
「配置転換」の概念が希薄な業界
みなさん、こんにちは。
かつて会計事務所の担当者と言えば、
お客様対応から、
日々の入力や決算申告まで、
一人で完結するのが一般的でした。
その後、
所内業務とくに入力作業については、
新入社員やパート職員と分業することで、
負担を少しでも減らす試みが
全国に広がっていきました。
そして現在、
採用の不調や職員の高齢化により
若手やパートの安定的な確保が困難となり、
今後に備えて外注化や自動化に着手する、
あるいは導入検討段階にある
事務所が急増しています。
こういった動きは、
会計事務所だけの話ではなく、
一般のサービス業や製造業、
「人手不足」が深刻化する業界すべてに
共通する流れではないかと思います。
ところが会計事務所に限って、
とある問題が発生しています。
典型的なものは...
“入力作業要員として配置してきたパート職員”を、
この先どう処遇してゆくのかという問題です。
当然のことながら、
自動化、外注化の割合が高まるほど、
この方達の仕事量は減っていきます。
場合によっては、
仕事が全て無くなるかもしれません。
そこで、
工場がオートメーション化された後、
そこで働いていた工員の数は最少化され、
別の役割へと配置換えになるように、
会計事務所においても、
同様の結論を導き出すはずです。
しかしながら、
こと会計事務所においては、
必ずしもそうなるとは限りません。
その一つの原因として、
「配置転換」という概念がそもそも希薄な業界
であることが挙げられます。
「配置転換」という選択肢が無ければ、
「その仕事が無くなる=その人が在籍する理由が無くなる」
ということになってしまいますので、
関係者自らが自動化、外注化を
積極的に進める動きは期待できないでしょう。
これは現場サイドの考え方ですが、
一方において、所長先生側にも
「配置転換」という概念が
希薄であるという問題が隠れています。
そこで
「いま入力の仕事を奪ってしまったら、
〇〇さんが辞めてしまうかもしれない」
「急激に入力業務を無くしてしまえば、
その後に任せる仕事が見つからない」
というように、
推進する側にも力が入らなくなってしまうのです。
そして極めて中途半端かつ複雑化してしまった
自動化、外注化体制が、
所内に構築されてしまいます。
そんな状況に陥ってしまった事務所を
これまでに数多く目にしてきました。
この先、それらの人材に
どんな仕事(役割)をしてもらいたいのか。
あるいは雇用形態によって、
期限をもって契約終了とすべきなのか。
まずは、所長先生がその方針を
しっかり打ち出す責任が
あるのではないかと私は思います。
それが曖昧な限り、
結果も曖昧にならざるを得ません。
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規模の維持も楽じゃない
みなさん、こんにちは。
昨年10月にも当ブログで取り上げましたが、
今や10~20名規模の会計事務所の運営、
とくに人材の確保において
厳しい局面を強いられていることを痛感します。
家族経営でもなく、
そうかといって十分な組織とも呼べない中間的な構造が、
業界全体の深刻な人手不足の影響をもろに受けてしまい、
質も量も保てなくなってきているのです。
顧客を増やせば、
業務が追いつかなくなる。
かといって、
顧客が自然増していけば、
職員の待遇にも影響を及ぼしかねない。
苦しい状況です。
そういう意味では、
現段階で攻めの拡大に
思い切り舵を切ることのできている事務所は、
幸せなことなのではないかと
思うようになりました。
それだけ「増やしたくても安心して増やせない」のが、
全国的な会計事務所の実情なのです。
気が付けば、
お客様も職員も税理士先生ご自身も、
「引退」を意識せざるをえない年齢に達していて、
そのことが
右肩上がり思考にブレーキをかける
要因になっている気もします。
果たして、新規契約をストップして
一旦その場をしのぐ対策は
吉と出るのでしょうか、
それとも凶と出るのでしょうか。
先日初めてお話しさせていただいた、
某地方の税理士先生(相続専門)が
こんなことをおっしゃっていました。
「私は、正社員を採用しないと
日常的に業務が回らなくなるような、
案件数まで拡大するつもりも、
ハイリスクハイリターンの大型案件を
受けるつもりもありません。
地元でも採用できる
3、4名のパート職員さえ確保できれば
回していける質と量を意識して、
比較的リーズナブルな報酬体系で、
喜んでいただける顧客だけに絞って、
地道にサービス運営してきました」
とのこと。
小規模で安定的に運営していくために、
業務の標準化を意識しつつも
固定費のかかる内部の人的リソースは最小限に。
その一方で、同業も含めた
士業ネットワークを徹底して充実させ、
外部において
「いつでも案件を紹介してもらえる体制」
「困ったときには、業務の一部を
フォローしてもらえる体制」
を維持するために、
常に気を配っているのです。
「あれもこれもと欲張らない代わりに、
そこまでピンチに陥ることもない。ふふふ」
と余裕さえ感じられる方でした。
ビジネス成功の尺度は人それぞれ。
みなさんの事務所ではいかがでしょうか。
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熾烈な大手間の競争を勝ち抜くために
みなさん、こんにちは。
一般企業において、
販売拠点と製造拠点が異なるように、
大手税理士法人においても、
入力や監査決算を集中的に行ういわゆる製造拠点と、
お客様への対応窓口となる販売拠点とが、
実質的にそれぞれ離れた場所で機能するスタイルが、
徐々に見受けられるようになってきました。
Web会議システムやクラウドツールなどの利便性向上が
後押ししていることは間違いありませんが、
それらを業務のなかに積極的に取り入れ、
業務効率アップや人手不足の解消といった
直接的な効果を実感する段階にまで到達している先進的な事務所が
業界内で次々と増えてくることは頼もしい限りです。
つい先日、まさにその道を突き進む
大手事務所の所長先生と
久々にお話しする機会がありました。
先生とお話ししていてはっとさせられたのは、
お客様から見える部分については、
しっかりと人もお金もかけて
サービス満足度を徹底して追及する。
反対に、お客様から見えない部分については、
できるだけ効率良く無駄な費用をかけないよう
仮説検証を繰り返す。
まさに、
「真のサービス業」そのものの考え方を
しっかりと体現されているということでした。
と口で言うのは簡単ですが、
従来の会計事務所のオーソドックスな業務フローを、
「製造」と「販売」に完全に分けることは
決して容易ではありません。
事実大多数の事務所は、
入力作業(例えば記帳代行)の一部を
顧客担当の仕事から切り離しただけで、
中途半端な分業体制に落ち着いてしまいます。
ルールとして業務が回っておらず、
人依存から抜け出せないことから、
もしそのまま拠点を分けてしまえば
現場が大混乱に陥ることになるでしょう。
この事務所が斬新なのは、
業務改革の第一弾として
半分の顧客はすべて自計化を徹底。
残り半分の顧客はすべて外注サービスによる入力代行。
要するに、
入力業務に携わる担当者を
原則所内に一人も置かない体制を
作り上げてしまった点です。
しかも顧客数は現時点で軽く1000件を超えており、
2000件、3000件も視野に入れておられます。
数が増えれば増えるほど、
分業体制の徹底で
効果が発揮されることは間違いありません。
当然ですが、製造は製造、販売は販売で、
それぞれに力が分散せずに
ノウハウが蓄積されてゆくため、
一般的な事務所が
同じことを真似しようとしても、
とてもできるものではなさそうです。
もしかしたら、先生のライバルは、
税理士業ではないのかもしれません。
大手は大手同士で、
競争が熾烈になって来ています。
顧客獲得の手法やサービスラインナップもさることながら、
増えてゆく件数に耐えられる
より高効率な業務手法も
合わせて模索していく必要がありそうです。
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