「ガロの〈ヴォーカル〉
こと大野真澄による、
同時代カヴァーソング集
(2009年1月発売)。
 
そのニックネーム通り、
当時から歌唱力には
定評があるのだが、
ことに冒頭の、
およそ36年ぶりの
再録音になる、
セルフカヴァーの
「学生街の喫茶店」は、
60歳になろうかという年齢を
全く感じさせない、
というよりも当時と同じ歌声で
再現されており、
老いを知らない
このヴォーカリストに、
感動すると同時に
驚異すら感じてしまう人も
多いのではと思う。

ほかにも「裏切りの街角」
(甲斐バンド)、
「さらば青春」(小椋佳)、
「青春の影」(チューリップ)、
「サルビアの花」(早川義夫)のほか、
岩崎宏美とのデュエット
「フィーリング」、
再結成した猫が
コーラスをつとめた
「ああ青春」(トランザム)、
四角佳子がコーラスで参加した
「空に星があるように」(荒木一郎)、
そして、オリジナルを
凌駕しているのではと
思うほどの熱唱が素晴らしい
「悲しい色やね」(上田正樹)、
「「いちご白書」をもう一度」
(バンバン)など全15曲は、
いずれも洗練されたアレンジで
処理されており、
まさに大野真澄の
圧倒的な歌唱力で、
70年代の名曲を
再確認できる名盤に
仕上がっていると
言っていいと思う。

さらにアルバムラストには、
ガロの盟友、
故・日高富明作曲の
「地球はメリー・ゴーランド」が、
現在ユニットとして
行動を共にすることが多い、
伊勢正三と太田裕美の
コーラスを加えて
収録されている。

太田裕美独特の
ふわふわした声が、
居心地よく収まっているのは
意外な発見だった。(★★★★★)」
(2011.2.26記)
 
曲目です。
オリジナルアーティストと、
発売年を書いておきます。
 
 1. 学生街の喫茶店(ガロ)1972年
 2. 裏切りの街角(甲斐バンド)1975年
 3. 時の過ぎゆくままに(沢田研二)1975年
 4. フィーリング(ハイ・ファイ・セット)1976年
 5. 悲しい色やね(上田正樹)1982年
 6. あの頃のまま(ブレッド&バター)1979年
 7. スローバラード(RCサクセション)1976年
 8. 時間よ止まれ(矢沢永吉)1978年
 9. サルビアの花(早川義夫)1969年
 10. 空に星があるように(荒木一郎)1966年
 11. さらば青春(小椋佳)1971年
 12. 「いちご白書」をもう一度(バンバン)1975年
 13. 青春の影(チューリップ)1974年
 14. あゝ青春(トランザム)1975年
 15. 地球はメリー・ゴーランド(ガロ)1972年
 
全曲を通して聴いてみて、
ヴォーカルさんの声質に
合っている曲だということも
あるでしょうが、
どれもすばらしい仕上がりに
なっていると思います。
 
そして、
いろいろな人が
カヴァーしていますが、
やはり「学生街の喫茶店」は、
大野真澄さんが歌うべき
名曲だと思いました。