『にゃんころがり新聞』 -23ページ目

『にゃんころがり新聞』

「にゃんころがりmagazine」https://nyankorogari.net/
に不具合が発生しました。修正するのに時間がかかるため、「にゃんころがり新聞」に一時的に記事をアップロードすることとしました。
ご迷惑をおかけして申し訳ございません。

さてさて、平成28年度のふるさと納税の返礼品を紹介するこのコーナー。
第4弾は、茨城県河内町の「常陸牛(ひたちぎゅう)」です!

百聞は一見にしかず、まずは画像をご覧あれ。

 

 

今回の寄付金は、1万円です。それに対する返礼品は、冷凍ですが、なんと常陸牛カルビ800g!

 

 

 

 

 

 ふるさと納税マスター(?)のにゃんくから言わせていただければ、和牛の800gというのは、かなりの量です。いろんな自治体のふるさと納税は試してみましたが、和牛の800gは、今までで最高の量ですね。

 

 本ブログ独占情報です。

 どんな雑誌を見ても、載っていないハズ。

 なぜなら、ぼくが一生懸命、自分で調べたからです。

 知っている人だけが知っている(当たり前の話ですが。)

 そして、知っている人だけが得をする。(それが、ふるさと納税の世界なのです。)

 

 知らなかった方は、お試しあれ!


さてさて、お味の方は・・・?

これはウマい!

上質カルビです。

 

河内町の場合、ふるさと納税は、河内町のHPに申し込み方法が記載されていますよ。

 

 

 

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(命泣組曲①↑の続きです。①を読んでいない方はこちらからどうぞ。)

命泣組曲②

文/にゃんく
イラスト/humi humi



あたしはふと我にかえり、鏡が見たくなった。部屋のなかを見回してみたけれど、窓のそばの棚のなかにも、棚のうえの小物入れのなかにも、鏡らしきものは何処にも見当たらなかった。
ベッドの下に揃えてあったスリッパを履いて、立ちあがった。
「何処に行くの?」
と待っていたかのように、栗色毛の女が訊いた。
「ちょっと、お手洗いよ」
とあたしは応えた。あたしが歩きだすと、女は、
「私もついて行くわ」
と言って、部屋を出て、廊下を歩くあたしの腕をとって並んだ。女の連れ添いは、まるで重病人のお供でもしているかのようで、それがあたしを不快な気持ちにさせた。
「大丈夫よ、ひとりで歩けるから」
身を揺すぶって、絡みつく女の腕をほどいた。女は困ったような顔をして、それでもまだチャンスがあれば腕につかみかかりそうな気配をみせていた。女は、あたしの左後方の、つかず離れずの距離を保ちつつ、くっついて来ていた。そのとき何かのはずみで、あたしはよろめいてしまった。灰色の壁に手を添えて、トイレのマークがあるところまで歩いて行こうとする。なんだか、この一週間のあいだに、ずいぶん軀が弱ってしまったように思えた。
スリッパを脱いで、タイル張りのトイレに入った。まず探したものといえば、鏡だったのだが、あたしの行動を見透かしたように、その鏡が何故かぜんぶコンクリートで塞がれているのだった。
仕方なく洋式の個室にこもり、用を足そうとした。ふと床に、ビラがいちまい落ちていることに気づいた。


 若返りのエキス、
 一本百万円
 これさえ飲めば
 あなたも永遠の若さが手に入ります
 歓びの声 各界から多数!
 数量限定
 早い者勝ちです

 ビラには男の写真が掲載されていて、
「病院の理事長も、このエキスを飲んで若返りました。どうか一刻も早くお試しください」
 という言葉とともに、男の写真の下には、長生病院理事長 唯野 亜句田という署名がいれられている。

 用がすんでから、廊下に出ると、女はあたしの戻りを、壁に凭れてじっと待っていた。
「行きましょう、お母様」
 女は腕をとって病室へ戻ろうとした。お母様、という言葉に、自我が敏感に反応し、あたしはわざと女の手を乱暴にふりほどいた。
「あたしは、あなたのお母様なんかじゃない!」
 と叫ぶと、廊下で遠くのほうにいた看護婦さんが立ち止まって吃驚した様子で此方の方を見ていた。栗色毛の巻き毛の女は、困った人を見るように、あたしを見つめていた。女の目尻のところにある皺が目についた。
「お母様、いったいどうしたのよ? 落ち着いてよ」
 と女はまた言った。あたしは女を残して、ずんずん廊下をすすんで行った。病室へは戻らなかった。それとは反対の、エレベーターへ向かった。
「ちょっと、何処行くのよ、お母様」
 とまだしつこく言い縋り、手を差し伸べてくる女をその場に残し、エレベーターのボタンを連打してドアを閉め、四階から一階へとおりた。一階の受付から、電話で実家に電話をかけてもらおうとした。携帯は、病室からはかけられない決まりとなっていて、入院した当初に病院の事務の人に預けていたのだ。
 一階の受付に駆けこんで、マンガ本を読んでいた男の人に、
「家に電話をかけてほしいの」
 と、ともすれば上ずりかける声を、おさえながら言った。男は三十代なかば、灰色のぼさぼさの髭を、東洋の修行僧ふうに伸ばしていて、目尻は垂れ下がり、厚ぼったい唇を、終始一、二ミリぽわっと開けていた。修行僧はマンガ本を閉じて、言った。
「それはできないって、言っているよ」
 修行僧は肘をつき、偉そうに髭に手をやった。蚤が巣くっていそうな、不潔なヒゲだった。
「どうしてできないのよ」
 とあたしは語気をつよめて言った。
「このあいだまでは、ちゃんとできたじゃない!」
 修行僧はヒゲに手を当てたまま、その感触をたしかめずにはいられない、というそぶりを見せていた。
「またですか? なんども困らせないでください。先生を呼びますよ? おとなしく病室に戻ってください」
 修行僧の手元のマンガ本には、<フリーダム・ハムスター>とあった。受付でこんなものを読んでいる人、しかもヒゲに触っていないと話もできない人に、そんなことを言われたくなかった。またですか、とは何なのよ。まるで以前にもあたしが同じことで悶着を起こしたような口吻だった。無性に腹が立った。ここの病院はおかしい。みんなして、あたしを虐めてる。そう思わないではいられなかった。あたしはこの男の髭を抜いてやりたくて仕方なかった。髭さえ抜けば、男は力をなくし、あたしは預けている携帯を取り戻せるような気がした。
 あたしは手をのばし、修行僧の髭を摑んで、力のかぎり、ぐいぐいと引っ張った。数本の毛が抜けて、ぱらぱらと机の上に舞いおちた。
「痛い! 何すんの!」
 <フリーダム・ハムスター>がページをとじて机上にことんと落ちた。修行僧はガバと椅子を立ち、手傷を負わされた様子で、顎を押さえながら、あたしから間合いを取っている。
 首をめぐらすと、背後に病院の正面玄関があった。エントランスから外に出てみようと衝動的に思った。やっぱりこんなところ、来るんじゃなかった。ママから頼まれなければ、被験者になんて、ならなかったのに。ママはお金目当てに、この病院であたしに一週間入院することを、泣いて頼んだのだ。
 ガラス張りの正面玄関に近づいて行った。宙に据えられたテレビの画面の前に並んだ三列の座席に、幾人かの待ち人が腰掛けている。自動ドアは二重になっていて、五十がらみの、でっぷりと肥えてお腹の出た警備員が、試合に出るたびに負けてくる力士のようにふやけた顔で、護衛兵よろしく出入り口ドアの傍らで屹立している。警備員の帽子に入った白いラインが心理的威圧を与えてくる。
 警備員の視線を痛いほど感じたけれど、あたしはドアのそばまで歩をすすめた。額をガラスに打ちつけるほど近寄ってみたが、ドアは開かなかった。センサーが反応しやすいように手を何度もぶんぶん大袈裟に振ってみたけれど、それでもドアは開かなかった。どうやら入ってくる人は入れるけれど、出て行くためには許可のようなものが必要なのかもしれなかった。
 ガラスのドアの向こうに、浴衣を着た八十歳くらいの老婆が佇んでいた。あたしと同じように、開かないドアのまえで途方に暮れ、肩をおとして項垂れている。あたしが手をすこし上にあげると、その老婆も壊れたオモチャみたいに手を差しあげた。あたしは皺皺になった頬に掌を添えてみた。ガラスに映った老婆が、狂女のように首を傾げ、指先で頬に触れている。ガラスに映ったその像がいったい何を意味するのか、咄嗟のことには理解しかねた。

 

「さあ、戻ってください」
 警備員がテロリストから大切な施設を守るように、あたしを力士のようにどんどん押して下がらせようとする。
「帰りましょう、お母様」
 いつのまにか、背後にあの女が立っていて、あたしの帯を摑み、ぐいぐい力任せに引っ張っている。
「あなたたち、いったいあたしに、何をしたの!」
 とあたしは叫んで、警備員と女の手を平手打ちし、振り払った。
 修行僧が受話器を耳に当て、髭を触りながら何処かに電話をかけている。あたしはもう一度正面のガラスに映っている老婆の姿に見入った。老婆は目を瞠り、今にも泣きだしそうな顔つきをしている。鏡が何処にもなかったのは、真実の姿をあたしに見せないようにするためだったのだ!
「助けて! あたし、この病院に殺されるわ!」
 ソファに坐っていた数人が、何事が起こったのかとぎょっとしたようにあたしを振り返っていた。でも誰も助けに来ようともしなかった。警備員があたしを取り押さえようと、緩慢な動作でグローブのような大きな両手を広げている。
「離して、触らないで!」
「大丈夫、大丈夫ですよ、ちょっと昔を思いだして混乱してるだけなんですよね」
「誰か、助けて!」
「此処がお婆ちゃんの家なんですよ、怖くないですよ、さあ大人しくしてください」
 あたしは両腕を広げTの字になり、そのままぐるぐると独楽のように回転し、誰をも近付けないよう防御と攻撃の布陣を敷いた。ぐんぐんぐんぐん速度をあげ、回転する。
「キチ子お母様、お願いだから、もうやめて」
 と宥めようとするあの女の声が聞こえる。あたしの名前はキチ子お婆ちゃん? ふざけないで! しばらくは、抵抗することができた。けれども、そのうち駆け寄ってくる足音が聞こえた。白衣の看護婦や医者たちだろう、彼らはあたしの防御陣形をいとも簡単に破り、あたしは幾人もの手で首根っこを摑まれ、首にぶすっと針をさし込まれた。毒の液を注入される痛みと心臓が激しく鼓動する音、やがて襲いかかってくる痙攣、ぐったりしてるだけなのに、暴れたあたしに対するお仕置きのために、軀のあらゆる部分をつねったり擲ったりしてくる手また手、阻まれる視界と無限に広がる暗闇、なすすべもなく、それでも最後の抵抗を試み、深海で息もできずに藻掻いているような状態がしばらく続いた……

(続)




 




『命泣組曲③』は↓こちらから読めます。
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本作と『拍動』で芥川賞の候補に二度あげられている作者。文学界新人賞受賞時のプロフィールでは、1979年生まれ。現在、37歳でしょうか。イラン・テヘラン出身、神戸大学大学院修了、システムエンジニア、となっています。
 
 
 

シリン・ネザマフィ

 コンスタントに作品を発表し続ければ、「漢字使用圏ではない外国人」では初の、芥川賞受賞となるかもしれない作家だと私は思っています。


(あらすじ。ネタバレあり)
 舞台はイランです。時は戦時中で、イランイラク戦争の時でしょうか。だとすると、時制は1980年代ということになります。
 主人公は女性です。文章に、「私」という主語はありません。文学界新人賞の選評でも、「私は」という主語を省いた文章が話題になりました。これは、読者に感情移入してもらいやすくする工夫のようです。物語は、この女性の視点を通して語られます。女性は高校生で、三ヵ月前、母親ととも首都のテヘランから、安全なこの田舎町に引っ越してきました。

 学校の授業風景からはじまります。先生の言葉、「君たちの今は白紙のように真っ白だ。これから君たちがその白紙にいろんな絵を描いていく。老人になって振り返って自分が描いた絵に満足できる人生を歩むため、今からしっかりしなさい」という話を生徒たちにします。成績の発表があり、唯一の満点が、ハサンという男子です。
 シーンがかわり、「私」が水かけっこをしている生徒たちを見ていると、いつの間にか傍に男の子がいて、話しかけてきます。男女が喋るのは禁じられていて、見つかると退学になるので、驚いていると、ハサンと呼ばれたその生徒は、私の父親がいつ帰ってくるのかだけを聞き出すと、走り去ります。私の父は医者で、現在、最前線の町の病院に派遣されています。
 私は、週に一度三日間だけ帰ってくる父のために、バザールと呼ばれる、トンネルのように細長い建物の中にある市場に母親と買い出しに出かけます。

 毛の刈られた、肉の一部が削ぎ落とされた羊が、肉屋の天井から吊り下げられていたり、客の目の前で、頭を斬り落とされた鶏が走り出てきたり、野性味というか、あけっぴろげなところのある市場です。そこにハサンが、母親と一緒にやって来ているところを見つけます。私は思わず、ハサンに見とれてしまいます。
 シーンは変わって、父親が家に帰って来ています。そこに、冒頭の学校の先生が診療にやって来ています。先生は父親に、「既にこの国では戦争のために十五歳から徴兵しているが、その年齢をさらに下げようとしている。けれども、どうしても、ひとり、戦争に行かせたくない生徒がいる」と話します。どうやら、ハサンのことを言っているらしい。
 次に、女性が診察にやって来ます。ハサンが介助をしているその女性は、ハサンの母親のようです。私は玄関の外でハサンと会話します。
「医者になりたい」
 とハサンは言います。
 日をおいて、私はハサンと少し離れて歩きながらも、連れたって一緒に、祈る場所であるモスクに行きます。そのようにして私は何度かハサンとモスクに通います。
「大学入試を受験する」
 とハサンは言います。医者になるためにです。

 或る日、ハサンとモスクに行く途中、空爆に遭います。避難したモスクの中で、兵士を募集する髭の男の演説を聴きます。「我々は戦争に勝つ」と男が檄を飛ばすと、聴衆は熱気に包まれます。兵士になるためのリストである白い紙に、署名をする人が出てきます。ハサンはそれを見ています。
 十日目に学校に行きますが、無期限の休校になっています。ハサンに会えない私は、まさかハサンがあの白い紙に名前を書いたのではと怖れます。近くにいた先生に、勇気を出してハサンのことを聞くと、ハサンはイスファハンという町に受験をしに行っていると教えてくれます。

 三日後、イラクが国境を越えて侵入してきます。テヘランへの空爆の可能性が高まり、首都の学校が全て休校になります。
 或る日、モスクの前でハサンと出会います。イスファハンからの土産でしょうか、絵が描かれた白い箱をもらいます。「父が来月帰ってくる」とハサンが嬉しそうに言います。

 何日か経ちます。私は父の親戚がいる町に引っ越すことになります。ハサンの家の場所を知りませんでしたが、それを伝えるために、以前、玄関に大きな罅が入っているとハサンが話していたことを頼りに、彼の家を探し出します。そしてハサンと会いますが、ハサンは何故か落ち込んでいるように見えます。やがて彼は話します。
「俺は昨日まで、戦争に行っている英雄の息子だった。」
 けれども、戦地で、味方の半数は死亡し、半数は逃亡した。戦争に行っていた父が逃げたという話を彼は語ります。

 それから日が経ち、或る日、ハサンが家を訪ねてきます。先生が話してくれた白い紙の話を覚えているかと、ハサンが私に聞きます。
「信じてる?」とハサンは訊ねます。
「何を?」と私は聞き返します。
「自分たちの人生が、白い紙で、そこに何を描くかによって人生が変わってくるっていう話」
 私は信じていると答えます。
 ハサンは、白い紙を半分に破り、自由になるのは半分だけと話します。さらに、彼は明日九時に広場に来てと言います。当日、私が行ってみると、トラックが数台止まっていて、十二歳くらいの少年などがいます。彼らは、「今から戦争に行く」などと、幾分ゲーム感覚の、高揚した口調で話しています。その中にハサンがいます。私はハサンに話しかけますが、間もなくトラックが動き出します。そこへ先生がやって来て、ハサンの受験が合格だったことを伝えます。そして医者になる方が国が助かるなどとハサンをトラックから降ろすため説得を試みますが、ハサンは無表情で、トラックはそのまま行ってしまいます。



 非常にきれいな作品です。文章も端正で、無駄がありません。ゴタゴタ書き込んでいない割に、中東のシーンが浮かんできます。
 物語の構成も巧みで、伏線となるシーンが丁寧に描かれているために、違和感を感じさせません。医者の夢を投げ捨てて戦地に赴いてしまうハサンの気持ちがわかるだけに、やり切れないラストです。
 単なる<些細な日常を描いた>というようなものでなく、テーマが大きく、普遍性があります。


ハサンのイスファハンからの土産物の、<絵が描かれた白い箱>、というのも、作中語られる「白い紙」を連想させます。
 創作合評ふうに、すべて要約してみましたが、できれば要約を読まずに作品を堪能していただきたいです。

 

(文藝春秋発行『白い紙/サラム』が出版されています)

 

にゃんくの評価 
 

文:にゃんく

 

シリン・ネザマフィの似顔絵は、hiroendaughnutさんに描いていただきました。

 

hiroendaughnutさんは、音楽を聞いたり歌ったり、踊ったりするのが大好きという、アーティストさんです。素敵な似顔絵を描いていただきました。
ココナラでhiroendaughnutさんに絵の注文をすることができます。↓
https://coconala.com/users/358675

 

 

 

 

 

 

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「竜の小塔」、「人魚禁漁区」、「わたしのかみさま」、「狼は嘘をつかない」、「金なし白祿」、「子がかわいいと竜は鳴く」、「犬谷家の人々」がおさめられたショートストーリー集です。

STORY
「金なし白祿」は、江戸時代の絵師・白祿の物語です。
白祿は絵が上手なので、描いた絵がほんものになると言われているくらいです。ですから、白祿は、自分が描いた絵の、動物や人間などは、片目だけしか描かないようにしています。(両目を描くと、ほんものになってしまうからです。)
けれど、そんな名人・白祿も、今は落ちぶれ、老いさらばえて、家族とも離ればなれになっています。
金もないため、白祿は、自分の描いた虎や竜の絵に、片目を描き入れ、ほんものにすることで、それを捕まえ、金をつくろうとします。

白祿は、自分の絵を所有している客の元へ行くために、まずは手はじめに、誰かが描いた贋作の白祿絵に、片目を描きいれます。
たちまち、馬と侍が紙から人間に生まれ変わります。

白祿と紙のお侍は、竜や虎をいけどりにしようとしますが……。

「犬谷家の人々」は、江戸川乱歩の『犬神家の人々』のパロディーです。
『犬神家の人々』とだいぶ違っているのは、「犬谷家の人々」は超能力をつかう点にあります。家族そろって、テレキネシスや、透明人間になる能力、空を飛ぶことができる能力などをそれぞれ身につけていますが、妙齢になった娘ありさに、このたび授かったちからは、
「服をパジャマに変えることのできる超能力」。


ありさは、あまり実用的でない、「服をパジャマに変えることのできる超能力」という、自分の超能力に引け目を感じています。

そんなところへ、一家のパパが、一夜の宿を貸すために、銅田一耕助という青年を家につれてきます。
銅田一耕助は、有名な推理の名人です。
家族の面々は、銅田一耕助がいるにもかかわらず、無意識に、毎日つかっていた超能力を披露してしまいます。それを目の当たりにした銅田一耕助は、殺人事件が発生したと勘違いし、早く帰ってほしいと望む家族の前で、得意の推理を開始します。
超能力が世間に暴露されることを避けたい家族は、どのように対応すべきか悩みますが……。


にゃん子さんの感想
以前とりあげた、『竜の学校は山の上』より、『竜のかわいい七つの子』の方がおもしろいと思います。(値段もこちらの方がお安いですし)。

特に私が好きだったのは、「狼は嘘をつかない」、「金なし白祿」、「犬谷家の人々」です。

「狼は嘘をつかない」は、「狼男」になる持病をもった男の子の話ですが、「狼男」が現代にいたら、こんな感じかなと思いました。(月を見たら狼男になる、とかじゃなくて、薬で症状を抑えるところとか。)狼男になったときに、お座りをしたりとか、犬っぽいところもおもしろかったです。

にゃんくの感想
ぼくも、「金なし白祿」と「犬谷家の人々」は特におもしろいと思いました。
作者の想像力に脱帽です。
自分も小説で、こういう作品を描いてみたいと思いました。

にゃん子の評価

 



感想:にゃん子、文:編集長

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にゃんくへのお仕事のご依頼はココナラからでも絶賛対応中です。
 http://coconala.com/users/252145






 

 

 

 

 



命泣組曲①

文:にゃんく
TOP絵:にゃん子
本文挿絵:humi humi

 

 

 気持ちのよい朝。ちゅんちゅん雀の鳴き声が聞こえてる。此処は四階か五階くらいの高さなんだろう、格子状の窓外にはつぼみの開いた桜の木々が見下ろせる。知らないあいだに、此処にも春がやって来ていたみたい。
 あたしはスプリングの効いた、ふわふわのベッドのうえで寝ている。真っ白のシーツが目に眩しいくらい。

 まだ夢の感触があたまのなかに残っていた。
 あの人からネックレスをプレゼントされた。
「かならず逢いに行くよ」
 と彼は言っていた。
 別れ際、彼はあたしの頬にキスをした。あたしたちは笑顔でいつまでも、手を振っていた。お互いの姿が見えなくなるまで。
 そろそろ軀を起こそうとしていると仕切りのカーテンのあいだから、四十がらみの栗色の巻き毛の女の人が顔を覗かせた。
「大丈夫? ついさっきまで、ずいぶん魘されていたから」
 魘されてた? こんなに清々しい朝なのに?
「そうなの?」
 その人はあたしに慈しむような視線をそそいでいる。恥ずかしくなって目をそらすと、
「そうだわ、喉かわいたでしょ? 何か飲みたいものある?」
 と言った。
  そもそもこの人は誰なんだろう? とあたしは思った。ずいぶん親しげな口調だから、この人はあたしのことを知っているのだろう。でも、あたしの方には、こころ当たりがない。誰ですか? と言うのも失礼のような気がしたから、そのことについては黙っていることにした。あたしはコーラが飲みたかったけれど、知らない人にそれを買って来てもらうことを頼むのは、さすがに思いとどまった。
「いらないわ。ありがとう」
 と言うと、女の人は笑顔で「そう」と言った。
「わたし、お手洗いに行って来ます」
 カーテンをしめて、女の人は姿を消した。
 部屋の中から誰かの咳き込む声が聞こえた。痰のからまった、苦しそうな咳を立て続けにしている。お爺さんの声みたいだ。その咳は、確実に、あたしが今いる同じ部屋のなかから聞こえている。
 あたしはベッドのうえで、ゆっくりと軀を起こした。そして灰色の布に手を伸ばし、カーテンをすこし開けた。
  右手の方にドアがあり、あたしのと同じ右向きにベッドの頭が置かれている。そのうえに、八十がらみのお爺さんが横になっていた。お爺さんは白髪で、老衰著しかった。まだ咳をしている。この部屋は十二畳ほどの長方形の狭い部屋で、そのなかにお爺さんとあたしのベッドが詰め込まれ、真ん中にカーテンでおざなりのように間仕切りがされている。あたしはカーテンの隙間をそっと元通り閉めた。
 この部屋は何処だろう? あのお爺さんは、誰だろう?
 カーテンがそっと開けられて、白衣の看護婦さんが這入って来た。まだ学校を卒業したばかりという感じの、とびきり若くて幼い顔立ちのかわいらしい看護婦さんは、白帽の下から、ツインテールにしたきれいな黒髪を垂らしている。彼女は手にささげ持った、白いごはんが盛られたお茶碗とお味噌汁を乗せたトレイを、あたしのベッドの傍らのテーブルに置いた。看護婦さんからは、ほんのりと、香水のにおいが漂ってきた。よく見ると、付け睫毛もしている。
 あたしはがっかりして言った。
「パンじゃないのね」
 お腹はそれほど空いていなかったし、ご飯みたいな重たいものは食べたくない感じだったのだ。
 看護婦さんは冷たいような表情をすこしも崩さずに言った
「食事は献立表で決められていますから。ワガママ言わないで、ちゃんと食べてくださいね」
 同年代のそのかわいらしい看護婦さんと、あたしは友達になりたかったのだけれど、看護婦さんのほうは、あまりあたしと関わり合いになりたくないみたいだった。すぐにもこの部屋から出て行きたそうにしていて、すでに向こう側にまわりカーテンを閉めようとしている。
「ねえ、あたしのママ、来ていますか?」
 とあたしは引きとめるように、訊いてみた。ママは一度だけだけれど、この病院にお見舞いに来てくれていた。そろそろママが二度めのお見舞いに来ることになっていたのだ。自分が知らないお部屋で寝かせられていることについて、あたしはママにその理由をおしえてもらいたかったのだ。
 看護婦さんは息をとめ、目を瞠り、吃驚したような顔をした。それはまるであたしが口にだしてはいけない言葉を口走ったみたいな表情だった。
「あなたのママは、……いません」
 看護婦さんはそう言うと、カーテンをそのままにして、引き締まった小ぶりのお尻を左右にふりふりしながら、部屋から出て行こうとした。いません? いませんというのはどういうことだろうとあたしは思った。此処にはまだ来ていないということだろうか。だったら、実家にはいるのだろうから、受付の事務の人にお願いして、電話をかけさせてもらえるよう、その手続きをしてほしいの。あたしが言っているのは、そういう意味なの。
「じゃあ、ママに電話するわ」
 とあたしは看護婦さんの背中に急いで、それだけのことばを投げかけた。看護婦さんの横顔のなかで、目だけがきょろきょろ動いている。
「何度も言わせないで。あなたにママは、……いません」
 看護婦さんはあたしを見ないでそう言い捨てると、開けかけていたドアに軀をぶっつけながら、慌てたように廊下に出て行ってしまった。
 あたしは肩をすくめて、サイドテーブルの食事に目をおとした。
 ご飯は黄色がかっていて、何だか臭ってきそうだった。あたしはやっぱりパンがよかったなあと思いながらも、食べないと看護婦さんに怒られそうだから、仕方なく、ベッドに腰かけながら箸を摑んで、食べはじめた。べとつく餅みたいなご飯だった。お味噌汁に、具は油揚げの一センチにも満たない切れ端が、申し訳程度に入っているだけだった。いつまでも咀嚼がおわらないごはんを口のなかに含みながら、あたしは看護婦さんが口にした言葉を、口のなかのご飯のように、何度も反芻していた。
「あなたにママは、……いません」
 看護婦さんは確かにそうおっしゃった。それは文字通り解釈すると、あたしにお母さんはいない、つまり、はじめからいなかったか、あたしを産んでから何処かに出奔してしまった、という意味にとれる。でも、現実は、そのどちらでもない。あたしのお母さんは何処にも行っていないし、つい先日会って話したばかりなんだから。
 ご飯を半分残した。なんだか胸がいっぱいになってしまった。
 看護婦さんは忙しかったから、たぶん言い間違いをしたのだろう。
 はじめの予定では、入院は一週間ほどだっていう話だったから、それから計算すると、すでに退院していてもいい頃だった。きっと看護婦さんも、お医者さんも、あたしが言い出さないものだから、忙しさにかまけて忘れているのだろう。次に看護婦さんがやって来たら、聞いてみよう。
 そして退院したら、すぐにでも大学に行こうと思った。授業はすでにはじまっている。単位、取らなくちゃ。何事も、はじめが肝心なんだから。
 そんなことを考えていると、
カツ、カツ、カツ、
という誰かの、床を歩いてくる音が聞こえて来て、ドアが開いた。さっきの栗色毛の女の人で、開いたカーテン越しに、その人は「あら」と言った。
「ダメじゃない、お母様。ご飯また残して。ちゃんと食べなきゃ」
 お母様? この人は頭が変なのではなかろうか。そう思って返す言葉もなく女の人の顔を見つめていると、相部屋のお爺さんの咳がますます高まって、あたしも、その女の人も振り返って、あたしたちは固まってしまった。咳はさっきからずっと続いていたのだ、しかもだんだん大きくなっている、そしてますます苦しそうになるばかりだ。

 ごほっ、ごほっ、
 ごほごほごほ、
 おえー、おえー、おえー、
 ごぼばっ。

「ちょっと大丈夫?」
 そのうち廊下からばたばたと人数が駆けつけて来る音が聞こえて、ドアが
バタムッ!
 と思い切り打ちつけられた。看護婦さん二人と、白衣の前をはだけたお医者さんが、姿をあらわした。

 

「まずいな」
 と三十歳代の男のお医者さんは眉をひそめた。
「吸引器をはやく」
 さっきご飯を持って来てくれた幼顔の看護婦さんが胸に掃除機を捧げ持っていて、もうひとりのモデルのようにスタイルのいい看護婦さんが吸引口のほうを小脇に抱えていた。掃除機の先っぽは、口腔内に入れやすいよう、先端が細長いかたちに改造されていて、スタイルのいい看護婦さんがそれをお爺ちゃんの口の中に差し入れると、まもなくギュウウウウウンという吸引する音が部屋のなかに響いた。
 お爺さんは白目を剥いていて、吸引器の立てるがぼがぼいう音がうるさかったけれど、意識はまったく失われているみたいだった。
「吸引器、ダメか」
 そう言うと、お医者さんは、手で掃除機に下がれの合図をした。そして「採血」と言った。
 すると看護婦さんたちは掃除機を床に置いた。幼顔の看護婦さんはおもむろに白衣のポッケから注射器を取りだすと、お爺さんの腕をまくって注射針を刺そうとしている。けれども、何処に刺すべきか逡巡している様子で、目を見開いて顔を腕に近付けたり遠ざけたりしている。
「早く、採血を」
 お医者さんがすこし、イライラして言った。幼顔の看護婦さんが、目を瞑って、えい、というふうに、注射針をお爺さんの腕に刺した。
「そこじゃない!」
 とお医者さんが叫んだ。
「どいて!」
 と言って、スタイル抜群の方の看護婦さんが幼顔の看護婦さんから注射器を奪い取った。
 スタイル抜群の看護婦さんの胸元は、大きな胸を強調するようにざっくり開いている。彼女はしばしの間、注射針を蛍光灯の光で消毒するように、顔の前で掲げていたが、お爺さんの浴衣の胸元をはだけると、意を決したように心臓のあたりにひと思いにずぶっと針を突き刺した。ぎゅうっと力を込めて、真っ赤な血を時間をかけてゆっくり注射器のなかに吸い上げている。その作業をしているあいだに、機械のピーーーッという音が聞こえてきて、お医者さまはガクッと首を垂れて、ベッドに片手をついた。お医者様がお爺さんの脈をとっている。
「ご臨終だ」
 と彼は目をつむり、聞き取れないほどの小声で言った。「……時間は?」
 心臓に注射針が突き立ったまま、それを抜きもしないでグラマラスな看護婦さんが腕時計を見ながら、「九時十一分です」
 と答えた。
 お爺さんの顔のうえに白い布が被せられ、幼顔の方の看護婦さんが部屋の外からストレッチャーを運び込んで来た。お爺さんを三人がかりでストレッチャーに移すと、スタイル抜群の看護婦さんが言った。
「先生」
「なんだね、こんな時に?」
 とお医者様が言った。
「腰のあたりが疼くんですけれど……」
 と変に色っぽい口調で看護婦さんが言った。お医者様は看護婦さんの胸に視線を落としたあと、
「仕方ないな」
と困ったように言った。でも、内心はそんなでもなさそうな様子で、
「あとで診てあげる。これを運んだら、シャワーしてから、例の個室で待機していなさい」
 グラマラスな看護婦さんが身をくねらせ、ねとつくような笑みを漏らして返事を返そうとする前に、
「センセエ」
と幼顔の看護婦さんが話に割り込んだ。
「今度は、いったい何だね?」
「私も、太股のうえあたりが、なんだか熱っぽいんですけど」
 お医者様は迷惑そうにしていたが、内心は昂奮を抑えきれないというふうに、
「よしよし、わかったわかったよ。すぐに診れるよう、君はスカートを脱いだ体勢で、Sの部屋で待っていなさい」
 はぁい、とふたりの看護婦は艶めかしい返事をすると、事務的にストレッチャーをふたり前後して押しながら医者とともに部屋を出て行った。
 彼らが出て行くと、部屋のなかはがらんとした。時計の音がチクタク、チクタク聞こえるくらい、静かだった。
「何なの、あの人たち」
 とあたしは独りごちた。
「顔とスタイルだけで採用したような、看護婦さんたちね」
 しばらくすると、
「気にしないで」
 と栗色毛の女が囁くように言った。
「そんなの何処にでもある話よ。お母様が目くじら立てても、どうにもならないわ。それに、衰弱していたのよ、あのお爺さん。看護婦さんが美人でも、美人でなくても、誰にも死ぬことなんて、とめられやしないんだから」
 あたしは髪を掻きあげた。指のあいだに、白髪が一本絡みついた。不吉なような純白だった。やだ、真っ白。あたしは手をふった。白髪が年末の侘びしい雪のようにひらひらと床のうえに落ちた。
「長く入院していたのかしら、お爺ちゃん」
 とあたしが言うと、女はあたしを一瞥し、憐れな生き物に同情するように目を細めた。
「いいえ、キチ子お母様と同じ、一週間前にこの病院にきたのよ」
 と女は言った。
 その言葉に何か意味があるのだろうか。そこには重大な隠された予言が含まれているような気もするし、ゴミのように吐き捨てられていく日常の、ありふれた単なる会話の断片に過ぎないような気もした
(続↓命泣組曲②へ)
http://ameblo.jp/nyankodoo/entry-12150943341.html





 

○本文の挿絵を描いていただいたのは、イラストレーター&作家の、humi humi(ふみふみ)さんです。
息せき切って、病室へ駆けこんでくる医者と看護婦を、イメージ通りに描いていただきました!
humi humiさんへの絵のご注文は、ココナラからできます。
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平成28年度のふるさと納税の返礼品を紹介するこのコーナー。
第3弾は、広島県竹原市の「葡萄(ブドウ)」です!
葡萄って、どうなんだろうな~とはじめはパッとしなかったのですが、
女性には人気の果物なのかもしれません。
そして我が家に届いたのは、こんなにたくさん♪↓


 


けっして、自慢しているわけでは、ございません!
参考になればという思いで、書いていますので、ご了承を!
でも、お味の方の感想を言わせていただきますと、ほんっとに「美味しかった!」です!
おすそ分けしたのですが、その方の感想も、「こんなにおいしいブドウ、食べたことない!」
まさにそんな感じでした。
ちょっと近所のスーパーとかで売っているブドウとは質が違いましたよ。

ふるさと納税の魅力は、ただ同然で返礼品がいただけるという金銭面でのプラスがあると思うのですが、それともう一点、寄付する地域の特産品がいただけるという利点がありますね。
前回であれば、「ウニ」がそうですが、竹原市も、「ブドウ」を地域としてPRしたい特産品として送ってきているわけですから、やはり味が全然上質なのです。
ふるさと納税の制度を悪く言う方もいらっしゃいますが(新聞など)、ぼくは全然好きですねっ(特産品がもらえるという理由だけじゃなく。地域の経済に寄与できて、喜ばれるという点もありますし)。
まだやってらっしゃらない方は、これを機に、ぜひ利用してみてくださいね♪
ちなみに、今回の寄付額は1万円です。



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STORY
「帰郷」、「魔王」、「魔王城問題」、「支配」、「代紺山の嫁探し」、「現代神話」、「進学天使」、「竜の学校は山の上」、「くず」などのショートストーリーが収録された漫画です。
「代紺山の嫁探し」は、働けど働けど豊かになれない村が舞台の物語です。
  村人たちは、村に福を招くために、身よりのない若者、権平を神様に嫁がせようとします。
  村の少女おみつは、権平が、体のいい人柱にされることに、猛反対しますが、のんきな権平は、家族のいない自分が適任だと言って、妻となる神様を探すお遍路の一行について行きますが・・・。
 結婚を申し込んだ相手が、下半身が大蛇の「火の神」だったり、広大な池の水全部が体の一部の「水の神」など、一筋縄ではいかない神様たちが登場してくる様子がおもしろいです。
  神様を怒らせた村人たちに、意外な結末が訪れます・・・。
「帰郷」は、魔王を倒した勇者が帰郷してからの話です。

「魔王城問題」は、魔王を倒してから、今度は人間どうしで争いはじめ、今では役立たずとなった勇者が、浮浪者のような存在と成り果てています。
 勇者は、そんな人間たちを、どうしようもない者を見る目で眺めていますが・・・。
「竜の学校は山の上」は、竜が実在する架空の世界が舞台の物語です。大学には、竜を勉強するための、竜学部があります。竜学部に所属する学生たちの話です。

にゃん子の感想
他のマンガでは、勇者が魔王を倒すまではよく描くことがあると思うけれど、その後(魔法を倒したあと)の話を描いているので、おもしろいです。
「現代神話」では、猿人と馬人が登場します(馬人は、上半身が人間、下半身が馬の体をした人間です。)が、けっこういろんなことを皮肉ってると思います。
猿人と馬人は、仕事できる人とできない人とか、日本人と外人とかに置き換えられると思います。
色んな見方で観れるから、けっこう深いかな、と思います。
最後の、「なんにも違わない」、というセリフ、たしかにそうかもね、と感じました。
馬人、足早くていいな~。
この作者は、優しい絵だから、いいです。
絵がらを、この作者は変えてくるんですね。
勇者や何かの話のときは、ちょっと怖い感じの絵になりますし。

にゃんくの感想
竜が登場したり、魔王が存在したり、空を飛べる人間がいたりと、どの話も、現実世界から飛翔した設定の、ファンタジーな世界が舞台です。けれども、何となく、現実の世界にいそうな人々ばかりを描いた作品集です。
現実世界に退屈したときや、少しホロっとしたいときにオススメのマンガかもしれません。



にゃん子の評価
 

感想:にゃん子、文:編集長

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台風がすぎて、暑い日がつづきますね!
こんなときは、さわやかなカクテルが飲みたくなりますよね。
そこで今日は、自分で考案したカクテルの作り方をご紹介します。
今回は、女性にも飲みやすい、ノンアルコール編です。


まず、グラスに氷を入れて、トマトジュースをこのくらい入れます。

 

それから、オレンジジュースをそそいで、よくかき混ぜて、できあがり♪

 


さて、気になるお味のほうは?!

オレンジの酸味と、トマトジュースの甘みがうまい具合にブレンドされて、夏ぴったりの爽やかカクテルが出来あがりましたよ!
こういうカクテル、市販されているのかどうかわかりませんが、
名づけて、
 「トマトの甘みとオレンジの爽やかカクテル・トマオーレ!」
 名前が長いとおいしそうですよね?

 市販のノンアルコール・カクテルもよく飲みますが、何が入っているか不安なところがありますよね。でも、「(略)トマオーレ!」なら、ヘルシー、しかも簡単!
 ぼくの知り合いで、「トマトを朝から飲むと、体が快調だ」と言っている人もいたくらい。そんな体にいい、トマトでできた「(略)トマオーレ!」を朝から飲んで、元気いっぱいがんばりましょう!

みなさまも一度おためし下さい。

編集長


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 リンゴの木




文:にゃんく

絵:gotogoal










 私のおばあちゃんはリンゴの木を持っている。

 おばあちゃんのおばあちゃんが埋めた木だから、相当立派な木だ。

 その木の下で、最近おばあちゃんがよく嘆いている。


 私はおばあちゃんになんで嘆いているのか聞いてみると、
「もうすぐ旬の時期だっつぅのに、夜誰も見ていない間にリンゴを盗んでいく人がいるだべ。」


 もうすぐ美味しくなるリンゴをおばあちゃんは心待ちにしているのに、それを盗んで行くなんて。
 リンゴの木は道に面して立っているから、簡単に盗んでいけるのだ。

 私は、昼間寝て、夜ドロボウを捕まえるために張り込みをはじめた。

 女では返り討ちに遭うかもしれないので、ボーイフレンドに用心棒を頼んだ。

 捕まえたら、警察に突き出してやろう、と思った。

 夜になった。
 星明かりがあるので、泥棒が木に近づけばすぐに分かる。

 私はリンゴの木がちょうどよく見える小屋の中から外をうかがっている。

 ここであればトイレもあるし、いざというときすぐ出れる。
 そばでは、ボーイフレンドが寝ている。「泥棒来たら起こして。途中で交代する」
 そう言ってボーイフレンドは寝てしまった。


 昼間は布団に入ったが、なかなか寝付けなかった。
 少し眠ったようだが、なんだか目がとろ~、として眠い。

 まだ時間が早いので目をつぶっていよう。すこしだけなら大丈夫だろう。

 気づいた時にはすでに深夜だった。
 日付が次の日になっている。

 ふとリンゴの木に目をやると人影が立っている。
 その人影は手に何か丸い物を持っている。
 泥棒だろうか?
 寝過ごしてしまったか。

 いや、まだ間に合う。私はボーイフレンドを揺すって泥棒が出たよ、と言う。
 ボーイフレンドは熟睡していて、いくら揺すっても目を覚まさない。
「役に立たない用心棒だわ。」
 私はすぐさま小屋を出て、限りなく大きい人影に近付く。
「ちょっと待って!」
 人影がびくり、と立ち止まる。
 大きいと思った人影は、近付てみると子供だった。まだ5、6歳の少年だ。


 少年はリンゴを1つ、右手に持っている。リンゴはまだ半分青かった。

 リンゴの木を見上げると、昼間見た時より少なくなっているような気がしないでもない。
 数えていないから分からなかった。
 この子が盗ったのだろうか。

「君、そのリンゴ、どうするの?」
 私は少年に聞いてみた。
「お母さんが病気なの。」
「それでお母さんにリンゴを食べてもらうの?」
「そう。」
「そのリンゴ、どうやって盗ったの?」少年は地面を指差す。少年の身長と同じくらいの長さの木の枝が転がっている。「これでつついて盗ったの?」
 少年はこっくり頷く。
 少年は髪が長く女の子のよう。その癖毛の髪の向こうに大きな目が2つ光り輝いている。
「お母さん、何の病気なの?」
「・・・癌。」
 私はすこし怯む。
「リンゴを病気のお母さんに食べさせていたの?」
「そう。リンゴは病気に効くんだって」
 私は少年を警察に突き出すべきか考えた。
 私がこのまま少年を放置すれば、少年は病気のお母さんのためなら泥棒をやってもいいと勘違いするだろう。
「そのリンゴの木は所有者がいるんだよ。勝手に盗って行ってはいけないよ。」少年はこくん、と頷き、手に持っていたリンゴを私に差し出した。
「いいよ。それはお母さんに持って行きな。」
少年は「ありがとう。」と言って、一度だけ私の方を振り返り去って行った。

 少年の言うことが本当かどうか分からない。
 何処に住んでいる少年だろうか。見たこともない。

 かなり遠くからお母さんにリンゴを食べさせるために毎夜やって来ていたのだろうか。

 小屋に戻ると、ボーイフレンドが目をさましたのか、
「泥棒まだ来ない?」
「もう来たよ。」
「何処何処?泥棒どこ?」
「もう逃げたよ。役立たず。」
 ボーイフレンドは私に叱られ、しゅんとなった。
 私がむしろの上に横になって目をつむると、ボーイフレンドが私の胸を触ってきた。
「やめてよ。眠いんだから。」
 私はそんな気じゃなかったのに、彼は私の下着に触れてくる。私が逃れようとしても、すごい力で押し込められる。
 彼は私の下着を脱がせ、私の下腹部を猫のように舐めはじめる。私はされるがままになっている。
 小屋の外に誰かがやって来る気配がする。さっきの子供が戻ってきたのかもしれない。
 だけど、彼はおかまいなしに、私の中に入ってくる。
「これでも俺が役立たずだって言うの?」
 役立たずの彼が役立っている。私は小屋の外にまで聞こえる声を出していた。
 小屋の外の誰かが、ゆっくりと歩き去って行く音が聞こえた。


 次の日から、おばあちゃんがリンゴの木の下で嘆くことはなくなった。

 それから一週間後、リンゴの木の下に手紙が置かれていた。
 手紙には飛ばされないようにこぶしほどの大きさの石が置かれていた。

「リンゴどろぼうより」
 そこにはこう書かれていた。
「お母さんはこんしゅう、しにました。こんなにおいしいリンゴはたべたことがないといってよろこんでいました。どうもありがとう。」


 リンゴの木にはたくさんの熟した美味しそうなリンゴが収穫されるのを待っていた。


私は待ち伏せして少年にリンゴをもっとプレゼントしてあげればよかった、と思った。



(了)









 gotogoalさん



今回、挿絵を描いていただいたのは、gotogoalさんです。主に、水彩画色鉛筆で絵を描いていらっしゃる、ジブリ好きのアーティストさんです。


↑gotogoalさんには、ココナラから絵の注文をすることができます。














STORY
2012年から連載中のコミックです。
架空の世界の森の中の、ハクメイとミコチという2人の女の子の小人が、鳥などの小動物と会話したり、いろんな人と出会ったりする生活を描いた作品です。

ハクメイとミコチ 2巻 (ビームコミックス)/KADOKAWA/エンターブレイン


にゃん子さんの感想
(絵の)カキコミがすごい丁寧です。1コマ1コマ描くのたいへんだろうな~と。
その分、ストーリーは、ほのぼの生活を、ゆっくりじっくり書き上げてます。
私的には、ストーリーが、ちょっと物足りないかな、と思いました。







 
にゃん子さんの評価
(絵の書き込みがすごいから4点です。ストーリー的には3点ですかね。)
 

感想:にゃん子、文:編集長


 





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