神の未熟
人間魚雷のレプリカ…この白黒の塗装は訓練・隊員教習用と説明書きにあった。
例えば、現在のデジタルカメラは誤解なく言えば『誰にでも撮影が可能』である。操作は簡易して利便性に富む。自家用車の運転ほど危険も少ないし、電子レンジで牛乳を暖めて『とんでもない』結果を招く事もない。
デジカメは無意識で使える機材だ。
一方で人間魚雷は通称『回天』と呼ばれ、旧海軍の自殺兵器である。自殺兵器としたのは作戦使用状況下において、操縦者の判断で攻撃行動の中止、生還が不可能であるためだ。
『回天』の詳細はネットや書物、関係資料に任せたいが、『☆ユーザー皆無・リコール待ったなし!』な機材、乗り物。操縦は非常に難しく、常時の扱いも不安定。だが、当時は大真面目に戦果を期待された。
もし、現在の技術で回天を製作したら…
おそらく動力部関係はリチウム電池でモーターを回し、作戦水域を無音走行。操縦者は母艦の潜水艦より艇内へデータ送信される敵艦位置を追尾しながら軌道修正、確実に接近し自爆…頭部に装備した戦術核魚雷で間違いなく相手艦艇を撃破、破壊する…。
でも、現代の技術ならば『回天』を自殺兵器・人間魚雷として設計しなくとも良い…人工知能でやれるだろ、と思うよね。
いや、違うんだな。戦争の狂気とは、そういう過ちや錯誤を『大真面目』に実行させてしまう。冷静に判断すれば、ありえない思考で結果を求めてゆく。あらゆる存在を否定し他人を虐殺してゆく破綻行為すら、時に人は『正当な意思決定』に捉えてゆく。
だからさ、再び『回天』が再設計されないとは言えない。
日本人において人間魚雷『回天』は成功体験ではないけど、精神的実例としては見事に昇華している。日本民族として親和性が強い思想的産物の機械と言って良い。
まぁ、久しぶりのブログで中二的に妄想してみた。
ありきたりの愚痴
稔る田…愛機ミノルタ機への寓意。
実家の所用が立て込んだ。このところ記事更新していなかったので、ひとまず推敲なしにブログ投稿する。
私は、特にデジカメへの意識はないが、仕事で使う以外では相も変わらずフィルムカメラを持ち歩く。
一応、補助に携帯やコンデジを用いるが、〆の一枚はフィルムで終えたい、その自己満足に引き換えて重たいカメラを鞄の底に忍ばせる。
写真雑誌の月例コンテストへの投稿などは皆無だが、私も数年前までCAPA誌の中古カメラ記事へ投稿していた時期があった。
当時は写真雑誌の編集側・常連投稿者には写真やカメラばかりでなく、その周辺にいる人々への愛情が記事にあって、誌面には暖かみが感じられたものだ。
そんな昭和テイストな心情もデジタルカメラ全盛を迎え、さらには東日本大震災やスマホの普及で、写真を取り巻く社会状況は変化した。
写真一枚の楽しみ、人生の友としてカメラ一台を愛する気持ちは失われた。ただ、有り体に言えば人々はカメラで写真を撮らなくなったのだ。
『コンピュータスクリーンに手を当てれば暖かいのか。』
電子信号に過ぎないデジタル世界に、我々は大切な記憶まで信号化して、ただ映像を数値的に思い出すだけなのだろうか。
もし、その写し出された画像に温もりを得られたら、まだ人類は記憶に残した幸せまでは喪失していない、という実在証明には違いない。
穽
夏が去って、深夜の楽しみであったリオ五輪も終わった。
2020年の東京五輪まで約四年余りだ。
しかし、すでに回収不能の使途金が68億円なのだとか。廃案になった新競技場問題において各設計事務所、建設会社、ザハ氏など多額の資金を支払った末に、かの新競技場は徒労に終わったというのだ。
ふと、大西巨人という戦後作家を思い出した。その著作である『神聖喜劇』は、戦後社会を歩む前に一度は総括する必要があったはずの戦前社会に対するアンチテーゼだ。大学の文学部以外の人間であっても、日本社会の仕組みを文学を通じて俯瞰しようと思うならば、必ず読む方が良い作品である。
大西は作品において『日本の軍隊では、上官が命令を下すのを忘れていたために下級者が命令行為を実行せず、その責任を問われた場合に部下は『知りません』と答える事は許されず、『忘れました』と答えねばならない。それは規約ではなく、場の空気や不文律に近いと解釈し、軍隊組織と戦う主人公の絶望的な心象を描く。
国家主権と個人主権の相剋と思想を排除したと言うべきか。我々アジア民族には国家事業が目的化すると、哲学や理学が喪失するの傾向がある。それがアジアに根差す民族風土の特性限界なのかも知れない。
最近の築地問題や五輪、ひいては北朝鮮や尖閣問題も含めて、その騒動と結果にアジア的家族主義の穽、永遠に覚めぬ悪酔いのような印象がある。
いや…原爆投下を行った米国に哲学と理学が存在し得たのかは不明だ。だが、それでも理想は捨てていなかった耐性は有していたと思う。
そうでなければ、我々の戦後社会はさらに悲惨な結末であったと思うからだ。
さて…私は明日、『シン・ゴジラ』を見に行く。核による破滅という人類が産み出した最高の福音・黙示録…楽しみにしたい。



