パリのご報告 | /// H A I H A I S M ///

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あわてない、あわてない。赤ちゃんが「はいはい」するように、のんびりゆっくり進みましょう。

ボンジュール メダム・エ・メッシュー

早いもので、29年ぶりのパリともお別れの日となりました。えぇ、ここがパリならば。

シャルル・ド・ゴール国際空港に到着してもう丸4日以上が経ったなんて、全く信じられないな。
そりゃ、最初こそ小さな失敗はありました。

空港では、第1ターミナルの円形の建物で案内板の矢印どおりに進んだはずなのに迷って、スーツケースをガラガラ引きながら建物をぐるりと1周してしまいました。

初日のスーパーでは、ちょっと歯ブラシとビールを買って9ユーロちょっとだって言うのに、50ユーロ札と10ユーロ札を出してレジの女の子に50ユーロ札を笑って返されました。なにやってるんだか。

そしてさらには、ビニール袋は別料金(3セント)だって言われてまたその50ユーロ札を出して、こんどは苦笑いだったな、彼女。ボクの手のひらの中のおつりから、自分で3セントをつまみあげてました。

いやはや、すっかり極東の田舎町から来たオノボリさんです。


でも、今はもうすっかりパリジャンですよ。丸4日経ったからね。
赤白青の3色蝶ネクタイとかも、すっかり似合うと思います。
チャームポイントのヒゲも、心なしかムッシュ・ピエールみたいになってきてますしね。

*****

----- 旦那さま。セバスチャンでございますよ。
   最近お見かけしないものですから、また自分の部屋にこもられていると思っていたらパリですか。
   いやはや。


なにが「いやはや」だよ。自分の故郷に戻ってなんで悪い?

----- 故郷って旦那さま。旦那さまには幼い頃の記憶に混乱がございますな。
   確かにお母さまは今パリにお住まいでいらっしゃいますよ。でも、旦那さまがお生まれになったのは大田区ではありませんか。


大田区だって? パリにそんな名前の区はあったかな? パリの区は番号じゃなかったのか? ネスパ?

----- おや、フランス語を混ぜたりして。まぁ、良いといたしましょう。
   で、どうだったのでございますか、パリは。


そうだなぁ。29年も経っていろいろ変わった気がするよ。

----- それは、いろいろと変わりもするでしょう。

以前は、ホテルやレストランでもフランス語しか話してくれなかった気がするんだけど、今回はボクが日本人だと見ると英語で話してくれたりするんだ。

----- それは、ずいぶんと気が楽でございましたでしょう。

あぁ、多少は気が楽だったな。
この分だとあと29年すると、日本人だと見ると日本語で話してくれたりするんじゃないだろか。

----- そうでございますかねぇ。日本語がそんなに国際的な言葉になるんでございましょうか。

   それより、パリに4日間も居て、観光地には行かなかったんでございますか?



観光地…… エッフェル塔を見た。遠くから。

///   H A I H A I S M   ///-エッフェル塔

----- おや、なんとも小さいエッフェル等でございますな。他には?

サクレクール寺院も、ホテル近くの路地から見えたぞ。

///   H A I H A I S M   ///-サクレ・クール

----- なるほど。確かにサクレクールでございますね。他には?

他には…… そう、ルーブル宮殿も見たぞ。中には入らなかったが。

///   H A I H A I S M   ///-ルーブル宮

----- 確かに。29年前にはなかったガラスのピラミッドもありますな。他には?

セバスチャン。他には? 他には? と、うるさい。
ボクは、ここに観光に来たわけじゃないんだ。

----- はい、旦那様。わかっておりますとも。「絵」を探しにいらっしゃったんでございますよね。
   何か、お気に入りの絵はあったのでございましょうか。


お気に入りの絵か…… むずかしいな。
とりあえず、自分のためにはこれを買ったよ。たった10万ユーロだった。

///   H A I H A I S M   ///-絵

----- で、ワタクシめには。

セバスチャン…… ボクはセバスチャンの好みを知らないんだってことに、今、初めて気がついたよ。

*****

----- そう言えば、昨日は旦那さまの誕生日でございましたね。
   パリで迎えるバースデイ。美味しい食事でもなされましたのでしょう。


あぁ、したよ。フランス料理といえば、鴨だろ? 鴨のオレンジソース。
ラ・トゥール・ダルジャンに行ったよ。

----- トゥール・ダルジャンでございますか。予約をお取りになるのが大変だったのでは?
   セバスチャンに申し付けていただければ、お屋敷の方から予約を入れましたのに。


いや。ボクくらいになると予約なしでも入れるんだ。

----- そうでございますか。で、お味の方はいかがでした?
   さすがのお味でございましたでしょうか?


う~ん。そうだなぁ。麺が美味くなかったな。

----- はい?


これだよ、これ。

///   H A I H A I S M   ///-チャーシュー麺

----- これは、ラーメンにチャーシューでございますな。

そうだよ。チャーシューだよ。鴨の。スープはオレンジ仕立て。

----- また、ご冗談を。
   しかしですな。お誕生日のディナーに独りでチャーシュー麺とは、セバスチャンは少々せつのうございます。


独りなのはしかたがないさ。
どういうわけか、昔からの親しい女友達のアンジェリークも、ベアトリスも、シャルロットも、デルフィーヌも……

----- いったい、何人お友達がいるんでございましょう。

ABC順に、すべて取り揃えてある。

----- で、彼女たちはどうなさいました?

どういうわけか皆、ボクの旅行の時期、不思議とパリを離れている、残念だわと連絡があった。

----- Zまで、すべてでございますか?

いや、Yのイヴォンヌまでだ。Zは欠番。

----- わかりました。わかりました。で、ラーメン屋というのは、またどうしてでございましょう。

本当は、隣のうなぎの店に入ろうとした。

----- それが、うっかりラーメン屋に。

いや、うっかりじゃない。小柄で知的な感じの美しいパリジェンヌが2人、ラーメン屋に入っていったのだよ。

----- 追いかけたのでございますね。

追いかけたわけじゃない。あのような知的な美しさを持った女性が選ぶ店なのだから、美味しいに違いないとね。

----- しかし旦那さま。うなぎ屋の隣のラーメン屋でございますか。
   いったい本当にパリなので……



セバスチャン。お前だけは信じてくれると思ってたのに。


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