黒髪のエトス。能の本鬘
写メは能で使用される鬘。当ブログにも登場している。
普通は馬の尻尾を束ねたもので代用するが、これは本物の女性の髪。大正時代に作成されたもの。
演者側の好意で撮影。
近くで見ると、ザワッザワッ…と動きそうで怖い。能面なんかより、遥かに怖いぞ…。というより、彼女の声すら聞こえてくるような錯覚がする。
能に『蝉丸』という作品がある。盲目の皇子が主人公だが、並立する相手役に姉宮逆髪と名乗る皇女が出てくる。
逆髪は、心の中では美しい緑の黒髪なのだが、現実には心乱れて狂気し、髪は逆立つ姿をしている。
これはブログで書いたけど、私も稽古で習った曲だった。
逆髪の舞型には、自分の髪を愛しく撫でる箇所がある。
ふと…自分は男性だが、実際に髪かあったら感覚が判るのかな。以来、二年前から髪を伸ばし続けているわけだ。最近は加齢に従い、薄くなってきて、もはや限界かも知れないな。
先日、知人の女性に三編みの方法を聞いた。ネットでも検索して、生まれて初めて三編みに挑戦!
んーーー、むずい…こんな技術も幼少から身に付けるのか、女の子って。
そうだ、女性において髪って、自己存在に相当するシンボルなんだね。
丁寧に髪を整え、育成して…抜け毛、風呂上がりやらと対策とメンテが大変。
黒髪を扱った和歌も、悩ましげに詠まれていて、古来から女性と髪は同一のエトスを有しているのかな。
前述の本鬘、髪を売った女性が幸せな生涯であって欲しいと願ったりする。こちらは、時代が後だから、矛盾するけど…
みっくすを撃つ
まだ痛みは引かないが、久しぶりに街に出た。
クリスマスソングが幾度も流れて、マジにウザい書店内で、目当ての本を探す。
日本中の人々がクリスマス気分だと思ったら大間違いだし、だからと言って『あいつらはバカ』で簡単に片付くほど人は二言論ではないからね。
帰りに、ちょいと世話になっている飲み屋に顔を出した。(痛みがあるのに、お前は酒か?)
店には、たまに顔を会わせる常連氏の方がいた。
氏は、いわゆるヲタ道に通じた方で、当然ながら秋葉の劇場にも通っている、私の大先輩でもある。
氏はノゾフィスが好きだったとか。
と、氏にお願いしてミックスについて指導を願った。
Aメロ、Bメロ、サビの流れでミックスがあり…説明があり。…さながら能の囃子、その寸法と似ているね。
ふむふむ…。
氏はロマンスを撃ちなから、合いの手を入れる。
たまたま店内に、まだ客がいない時間帯であったから、マスターのご厚意でビデオ見ながら実地訓練。
最初は…『カムイ外伝』…へっ?
なにそれ…。
『忍びがーー通~る、獣みーちーーー』
それ、無理だから。
で、氏のリクエストは、ガガ様。そして、やくしまるえつこ…私は、初めて聞いたけどオリジナルにも良い曲が多いね。
カバー曲は、懐かしいジューシーフルーツ。
君とイチャイチャしてるところを見られちゃったわ…♪
『ホワ♪ホワ♪ホワ♪』氏と私のみっくす撃ち。
共にみっくす狂喜を、少し堪能。
心に笑いのタネを持つ人が身近にいてくれて、その夜道の帰りに気持ちが楽になった。
へのかっぱ
未だ、半身が動かず。痛みも引かない。
普段ならば、ボロチャリンコを飛ばして街に出る。しかし、今は外も歩けず、何だか老人臭い動きしかできない。
おまけに、雨だ。氷雨とまではゆかないが、晩秋の冷えが厳しくなった。
各方面に連絡をしたり、年末までにケリを付けたい事が山積。
ぐぬぬ…。
稽古の日程も決めなきゃならないし、動けない体では練習も。
まして撮影など…春先に強度のぎっくり腰をやって、年末は肩の爆弾が起動。
真の持病である喘息だけは注意していたが、この爆弾は不覚だった。防ぎようもないけどさ。
むぅ。愚痴だな。
ギャクの一発すら脳内に浮かばないよ。
笑いの女神が、私にはいないのか。
知人に、戦時中は海軍に十五歳で志願して勤務、生死の海を渡った老人がいる。
…人の死と運は、まさに裏腹なものだ…しかし、壮烈な体験とは別にして、底抜けに明るい方で、お酒が大好き。私のような未熟ものにも、暖かい言葉をかけてくれた。
あんな世界は知らなくて良い…戦争とは若者が生きることを選べない状態なんた。
また老人は、ジョークと笑いが大好きで、…人間には、何よりも追い詰められた時に、笑いを一発思い付く能力が必要だよ…と。
晩年、お話する機会がなかったことが悔やまれる。


