突っ込みどころは多い、でも好きだ!

いろいろあって高校卒業間近に、あまりよく知らなかった友達を偲ぶ短編映画を作ることになった主人公と

その仲間の物語。前半でふって、後半でどんどん回収していく流れのストーリーだが、妄想、撮影された映画、現実がゴチャゴチャしてきて、一部わかりづらいところがあった。でもそんなの関係ねえ!これ好きだわ。理由は青春時代のいろんな形のモヤモヤを全て肯定してくれているから。うまくいかない片思い、友達以上恋人未満の関係、周りの目をきにしすぎること、友達との距離感、将来へのプレッシャー…大人になった今は懐かしいで片づけられるけど、当時は悩み苦しみ、そればっかり考えていたあの気持ちが詰まってて、ため息が出た。さらに珍しく邦題がいい。親友かよ!ってタイトルで内容に突っ込むかよ!

やるやん、オカミ(笑)

コロナ騒動の発端だったダイヤモンドプリンセス号。その対応にあたった人たちにスポットを当てた物語。自分は感染していない?が、イヤな思い出はたくさんあるので正直振り返りたくない。でもまた同じようなことが起こった時にどう行動するべきか、そこを考えるキッカケになると思って見に行った。俳優陣は好演していたし、事実に着想を得た物語で、響くセリフも多かった。やれることは全てやる。規則でなく人道的に正しい判断を。その規則は本来なんの目的のためにあるのか?非常時だけでなく、普段の行動もああしたい。松坂桃李演じる役人が融通利きすぎて、逆に笑えた。あんな人たちばかりだったら、国内に広がったあともあんな騒動にはならなかったし、もっと生きやすい国になるのに。


ばあちゃん、インポッシブル

93歳のおばあちゃんが、オレオレ詐欺の犯人のところに乗り込むロードムービーって、なんじゃそりゃ。基本的にコメディだし、ほっこり見れるんだけど、どうしても自分の周りの老人たちが被ってしまう。弱りだした両親と、昨日血を吐いたと連絡を受けた90歳の恩師。身体にガタが来るのは仕方ないし、周りに迷惑をかけたくない、自分でやりきりたい気持ちはよくわかる。でも、それはワガママだ。頼れるものに頼るのは迷惑でなく、権利。支える子どもたちを愛しているなら、彼らを心配させたくないなら、サポートを受け入れてほしい。そんなことが頭にチラついて、ストレートに感じられないお年頃やなぁ。

こんな大作なら大歓迎。

吉沢亮と横浜流星が演じる歌舞伎役者の波乱万丈な人生。血筋のある横浜と才能のある吉沢。2人がその間で振り回される人生を熱演していた。歌舞伎のことは全くわからないが、舞台の所作も映像も間違いなく魅せられた。最近の邦画界はただ有名な役者を数出して、スケールでかいロケして、これぞ映画だ!みたいなパターンが多い。でもこれは作品全体から重厚さと迫力を感じる大作。長さはそれほど気にならなかったし、吉沢亮に役者魂を見せてもらったと思う。まあ、女性陣の影が薄かったのは歌舞伎の物語だから仕方ないか。


ハードルあげすぎたかな?

実話ベースの父息子もの。出演は寺尾聰と松坂桃李。期待は普通するでしょ。イギリスであったエピソードを横須賀に移して脚本にしたらしいけど、作られすぎた作りもので、ピンと来なかったわ。小説の設定を想像で移設しただけだから、深みはない。主演2人はともかく、残りのキャスティングはとってつけたようなやすっぼさ。企画書映画にしても、もう少し響くように撮ってほしかったのが、正直な気持ちだ。

ブラック組織。

ご存知トム・クルーズが、還暦を超えても身体を張り続けるシリーズの一応最終作みたい。昔は1話完結だったけど、人気が出て長いこと続けるために伏線やら人間関係やら複雑になってきた。でも、そんなの関係ねえ!トムが世界を救うために、今回は深海と大空で大暴れ!で十分でしょ。いつも思うけど、愛する人と名も知らぬ人々(何億人単位)を守るためとはいえ、不可能すぎるミッションに挑むイーサンと仲間たちのモチベーションってなんや?

意外と「お前にでもそれは無理だ!」という状況に快感を覚え、「やったろやないかい」というイキリの小5男子的な心理でしかないのかもしれない。知らんけど(笑)

惜しい。

刑務所や拘置所の中の人たちに、身内や支援者が差し入れする品を売ったり、届けるのを代行する商売「差入店」。幸い使ったことはないが、映画とかで見たことはある。あまり知られていなくて、人のネガティブな場に近いという点で「おくりびと」に近い映画だと思う。丸山くん演じる主人公が差入屋になった理由、仕事としての葛藤と世間からの目、依頼者と届け先の心情。うまく描いていたと思うけど、範囲が広すぎる。それぞれ深い理由や言葉にならない感情がたっぷりあるのに、見せたいポイントが多すぎて散漫にならざるを得ない。2時間の映画でなく、NHKのドラマとかでじっくりリメイクして欲しい物語だと思う。

間違いなくここまで今年一番、すごいもんを見た。

デミ・ムーア演じる旬を過ぎたオスカー女優の悩みは衰え。それを解消するため、若い分身を生み出す秘薬「サブスタンス」に手を出した。ビジュアルもスタイルも完璧な分身を手に入れたが、2つの体を1週間交代で使わないといけない制限が。でも分身はそのルックスで瞬く間にスターダムを駆け上り、2人のバランスが崩れる。そして生まれる悲劇…。

メチャクチャおもろかった。誰もが避けられない老いによる衰えと、それにあがいたい気持ち。ルッキズムが批判される時代には合わないし、グロいシーンも多かったけど、エンタメ性と同時に考えさせられる視点もたくさん。なによりあのかつての大スターの体当たりすぎる演技に感動した。日本の小娘女優にも見習ってほしい。

気持ちはわからなくはないけど。

ロードショーでタイミングが合わず見逃していたけど、ダイノジ大谷君が大絶賛だったので

新開地の名画座に足を運んでみたのは、浅草の芸人の物語。

というと名作「浅草キッド」みたいに「売れないけど夢があった」話になりがちだけどこれは違う。

主人公は50歳の落語家。実の父親でもある師匠から名前をもらったものの、才能もやる気もない。後輩に馬鹿にされ、親父からも認められず、おまけに痴呆まで始まった。八方塞がりの男の悲しいストーリーだ。そこにこちらも売れない女性漫才師が絡んで…という展開なんだけど、2人とも才能も夢もないのでなかなかいい感じに転がらない。現実から逃げて逃げて逃げまくってきた主人公が、ついに向き合って…でラストを迎えるが、ちょっとそこはご都合主義すぎるだろ。あの下手な落語が覚醒のシーンというのはちょっとつらい。

これだけなら、悪くはなかった。

アベンジャーズではない負け組のヴィランたちが、自分のダークサイドと向き合って戦う物語。反発はしつつも万能でないぶん、支えあう感じや、自分を見つめ直すシーン。単にCGと都合のいいマルチバース設定で戦いまくるだけのアベンジャーズよりずっと良かったと思う。

この作品をシリーズの中でのセルフパロディ、1回限りのスピンオフで留めておけばカッコ良かったと思う。それを次のカネに繋げるなよ…だからマーベルは好きじゃない。