精好仙臺平・署名落款付き
年末に近所のリサイクル店に行ってみた。
目当ては千円以内で買えるカメラのジャンクだが、さすがに都内とは異なり目ぼしい物はない。
だが、店の傍らに並ぶ着物の陳列コーナーがあることに気がついた。
『!』
袴があるではないか。しかも、色無地の仕舞袴仕立てで四千円という価格。
『まぁ、良いや、母校現役のサークルに寄贈するか…』と気安く買ってしまった。
ところが、自宅で改めて確認すると腰板裏には『精好仙臺平』と記され、制作者の署名、落款まで押されている。
掘り出した、まさかの高級品か?…いや、たぶん仙臺平を騙る模倣品であろう。
取り合えず…試着だ。舞台用の紋付きを出して着て、まずは運足をした。
…なかなかに、動きが良い。
次に、思いきり『飛び反り』をやってみた。
色無地なので『仕舞女子』的な雰囲気はあるが、立ち上がりなどの裾捌きは本当に良い。本物の仙臺平かは不明だが、これは仕舞袴としては悪くない。
うむ…迷う。『使え、君らにあげる!』と、当初の予定通りに現役の女子部員へ譲り渡すのが、男気のあるOBというものだが(彼女達は、このブログを読んではいないだろう…)…男性用としても、色無地を気にしなければ、使いやすい袴である。
真偽不明だか自称『仙臺平』だし…いや、新年から貧しい心持ちになったものだ。
中古チャリ
毎晩冷える。東北・北関東の何が苦手かと言えば、冬の冷え込みだ。一つ風物と思えば良いだろうが私は辛い。
ところで、訳あって中古チャリを知人の美術商から譲り受けた。田舎へ帰って半年、生活が引きこもり気味なので、自転車が欲しいと周囲に言っていたら、探してきたらしい。
ブリヂストン製『ピクニカ』、コレクターアイテムらしいのだが、私のはシリーズで不人気な後期型になる。車輪口径が小さいため速度は遅い。しかも、独特な運動性質があるため、操作にはテクニックが必要だ。
何より、私のような小太りなオッサンが使う自転車ではなく、都会を颯爽と流すお洒落な女子大生あたりが似合うに違いない。自転車自身、それが『私の役目』だと思っていたはずだ。
この自転車に似合う風景とは、新緑の駒沢公園の街路樹下とか、初夏、軽井沢の別荘を望む丘、あるいは桜散る季節に世田谷・杉並の住宅街や表参道の裏道街であろう。個人的には表参道の裏道がお勧めだ。その風景を夢と希望に満ちた少女を乗せて走る…それが、この自転車には似合う。
しかし、運命とは残酷なもので、今は自転車に乗っているのは、人生を終えた無意味な中年男が一人。
おそらく自転車も人生に落胆しているに違いない。
偽歯医者
むろん、飼い犬であっても簡単に歯磨きを犬がさせる訳がない。まして、鋭いピッカーを口腔へ差し入れての歯石取りは難しい。
だが、こいつは私には絶対服従の関係なのだ。いわば、『ケンシロウを前にした虎の心境※』にある。
予想通り、犬は素直に口を開けた。以来、毎晩寝る前にピッカーで歯石を削り、歯ブラシで仕上げてきた。十数年にわたり放置してきた歯石
は頑固で、当初はピッカーすら効果がなかった。
毎晩、引き上げるように削る。犬は逆らいもせず、作業が終わるまで歯科検診を受ける患者のように口を開けている。
そして、年末にペキッと僅かな音を立てて歯石が剥がれた。
カバーを剥がすように見事に取れた。
ネットでは、犬の歯石取り用の薬用ペーストもあるらしい。
だが、そういう薬剤を使わず道具だけで、小まめに歯磨きとピッカー作業でも、歯石対策は可能だ。
しかし…その前に、犬を『飼い主に従わせる』事が大切なんだな。
※『ケンシロウを前にした虎』とは、まさに恐怖を超越した死の覚悟を虎に与える事に他ならない。
詳細は『北斗の拳』を参照の事。



