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似てる

最近私が「カッコいい」と言って騒いでいるイケメンが居るのだが、チカはそのイケメンを頑として認めない。

「カッコいいじゃん、何がダメなの」と聞いても、「う~ん」と認めるどころか、「大沢樹生に似てますよね」と、私が苦手とするタイプを出してきた。

「似てない」「似てる」の押し問答となったが、チカも一歩も引かず、「今度証拠を見せる」的な事を言い出した。


「そんなもんあるかい」と、鷹をくくっていたところ、ある日チカは「通販生活」という雑誌を持ってきて私に差し出した。

「はて、貸してくれって頼んでたっけ?」と思っていると、チカはニヤニヤとページをめくり始め、勝ち誇った顔で、「ほらこれ、似てますよね」と、大沢樹生の出てるページを開いた。

「どこが!似てないよ!」と私は声を荒げて怒り、わざわざ通販生活を持ってきた事に関しても、「アホか!」と言っておいた。


しかしチカは全くめげる事なく、「よく見て下さいこれ、似てますって」と、冷静に私に諭しだした。

そこまで言われると私も「・・どれ」と、似ていても認めるつもりは無かったが、とりあえずよく見てみる事にした。


すると1枚だけ、その写真に限ってだけは悔しいが似ているではないか。あまりに似ていてちょっとドキドキするくらいである。

認めざるを得なくなった私は、「・・似てる・・・かも・・」と言うと、チカは完全勝利の顔であった。


がっくり肩を落としている私にチカが、「ほらノムラさん、見られてますよ」と言うので、「え、誰が?」と思って探すと、作業をする手元に先程の大沢樹生の切り抜きが貼ってあるではないか。

「オマエ何してくれてんのよ・・」と、チカに言っても、彼女はいたずらに微笑むだけである。




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マーカス


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ドイツ人シェフ、マーカスである。


ピアッツァの近所に住んでいるので、よく店に遊びに来ていた。今もそれは変わらないらしいが。

私が居た当時は、「すっごい忙しい」とマーカスは言いながら、1日に2回も3回も店に来てコーヒーを飲んでいたので、「嘘だ、暇じゃん」と、よく言ってやっていた。


それが今では本当に忙しいらしい。


一昨年の冬に、マーカスは六本木ヒルズでクリスマスのイベントを1ヶ月やったのだが、当時ピアッツァを退職して暇人だった私は、一緒に東京に行きイベントを手伝わせて貰った。

マーカスは、焼きたてのリンゴパンケーキを販売したのだが、これがバカ売れであり、私は1日に何百枚ものリンゴパンケーキを焼いたものである。

「リンゴとパンは当分見たくない」と、マーカスと言い合ったのが懐かしい。ついでによくケンカもした。


夏には近郊の農家から美味しい野菜を仕入れ、週末に「マルシェ」として販売している。

今日は少々マルシェのお手伝いをしてきた。

6月後半から、本格的にマルシェを活動するらしい。

珍しくて、新鮮な野菜が揃っているので、私も買い物に行こうと思っている。



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私の父

父は定年して家でウロウロしている。ついでに母によく怒られる。




私が外出する時に、間違って父が外でウロウロしてたりすると、すぐに見つかって敬礼で見送られる。元自衛官の性である。




近所にも元自衛官のジイサンが住んで居るのだが、そのジイサンはいつも愛犬を車の助手席に乗せて出掛ける。


先日、例の如くそのジイサンと愛犬が車に乗り、私の家の前を通った際、また父が外でウロウロしており、お互いに敬礼で挨拶しているのを台所の窓から目撃してしまい、飲んでいた水を吹き出しそうになってしまった。




今日も父は人様の土地を勝手に芝刈りして母に叱られていた。


父にとっては好意のつもりである。

靴にまつわるエトセトラ

靴が好きである。

以前イタリアに行った際、ここぞとばかりに靴を買いまくった。


その中でも一番のお気に入りであったプッチのミュールを、「ノムリンのあのミュール、靴流通センターに売ってたよ」と、マリさんに言われた。

「んな訳ねーだろ!」と憤慨し、「イタリアで買ってきたから靴流通センターはほんとない」と、懇々とマリさんに言ったものの、彼女は嬉しそうに靴流通センターのミュールを説明してくれた。どうやら色の展開まで一緒らしい。靴流通センターもなかなかやるではないか。


結果、私が履けばイタリアも靴流通センターであるし、素敵な人が履けば靴流通センターもイタリアだという事になった。

物に頼らず自分を磨かなければならぬというところか。



明日から3日間、AGRAでは靴の展示会イベントを行ってます。

「MONT LIVRE」「Keds」「victoria」など紹介しておりますので、ふらりと遊びに来て下さい。




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心配してます

定期的に来店して頂いている方が長い間来ないとなると、「どうしてるかな」と思う。


そしてそれが続くと、「何かあったか、大丈夫かな」となってくる。


ましてや年寄りだったりすると、「もしや」と思う。




ピアッツァに勤めていた時、10年以上毎日決まった時間にビールを飲みに来るじいさんがいた。


そして決まって2杯飲んで、その後ウイスキーのお湯割りを飲んで帰って行く。


本当に毎日来るので、たまに何も言わずに来なかったり、ましてやそんな日に救急車のサイレンなどを聞いた時には、「もしや・・」と、本気で心配になった。あくる日に元気に現れると、「生きてたー!心配したよー!」と、皆で出迎えたものである。




じいさんではないが、「どうしてるかな」と思っていた知人が先日現れほっとした。


5月いっぱい現れなければ、「心配してます ノムラ」とメールを送ろうを思っていたくらいである。


その方はシングルモルトをボトルキープするほど、よく来られる方であったので、そのボトルを見る度にチカが、「元気ですかね・・」と悲しげに言っていたので、私達の中ではすっかり重い病気か行方不明くらいの勢いであった。




久々に現れたので話す事がいっぱいあり、完全に帰ろうとしていた所を何時間も引き止めてしまった。


楽しませる所か自分が楽しい一時であった。














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