美しすぎる通訳

14日の温家宝首相の記者会見で英語の通訳をした女性が「美しすぎる!」と話題になっている。
女性の名は張璐。外交部翻訳室英文処副処長である。外交部直属の大学「外交学院」の国際法学部を00年に卒業したあと通訳に転身した。その当意即妙な翻訳技術がネットで絶賛されている。
00年に大学卒業、ということは今年で妙齢32歳前後。たしかに不細工とは思わないが、「美女通訳」と言っていいだろうか。マッシュルームカットのような奇妙な髪型に気をとられて、中国ネチズンの眼がくらんでいるのではないか?
ウルトラジャンプで連載中!の「かわいすぎる中国人漫画家」の方がずっと納得がいく。
「天安門」をめぐる書き込み
中国のネットで6・4事件をめぐる興味深い書き込みが書いては消され、書いては消されしているらしい。以下、記録の意味で中文と英文をポストする。タイトルは「中立病(Illness of Neutrality)」である(訳はその下に)。
以前,出了个事儿,敏感,不让说
一个美国人,从小在中国长大的,得了中立病,她想:我得拍个片子
美国人的片子拍出来了,她认为段祺瑞是不对啦,刘和珍也未必好,总之要中立
国内的人千辛万苦下载到了,于是看,段祺瑞很丑恶,刘和珍形象也很丑恶
他想,美国人拍的,应该偏向刘和珍,所以我要在片子和段祺瑞间保持中立
于是他就更偏向段祺瑞了,而时常咒骂刘和珍把学生给煽动了
一个聪明的人看了他的博,心想,他都看美国人的片了,一定是偏向刘和珍啦,不行,我得在他和段祺瑞间保持中立
于是他就更更偏向段祺瑞了,他甚至怀疑刘和珍简直就是耍了个阴谋
后来很多聪明的人都知道了这个敏感的事儿
他们统一下来的版本是:很善良的段祺瑞被刘和珍忽悠,刘和珍偷鸡不成蚀把米把自己给被自杀了
但是香港人不这么认为
于是全国都笑话香港人傻逼坏了
*
In the past, an incident occurred. It was too sensitive to allow people to talk about it.
An American, who grew up in China, falls ill of neutralism. She thought: I should make a film about it. So she directed a film. She believes Duan Qirui* is wrong, yet Liu Hezhen** may not be good. All in all, she should stay neutral. People in Mainland China manage to download the film despite all difficulties. So they watched it. Duan Qirui was very evil, and so was Liu Hezhen.
He thinks, since the film was made by an American, it must be in favor of Liu Hezhen, so I should stay neutral between the film and Duan Qirui.
Therefore he’s more in favor of Duan Qirui, and often blames Liu Hezhen for inciting the students.
Some smart guy read his blog, thinking, he has watched the film made by an American, then he’s certainly in favor of Liu Hezhen. No. I should stay neutral between him and Duan Qirui. He even suspects that Liu Hezhen conspired.
Afterward many smart people learned about this sensitive incident. The version they all agree upon is: kind-hearted Duan Qirui was deceived by Liu Hezhen, and Liu Hezhen ended up being killed, going out for wool and coming home shorn.
However, people in Hong Kong don’t think so.
So people throughout China deride those in Hong Kong as idiots.
*
以前、事件が起きた。口に出すのがはばかられる敏感な内容だった。
1人のアメリカ人がいた。小さい頃から中国で育ち、「中立病」にかかっていた。彼女は「映画を撮らなくては」と考えた。
アメリカ人は映画を撮影した。彼女は段祺瑞が悪いが、かといって劉和珍も必ずしも正しくないと考えた。結果、彼女は中立の立場をとった。
国内の人々はなんとかしてこの映画をダウンロードして見て思った。段祺瑞はとても悪いが、劉和珍のイメージも良くない。
彼は、アメリカ人が撮ったのだからきっと劉和珍に偏向しているはずだ、だから私は映画と段祺瑞の間で中立を保つ、と考えた。
その結果彼はさらに段祺瑞に偏向し、時に劉和珍を学生を煽動したと罵った。
ある聡明な人が彼のブログを読んで考えた。彼はアメリカ人の映画を見たのだから、きっと劉和珍に偏向しているはずだ。それはよくない。私は彼と段祺瑞の間で中立を保たねばならない。
結果、彼はさらに段祺瑞に偏向し、劉和珍は結局のところ陰謀を企てていたと疑うようになった。
のちに多くの聡明な人々がこの敏感な事件について知るようになった。
彼らの考えはみな、善良な段祺瑞が劉和珍にだまされ、劉和珍は「エビでタイ」を釣ろうとして失敗し殺されるはめに陥った、というものだった。
ただし香港人はそうは考えない。
だから全国の人々が香港人をバカだと笑うのだ。
*
「事件」は天安門事件。「アメリカ人」は中国育ちの映画監督、カーマ・ヒントン(彼女の母親はマンハッタン計画に参加した物理学者でのちに中国に移り住んだジョアン・ヒントンだ)。「映画」は6・4事件を扱ったドキュメンタリーの秀作『天安門』。段祺瑞は中華民国初期の総理で学生運動を弾圧した政治家、劉和珍は段祺瑞に殺された学生である。
天安門事件と来れば、段祺瑞は鄧小平、劉和珍が民主学生を指すのはすぐ分かると思う。段祺瑞(鄧小平)と劉和珍(学生)の真ん中にあった「中立点」が、次第に共産党政権側に動いて行くメカニズムを面白く描いている。
実際、今の中国人がこんな思考経路を経て現在にいたったか、というと必ずしもそうではないと思う。この文章を通じて感じるのは、「真の中立など存在しない」という中国人の冷めた視点だ。「中立」への軽蔑といってもいい。
ただこの「中立への軽蔑」のベクトルは、現体制批判へと向かっている。だからこそ、この書き込みは削除される。香港人を笑う「全国の人々」を世界が笑っている、というわけだ。「08憲章」などよりずっと味わい深い。
20年を過ぎても、「天安門」は中国人の中で死んでいないらしい。
以前,出了个事儿,敏感,不让说
一个美国人,从小在中国长大的,得了中立病,她想:我得拍个片子
美国人的片子拍出来了,她认为段祺瑞是不对啦,刘和珍也未必好,总之要中立
国内的人千辛万苦下载到了,于是看,段祺瑞很丑恶,刘和珍形象也很丑恶
他想,美国人拍的,应该偏向刘和珍,所以我要在片子和段祺瑞间保持中立
于是他就更偏向段祺瑞了,而时常咒骂刘和珍把学生给煽动了
一个聪明的人看了他的博,心想,他都看美国人的片了,一定是偏向刘和珍啦,不行,我得在他和段祺瑞间保持中立
于是他就更更偏向段祺瑞了,他甚至怀疑刘和珍简直就是耍了个阴谋
后来很多聪明的人都知道了这个敏感的事儿
他们统一下来的版本是:很善良的段祺瑞被刘和珍忽悠,刘和珍偷鸡不成蚀把米把自己给被自杀了
但是香港人不这么认为
于是全国都笑话香港人傻逼坏了
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In the past, an incident occurred. It was too sensitive to allow people to talk about it.
An American, who grew up in China, falls ill of neutralism. She thought: I should make a film about it. So she directed a film. She believes Duan Qirui* is wrong, yet Liu Hezhen** may not be good. All in all, she should stay neutral. People in Mainland China manage to download the film despite all difficulties. So they watched it. Duan Qirui was very evil, and so was Liu Hezhen.
He thinks, since the film was made by an American, it must be in favor of Liu Hezhen, so I should stay neutral between the film and Duan Qirui.
Therefore he’s more in favor of Duan Qirui, and often blames Liu Hezhen for inciting the students.
Some smart guy read his blog, thinking, he has watched the film made by an American, then he’s certainly in favor of Liu Hezhen. No. I should stay neutral between him and Duan Qirui. He even suspects that Liu Hezhen conspired.
Afterward many smart people learned about this sensitive incident. The version they all agree upon is: kind-hearted Duan Qirui was deceived by Liu Hezhen, and Liu Hezhen ended up being killed, going out for wool and coming home shorn.
However, people in Hong Kong don’t think so.
So people throughout China deride those in Hong Kong as idiots.
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以前、事件が起きた。口に出すのがはばかられる敏感な内容だった。
1人のアメリカ人がいた。小さい頃から中国で育ち、「中立病」にかかっていた。彼女は「映画を撮らなくては」と考えた。
アメリカ人は映画を撮影した。彼女は段祺瑞が悪いが、かといって劉和珍も必ずしも正しくないと考えた。結果、彼女は中立の立場をとった。
国内の人々はなんとかしてこの映画をダウンロードして見て思った。段祺瑞はとても悪いが、劉和珍のイメージも良くない。
彼は、アメリカ人が撮ったのだからきっと劉和珍に偏向しているはずだ、だから私は映画と段祺瑞の間で中立を保つ、と考えた。
その結果彼はさらに段祺瑞に偏向し、時に劉和珍を学生を煽動したと罵った。
ある聡明な人が彼のブログを読んで考えた。彼はアメリカ人の映画を見たのだから、きっと劉和珍に偏向しているはずだ。それはよくない。私は彼と段祺瑞の間で中立を保たねばならない。
結果、彼はさらに段祺瑞に偏向し、劉和珍は結局のところ陰謀を企てていたと疑うようになった。
のちに多くの聡明な人々がこの敏感な事件について知るようになった。
彼らの考えはみな、善良な段祺瑞が劉和珍にだまされ、劉和珍は「エビでタイ」を釣ろうとして失敗し殺されるはめに陥った、というものだった。
ただし香港人はそうは考えない。
だから全国の人々が香港人をバカだと笑うのだ。
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「事件」は天安門事件。「アメリカ人」は中国育ちの映画監督、カーマ・ヒントン(彼女の母親はマンハッタン計画に参加した物理学者でのちに中国に移り住んだジョアン・ヒントンだ)。「映画」は6・4事件を扱ったドキュメンタリーの秀作『天安門』。段祺瑞は中華民国初期の総理で学生運動を弾圧した政治家、劉和珍は段祺瑞に殺された学生である。
天安門事件と来れば、段祺瑞は鄧小平、劉和珍が民主学生を指すのはすぐ分かると思う。段祺瑞(鄧小平)と劉和珍(学生)の真ん中にあった「中立点」が、次第に共産党政権側に動いて行くメカニズムを面白く描いている。
実際、今の中国人がこんな思考経路を経て現在にいたったか、というと必ずしもそうではないと思う。この文章を通じて感じるのは、「真の中立など存在しない」という中国人の冷めた視点だ。「中立」への軽蔑といってもいい。
ただこの「中立への軽蔑」のベクトルは、現体制批判へと向かっている。だからこそ、この書き込みは削除される。香港人を笑う「全国の人々」を世界が笑っている、というわけだ。「08憲章」などよりずっと味わい深い。
20年を過ぎても、「天安門」は中国人の中で死んでいないらしい。
ヤオ・ミンの国籍問題
NBAヒューストン・ロケッツの姚明(ヤオ・ミン)の妻葉莉が6月、長女を出産する。いささか旧聞に属するが、その生まれてくる長女が米国籍になる可能性がある、と騒ぎになっている。
今年1月に葉の妊娠が分かり、春節明けの2月末に2人が帰米したことで、「アメリカで出産するのでは」という憶測が広がったようだ。中国は二重国籍を認めていないから、米国籍を取得すると「中国人」になるのはあきらめなければならない。
さあ中国ネチズンの「売国奴」祭りが始まる、と思ったら、今回ヤオ・ミンをあからさまに批判する声はない。2008年に女優のコン・リーのシンガポール国籍を取得したときは大騒ぎしたのに、なぜ今回は静かなのか。
身長2メートル29センチの姚と、同じくバスケットボール選手だった身長1メートル90センチの葉の娘が長身になるのは確実。1つには、「将来の大スター」を引き止めたいファン心理があるはずだ。
中国人が少し大人になった可能性もある。アメリカ国籍になるのはヤオ・ミンの娘でヤオ・ミンではないし、まだそうなると正式に決まった訳でもない。冷静に考えることができるようになったのは、「大国」としての自信の現れと捉えてもいいだろう。
あの巨人に向かって「売国奴」と呼ぶ根性が中国ネチズンにないだけかもしれないが。
今年1月に葉の妊娠が分かり、春節明けの2月末に2人が帰米したことで、「アメリカで出産するのでは」という憶測が広がったようだ。中国は二重国籍を認めていないから、米国籍を取得すると「中国人」になるのはあきらめなければならない。
さあ中国ネチズンの「売国奴」祭りが始まる、と思ったら、今回ヤオ・ミンをあからさまに批判する声はない。2008年に女優のコン・リーのシンガポール国籍を取得したときは大騒ぎしたのに、なぜ今回は静かなのか。
身長2メートル29センチの姚と、同じくバスケットボール選手だった身長1メートル90センチの葉の娘が長身になるのは確実。1つには、「将来の大スター」を引き止めたいファン心理があるはずだ。
中国人が少し大人になった可能性もある。アメリカ国籍になるのはヤオ・ミンの娘でヤオ・ミンではないし、まだそうなると正式に決まった訳でもない。冷静に考えることができるようになったのは、「大国」としての自信の現れと捉えてもいいだろう。
あの巨人に向かって「売国奴」と呼ぶ根性が中国ネチズンにないだけかもしれないが。