書店に行くと、『潜在意識』や『深層心理』についての著作を
しばしば見かけます。
どの本も、「潜在意識を利用すれば、願いが叶う、何でも出来る」、
…、かのような事を謳っていますが、本当でしょうか
現代科学によると、
我々の精神活動は脳が作り出しているとされていますが、
その内、我々が意識出来る領域『顕在意識』は、
僅か10%に過ぎないそうです。
残りの90%は潜在意識となり、
我々が直接コントロールする事は出来ません
潜在意識は、我々が意識していない部分で活発に動いており、
顕在意識に様々な影響をもたらしています。
例えるならば、顕在意識が手足で、
潜在意識が臓器みたいなものといえば解りやすいでしょうか?
心臓も肝臓も、それぞれ意識しない部分で活動していますが、
それが手足を動かす時にも大きな影響を与えています
当然、手足は自らの意思で自由に動かす事が出来ますが、
内臓を直接動かすのは無理ですね。
それでも、手足を激しく動せば、
心臓の鼓動を早くする事が出来ます
つまり、潜在意識も同じで、直にコントロールする事は不可能でも、
間接的に影響を与える事なら出来る訳です
心理学の本を読むと『無意識』というワードがよく出てきます。
これも、一般には『潜在意識』と同じ意味で捉えられています。
心理学による無意識とは、「心の奥底に隠された心理」を差します。
いわゆる、『深層心理』ですね。
深層心理学のパイオニア的存在のフロイトは、
あらゆる精神的疾患(心の苦悩)の原因が
無意識(潜在意識)にあると結論付けました。
我々は、自分の意思(顕在意識)によって、
あらゆる物事を捉え、考え、判断していると信じていますが、
実際は、深層心理による強力なコントロールを
無意識に受けているのです。
フロイトの弟子に当たるユングは、
無意識を2つに分類して説明しました。
1つ目の個人的無意識は、
過去に体験した記憶が蓄積がされている部分です
2つ目は普遍的無意識と呼ばれ、
誰もが生まれつき持っている人類共通の本能を差します。
ユングは、普遍的無意識には、
未来を予知する能力が秘められているという
驚くべき見解を示しています。
つまり、目に見えない世界との関係です。
心理学というより、スピリチュアルに近いですが、
あながち間違いではないと個人的には思っています。
専門家の多くは「潜在意識に本当の自分がいる」といいますが、
ならば、我々が意識している自分は、偽者だというのでしょうか
考えてみると、確かにそうかも知れません。
我々は、周囲に気を遣い、空気を読み、
やりたい事を諦め、いいたい事を我慢するような日々を送っています。
これは、まさに自分を欺いているのと同じです。
そのような日々を繰り返していると、
次第に自分の本心が解らなくなっていきます。
結果、偽りの自分ばかりが表に出てきてしまい、
本当の自分が潜在意識の深層に潜ってしまうのです
フロイトがいうに、抑圧された本心は、夢に出てくるそうです。
皆さんは、夢の中で、普段の自分では考えられない行動を
取ってしまう事はありませんか
夢の中だと、普段は大人しい性格の人が活発になったり、
温厚な人が乱暴になったりするも、けして珍しくありません。
ちなみに僕は、何かを食べてる夢をよく見ます
きっと、普段から食欲が抑圧されているのでしょう。
どうやら、夢というものには、
日頃の欲求不満を解消する役割もあるのかも知れませんね。
夢には、遠い過去の忘れた記憶が現れる事もあります。
つまり、『忘れる』とは記憶から消えるのではなく、
潜在意識に潜っている状態なのです。
もしかしたら、我々が見た事、聞いた事は、
どんなに些細なものであっても、
潜在意識の奥底で全て保管されているのかも知れません
ユングは、夢分析という方法により、
意識の底に隠された過去の記憶を掘り起こす事で、
多くの患者を苦しみから救い出しました。
過去を探るには、催眠術を使うという方法もありますが、
そのメカニズムは同じだと考えられます。
どうやら、表面的な意識活動(顕在意識)が沈静化すると、
潜在意識が表に出てきやすくなるようです。
ボーッとしている時に、ふとアイデアが浮かんでくるのは、
そのためでしょう。
ちなみに、ビートルズの名曲『レット・イット・ビー』は、
夢で聞いたメロディーが元になっているそうです
同様に、文芸や芸術を含む様々な分野でも、
夢からアイデアを受けた経験のある人は大勢います
何か悩みや迷いがある時は、さっさと寝るに限ります。
我々にとっては、考えるよりも夢を見る方が大切なようです