東京で生まれ育った人が、「関西のお笑い文化を面白いと思うけど、本当の面白さはきっと私にはわからない」というようなことを(くやしい、というニュアンスで)言っていて、へーそんなもんかと思ったことがある。

私は愛知県出身で、隣の三重県がもう関西弁だから、言葉も近いし、土曜の昼にはテレビで吉本新喜劇だってやっていた。

上京したあともなぜか、大阪など関西の友だちが多かったので、その文化にはわりとなじみあると思っていた。

それでも友だちと話していると、大阪のお笑いの文脈のなかでどっぷり育っていない私は、ボケツッコミのやりとりに置いて行かれる瞬間があって、長い歴史をかけて築いたんだろうその文化へのうらやましさに悶絶したもんである。

ちょっとヘンなこと言うと(ボケるとは恐れ多くて言えん)、反射神経の素早さで必ずツッコんできてくれる関西の友人たち。

愛知ではスルーされるところもすくい上げて、みんなで笑い飛ばそうとするあのメンタリティを、大阪出身の増田ミリさんは、この本の中で「サービス精神」と呼んでいる。まさにそれ~!!

私ゃあれを目撃するたびに、なんとか笑ってもらおうという大阪人の愛情と、いじらしさを感じるんである。
そして同時に、「あっ、今ツッコむとこだったか!?」とかいちいち考えて出遅れる自分に歯がゆさも。

そんなとき、あー自分も大阪人だったなら、すばやくツッコめて、どんなによかったか、と思う。

とはいえ増田さんも書いているように、大阪人だからってそういう人ばかりではないというのもわかる。(phaさんとか、笑)

私は関西人ではないので、県ごとの違いなどはよくわからないのだが、偏見でも、大阪など関西出身者に出くわすと、「きっとこの人も、この場をどんだけ笑ってもらえるか、東京砂漠で毎日心を砕いて生きてるんだ…」とひとり胸が熱くなるんである。