土壌03 まとめ | noninomのブログ

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 土壌と微生物


⬆️友人の圃場で硬盤層を確認している所

硬盤層は犁底盤、肥毒層とも言います。


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本を何冊か読んだりネット、セミナーなどを受けてみた程度で

田んぼ1年、家庭菜園程度の野菜作りが4年程の経験値しかない僕ですニコニコ
まだまだ引き続き学びと実践を行っていきますが
2年間學んできた現時点での考えをまとめます。
土壌と微生物の関係③ まとめです。
 

①土壌の物理性

どんな岩石鉱物から構成されているか?と
色々な粒の大きさの分布。
とても粒子の細かい粘土質
砂浜のような少し大きな粒
小石など
粒の大きさの違うものがどれくらいの割合で含まれるか?
 
これは元々その圃場にある特性
後から変えるには大量の客土(土を持ってくる事)をしないと田畑では難しいですが、
家庭菜園やプランターでは最初に構成を考える事ができますね。
 
②土壌の化学性
窒素、リン酸、カリだけでなくカルシウム、マグネシウム、鉄などの様々な栄養素pH、C:N比
(C:N比などに代表されるバランスも初期には特に重要となる)
 
③微生物の働きと植物との共生関係
①と②によって微生物の繁茂量と
その構成バランスが決まってくる。
 
互いの関係
①、②、③の順番は
農法により、その土地を管理する農家の方により
何を優先されるかが変わる。
 
ではそれぞれを細かく説明していきますグラサン
 
 

  ①土壌の物理性

 
これは前述の通り大きな畑や田んぼでは簡単に変え辛いですが、
余りにも作物に向いてない土地を使う場合など初期に客土する資金や手間を惜しまないならば色々と方法があります。
例えば、とても粒子が細かい粘土質であれば
粒の大きめな砂やパーライト、ゼオライトのような資材や、
バーク堆肥、竹や木質チップ、炭などを入れて
通気性、保水性の改善などを行う事もできる。
(木質材や炭を入れると炭素分を入れる事にもなる②で後述する)
小さな家庭菜園やプランターなどでは自由にホームセンターなどで売っている土を混ぜ合わせる事ができるので様々な粒の大きさをバランス良く混ぜ合わせ、通気性、保水排水性の良い団粒構造ができる土台となるような構成にすると良いですねにっこり
岩石や鉱物からも微生物の働きによって微量なミネラルが溶け出し作物に利用されるのでその構成も考え様々なものを組み合わせると良い(③に繋がる)
 
岩石や鉱物、粒子の構成などの事を深く知りたい方はダウン
本「土をはかる」「樹木土壌学の基礎知識」をどうぞ
 

  ②土壌の化学性

 
窒素リン酸カリなどの栄養素とpHは
特に化学肥料を使われる慣行農法では重要視されますね。
これらが十分にあると作物は早く大きく成長しますが、窒素量が過剰になると
作物の徒長(実よりも葉茎に栄養がいき伸び過ぎる事)や病害虫の原因となったり、
野菜のエグ味や発ガン性にも繋がります。
可能であれば土壌診断をして不足するものだけ足すようにしたり、
生えてくる雑草などである程度状態を予想できるようになると良いですね。
有機農法では自然界から出来た堆肥を投入しますが、化学的に構成されたものでないので様々なミネラルなどが含まれているメリットと
何がどれだけ入っているか詳細はわからないデメリット、
醗酵、微生物の働きによって構成が変わってくる事も含めると
化学肥料を使う慣行農法よりも難しい面もあると思います。
 
しかし自然栽培(農法)を成功された人はそれ以前に有機農法をされていたという方が多く、
有機堆肥を投入し続けていた状態から
無肥料にする事で③の微生物の構成が変化していく事や
有機農法をしている間や自然栽培への移行時期に土壌の状態を判断する能力が磨かれて行く事も成功の一因と考えられます。
 
栄養素と微生物の関係をより深く知りたい人はダウン
またと炭素Cと窒素Nの比率も重要で「C:N比」として表現される。
C:N比の事を詳しく知りたい方は前回の②をダウン

  ③微生物の働きと植物との共生関係

微生物の量や構成比
 
微生物の事はまだまだ人間の理解されていない部分も多いですが、少しづつ研究が進んでいます。
水分は多くの微生物には必要ですが多過ぎると酸素が必要な好気性菌には向かないなど、
酸素の有無(好気性、嫌気性)
光(紫外線や電磁波なども含む)
温度、栄養素など
様々な要因から繁茂する微生物が変化する
それぞれが影響し合い、
死んだ微生物が他の微生物のエサとなったり、
分泌物の交換、
植物の根とも同様に複雑な共生関係を結びながら
生態系が出来ていく事がわかっています。
特に耕作初期での繁茂は①、②によってある程度の傾向が決まり、
次第に雑草や作物、虫やミミズ、モグラ、鳥などの動物たちによって生態系が複雑に形成され、
バランスが取れていく。
特に自然栽培ではその自然の状態の循環を重要視して人為的な変化を原則禁止としている。
(自然由来のものであればある程度許容する方(農法)も居る)
生態系が繁茂し、バランスが取れる中で主に微生物と植物の根の働きにより②も変化して行き、
①も団粒構造の形成で理想的な状態(水はけが良く同時に水持ちが良い、ある程度の通気性が土中深くにもある状態)に近づいて行く。
 

わかった事とまとめ 

 
このように土壌の環境①~③は互いに関係し合っています。
所謂 農法の違いはこれらのどれを重要視してアプローチしていくか?の違いだと
わかりました。
慣行農法や有機農法は主に肥料や土壌改善資材を投入し、②(場合によっては①も)を積極的に変化、改善させようとする考え方。
自然栽培、自然農法は③を主に重要視し
それによって次第に②や①が改善して行くに任せる考え方。
 
慣行農法と有機農法の違いは農薬や除草剤を使うかどうか?もありますが、
肥料が有機かそうでないか?も大きい。
「有機物」とは炭素(水素も)が結合したものの総称。
生き物は全て有機物からできている。
(つまり炭素も必要)
生き物や人間も必要なタンパク質も窒素が含まれ
植物も細胞を作る元になる
しかし窒素は有機態だと直接植物が吸収できないので土中の微生物が有機態窒素から無機態窒素に分解する事によって初めて植物が吸収できるので肥料の効きがゆっくりになる。
慣行農法では化学肥料として無機態窒素が投入されるのでそのまま植物に吸収される。
 
⑴微生物も無機態窒素を食べて有機態窒素として体を作る。
⑵有機態窒素を分解して無機態にする微生物。
有機肥料を入れる農法では⑴と⑵の割合は次第に⑵が増える事になる。
化学肥料を投入する慣行農法では⑴の微生物の割合が増える。
 
このバランスの他に
肥料を投入しない自然栽培の作物はどのように作物が窒素を取り入れるかというと
空気中に無限のようにある窒素を微生物が固定したり、
⑵のように作物や雑草の残渣や小動物の糞などから無機態窒素に分解されたものを利用しています。
この場合は上の⑴の微生物が窒素を食べる量は少なく、比較的省エネで燃費の良い微生物が繁茂する事になり、相対的に作物が吸収する窒素の量が増える事になるようです。
 
 
どのような環境でも自然界はバランスを取っていく方向に動き、
植物や微生物、動物などがより繁茂していく方向へと時間をかけて改善していくのです
草もその土壌に相応しいものが生え、
土中のバランスが整えられていくに応じて次々と種類が変わって行きます。
 
本当に素晴らしい仕組みですねお願い
 
また長くなりましたが、読んでいただきありがとうございます🙏
間違いや感想も教えてください。
このように長々と書いてきましたが、ふと思うと
とても自然な事のようにも感じます。
言葉で伝えるのは難しいですねにっこり
 
※おっと!前回の土壌の勉強②で書いた事の矛盾?と感じられる所は
C:N比のあたりです。
自然界では草や葉っぱ、木など炭素分が多い物が多く、動物性の糞などで与えられる窒素分は割合として少ないと考えられます。(C:N比100以上?)
そして自然栽培も当然この環境に近い。
しかし慣行農法や有機農法の圃場に100以上のものを多く入れると窒素飢餓を起こします。
これは普段安定的にC:N比10〜20程度の肥料を入れられるために窒素を食べて吸収する微生物の構成が多い事から起きると考えられます。
これが良く慣行農法や有機農法から無肥料栽培に転向すると「育たない」「収量が落ちる」と言われる事の原因でしょう。
 
さて
空気中に二酸化炭素の状態としてある炭素を固定するのも微生物と植物です。
光合成細菌や葉緑体の光合成がそれです。
また逆に酸素を取り込んで二酸化炭素を排出する微生物も多くいます。
この話しをまた次回に書いていきます。
すぐ上の窒素飢餓あたりの話にも関係してきますグラサン
お楽しみに!
 
では、またよろしくお願いしますニコニコ