中古チャリ
毎晩冷える。東北・北関東の何が苦手かと言えば、冬の冷え込みだ。一つ風物と思えば良いだろうが私は辛い。
ところで、訳あって中古チャリを知人の美術商から譲り受けた。田舎へ帰って半年、生活が引きこもり気味なので、自転車が欲しいと周囲に言っていたら、探してきたらしい。
ブリヂストン製『ピクニカ』、コレクターアイテムらしいのだが、私のはシリーズで不人気な後期型になる。車輪口径が小さいため速度は遅い。しかも、独特な運動性質があるため、操作にはテクニックが必要だ。
何より、私のような小太りなオッサンが使う自転車ではなく、都会を颯爽と流すお洒落な女子大生あたりが似合うに違いない。自転車自身、それが『私の役目』だと思っていたはずだ。
この自転車に似合う風景とは、新緑の駒沢公園の街路樹下とか、初夏、軽井沢の別荘を望む丘、あるいは桜散る季節に世田谷・杉並の住宅街や表参道の裏道街であろう。個人的には表参道の裏道がお勧めだ。その風景を夢と希望に満ちた少女を乗せて走る…それが、この自転車には似合う。
しかし、運命とは残酷なもので、今は自転車に乗っているのは、人生を終えた無意味な中年男が一人。
おそらく自転車も人生に落胆しているに違いない。
