動物界 7宣伝間違ってるやろ。突然、いろいろな動物に変異してしまう奇病が存在する設定。対処法は見つからず、獣になった人たちは捕獲され、施設に隔離される。母親が発症し行方不明、自分もオオカミになりつつあった少年と父親の物語。ホラーみたいな宣伝だったけど、ずっと切なくて悲しい物語だった。もう一人くらい意思の通じる仲間が登場すると、さらに物語が深くなったかも。妻がきえ、息子の発症を知り、一人になることを受け入れなければならない父親。それでも「生きろ」自分だったらどう言うだろう…。
室井慎次 生き続ける者 6史上最大の餞別!ご存知、踊る大捜査線シリーズのカウンターキャラクター室井さんの前後編4時間弱に渡る晴れ舞台の後編。50そこそこでの最初のキャリアでの挫折、それまでの人生にたいしての後悔、未来ある子どもたちへの期待。中年オヤジとして共感する部分はたくさんある。ご都合主義の展開はいつものことだけど、今回は生々しすぎやしないか?過去の遺産でもう一儲けしたいフジテレビ。不仲のために今は成立しない青島と室井の2ショット。じゃあ室井に死んでもらうしかないよね、でもメチャメチャ功労者やん!という花道映画だわ、これ。
レッド・ワン 5これでいいのだ!わかりやすい見た目のマッチョヒーローとしての地位を確立したロック様。ジュマンジ2チームとお子様向けアクションファンタジーとしては及第点か。サンタを取り戻してからのプレゼント配送にはワクワクしたけど、あのおもちゃを本物にできる能力は車だけじゃもったいない!いろいろ使ってほしかったなぁ。フィギュア系とかぬいぐるみ、ヒーローの武器系、そして大人の…いやそれはやめておこうか。
本心 5ず〜っと違和感。池松壮亮が平野啓一郎の原作に惚れ込み、石井裕也に映画化を頼み込んだという。そのメンツにかなり期待していた…。つまらないわけではない。技術革新がすすむ未来への不安もよくわかる。でも心がモゾモゾしたまま、ラストを迎えてしまった。いわばAIを使ったイタコやん。母の死の謎がきになるのはわかるけど、本心ってたぶん知らないほうが幸せ。ライフログやメールのやりとりいくら取り込んでも、そんなもの記録されてへんて!高校の時に好きだった子にソックリな人と出会ったら、そらドキドキするわ…あかん、このブログもオレの思考として学習されてしまうわ。
十一人の賊軍 5ボカンとグチャっ!それがやりたいから作り上げる物語ってなぁ。仲野太賀はカッコよかったし、アクションシーンは迫力あった。でもそれだけ。動機が描かれないキャラの行動はストーリーの中での役割でしかないし、もちろん心に響かない。最新技術でこんなかっこいいシーン撮れるんです、血まみれドッカーンですわ、それを見せるだけなら2時間半もいらんよ。
アイミタガイ 7余韻にしばらく浸りたい。黒木華演じるウェディングプランナーが主人公。中学時代、イジメから救いだしてくれた親友が、事故で亡くなる。その喪失感に沈んでいた彼女が、周りの奇跡のような連鎖で再生していく。アイミタガイ、相身互いと書くそうだ。貸しとか借り、損とか得とかじゃなく、お互いに支え合って、頼り合って、親切を贈りあって生きていく。その幸せに気づけるのなら、「いい人ばかりの都合良すぎる物語」でも、ええんちゃうか?エンドロールに流れる黒木華の優しい歌を聴きながら、そう感じた。
ヴェノム ザ・ラストダンス 5夢の途中…。これまでヴェノムが好きだったポイント。(1)有無を言わせない圧倒的な強さ(2)それを使っての宿主への無茶ブリ(3)本能の赴くままな自由さ 終わらせるためのシリーズとは言え、これがない。(1)敵の虫みたいな奴には歯が立たないし、(2)妙に宿主との間に情がわいて、普通のいいコンビになってる(3)人間のために自らを犠牲にする、そんなのヴェノムちゃう!回想シーンも結構だが、これまでのヒーローとは違う斬新な設定を回収できなかったイガイガが残ってしまった。
リトル・ワンダーズ 4おもてたんとは…小学生の悪ガキ3人(後半4人)組の一夏の冒険ムービー…と想像してたけど、ちょっと待て。子どもたちがやっていたのはイタズラを遥かに超える犯罪だし、その動機もゲームをしたいという小さな身勝手。子どもたちは可愛いけれど、それとこれとは話もレベルも違う。子どもらしさを悪用した物語。いろいろ残念やったわ。
五香宮の猫 6こういうのもありやなぁ。想田和弘監督の観察映画。訴えや思想のためではなく、そこに住み、そこにあるものを切り取っていく。岡山の海辺の町、牛窓にある猫が集まる神社を舞台に猫たち、それを支える人間を追う…いや追わない。人間が猫に惹かれるポイントってなんだろう?言葉が通じてるんじゃないかと思う犬と対称的に、人間なんかまるで気にしない猫。しがらみや気遣いが必要な人間にとって自由の象徴なんだろうか?そんなことを考える余裕があるのも、いい意味で何も起こらず、何も仕掛けないから。単に牛窓に遊びに行った感じ。現場で漂っている気分になるドキュメント。牛窓に行きたくなったもの。
劇場版ドクターX FINAL 5失敗しても、よかったんじゃないの?存在と「私、失敗しないので」というセリフだけ知っていたドラマシリーズの劇場版ファイナルだそう。全く前知識がなくてもそこそこ楽しめたけど、劇場版でよくあるスケールアップが多分あまりない。そりゃ手術室以外動きようががないわな。12年もやっていた(知らんかった)割にはルーツ探しも浅いし、あれがシリーズ史上最大の敵なの?あとどんな天才設定か知らないけど、プラモじゃないんだから、あんな簡単に臓器をとっかえひっかえできないやろ…。セリフで「死にそうにない」と言われていた西田さんの弱り方と、必要以上に強すぎる米倉涼子のひん剥いた目が、印象に残った1本だった。