スハ32系
高校時代に通学時、利用した客車列車がスハ42系。
だが…連結されているスハ32系に触れなければ『旅鉄を語る』には、天晴を欠くというものだ。
私の旅、記憶の始まり。四、五才にも届かない頃。両親に引かれて旅行に行くと、少し薄暗い車内にニスと木目の椅子。
丸い電球、そういう旅の思い出を沢山乗せて走った客車なのだ。それがスハ32系。
もちろん牽引はD60型やC61型の蒸気機関車だ。この初夏の季節、冷凍蜜柑に幕の内弁当、お茶カップ…おしぼり。
隣の席に座った中年男性は、カバンから缶ビールを出して、袋入りの磯辺巻きアラレを摘まみながら楽しそうな顔をしている。『旅は缶ビールに磯辺巻き』…そういう記憶が子供の私に刷り込まれた。
以前、撮影した客車に乗った際に缶ビール、磯辺巻きアラレを買い、車窓を眺めて真似をしてみた。
確かに、旅ビールは美味かった。
目的地に着くまでの時間が単純に楽しめるのだ。
何もしない。何もしないで良い。
それは酔うために飲む酒ではない。
食い逃げだぁ…!
秩父鉄道・寄居駅にあった立ち食い蕎麦屋。なかなかに良い味わいで美味しかった。
今日の前橋行き、密かな楽しみに入れてあったのだが、何と蕎麦屋は五月に閉店されていた。やや、少なからずショックである。前述のブログ文に『店の方に世話になった』と書いたのは深い訳があるのだ。
実は、年に数回は蕎麦を食べに来ていたのだが、何となく店のオバチャンと世間話がしたくて、わざわざ寄居駅まで出掛けていた。
ある日、寄居駅に行くとオバチャンは居なくて別の女性が店番中…オバチャンは非番の日だった。
それでも蕎麦を食べるうちに、その店番の女性とも話し込む。今の旦那の話とか、恋愛の思い出とか…何やら、あれこれ。
二時間以上、話し込み…私『じゃあ、電車が来たので帰りますね。』
女『伝えとくよ…気を付けて』
一路、都内へ向かう電車の中…私『ん…?』
ヤバイ!
蕎麦代支払ってないじゃないか!
このまま帰るか。再び、寄居に引き返すか…まぁ、答えは一つしかない。
電車を乗り換えて、約一時間費やして店に引き返すと、店番の女性は私を見るなり『なんだぁ、戻ってきたの?別に、お金なんかいらなかったんだよ。話が面白かったし…サービスしてあげたのに。』
私『いや、お恥ずかしい…冷や汗』
結局、次の電車が来るまで話を再開。
まぁね…本音を言えば、あの店番の女性、ちょっと好みのタイプだったのは確かだった。
蕎麦屋は長瀞駅に店が統合されて、オバチャンも元気に店にいるというから、今度行ってみよう。


