残業はストレス
みなさん、こんにちは。
どちらの事務所でも、
そう大きな違いはないように思いますが、
日々終業時間になると早々に、
退社する職員の方は
おおよそ決まっているのではないでしょうか。
その真逆で、
ほぼ毎日のように残業、残業という
職員の方もおおよそ決まっています。
昭和的なお考えの税理士先生の場合、
不思議と後者の方が頑張っているように
錯覚してしまう傾向が強い気がします。
私も昭和生まれということもあり、
その考え方を真っ向から
否定するつもりはありませんが、
注目すべきポイントは、
「毎日...」という点。
一年中残業が常態化している、
それが特定の個人に限定されているということは、
①各々が、就業時間を超えることを前提として
日々の仕事を組み立てている
(残業による収入確保の意味も含め)
②そもそも担当している業務量が、
個人のキャパシティを大幅に超えている
おおよそどちらかに分類されます。
①、②どちらも深刻な問題ではありますが、
対策という意味では、
①のほうがより厄介なイメージを私は持っています。
なぜなら②は、
①と違って、他に仕事を振り分けることで、
問題は解消へと向かっていきますが、
①の場合は、仕事の振り分けで
個人の負担軽減をはかろうとしたところで、
根本的な原因に手をつけていないため、
「様々な理由をつけて、他に仕事を渡さない」
「一部を軽減化したところで、
また新たに時間を費やすような派生業務を
自ら生み出してしまう」
といった行動により、
いつまで経っても状況が変わらないからです。
“遅くまで頑張っている”
と元々は個人を評価していた先生も、
こうなってくると、
さすがにストレスも溜まってくるはず。
ギリギリの人件費で、
運営している会計事務所になればなるほど、
想定外の残業代に翻弄されるそのイライラは
私たちの想像を超えるものでしょう。
どんなに対策をしようとも、
残業の減らない特定人物の心理を、
所長先生が推し量り
一人一人ケアしてゆくことは
おそらく難しいと思います。
事務所全体として、
オフィス全体を消灯(施錠)する時間を決めて徹底する。
その後に発生した問題を一つ一つ解消していく。
こういった地味ながらも、
時間をかけて成果の見える
かたちにしていかない限り、
残業に起因した所長先生のストレスは、
いつまでたっても
解消しないのではないでしょうか。
繁忙期は仕方ないとしても、
恒常化する残業は、
所長先生自らが
対策に乗り出すしかないのです。
「折衝力」が試される
みなさん、こんにちは。
「サービス規定に定められているので...」
「原価が〇〇円分高騰しましたので...」
「法律が改正になった関係で...」
もし、こういった一言だけで、
すべてのお客様が
納得していただけるとしたら
こんなにありがたい事はありません。
こういった働きかけに
賛同をいただけるお客様が
多数を占める一方で、
“何でいままでのままではダメなの?”
“おたくの方で何とかできるでしょ?”
という異論の声にも、
私たちは真摯に
向き合っていかなければなりません。
今も昔も、
「会計事務所は、営業行為が苦手」と、
よくお聞きすることがありますが、
仮に、売上に直結する
営業行為自体はノータッチで
やってこれた職員の方でも、
お客様との業務上における
諸々の調整についても、
すべて所長先生や上長に丸投げ
というわけにはいきません。
そこで試されるのが『折衝力』。
事務所側・お客様側双方が納得するために、
折り合いをつける、妥協点を見出すスキルです。
この力は、
どんなに業務処理速度が早い人でも、
税務会計の知識に長けている人でも、
お客様お一人お一人と
直接話す、聞く、理解する、理解してもらうという
経験の積み重ね無しに
磨いていくことはできません。
恥ずかしながら、
私もその一人だったのですが、
その初期段階として
気を付けなければならないことは、
「相手を説得できる」
「相手を論破できる」
とこちら側の都合だけで、
相手を何とかできるとの勘違いです。
“私は全てを知っている人”
“相手は何も知らない人”
という思い込みが、
そうさせてしまうのかもしれません。
真逆の場合もあります。
声の大きい社長から、
無茶な要件を突きつけられるケースを、
誰しも一度や二度ぐらいは
経験されているのではないでしょうか。
それを事務所として
そのまま飲むことはできないと、
頭では分かってはいても、
「ことを荒立てないために...」
「これくらいなら、
引き受けても問題ないだろう...」
と、安易に引き受けてしまい、
結果として身動きが取れなくなるのです。
一方的に伝えるだけの仕事、
一方的に引き受けるだけの仕事。
どちらも外注やAIに
とって代わられる分野の典型とも言えます。
反対に、
両サイドの事情を考慮し、
最適解を生み出せるよう折衝することこそ、
「人間しかできない仕事」と
呼べるのではないでしょうか。
今後、会計事務所において、
10年、20年と食べていける人材には、
そのようなスキルが
求められているのではないかと私は思います。
業務上で必要な知識をつけるのは当たり前。
それらを用いて、
いかにお客様にご納得いただき、
次のステージへと導けるかが重要なのです。
私は、お客様先の現状を
変えなければならない
少々不穏な空気が流れる場面において
担当者の方が冷静に対応されている場面に
同席させていただき、
□ベテラン⇔若手
□男性⇔女性
□幹部職員⇔一般職員
□正社員⇔パート社員
こういった立場の違いに全く関係なく、
「お客様への折衝力が素晴らし過ぎる!」と、
感動した経験が何度となくあります。
お客様との信頼関係が、
しっかりと築けていることが
前提にはなるのかもしれませんが、
やはり、その方ならではの人間力が、
十二分に発揮されてこその折衝力だと
私は思うのです。
これから、インボイスや電帳法など、
法律改正や業務のデジタル化をはじめとした、
変化への対応を私たちだけでなく、
お客様にも乗り越えていただくシーンが
次々とやってくることになります。
前例主義がいよいよ
通用しなくなってきつつある今、
採用や社員教育の際、
「営業力」という狭い分野ではなく
「折衝力」を意識した基準を
設けるべきではないでしょうか。
確定申告期の戦力確保
みなさん、こんにちは。
今も昔も変わらず、
所長先生にとって頭の痛い問題は、
「確定申告期の戦力確保」
かつてのように、
毎年即戦力の派遣社員と、
当たり前のように期間限定の契約ができるのなら
話は別ですが、
そんな重宝な人材は、
もはや全国的にみても絶滅危惧種。
仮に巡り合えたとしても、
スキルと相場が見合わないのが
現実ではないでしょうか。
そこで、
税理士先生の言葉を借りるなら、
「やむにやまれず...」
“既存の職員による、
限度ギリギリ残業で急場をしのぐ”
“採算割れと認識しつつも、
通年人材を多めに確保しておく”
という二択を迫られます。
もちろん、
“年一業務にならないよう、
仕事が分散できるようお客様に協力を仰ぐ”
“そもそも確定申告案件を増やさない”
“自動化や外注サービスを活用する”
という方法も考えられますが、
現場の実情を考慮すると、
ドラスチックに方向転換するのは
そう簡単なことではありません。
さらに、
業績不振や採用難の影響もあり、
過剰人員確保戦略も脱落する事務所が相次ぎ、
いよいよ残るは、
『既存職員の残業依存』だけに、
なりつつある気がします。
果たして、
その先に希望はあるのでしょうか。
確定申告明け早々に、
全国の会計事務所から、
次々と退職者の情報が入るたびに、
ついそんなことを考えてしまいます。
従来通りマンパワーに頼るのか。
人に依存せず、
自動化やアウトソーシングを取り入れるのか。
あるいはお客様先への働きかけを強化するのか。
どういった対策を打つにせよ、
問題意識が最高潮となる
申告明け初日から早速行動を
開始すべきだと私は思います。
一度失ってしまった人材は、もう戻って来ません。
わかってはいても、繰り返してしまう悲劇。
今年こそ何とかしませんか。