『にゃんころがり新聞』 -24ページ目

『にゃんころがり新聞』

「にゃんころがりmagazine」https://nyankorogari.net/
に不具合が発生しました。修正するのに時間がかかるため、「にゃんころがり新聞」に一時的に記事をアップロードすることとしました。
ご迷惑をおかけして申し訳ございません。


さて、平成28年度ふるさと納税の返礼品をご紹介するこのコーナー。第2弾は、NHKドラマ「あまちゃん」で有名な岩手県久慈市です。

まず、画像をご覧ください。
獲れたてのウニが返礼品として、もらえるんです!!






写真はイメージです。
実際の返礼品は、瓶詰めで送られてきました。
ちょっとそのとき、デジカメが出張中で手元にありませんでしたので、こちらの画像で代替させていただいております(^^;)

おいしかったですよ~!!!
なんというか、都会で食べるウニって、苦みがありますよね?
でも、こちらのウニは、全然!
ニガくない!
実は苦いのは、「みょうばん」という薬の味だったんですねφ(○_○ )

残念ながら、今年の受付は終了してしまったようですが、来年、虎視眈々と狙ってみてください!
期間は、5月1日~7月17日まで、となっていましたから、来年も、その頃だと思います!

生ウニ(60g)×3本(塩うに瓶) がもらえます。
寄付金は1万円です。

寄付金の一万円は、税金で控除されるので、おおざっぱに言えば、新鮮な生ウニが、タダでもらえるのと同じような、おトクなふるさと納税! 皆様も、まだやってらっしゃらない方は、ご自分でシステムを調べて、応募してみてくださいね!



文:編集長



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チャーの秘密の大冒険①の続きになります。
http://ameblo.jp/nyankodoo/entry-12192661139.html

↑①を読んでいない方は、こちらからどうぞ。

チャーの秘密の大冒険②
(文:8 leaves、
絵:ゆきまちふみや)




僕はその瞬間、前のめりになって映像にかじりついた。そうか、チャーはこの子猫を探していたのか。

 子猫は弱っているのか、か細い声でニャー
ニャーと鳴いている。
チャーはしばらくそ
の子猫を見つめた後、首根っこをくわえ段
ボールから引きずり出した。猫はケガして
いるようで、体から血を流している。チャ
ーは一生懸命その傷を舐めた。

辺りに人の気配はなく、夜の訪れとともに
次第に映像が見えにくくなった
チャーは
猫を口にくわえて移動を始めたのか、暗が
りの映像の中に、時々地面にぼんやり浮か
ぶ街灯が映り込み始めた。

 

着いた先は、散歩道の途中にある小学校の
ようだ。薄明かりの中映った見覚えのある
校門を通り抜け、中に入っていく。
下校時
刻はとっくに過ぎ、学校はしんと静まりか
えっている。チャーは校庭を抜け裏門に着
くと、そこで腰を落ち着けたらしい。猫を
降ろし、再び傷口をペロペロと舐め始めた。
相変わらず猫はか細い声で鳴き続けている。

 そのまま猫を自分の体で守るようにして、
チャーも眠ってしまったようだ。映像が動
かないまま数分が経過した。

 僕は大慌てで映像を早送りした。日が昇
り動き出した映像の中でチャーは、再び猫
の傷を舐めていた。ひとしきり舐め終わる
とまた口にくわえ、学校を後にした。

 早朝になり人通りが増えていた。チャー
の視点から見る人間は大きく、なんだか僕
まで犬になった気分だ。
映像の中で2匹を
見た人たちはチャーが猫をいじめていると
思ったのか、手当たり次第にチャーから猫
を奪おうとした。いつもの散歩コースを外
れたので、チャーのことを知っている人は
少ないようだ。

何かされるたびにチャーが「うううう」と
威嚇するもんだから、
人々は躍起になって
カバンを振り回したり、チャーのお尻をぺ
ちんと叩いたり、首に着いたままのリード
を引っ張ろうとしたり、次々とひどいこと
をした。
それでもチャーはめげず、ううう
うと唸ったまま駆け足で逃げていった。

 僕は普段怖がりのチャーがこんなに勇気
を出していることに驚いた。

緊張からかいつの間にか呼吸を止めていた
らしい。思わず、ふううううと大きなため
息が出た。

 映像を3倍速にしてチャーの動きを追い
かけた。チャーは一日中食事も水も摂らず
いろいろな場所を行ったり来たりして、夕
方になると駐車場らしき場所でぺたりと座
り込んで動かなくなってしまった。
再び猫
を自分の体で暖めているようで、画面は子
猫の毛でいっぱいになっている。チャーは
子猫の母親になったつもりでいたのかもし
れない。

 しばらくぴたっと映像が動かなくなった
後、突然チャーが勢いよく顔を上げた。

ると2匹の前にある建物から一人の男性が
現れ、2匹の前で立ち止まると、「よいし
ょ」と言いながらチャーから猫を引き剥が
した。チャーは突然のことに驚き、
ううう
うと唸っている。
特に気にせず男性が猫を抱えたまま建物の
中に入ると、チャーは大声で吠えた。いつ
ものかわいらしい鳴き方とはまるで違うそ
の声に、僕はチャーの中の野生を感じずに
はいられなかった。

 チャーはしばらく吠え続けた後、失意の
あまり鳴くのをやめたのか、そのまま映像
が止まった。

 少し経ち、建物から中年の女性が一人出
てきた。チャーに手を伸ばし、「おいで」
と声をかけている。しかしチャーは強く威
嚇し、そのまま走り去ってしまった。

 僕はチャーの悔しさを思い、涙した。そ
れにしてもここはどこなんだろう。手がか
りはないだろうかと、男性が現れたシーン
まで巻き戻してみた。よく見ると、男性は
白衣のようなものを着ていた。
胸にあるネ
ームプレートにヒントはないかと目をこら
してみるけれど、字が小さすぎてよく見え
ない。

 仕方なく映像をチャーが走り去ったとこ
ろまで戻した。チャーはそのままゆっくり
と歩き続けた。徐
々に見慣れた景色も出て
きて、自宅に戻ろうとしていることが分か
った。

 途中疲れてしまったのか、チャーは公園
に立ち寄ることにしたらしい。

ここにはチャーがよく使っている水飲み場
がある。そこで水分補給をするのだろう。
予想通り水飲み場に寄り時間をかけてゆっ
くり水を飲むと、そのまま少しだけ移動し
そこで眠ってしまった。よほど疲れていた
のだろう。

映像は長い間止まったままだったので、早
送りを続けると翌朝になった。チャーが帰
宅した日だ。

チャーは目を覚ますとゆっくりと歩き出し、
自宅に一番近い公園の入り口にたどり着い
た。
自宅に帰ろうとしている。僕はその映像が
過去のモノで、チャーが帰ってきたのは夜
だと知っているのに、その瞬間飛び上がり
たいほど嬉しくなった。

 

 チャーは入り口に着くと何か考え事でも
しているのか、数秒間また映像が止まった。

 どうしたんだろう。そう思った瞬間、チ
ャーがすごい勢いで今来た道を逆戻りして
いった。映像がぐわんぐわん揺れる。
  

 なんだなんだ。僕は訳が分からず、しば
らくその映像から目を背けた。
まともに直
視できないほどの揺れだ。横目でちらちら
画面を見ていると、チャーは昨日子猫を奪
われたあの建物の前で立ち止まり、揺れも
収まった。
はあはあとチャーの激しい呼吸が聞こえて
くる。
 

 チャーは少し経ってから、ワンワンワン
と大声で吠えだした。特に誰か出てくる気
配はない。それでもめげずより一層大きな
声で、ワンワンワンワンと延々吠え続けた。

2、3分経った頃、中から昨日と同じ女性
が出てきた。一つに結んだ長い髪。上下水
色の服。この人はもしかしたら……。

 建物の答えが分かった気がした瞬間、チ
ャーの視点が突然ふわっと高くなった

うやら女性に抱きかかえられたらしい。チ
ャーは抵抗することなく、おとなしく女性
に抱かえられその建物の中に入っていった。

 何匹もの動物が待つ受付、その先にある
廊下、そして1つのドアの前にたどり着く
と、中から無数のニャーとかワンワンとか

いう声が聞こえてきた。間違いない、ここ
は動物病院だ。 

ドアが開き、数歩進んだ先に現れたのは、
小さな檻の中に入った昨晩の子猫だった。
体にガーゼが巻かれている。

 女性はチャーをテーブルの上に置くと、
檻から子猫を出しチャーの前に置いた。

猫はチャーを見るやいなや、ニャーニャー
と鳴き自ら歩み寄った。チャーもすぐに子
猫の顔をぺろぺろと舐めた。

 女性が、「あら、この子猫ちゃん、やっ
と鳴いたわ」と嬉しそうな声を出した。
「あなたがお母さんって分かるのね」

 女性の手が近づいてきて、映像がわずか
に揺れた。チャーの頭を撫でているようだ。

「ありがとう、あなたのおかげでこの子猫
ちゃん助かったのよ。

たぶんカラスにつつかれたんじゃないかと
思う。そこまで傷が深くなかったのが幸い
だったわ。でもあなたに助けられてなかっ
たら、どうなっていたか分からない。本当
に本当にありがとう」

 女性は何度もお礼を言い、満面の笑みを
浮かべてチャーの頭やら顔やらを撫で回し
た。そして首輪をくいっと持ち上げた。

「あら、ここに名前があるわね。チャー
ちゃん。じゃあこの猫ちゃんはあなたの子
だから、チャーリーと名付けましょう。
男の子なのよ」

そう言うと女性はチャーリーを抱え、チャ
ーの顔に近づけ、キスさせるような仕草を
した。

「チャーリーはもう少し手当が必要だからこちら
で預かるけれど、元気になったら里親を探すか
ら心配しないで」
チャーはなんとなく話が分かったのか、
「くーん」と小さい声で鳴いた。

「ありがとう、ご家族も心配しているでし
ょうからもう行きなさい。またいつでも遊
びに来てね」
女性はチャーを玄関まで送り届けた。チャ
ーはゆっくりと歩きながら、何度かその女
性の方を振り返った。女性は笑顔のままず
っと手を振っている。

 


 そして数メートル進むと、チャーはまた
ものすごい
勢いで走り出した。映像がぐわ
んぐわん揺れる。僕はまた画面から目をそ
らし、早送りした。そして見覚えのある景
色があるところで、再生ボタンを押した。

「はあはあはあはあ」

 チャーの激しい呼吸ともに順に現れた
のは、驚きと喜びとで複雑な顔をしてい
る僕、涙で顔をグチャグチャにした母さ
ん、
「おお、帰ってきたか。どうしたこんな
に泥だらけになって」
と嬉しそうにチャーの頭を撫でる父さん。

「ほんと、こんなに汚れちゃって。さあ
お風呂に入りましょうね」

 鼻をすすりながら嬉しそうにチャーに
声をかけている母さんの声が聞こえてく
る。

 僕はモニターの前であの日と同じよう
に涙を流しながら、チャーに声をかけた。

「おかえり、必ず帰ってくるって信じて
いたよ」

 次の瞬間、映像はぶつっと切れた。

 

(完)



○執筆者紹介
『チャーの秘密の大冒険』を執筆して
くださったのは、
8 leavesさん
です。
8 leavesさんは、NY在住フリー
ライター 公文紫都(くもん・しづ)さ
んです。
IT関連企業2社、流通系業界紙の記者を
経て2012年に独立。日米のIT、Eコマー
ス関連企業・サービスの取材・執筆を中
心に、人物・イベント取材や翻訳まで幅
広く手がけられています。個人ブログ
「Purple and the City」

http://shidukumon.com/では、体
重570gで生まれた娘の成長記録や、猫のわらびを題材にした物語、またNY関連の情報などを紹介している。ココナラでは、ペットの写真からインスピレーションを得てオリジナルショートストーリーを作るサービスを販売中です。

 https://coconala.com/users/347754
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○冒頭の挿絵は、ゆきまちふみやさんに描いていただきました。
ゆきまちふみやさんは、音楽とサッカーを愛する、関西贔屓のアーティストさんです。

https://coconala.com/users/281998
↑ゆきまちふみやさんにへのご依頼は、こちらのページからできます。

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応中です。 




 
チャーの秘密の大冒険①

文:8 leaves
絵:ゆきまちふみや



  
 




飼い犬のチャーが亡くなり、3日が経った。末娘のように甘えん坊で、家族皆からかわいがれていたチャー。茶色い毛並みに、つぶらな瞳。僕らはかけがえのない存在を失ってしまった。

日曜日、午前9時。寝室から出て、家中
チャーがいそうなところに視線を送って
みる。けれどやっぱりどこにも姿はなく、
まるで僕の心の中には、ぽっかり穴が空
いてしまったようだ。

 まだ誰も起きてこないしんと静まりかえ
ったリビングでぼんやりコーヒーを飲んで
いると、電話が鳴った。何かのセールス
だろうか。悪いけれど今は電話で話す気
分ではない。無視を決め込んだ。

 電話はしつこく、ガランとしたリビン
グで、ルルルルル、ルルルルルと鳴り響
いている。

 2分ほど続いたあと、またすぐに電話
が鳴った。うーん、さすがにこれは出る
べきか。僕は3回目のコールで電話を取
った。

「もしもし」

「あ、もしもし。こちらレンタル首輪の
『わんにゃんセキュリティサービス』の
者です。この度はチャーちゃんのご冥福、
心よりお祈りいたします」

電話の相手はこちらの名前を確認するこ
となく、まるで分かりきっているとでも
言わんばかりにいきなりチャーの名前を
出し、お悔やみの言葉を言った。

僕には何がなんだか訳が分からず、「は
あ」とだけ返事すると、

「この状況の中大変申し訳ないのですが、
ペットが亡くなったら3日以内に首輪を
返却いただく決まりになっていまして
……」
と続けた。

「すみません、状況がよく読めないので
すが、どういうことでしょうか?」

「えっと、そちらの契約者は……ああ、
奥様でしたね。15年前のモニターキャ
ンペーンで当選され、当店の首輪をご利
用いただいています。今日奥様はご在宅
ですか?」

「いますけど、まだ寝ています」

「そうでしたか。それならあなたは…
…息子さん?」

「ええ、そうですが……」

 やけになれなれしい態度で、電話口の
相手は話し続けている。

「今日、こちらまで来られます? 住所
は……」と、こちらの都合などお構いな
しといった様子で、一方的に住所と電話
番号を言うと、さっさと電話を切ってし
まった。

 僕はどことなく怪しさを感じすぐにイ
ンターネットで、言われた通りの『わん
にゃんセキュリティサービス』を調べ
た。確かに存在しているようだ。
住所
も電話番号も間違いない。ウェブサイ
トも割としっかりしている。

 

念のため母さんに確認しようかとも考
えたけれど、チャーが亡くなってから

ずっと落ち込んでいるので、無理に起
こすのもかわいそうだと、結局一人で
向かうことにした。
電車を乗り継ぎ30分ほど行ったとこ
ろにその店はあった。見た目は街のど
こにでもありそうな電器店といった感
じ。こじんまりしていて、怪しいとい
うよりむしろアットホームな雰囲気だ。
店に入り一番奥まで進むと、「受付」
と書かれたカウンターがあった。人の
姿はない。呼び鈴を鳴らすと、さきほ
どの電話と同じ声の男が出てきた。声
と話し方から想像した通り、胡散臭い
黒縁メガネをかけている。

 

「どうもどうも。早かったですね。ご
来店ありがとうございます。では早速
ですが解約の手続きをしていきますの
で、こちらに今日の日付とお名前をご
記入いただけますか? お名前はお母様
ではなく、お客様のもので結構です」

 

言われたとおりに日付、そして名前を
書いた。

「ありがとうございます。あと3枚ほ
どですね。同じように、こちらに日付
とご署名をお願いします」

 正直何の書類なのかも分からなかった
けれど、手際の良い男の指示に従い、
次から次へと記入していった。もうチャ
ーはいないのだからこの首輪は必要な
い。その気持ちが僕の警戒心を緩めてい
た。

 男が書類を確認している間、僕はテー
ブルに置かれた赤い首輪をじっと見つめ
見慣れたその首輪にはまだしっかり
チャーのぬくもりが残っているようで、
どうしてそれだけがここにあるのだろう
と不思議な気持ちだった。

「ええと、最後の一枚なんですけどね、
これはご存命中に一度も閲覧利用がな
かったペットが亡くなられた場合の、
特典……っていうとちょっと聞こえが
悪いんですけど、まあいわばそんなよ
うなもので、もしどこか3日分だけ記
録した映像が見たい日があれば、お見
せすることができます」

 男はメガネの奥で、ニッコリとほほ
えんだ。

「記録した映像? ごめんなさい、僕
このサービスのこと理解していなくて。
母からも何も聞かされていないですし。
チャーの首輪、母がその辺のペットシ
ョップで買ってきたものだと思ってい
たくらいなんで」

男は面食らったとでも言うような顔で、
口をあんぐりさせた。

「そうだったんですか……もったいな
い。あの体験モニター、当選されたの
ごくわずかなんですよ。これ普通に加
入していただくと、月額5000円と
割と高いですし」

「え、たかが首輪一個で、毎月そんな
かかるんですか?」

男は今にも泣き出しそうなくらい、肩
をがっくりと落としてしまった。さす
がにそこまで落ち込まれると、こちら
が悪いことをしている気分になり申し
訳なくなる。

「あ……なんかすみません。ところで、
この首輪は何がすごいんですか?」

すごいという言葉に気を良くしたのか、
先ほどとは180度表情を変え明るさ
を取り戻した。

 

「これはですね、ペットの安全を保証
する首輪なんです。
迷子になった時、
誘拐された時……大切な大切なご家族
でもあるペットがある日突然いなくな
っちゃったら怖いですよね?
そんな時
お客さまからご一報いただければ、こ
の首輪に埋め込まれている位置情報サ
ービスが、瞬時にペットの居場所を見
つけ出しすぐにお知らせ! そんな画
期的な製品なんです!」

男は人が変わったように、生き生きと
語り出した。ここまで入れ込むくらい
だから、製品の開発者なのかもしれな
い。僕はそんなことを考えつつ、た
だひたすら話を聞いた。

「実はこの首輪には撮影モードが搭載
されていまして、犬の場合は1時間以
上、猫の場合は3時間以上ペットが単
独でご自宅を離れるとセキュリティモ
ードが作動し、撮影された映像が自動
で私どものサーバに飛んでくる設定に
なっているんです。
お母様にもキーホ
ルダーを渡してあり、こちらがペット
の首輪といわば連携関係になっている
ので、ご自宅を離れた理由がご家族と
一緒の長期旅行などではないと分かる
ようになっています。入院の場合も、
位置情報が動物病院になるのでこれも
対象外になります。

 

 ただ、今は個人情報保護が何かと騒
がれる時代ですからね。
映像にどんな
個人情報が紛れているか分からないの
で、お客さまからの申請がない限りは
映像には一切手を付けず、首輪の解約
とともにすべての映像を完全消去して
いるんです。
 
基本的には位置情報だけではどうして
もペットが見つからない、または何か
事件性があるという場合にのみ、一定
条件の元映像をご覧いただくという契
約になっています。
亡くなった後にご
いただく今回のケースは……まあ、
こっそり案件ということで。あまり大
きな声では言えないんで、内緒ですよ」

 男はまたもメガネの奥でニッコリと
ほほえんだ。今回はご丁寧にウィンク
までしている。

 僕は『キーホルダー』と聞き、そう
いえばチャーの散歩で使っていた汚物
入れバッグに何かのキーホルダーがつ
いていたなと思い出した。なるほど、
そういうことだったのか。男の話に納
得しながら、ただひたすら相づちを打
ち続ける。

 

それにしても、どうして母さんは教え
てくれなかったのだろうと疑問に思っ
た。まあたぶん新しいもの好きの母さ
んのことだから、ひとまず応募してみ
たら当選したけど実際にはあまり内容
を理解できなくて、僕にも父さんにも
説明できないまま、いやむしろサービ
スに加入したことすら忘れて時間だけ
が過ぎていった。そんなところだろう。

「それでどうします? 映像見ます?
それともやめときます? 今回は事件性
があって動画を閲覧するシチュエーシ
ョンではないので、動画は私どもの同
席なしにお客さま一人で見て頂くこと
になりますが……」

 別にチャーが動いている姿を見られ
るわけじゃないのなら結構です、と断
ろうとした
瞬間、僕は急にあの失われ
た3日間のことを思い出した。そして
すぐ、「お願いします」と返事をし、
この件に関する解約届への記入は少し
待ってもらうことにした。

指定した日時の映像を準備してもらっ
ている間、なんだこれならあの日首輪
の位置情報でチャーを探せたじゃない
かと悔しくなった。肝心の母さんが忘
れていたから仕方無いのだけど。

飼い主からの申請がない限りは位置情報
を知らせない、というルールはいささか不
便な気がした。僕がサービスの改善を提
案しようとしたところで男から、「準備がで
きました」と小部屋に通された。

 そこは、小さなモニターとソファが
置いてあるだけのシンプルな部屋だっ
た。

 「3日分と長いので、ご自身の判断
で適宜早送りしてください。今日の営
業は17時までです。基本的には終業
までいて頂いて結構ですが、途中退出
される際には一声かけていただけると
助かります。もちろんお分かりだと

いますが、この映像をお手持ちのスマ
ートフォンで撮影するのはご遠慮願い
ます」といったような注意事項が5分
ほど続いたところで、男は部屋を出て
行った。僕は少し緊張して背を正すと、
恐る恐る再生ボタンを押した。

 映し出されたのは、激しい揺れの中
で続くあぜ道だった。画面の揺れに合
わせて、両脇の田んぼも映り込んでい
る。

 

 そうか、チャーは僕から離れて1時
間後もまだここにいたのか。チャーは
キョロキョロ顔を動かしながら走って
いるらしく、「はあはあ」という荒い
息とともに、田んぼやらあぜ道やら

夕日やら空やら、めまぐるしく景色が
変わっていった。予想以上に揺れが激
しい。だんだん気持ち悪くなったけれ
ど、チャーの目に映ったものをしっか
り見届けたくて、僕は停止ボタンも早
送りボタンも押す気になれなかった。

チャーの視点からだと、世界はこんな
風に見えていたんだなぁ。
僕はとてつ
もなくチャーに会いたくなって、気づ
けばポタッポタッとこぼれ落ちた涙で、
ジーンズの膝の部分が黒く変色してい
た。

チャーがいなくなったその日、僕たち
はいつものように夕方の散歩に出かけ
ていた。
自宅を出て公園へ行き、田ん
ぼのあぜ道を歩き、小学校の前を通っ
て自宅に戻る。これがお決まりの散歩
コースだ。その日も順調にあぜ道まで
来たところで、チャーに異変が起きた。

 チャーはあぜ道を歩きながら、何か
を確認するようにぐるぐると辺りを見
回し、
鼻を地面に押し当てクンクンと
匂いを嗅いでは何度も足を止めた。僕
はその度に強くリードを引っ張り、チ
ャーはそれに抵抗した。

そして何度か僕とチャーとでリードを
引っ張り合ったあげく、
チャーは僕を
振り切ってリードごとどこかに駆けて
行ってしまった。

 映像の中でチャーはずっと何かを探
しているようで、田んぼのあぜ道を走
っては止まり、また走っては止まりを
繰り返していた。しばらくその映像が
続いた後、チャーは田んぼの中に何か
を見つけたのか、
突然動きを止めると、
ゆっくりゆっくりそこに向かって歩い
て行った。そして黄金の夕日を受けき
らめく田んぼの中でようやく探し当て
たのは、薄汚れた段ボール箱だった。

チャーはその箱の前に着くと、ぴたっ
と足を止めた。そろりそろりと中をの
ぞき込む。そこにいたのは、茶色と白
のまだら模様がかわいらしい子猫だっ
た。
(チャーの秘密の大冒険②に続きます)

 http://ameblo.jp/nyankodoo/entry-12192929348.html

 

 

 

 

 

世界の中心で、愛をさけぶ/小学館


『世界の中心で愛をさけぶ』(片山恭一作)は、あまりにも有名な、300万部以上のベストセラーです。


STORY

 朔太郎とアキの恋物語です。
 朔太郎がアキと出会うのは、1990年、中学2年生のとき。
 当初は、アキには恋人がおり、朔太郎もアキに恋しているわけではありませんでしたが、学級委員でよく顔を合わせたり、朔太郎の実家が図書館の敷地内に建てられているために、受験勉強をするために図書館にやって来たアキと会話を交わしているうちに、二人の距離は縮まっていきます。
 やがて、同じ高校に通いはじめた二人は恋に落ちます。業者が倒産したために、建設途中で放置されたテーマパークの廃墟に、はじめてのお泊りをするために出掛ける二人。
そんな冒険と心地よい刺激に満ちた、青春の1ページが、美しく描かれています。
 ところが、病魔の影が二人に忍び寄ってきます。アキが白血病を発病してしまうのです。
 病状は良くなるどころか、ますます悪くなっていきます。

 朔太郎は、アキが元気なうちに、2人でオーストラリア旅行へ出掛けることを計画します。こっそり病院を抜け出すことに成功したアキですが・・・。


REVIEW

 もし、恋愛小説ベスト10を選べと言われたら、ぼくはこの作品をそのひとつに挙げたいと考えています。
 他には何があるのかというと、村上春樹『ノルウェイの森』などを入れたいです。まあ、あとの8作品については、これから発表していきますので、お楽しみにしていただければ、と思います。
 今回『世界の中心…』を読み返してみて、あらためてその気持ち(恋愛小説ベスト10に入るくらい良い作品であるということ)を強くしました。
 悲痛な恋愛小説ということで、痛々しい感じの地の文が続くのかと予想されるところですが、そんなことはありません。確かに出だしの1章は、アキが死んだばかりのため重苦しい語りですが、アキが生きていたころの過去の回想シーンに語りが及ぶと、まるでアキが存在しないのを忘れたかのように、軽快な語りの文章が続いてゆくのがわかります。

 会話の面白さ、特に主人公の朔太郎のユーモアが効いていて、後半、アキの体調が崩れていったときの深刻さとの対比のメリハリが効いています。

 そして、もちろん病院を抜け出してのアキとのオーストラリア旅行を決行しようとするストーリーも秀逸ですが、注目すべきは、ベストセラーだと馬鹿にできない文章力がある点です。クライマックスの章は当然として、それ以外の章も、地の文がしっかりと書かれていることに、慧眼な読者は気づくはずです。
 構造的には、冒頭付近で取り上げられる、ラジオ番組への投稿エピソードが現実のものとなる仕掛けも、伏線としてうまく機能しています。

 もちろんキャラの造形もしっかり描かれています。
 総合的に見て、あまり欠点の見当たらない作品で、ほとんど古典的ともいえる完成度だと思われます。
 これを批判する人は、ベストセラーに対するただのやっかみでしょう。


 『世界の中心で愛をさけぶ』というタイトルですが、もともとのタイトルは、『恋するソクラテス』だったようです。編集者に助言され、
『恋するソクラテス』から、『世界の中心で愛をさけぶ』に変更をしたようです。
タイトルがすべてではありませんが、
『恋するソクラテス』のままだったら、あれほどのベストセラーにはならなかったかもしれません。




文:にゃんく


 

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STORY


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「虎鉄」は、人の役に立ちたいと思っている、「虎鉄」と呼ばれているネコの物語です。
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「みーな」は、飼い主が大切にするお皿を割ってしまったネコ、「みーな」ちゃんの話です。どうやら、人間以上にお皿を割ったことを、反省しているようですが……。


「のどか」は、門柱のうえに座り、いつも飼い主の帰宅を待っているネコ、「のどか」ちゃんの物語です。

REVIEW


いろんなネコちゃんたちの活動を記録した『ねこノート』。
読んだあと、ホッコリすること間違いありません!
心あたたまるショートストーリー集です。
皆様は、どのネコがお好きでしたか?


にゃん子さんの感想

ネコがかわいいです。
それぞれのネコの考えや、思っていることがわかります。
人間との関わりが好きなネコたちです。

マリーの話がいちばん好きでした。
あんまりファンタスティックな内容じゃないです(ネコが人間と会話したりはしません)。

今まで紹介されたネコが主役のコミックに比べて、『ねこノート』の方が、現実的なネコたちが登場する物語です。
ネコがゴロゴロするところとか、ネコの動きが丁寧に描かれています。



感想:にゃん子、文:編集長



にゃん子さんの評価(私、ネコ好きなので(^_^)



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珠玉の名作アンソロジー 2
出会いと別離 (小学館文庫
珠玉の名作アンソロジー 2)/小学館



STORY

吉野朔実作『グールドを聴きながら』は、女子高生になったばかりの真央子(まおこ)が主人公です。
まわりは、援助交際をしたりする同級生がいて、真央子はうまく彼女らとうちとけることができません。そんな中で出会った立花(りっか)という女の子は、大人びた雰囲気を持つ超美人・女子高生でした。
立花の母親は、再婚しており、複雑な家庭環境にあることがわかります。
立花はピアノを弾くことが好きで、上手でもありますが、母親と喧嘩をすることもあるらしく、母親が投げつけたナイフで立花は指を怪我しています。一方、母親の再婚相手の義父と、ふたりで映画に出かけているところを、真央子は目撃します。
クラスの男の子たちから追いかけられる立花。
真央子は、立花のことを友達だと思っていますが、別れは不意に訪れます。……


他には、バレエ団内での活動を題材にした、萩尾望都『青い鳥』や、
田村由美『晴れ、ときどき闇。』、
諏訪緑『イスカンデルクーリ』、
赤石路代『たとえばハイネみたい』、
篠原千絵『3人目が消えた』などのショート・ストーリーが収録されています。

「出会いと別離」をテーマにした作品をあつめたコミックです。

にゃん子さんの感想


高校の女友達って、そういうのあるよね。って思いました。
こっちは友達と思ってるけれど、向こう(きれいだし、男の人に注目されるし)は思ってないっていう。
(主人公<真央子>には)肝心なことは言ってくれない。真央子の方は友達だと思ってるけれど、立花には見えない壁があります。

大御所の漫画が一気に読めてお得ですよ。
それぞれ楽しめる漫画が収録されています。


にゃん子さんの評価(読んだことある作品が収録されていたので)


感想:にゃん子、文:編集長



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今回の返礼品は、何度も寄付させていただいている山形県鶴岡市からのものです。

どーん!


まず、メロンが7月下旬に届きました。
赤玉白玉2個です。

こちら、赤玉を切ったものです。
おいしかったですよ~!
たぶん夕張メロンとお味の方は、そんなに変わらないのでは?!
なんて、夕張メロンなんてよく食べたことないくせに、思っちゃったりしました。

まだありますw(゚o゚)w
どどど~ん!!



桃ちゃん7個です。
桃は、ぼく、たぶん、いちばん好きな果物です。
おいしいですよ~!
桃通のにゃん子さんは、「今年は太陽の恵みが足りなかったから、甘さが足りない」と仰っていましたが。

今回の寄付額は、1万円です。
お得なふるさとの特産品がいただける、ふるさと納税、どうぞ皆様も、納め忘れなさらないように。



文:編集長



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COMIC REVIEW 『旅は猫連れ』(前田とも作)


旅は猫連れ (ねこぱんちコミックス ねこの奇本)/少年画報社
¥734
Amazon.co.jp


STORY

「ねこのフキゲン」では、冒頭、寒いなか、黒猫が空腹でうずくまり、死にかかっています。そこへ20代くらいの女性の、絵里が通りかかり、その「フキゲン」な黒猫を連れて帰り、エサを与えます。
黒猫は、人間の世話にはならない、すぐに出て行くと息巻いていましたが、絵里の家には、一匹の白猫が居着いていることに気づきます。
やがて、その白猫は、事故で死んだ、絵里がミルクと名付けた、元・飼い猫であることがわかります。
ミルクが幽霊猫であることがわかり、しばらく「フキゲン」でカワイクない態度で、絵里のもとにとどまる黒猫でしたが……。


REVIEW


「ねこぎらい治します!」、「旅は猫連れ」、「ねこのフキゲン」などのショートストーリーが収録されたコミックです。



にゃん子さんの感想


いろんなネコの話が読めておもしろいです。
喋るネコもいるし、普通のネコもいるし、……。
喋るネコは、魔法がつかえると自分で言っています(本人<ネコ>がそう言っているだけですが。)ネコ嫌いの人をネコ好きにする、と言っている、人の言葉を喋る猫です。

最後の幽霊ネコの話がかわいくて、おもしろかったです。(「ねこのフキゲン」)


にゃん子さんの評価↑

感想:にゃん子、文章編集執筆:編集長





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おいしい緑茶ティーの作り方


暑い日がつづいています。
こういう日は、冷たい緑茶を飲みたくなるときもありますよね。

以前テレビで「お茶の上手な淹れ方」というのをやっていて、冷たい緑茶ティーの淹れ方だったのですけれど、それまで我が家でやっていたやり方とは違う方法でしたので、試しにやってみると、お茶の苦みもないし、この暑い時期に、冷たくておいしい緑茶が飲める!! ということで、それ以来、になると、欠かさずこの方法でお茶を飲んでいます。

それ以来、緑茶ティーがおいしいので、麦茶は、あまり飲まなくなってしまいました。

知らない方もいらっしゃると思いますので、あらためてご紹介させていただきます。



まず、お茶っぱポンなどを準備してください。お茶っぱポンは、後片づけの楽チンな、パックです。


お茶っぱポンに、お茶っ葉をいれます。スプーン一杯よりも、少なめでOKです。


ポッドに、茶葉の入ったお茶っぱポンをいれて、氷をたっぷり入れます。ふつう、お茶を淹れるにはお湯をつかいますが、氷をいれるところがミソです。


氷をいれたら、次は、水を注ぎます。あとは、ポッドにフタをして、冷蔵庫で8時間ほど冷やせば、緑茶の緑が浸透し、出来上がり♪です。

お湯をいれると、茶葉がひらき、カテキンのお茶の苦みが出てしまいますが、だと、この季節にちょうどいい、苦くない、冷たくておいしいお茶が飲めてオススメです!


飲んだあと、サッパリするのがいいです。

いちど試してみてください。






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COMIC REVIEW『お父さん、チビがいなくなりました』西炯子


お父さん、チビがいなくなりました (フラワーコミックスα)/小学館

STORY
60代の、お見合い結婚した夫婦<勝(まさる)と有喜子>の関係を軸に、物語は進行します。

勝と有喜子の子供(息子と娘ふたり)は、結婚したりして、それぞれ家を出て、彼らも今はふたりで暮らしています。
長年連れ添ったふたりはオシドリ夫婦と見られていましたが、飼っていた黒ネコのチビが行方不明になったころから、その関係にすきま風がふきだし、有喜子が勝に「離婚したい」と言い出すまでになります。
そんな勝と有喜子を心配する三女の娘(菜穂子)は独身で、恋人さがしが難航していますが……。
勝と有喜子の過去の出会いなどフラッシュバックも挿入しながら、物語は展開します。
さて、いなくなったチビは帰ってくるのでしょうか?

にゃん子さんの感想

絵もいいです。
おもしろいです。

だけど、この話はマンガだからいいのであって(お父さんの顔もカワイイし)、これが現実だったら、女の人が「離婚したい」なんて言い出すのはよっぽどのことだから、やっぱり離婚しちゃってると思います。

でも、ネコがいなくなったと同時に、勝の知り合いの志津子さんという同年配の女性が登場してきますが、その人と昔話をしているときに、自分の奥さんの話がちょこちょこ出て来て、あらためて昔のことを思いだす、という展開がうまくできてるなと思いました。
「(勝が)わたしのことを好きだと思ってた」と思う志津子さんみたいな女性は、「いるよね」×2と思いました。女ってやあね。

お父さんが、最後、ズルイな、とすこし思いました。


菜穂子の恋人になる男性が、すこしイヤでした。

でも、とにかくカワイイ漫画です。
カワイイは正義です。

にゃん子さんの評価


にゃんくの感想

村上春樹の『ねじまき鳥クロニクル』を思いだしました。
たのしく読めます。
物足りないところがあるとすれば、構成が単純で、既視感がありました(つまりネコがいなくなって、それを飼っていた人間たちの関係がおかしくなる、というストーリー)。






本文:にゃんく