ここまでわかった自然栽培 | noninomのブログ

noninomのブログ

村をつくりたい
DIY、農と食、田舎暮らし、金融、世界情勢、歴史と自分の過去の経験など書いていきます。
農や一次産業に関する学び、栽培記録やデータ、勉強会などの活動も載せて行きます。

「ここまでわかった自然栽培

農薬と肥料を
使わなくても育つしくみ」
 
杉山 修一
 
こちらの本の紹介をいたします🙇‍♂️
この本の凄いところは今までイメージと結果しか示されず、
まるで
宗教のようなものとして疎まれていた
「自然栽培、自然農」
の世界が
科学の面からも
証明され始めている事を
紹介している所。
主に微生物の働きを中心に
研究されています。

 

 
P23
○農地の窒素循環は微生物が駆動する

これは2つのルートがある

①窒素固定細菌が空気から窒素を固定する
②土壌有機物やワラの分解→無機化窒素
 
P24
○有機物に含まれる窒素の無機化
 

①微生物が放出する「窒素の無機化」

②窒素が微生物に再吸収される「窒素の有機化」

この2つのバランスがあり

無機化された窒素が作物に吸収される。

この割合は微生物により異なる

 

隣合った牧草地

片方は半自然、片方は慣行農法で管理されている

そこで高窒素のワラと低窒素のワラを加えて
土壌を実験室で2ヶ月培養する

培養開始から10日目の微生物の呼吸と

土壌中の窒素増加量を調べた。

呼吸は微生物がワラを分解する速度を表し

土壌の窒素はワラが無機化窒素として放出された量を表す。

 

P25

2つのグラフ

 

○1つ目、呼吸のグラフは

①半自然の低窒素のワラを投入

②半自然の高窒素のワラ

③慣行の低窒素

④慣行の高窒素

の順でだんだん呼吸が多くなる。

慣行農法の土壌へ高窒素のワラを入れるともっとも

分解が早い事がわかる。

 

2つ目、土壌の窒素の量を示すグラフは

①慣行の低窒素のワラ(マイナス)

②半自然の低窒素のワラ

③慣行の高窒素

④半自然の高窒素

の順で半自然の土壌へ高窒素のワラを投入した場合が

もっとも窒素が多い。

 

P26
上の事からコンスタントに施肥される土地では
多く呼吸して高い代謝活性を持つ微生物が有利になり
無肥料で低窒素のワラが投入されるような条件では
窒素欠乏に陥る。
(簡単に言うと燃費悪い微生物が多くなる)
 
無肥料で管理されてきた半自然牧草地では

土壌の窒素が常に少ないため窒素をあまり必要とせず

呼吸速度の低い微生物が有利になる。

(燃費の高い微生物が多くなる)

 

P27

○土壌は環境に対応して柔軟に変化する生きた生態系である

 

長期無肥料条件下では土壌の微生物の構成が変化して

低窒素環境に適応した独自の微生物群衆ができる。
この変化が自律的栄養塩供給力を駆動する鍵

 

○有機物の炭素:窒素比(C:N比)が

土壌微生物群衆に影響を与える

 

炭素は成長のためのエネルギー源となり、

窒素はタンパク質など細胞を構成する重要な元素

その比率は生物によって大きく異なり

炭素Cと窒素NのバランスC:N比で表す

微生物や動物はおおよそ10以下で

土壌微生物も10前後と炭素が10倍近くある

 

植物は光合成を通じて自ら炭水化物を合成できるので

 C:N比は20〜100と炭素の割合が高い

 

鶏糞、米ぬか、油粕などはC:N比が10以下になり

窒素の割合が高く、

化学肥料を与えたときと同じ効果を土壌微生物に与える

窒素要求性の高い微生物が優占、迅速に植物に吸収さるが、

炭素が少ないため微生物全体の増殖は小さく

土壌の長期的な窒素供給力の改善には期待できない。

 

一方C:N比の高い炭素の多い有機物を土壌に入れることも

作物の成長に良くないと言われてきた。

エネルギー源としての炭素が豊富になり

微生物は増殖するが、その為の窒素が不足し、

一時的に窒素飢餓と呼ばれる状態となる。

それを避ける為C:N比が20以下の完熟堆肥にしてから

投入事が推奨されてきた。

 

しかし自然栽培の現場では稲ワラや麦ワラなどC:N比が50を

越えるようなものを投入しても窒素飢餓は起きず、

かえって地力の向上に効果がある。

これは土壌微生物の違いに関係していると思われる。

 

P29

○土壌の自律的な窒素供給には

生物的窒素固定が必要である

 

生物的窒素固定は工業的製造と同じプロセスで行われる

窒素固定反応には大量のエネルギーが必要

工業製造で使われるハーバーボッシュ法では

500℃の温度と300倍の大気圧を大量の化石燃料エネルギーからつくられる。

 

生物的窒素固定ではニトロゲナーゼという酵素と

大量の有機物をエネルギーとして反応。

N2 + 3H2 → 2NH3

窒素と水素からアンモニアを作る反応である。

 

生物的窒素固定を促進する4条件

①エネルギーが沢山あること

②無機窒素(アンモニウム)が周辺にないこ

③リン酸が利用できること

④酸素が周と辺にないこと

 

①のエネルギーについては前述の通り

②窒素欠乏状態について

自ら窒素固定できる数少ないマメ科の食物でも

土壌に窒素が沢山あれば窒素固定反応は少なく制御される。窒素固定反応を促進するには無肥料により

窒素欠乏状態でエネルギー源となる分解性の高い有機物、

つまり低窒素、高炭素条件を作る事が土壌の自律的な

窒素供給システムを確立する上で必要になる

 

○土壌におけるリンとカリウムの循環

 

リンはほとんどが土壌の中にあり、三つの形態で存在する。

①有機物に含まれる有機リン

②植物が吸できる水に溶けている水溶性のリン(リン酸)

③土壌中に大量にある難溶性のリン

土壌中のほとんどは鉱物と結合して③の状態であり

特に鉄やアルミニウムを含む火山性の黒ボク土では

粘土鉱物と結合して植物は吸収できない。

 

水溶性のリンが植物に吸収され土壌の濃度が下がると

難溶性リンが溶けでて水溶性リンの濃度を保つ。

 

有機リンは主に表層にあり、濃度は80~20%と

土壌によって変動、微生物の働きで水溶性に変化し

植物に吸収される。

 

窒素と違い難溶性や有機物としてストックがある事、

土壌中の移動速度が遅く、広く低濃度で存在するので

植物が広く根をはる事が効率よくリンを吸収する事になる

 

〇微生物によるリンの供給

 

複数経路がある

①植物の根に共生する菌根菌を通じ土壌から吸収

②微生物による有機物の分解過程で有機リンが

水溶性のリン酸に変換される

③土壌微生物が有機酸のようなものを分泌し難溶性リンを

水溶性に変換

 

カビやキノコの仲間の菌根菌は大きくわけて

樹木に共生する外生菌根と、

草本植物に共生するAM菌根(アーバスキュラー菌)がある。

AM菌は植物の根内部に侵入、細かな菌糸を土壌に広げ

低濃度のリンを効率良く吸収する。

自然栽培の木村リンゴ園では土壌のリン酸濃度が低いが、

リンゴの葉にはリン酸の低下はなく、

土壌中のAM菌根菌の割合が慣行栽培リンゴ園より高い。

AM菌根菌はほとんどの作物に共生するが、

キャベツ、ブロッコリー、ハクサイ等のアブラナ科や

テンサイ、ほうれん草等のアカザ科、蕎麦などタデ科とは

共生しない。

 

マメ科のルーピンや落花生など、根から難溶性リンを

可溶性にする物資を出し、吸収する量を増やす植物もある。

有機リンに対しても1部の植物の根から分解する酵素を

分泌して可溶化させるものがある。

無肥料条件では水溶性リンを増やす微生物は重要だが、

まだ詳しいことはわかっていない。

 

P46


P56
2024年初頭に話題となった
WEFでの
バイエルCEO(?)の発言が
稲作否定だ!!!
と騒がれましたが、
実際には
自社の除草剤を売ることが目的で、
そのために田んぼの中干し
(乾田、水を抜くこと)
(※中干しをすると草が生えやすくなるため
除草剤が売れる)
を勧めようとする話でした。
上の写真P56,57あたりに
示されている通り
自然栽培は温暖化を
防ぐ農法
であることがわかります。
(温暖化の原因とされる気体を
排出しないの意味)


かなり内容を
書いてしまいました。
不適切であれば
削除いたします🙇‍♂️

 

 

 

 

植物の根っこと微生物は共生関係にある

「菌根菌財団 石井さんの講演」⬇️