押し上げる要因となっている。
モノに限った貿易収支は、輸出が減り、輸入が増えればすぐに収支均衡する。ところが所得収支は長年の投資の蓄積の結果であるから、おそらく今後、半永久的にプラスとなる。
それは今後も絶対的な円高要因を抱え、日本の雇用を圧迫し続ける。なぜなら円高が止まるためには経常収支が均衡しなければならないが、そのためには、投資収益がプラスの分、絶えず輸入超過とならなければならない。
つまり今後、貿易収支は、絶えず年間7~10兆円近くの輸入超過を強いられるわけで、その分、日本での消費が日本人の雇用ではなく、外国の産品=外国人の雇用のために費やされることを意味するからである。
菅総理は「一に雇用、二に雇用、三に雇用」と言って、その具体策として医療や介護サービ分野を挙げた。だが、それらに新たな雇用吸収力はほとんどない。
ではどうするかというと、短期的には輸出、長期的には省エネ・クリーンエネルギー製品と農業しかないのだが、一方で投資収益の超過のため、絶えず輸入超過を強いられる。これによる円高を避けるには企業が海外に出ていくしかないという困難な道を歩んでいる。
それを考えると日本の企業は国内の雇用を確保するために、海外で稼いだ投資収益は海外に再投資し、日本に持ちこまないことを選択すべきかも知れない。
投資収益を日本に持ち込もうとすれば、ドル売り・円買いとなって円高要因となる。海外に再投資すれば円高を避けられるだけでなく、希少資源の確保や途上国のインフラ整備、工場設置などで投資国の雇用改善や貧困の解消に役立つことができる。
進出国から歓迎され、感謝される投資で、日本の評価は格段に高まるから、平和外交の手段としても、日本の雇用維持のためにも、投資収益を国内に持ち込まないことは、1石3丁の効果があると考える。
合わせて、もはや変動相場制の為替システムは変更すべき時期に来ていると言っておきたい。サブプライム問題やリーマン・ショック、アメリカのドル安政策など、絶えず海外の要因で自国の財政・金融政策を再考しなくてはいけないというのは、自立した国家のとるシステムとしては不適切である。政治も経済のシステムも再構築が迫られており、知恵・アイディアが求められる時代である。
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民主党・代表選後の党内融和策
民主党の2大巨頭による代表選が佳境に入っている。選挙前には「トロイカ体制」などの声もあったが、選挙戦が始まると、菅首相は相当辛辣な批判を浴びせ、一方の小沢氏は政策の違いを強調しと、中々面白くなってきたというのが個人的感想である。
今回の選挙戦は、小沢氏にとっては「出るも地獄、出ないも地獄」であったが、出馬によって今度は「勝っても地獄、負けても地獄」の状況になりかねない。
勝てば小沢総理誕生ということで、某週刊誌・月刊誌や複数の大手マスコミは徹底して「小沢叩き」をする。彼らは明らかにどこかからお金(広告費名目)が出ている、と思わせるほど、小沢叩き・民主党叩きに狂騒する。
小沢総理が誕生しても、彼と連立を期待される公明党は「政治と金」を参院選の争点にしてきたし、自民党は小沢氏への警戒心が強く、容易には組めない。そのため早期解散を迫られるが、それでは1年生議員の「小沢チルドレン」がボロ負けするから解散もしづらい。相当に難しい状況で、小沢氏は、追い込まれての辞任よりは「俺でいいのか解散」を選ぶ可能性が高くなる。
一方、負ければ「小沢神話」は崩れる。同時に彼が代表・幹事長であった期間の政党交付金の使い方(H19から21年に山岡賢次氏と佐藤氏の両名に36億円を支出=サンデー毎日などより)を徹底して追及される。検察審査会の判断もあり、結局、「勝っても地獄、負けても地獄」となり兼ねない。
これでは分裂含みとなり、民主党政権が早くも終わってしまう。その結果、自民党中心の政権となり、また官僚天国・対米従属・大企業優位・利益誘導型の政治に戻るのかと思うと、それも楽しくない。
そこで小沢氏が負けた場合の提案だが、あまり過去の罪状を追うことをせず、彼をぜひ外務大臣の職につけてほしい。外務大臣であれば、形式上の副総理格であり、重要ポストで処遇して挙党体制を整えたことになる。
問題はなぜ外務大臣かであるが、沖縄・普天間問題を現状から少しでも沖縄県民の意向に沿った形でアメリカと再交渉できるとしたら、小沢氏しかいないだろう。小沢氏はこれまでも「辺野古の海を汚してはいけない」とか、「海兵隊はグアムにいなくとも日本の防衛には影響ない。日本の駐留軍は第7艦隊だけで充分」などと話していた。本来なら鳩山内閣の時に為すべきことであったが、今回の代表選の争点になっていることもあり、適任である。
アメリカは小沢氏が相手であれば相当の警戒心を持って望むだろうが、その分、妥協の余地が生まれてくる。
ちなみに米英両国が小沢氏を嫌悪するのは、彼以外の政治家はもう自民も民主もみんなの党も対米従属路線だが、彼が出てくるとそうはならないからである。日本が対米従属・安保崇拝でなければアメリカの軍事産業が維持できない。小沢氏さえつぶしてしまえば、50年は安泰という考えが彼らにはある。
次に防衛大臣には小沢氏支持を明確にする川内博史氏が適任である。彼は鳩山内閣の時から一貫して普天間基地の国外移転を訴えただけでなく、中心となって連立与党で180名以上の議員の嘆願署名を集めた。逆に言えば依然として民主党内にも普天間基地の国外・県外移設を望む議員は数多く、小沢氏・川内氏はその代表格と思われる。
日本の外務・防衛大臣とアメリカの国務長官・国防長官の4閣僚は日米安保協議委員会(2プラス2)で定期的な会合をもっており、そこで辺野古沖移転の具体的スケジュールも詰められる。小沢氏・川内氏のコンビなら少しでも沖縄県民の意向を踏まえた解決に導いてくれるのではなかろうか。
他を見渡しても、民主党の議員には外相をこなせる人材がいない。前原氏では自民党以上のタカ派で中国などから反発される。その点、小沢氏なら中国との関係が良いだけでなく、ロシアについても鈴木宗雄氏や佐藤優氏などと連携して、北方領土問題を進展させる可能性がある。
また北朝鮮との交渉も、彼は「いつまでも拉致問題ばかり言っていても」と発言したことがある。膠着状態を打開する前向きな交渉が期待できるかも知れない。
これまでのところ、誕生するのが菅内閣にしろ小沢内閣にしろ、外交責任者として鳩山氏の名前が挙がっている。だが、彼は幹事長とか官房長官向きではあろうが、外交には全くと言ってよいほど不向きである。
彼のように重要発言をコロコロと変え、何の交渉戦略ももたず、友愛を語りながら国際的バラマキに奔走する人物は、著しく国益を害する。
本人が「英語が話せ、外交は好きだ」ということと「適材」であるかは全く別である。データねつ造の発覚した地球温暖化対策にしろ多額のアフガン支援にしろ、国際的バラマキのツケは国民が支払う。国内でも国外でも「思考停止のバラマキに熱心」というのでは、日本の財政はもたないのである。
それだけではない。今回の騒動の元凶は鳩山氏にある。彼が軽井沢の別荘に小沢氏を招き、これが小沢支持派の決起集会になってしまった。その後も「菅氏を支持」と言っていたのが、突然、「総理にしてもらった大義がある」と寝返って小沢氏の判断にお墨付きを与えた。これらの事実を追うと、彼こそは民主党の混迷の元と言って良い存在なのである。
ついでに民主党に言わせてもらうと、代表選の規約を変えていただきたい。
菅総理がわずか3カ月で交代となる可能性があるのは、別に小沢氏が悪いわけではない。民主党の代表選挙が「任期2年。途中辞任の場合、後任者の任期は前任者の残りの期間とする」となっているためである。
H.Pを読むと、サポーターや党員を含めた正規の代表選を2年ごととしているためのようであるが、「途中辞任の場合、後任者の任期は、就任1年経過後の初めての9月・・・」などとすれば済むことである。
野党時代には気にならなかった規約も、そのために政治空白をつくり、対外的にも「トップがコロコロ変わる日本」などと揶揄されるのは、国民として気持ちの良いものではない。こんなことを続けていては「民主党に政権担当能力はない」と烙印を押されるだけである。どちらが勝っても、そのことだけは全党一致で改正していただきたいものである。
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民主党・地域主権の危険性
民主党・地域主権の危険性
9月14日の代表選を控え,菅首相が新人議員と懇談会を重ねている。小沢氏の勉強会が開かれるのを知って、同じ日程にぶつけた形であり、中々刺激的である。その中で気になる発言があったので取り上げたい。
それは懇談会の2日目・24日に「地域主権を1丁目1番地でやりたい。鳩山前首相から引き継いだバトンの大きなものが地域主権だと思っている」と菅総理が述べたことである。
民主党の地域主権を知るには「補完性の原則」について述べなければならない。補完性の原則とは、自治体行政について語られる言葉で、民主党が「地域主権改革」の中で採用している。これは、住民に身近な行政はできる限り住民に近い自治体にゆだねることを基本とするもので、道州制にも通じる考えである。
それによれば、基礎自治体が広く事務事業を担い、基礎自治体が担えない事務事業は広域自治体が担う。広域自治体が担えない事務事業を国が担うことにより、地方自治体の自由度を拡大し、自主性及び自立性を高めていく。
特に住民により身近な基礎自治体を重視し、これを地域における行政の中心的な役割を担うものと位置付ける。この観点から「基礎自治体を300近くに減らし、幅広く事務事業を担えるようにする」(民主党マニュフエスト「新たなる国のかたち」より)という考えも出てくる。
この「補完性の原則」は一見、良さそうな気もするが、相当の危険性をはらんでいる。なぜなら、この原則にもとづいて改革を進めれば、道州制と同じ様な問題が発生してくるからである。それは、
◎自治体間の企業誘致合戦や住民サービス合戦、観光客誘致合戦で「勝ち組と負け組」が出てくる。負け組の町の行政サービスや医療・介護・福祉は劣悪なものとなる。
◎投資や経営に失敗して夕張市のように倒産する自治体が出てくるが、国は助けない。
◎全国で300の市にまとめるよう、市町村合併を無理に進めるため、地方に息づく日本的な村落共同体や地域文化を急激に破壊する。
合併の問題点は、総務省が1999年に3232あった市町村を1723にまで減らした際にも明らかになった。合併により、職員数削減による効率化はあったが、逆に合併特例債の「ばらまき」で財政がさらに悪化したり、公共サービスの低下が指摘された。「住民検診の実施個所が統合されて不便になった」、「道路の整備が遅れるようになった」、「役場や職員の注文が無くなり、売上が減った」、「町名が変わり、なじみの無いものになった」などの弊害が寄せられている。
それを受けて総務省は、人口5~10万人程度の「中心市」と周辺自治体が連携する「定住自立圏構想」を進めれば、合併せずとも市町村の体力を高められることから、合併打ち止めとしている。
民主党の地域主権は、総務省が打ち止めにした合併による弊害を無視したものでもある。
◎全国を300の市に統合することで、人口30~40万人の似たような規模の市をアチコチに作るため、画一的な街ばかりできる―などの問題がある。
さらに問題なのは、民主党は「補完性の原則⇒地域主権」を教育に適用し、次のような改革を打ち出している(『民主党が約束する99の政策で日本はどう変わるか?』神保哲生著、ダイヤモンド社より)。
●学校教育に対する文科省の権限をすべて取り上げる、つまり廃止する。代わりに「中央教育委員会」をつくり、教育予算の確保と法整備、教科書検定、学習指導要領の大枠を定めるだけに留める。他の業務はすべて地方に移管し、教科書採択は段階を追って学校ごとに任せる。
●文科省と学校をつなぐ教育委員会はすべて廃止する。代わって保護者、地域住民、学校関係者、教育専門家などによる「学校理事会」をつくり、そこが学校の運営方針、カリキュラム、教科書採択や教職員の任免、人事異動などの権限を持つ。
―などの内容で、恐るべき「地域主権=国家主権の放棄」である。
教育現場では「モンスター・ペアレント⇒わが子かわいさに教委や校長に、しつこく文句を言う父兄」が発生し、その対応に先生も教育委員会も困っている。また、東京ならインテリぶった知識人が幅を利かすし、少し地方へ行くと、まだまだ少数のボスが様々に仕切っているのも事実である。教員の人事異動が基礎自治体の中だけにとどまることは良い点であるが、学校理事会に運営が任されれば、それらのモンスター・ペアレントと地域のボスの声が増すだけで、教育の公平性・中立性は保たれない。
民主党は「各地域のニーズに合った教育を行うために文科省の権限をはく奪する」と言うが、義務教育に「各地域のニーズ」など考慮する必要はない。心身共にバランスの取れた大人が育つよう、知識と経験・研究を共有し、「読み書き算盤」と歴史・道徳・体育など、全国統一的な内容でキチンと教えれば良いのである。
民主党のマニュフエストを読むと、教育の責任は地域の学校理事会に移るのだから、教育が荒廃し子供たちが被害を受けても地域の責任であり、民主党や国は関知しない、と言っているように聞こえる。
民主党・地域主権の道州制との違いは、既存の都道府県は残すという点、立法権は条例による裁量権を大幅に認めること、税源は国が持ったまま使途を定めない一括交付金でと、道州よりは「統合された基礎自治体を重視する」点である。
しかし基礎自治体の合併をもっと進めて国家主権を大胆に人口30~40万人規模の基礎自治体に移譲する点などは、みんなの党の「地域主権型道州制」と共通しており、今後、注意が必要である。
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アメリカ型と西洋型の新自由主義
アメリカ型と西洋型の新自由主義
円高がずいぶん進行している。11日の為替市場では一時、1ドル85円を切り、日本の輸出企業はおびえている。
この円高は、ギリシア通貨危機を契機とするEUの財政不安、そしてアメリカの景気減速による先行き不安が大きい。特にアメリカは2008年のリーマン・ショック以降、ゼロ金利政策と並行して国債や住宅ローン債権を買い取る量的緩和策で相当に金融緩和を実施してきた。その効果が出ず、あせってきている。
アメリカが問題なのは、今の経済減速が「需要不足による日本型デフレ」と捉えていることである。先般も言った通り、日本型デフレは「グローバリズムによるユニクロ型デフレ、あるいは
100円ショップ型デフレ」である。それを、あい変わらず「需要不足なのだから金融を緩和し、財政をばら撒け!」とする古いケインズ流の理解しか、アメリカは持ち合わせていないようである。
原因が分からずに対策を打つのだから、今後もアメリカの苦悩は続く。10年、20年後には日本以上に財政赤字が膨らみ、景気回復はならず、「この期間は失われた20年だった」と語ることになる。恐るべきはユニクロ型デフレの底なしぶりとそれを認識できない、あるいはしようとしない石頭ぶりである。
そう考えると、日本は経済モデルとしては先を行っているようである。戦前の大本教教祖・出口王仁三郎は「日本はヒナ型をなす国」と言っていた。「ヒナ型をなす」とは世界に先駆けて出来事を体験するもので、世界は時間を置いて、それを大きくして体験する。
この考えで言えば、日本の86年からのバブルとその崩壊、91年以後に続いた「失われた
10年」はまさに「ヒナ型」である。アメリカはそれらを後追いで、さらに規模を大きくして体験した。サブプライム・ローン、リーマン・ショック、その後の景気低迷と中身は多少違っても全体としての流れは変わらないのである。
ユニクロ型デフレでは、グローバリズム=新自由主義によって途上国の安い産品が出回るために、総体としての消費金額が減る。工場が海外に移転することも含めて自国の雇用は減り、もって縮小再生産に陥るものである。その解決策は、関税を高くするか自国通貨安に導いて低価格の輸入品の流入を防ぎ、自国の産業を保護して雇用を確保し、消費力の向上を図るしかない。
ドルが基軸通貨である以上、アメリカはグローバリズム否定となる関税増額の方策を取ることはできない。ためにドル安に誘導するよう、今後もさらに金融緩和と財政支出を続けるしかない。その弊害は、更なるドル安=円高と、米国債の下落・日本などへの引き受け依頼となる。過剰に流通したお金は「金か重要資源」に廻って新たなバブルを引き起こすしかないことになる。
これらは先の読める展開であるが、原因は分かったとしても中々舵取り困難な状況が続く。グローバリズム=新自由主義の弊害であるが、この傾向を是認するような勉強会が民主党の中で立ち上がった。小沢鋭仁環境相など鳩山グループ40名ほどによるもので、「西洋型の新自由主義を基本に大きな政府を目指す」という。
地球温暖化CO₂原因説は陰謀だったという「クライメートゲート事件(昨年11月発覚)」に全く知識も関心も持たない環境大臣というのは驚きだが、彼の能力はともかく、「目指す国家像」として掲げたものは、これまであいまいだった民主党の一つの方向性を明示したものである。
要約すれば、小泉・竹中型の新自由主義は「小さな政府」で、セーフティ・ネットのないアメリカ型であった。西洋型の新自由主義では消費税増税もするが、セーフティ・ネットを十分にするから、歓迎されるだろうというものである。民主党の高額の子ども手当はフランスの模倣であるが、新自由主義もまるごと真似をしようという意図でもある。
一方で12日、ILO(国際労働機構)は、金融危機の影響で2009年の15~24歳の失業者が世界で8100万人に達したことを発表した。失業者数・増加率ともにILOが統計を取り始めてから過去最高で、なかでも増加率は他の年齢層の2倍だった。
グローバリズム=新自由主義の弊害は、このように世界的に貧困層の拡大、失業者の増大、ひいては自殺者の増大となって現れる。これを放置して財政支出を拡大したり、セーフティ・ネットを揃えても「焼石に水」である。だが残念ながら、それに対抗する国家観を呈示する政党がないのも現実である。
民主党は西洋型の新自由主義でセーフティー・ネットの充実した大きな政府、みんなの党はアメリカ型の新自由主義で小さな政府、自民党は新自由主義で中くらいの政府と小さな政府論の混在と、いずれも新自由主義=グローバリズムが柱であることは変わらない。
失業や貧困の過剰な発生原因である新自由主義を放置してセーフティ・ネットをどれほど揃えるかだけが違いというのでは、政策の貧困である。問題の発生原因を放置したままワンパターンの対策を繰り返すことは、かえって解決を先送りする分、害のほうが大きくなる。そのことを政治家も学者やマスコミも、もう知るべきである。