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運が良い人

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昨年の秋にデジタルカメラに移行して、使用した愛機のフィルム一眼レフ達はサブに回った。

あまり取り出す事も少なくなったけど、仕事の撮影以外はフィルムの方が楽しい。

本当は古いマニュアル機で、もう一度舞台撮影がしたい…などと思ったりする。
大先輩の舞台写真家氏に、ニコンFを使い続けている方がいる。

大先達ゆえに、若い時代から共に歩んだニコンで写真人生を全うされるのか…とも思う。

私の愛機は、最初はミノルタSRTから一眼レフデビューで、後輩のカメラを借りた物(その後輩は能楽師になった…)

そして、撮影依頼と許可を貰って舞台撮影をしたのが、その後輩氏の初舞台で初演能『清経』であった。
まだ、しっかりしたカメラが手元になく…ジャンク上がりのミノルタXE。もう、それはボロボロのカメラで、装着したレンズも一部問題を抱えていたが…何とかなった。

意外とカメラはボロでも、しっかり撮影すれば失敗はしない。
えっ…これは違うよね。

単に運が良かったのだ。
そう、私は能の撮影に関しては『確かに運が良い』

そう思うことで、災難から逃れようとしている…のだ。

能『三笑』…壱

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撮影任務終了…ようやく帰宅。

初めて見る能が一つ番組にあり、勉強も兼ねて撮影させて頂いた。しかし、舞台展開に気を張っていたためか、肩が痛い。

能『三笑』
能には珍しい主題である酒と笑い…そして詩仙の世界、おおらかな老いを描く。

中世の当時から、あれは理想的老い方なのだろう。それは現在でも変わらない。

なのに、今は年寄りを邪魔にする世潮もある。いつかは、誰もが老人になるんだけど。

酒があって、友の来訪があり、詩と自然行き交いが渾然とする。
詩情を分かつ友あり…味わって人生を終えたい。そう願ったのだろうね。


『三笑』は初見だから、しっかり撮影しなきゃ…と意気込み過ぎて肩が疲労。

さらに、もう一番能『千手』…こちらが私の撮影主任務であるんだな。今日の舞台に用いられた小面が美しい…っか可愛い。これが中世時代のアイドル顔だ。


ぁあ…ダメだ。もう書けないな。
本日の撮影許可を下さった主催者銕仙会に感謝して…今日は寝よう。



さて、おやすみぃちゃん。

ジャンプ!…三

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私の学生時代、最初の一年間だけ能を教えて頂いた先生の言葉に、『構えはね、どんなに力を入れても、体に力が入っているようには見せないで舞いなさい』

あるいは『使う体は大きく、舞う舞台も大きく使う。小さく処理しないように。』

『強くて勇ましいように見える型の舞いはね、結局はバタバタした動きか覚えないんだよ』…など。

大袈裟に言うと、私の身体基礎を作ってくれた先生でもある。


演技というものは、人前で演じて初めて実感可能な世界だ。ある意味で戦闘経験と似ている。
しかも、舞台演技はスポーツと異なり勝敗がなく、本来は判定基準すら明確にはない。
ただ…『周囲を実感させる能力の付加』があるか、ないかだ。
もどかしいのは、この感覚を説明する場合、他人と共有できる場合は限られる、ということ。

言葉以外の表現で共有できる相手とは、つまり身体表現に同型同類の事項を見出だした相手なのかも知れない。それは家族、友人、恋人さえも無理であったりする。

それは孤独な世界。

まぁ…これも、貧しき素人の戯言に過ぎず。