スハ32系 | HOODのブログ

スハ32系


高校時代に通学時、利用した客車列車がスハ42系。

だが…連結されているスハ32系に触れなければ『旅鉄を語る』には、天晴を欠くというものだ。

私の旅、記憶の始まり。四、五才にも届かない頃。両親に引かれて旅行に行くと、少し薄暗い車内にニスと木目の椅子。
丸い電球、そういう旅の思い出を沢山乗せて走った客車なのだ。それがスハ32系。

もちろん牽引はD60型やC61型の蒸気機関車だ。この初夏の季節、冷凍蜜柑に幕の内弁当、お茶カップ…おしぼり。

隣の席に座った中年男性は、カバンから缶ビールを出して、袋入りの磯辺巻きアラレを摘まみながら楽しそうな顔をしている。『旅は缶ビールに磯辺巻き』…そういう記憶が子供の私に刷り込まれた。

以前、撮影した客車に乗った際に缶ビール、磯辺巻きアラレを買い、車窓を眺めて真似をしてみた。

確かに、旅ビールは美味かった。
目的地に着くまでの時間が単純に楽しめるのだ。

何もしない。何もしないで良い。
それは酔うために飲む酒ではない。