酒は果てしなく飲むけれど、案外、飯は食わない「なつむぎ」です。
ほんとだよ。腹の周りについてる肉は、ほとんどアルコールでできてます。
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そんなボクは、こっちに来てから基本的に1日1食なんだよね。
これは飯の話ね。ワインやビールなら、ちょくちょく摂取してるけど。
朝にちょっとしたものを食べることはあるけれど、
安宿のコンチネンタルの朝食なんて食べても、なんか味覚も満たされないしさ。
で・も・ね。
リスボン初日の昨日、ボクは2食食べちゃいました。
1食目(昼)については、またいずれ書く機会があるかもしれないけれど、2食目は、
タコ飯が食いたくて!
もう「ビール飲んで寝ちゃおうかな」ってなムードのいい感じの夜、
宿の近くの、なんだかツーリスト相手にやってるレストランがずらっと並んでる一角に出かけて行ったんだよね。
ボクの宿は、安宿だけどロケーションだけはなんかすっごく中心なの。
独語やら、英語やら、仏語やら、伊語やらで書いてあるメニューを見ながらボクが探していたのは、
「タコ飯」 あ、沖縄名物の「タコライス」とは違います。
上品に言えば「タコのリゾット」 ポルトガル語で言えば arroz de polvo 「アローシュ・デ・ポルヴォ」
一軒一軒メニューを見ながらこいつがあるかどうか見ていったんだけど、
たいていメニューを見始めたとたんに、お店の客引きが説明を始めるんだな。
そんな中で一番感じの良かった子との会話は、こんな感じだった。
あんた、ブラジルから?
ちがうよ。日本だよ。顔みりゃ分かるだろ?
わからないよ。
ってかさ。キミこそポルトガル人なの?
あ、私ね、ネパール人。
そんな感じだったんだよね。
東洋的なんだけど、なんかコーカソイドのムードがある。
小さな顔で、黒い髪、黒い目なんだけど、そんなのスペインやポルトガルにはたくさんいるし。
で、あ、なんか気に入った、ここにしようかなって思ったら……
タコ飯、無いのよね。
って。
だから、2番目に良さそうだなって店に入ったワケです。
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その店はボクが一番最初にメニューを見た店で、
ポルトガルの陽気な元気なお姉さんって感じのウエイトレスが客席を仕切っていて、
ボクが「タコ飯が食べたいんだけど」って言うと、
「あるわよ~ 今日ちょうどいいたこがあがったところだから」ってな感じでとっても調子が良かった。
タコ飯とワインを注文して、ワインを飲みながらわくわくしながら待ってると、出てきた料理がこれ!
美味そうでしょ。

で、一口食べて、美味かった。
でも、タコがいないんだな。
どう見ても居ない。どう考えても居ない。
タコ飯なのにタコがない。
どして?
で、彼女に聞いたわけです。
あのさ。これ、タコ飯?
そうよ。タコ飯よ。 *1
[フォークで肉をつまみあげて] これタコ?
口に合わないの?
いや、美味しいけどさ、これ、タコじゃないでしょ?
[一呼吸]
そうよ。
あなた、アヒル飯を頼んだじゃない。 ←きっぱり!
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えっとね。
もしかして、「タコ」と「アヒル」がポルトガル語ではすっごく似てて、外国人のボクが発音したら間違えることもあるんじゃないかって思ったでしょ。
ちがうんだな。
タコ は polvo で「ポルヴォ」 アヒル は pato で「パト」
「P」しか合ってないですから!
彼女も *1 のところで、しっかり「そうよ。タコ飯よ」って言ってるし。
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ってなワケで、腹がきつくなるのを我慢して食べに行ったタコ飯は、大空振りでした。
アヒル飯も、美味かったんだけどね。
でもね。
明日こそ、タコ飯食ってやる!
