NICCO@マラウィ~国際協力日記/アフリカ編 -世界をフィールドに~ -7ページ目

「ンコタコタ事務所奮闘記」-母子保健事業編(2)-

NICCOンコタコタ事務所に勤務する助産師の疋田です。

前回から、私が今担当しているプロジェクトのことをお話していますが、今日は「奮闘記」というタイトルにふさわしい(?)私の苦労話を聞いてくださいな。

ここマラウィでは、「伝統的産婆の新しい役割」という規則ができ、TBA(伝統的産婆のこと。要はお産婆さんです。)による分娩介助が禁止されたというお話を前回しましたが、NICCOの母子保健事業の最初の取り組みとして、まずはこの新しくできた規則のことを説明する講習会を開催することにしました。
最初に対象にしたのは、ヘルスセンターに勤務するHSA(保健調査員)と、この規則の対象者であるTBAでした。

HSAは村落内で村人の保健指導等に直接関わる立場のため、まずはHSAにこの規則を知ってもらい、その後、徐々に村人に広めていこうと思いました。また、マラウィ政府は、定期的にTBAに対してこの規則のことを説明する講習会を開催していたようですが、そのTBAに再度説明をすることで、彼女たちが分娩介助をしないようにしようと思いました。

この講習会を開催するにあたり、マラウィ保健省の管轄であるンコタコタ県病院のDistrict Health Officer(以下DHO。県の中での保健・医療関係のトップ。)に協力をお願いしに行ったのですが、「TBAにはすでに数ヶ月前に同じような講習会を開催していて、すべてのTBAが『新しい役割』のことを知っている。なぜ同じ人を対象に講習会を実施するのかわからない。そんなのはただの無駄だ。」と言われてしまいました。

「すべてのTBAが『新しい役割』のことを知っているとはいっても、未だに分娩介助を続けている人はたくさんいる。だからもう一度、TBAによる分娩介助が禁止されていることを説明しようとしているのに、どうしてそう言われるのだろう? マラウィ政府のポリシーに従って事業を進めているだけなのに、なんで?」と、これから始めようとする母子保健事業に、暗雲が垂れこめました。

結局、マラウィ保健省内の女性の性や生殖に関する健康を担当している機関の理事から以前もらったレター(ンコタコタ県病院に、NICCOの母子保健事業への協力を依頼する内容が書かれた手紙。)を見せることで、この講習会を開催する許可をもらい、病院スタッフを講師に招くことができました。

こんなことを書いてしまうと、マラウィアンに怒られてしまいそうだけど、この国は非常に縦社会だなーと思いました。ずっと「ダメだ!」の一点張りだったDHOが、たった一通の手紙で「いいよ。」と態度を急に変えてしまうのだから・・・。

まあ、一応DHOをフォローしておくと、彼が「TBAへの講習会はただの無駄だ!」と言ったのにはわけがあり、本当はもっと多くの村人に「伝統的産婆の新しい役割」のことを伝えたいのだけど、経済的理由によりそれが政府の力ではできないため、すでに講習会を受講しているTBAを対象にするのではなく、村長や村落保健委員会等、今までに講習会を受講したことがない人たちを対象にしてもらいたという思いがあったようです。それについては、今後ちゃんと実施する予定でいることを伝え、最後はDHOと和解(?)し、この先もンコタコタ県病院と協力して母子保健事業を進めていくことを約束しました。

講習会の様子
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とりあえず、これが私の奮闘記の始まりです。
いかがでしたか?

それでは、今日はここまで。

「ンコタコタ事務所奮闘記」-母子保健事業編(1)-

ご無沙汰しておりました!
NICCOンコタコタ事務所に勤務する助産師の疋田です。

今回から、新しいタイトルで、私が今担当しているプロジェクトのことを

お話してみようと思います。
「奮闘記」というからには、相当苦労してるんだろうなぁとご想像のみなさん、

全くその通りなんですよ!
聞いてくださいな、私の苦労話。(涙)


現在実施しているプロジェクトは、

マラウィ共和国ンコタコタ県マレンガチャンジ地区で実施している

プロジェクトの2年目になるのですが、今年から私の専門分野(得意分野?)である

母子保健事業を始めることになりました。


まず、母子保健事業を始めるに至った背景を紹介します。
ここマラウィでは「伝統的産婆の新しい役割」という規則ができ、

TBA(伝統的産婆のこと。要はお産婆さんです。)による分娩介助が禁止されました。
なぜTBAによる分娩介助が禁止されたかというと、

きちんとした医療教育を受けていないTBAが分娩介助をした場合、万が一、

分娩後の多量出血やその他の異常が起きたとしてもそれに対応することができず、

また、滅菌された器具を使用していないため、

様々な感染症にかかる場合が多くなり、

ひいては妊産婦の死亡数が増えているという現状が背景にあるようです。


しかし、マラウィ政府はTBAによる分娩介助を禁止するばかりで、

なぜ今でもTBAのところでお産をする人が多いのか、

その原因を究明し解決しようとしていません。


現在もTBAによる分娩介助が後を絶たない理由の一つに、

移動手段(交通手段)が欠乏しているという点があります。
「病院でお産をしてください」と言われても、

交通手段がなくて病院に行くことができなければどうしようもないですよね。
お金がなくて交通費が払えないというのも理由の一つですが、

村の奥まで入ってしまうと、道幅が非常に狭く、

歩く以外に移動手段はありません。
大きなおなかを抱えた妊婦さんにとって、

未舗装の道を長距離歩くことはかなりの困難です。
その距離がまた私たちの想像をはるかに超えていて、

10km以上の道のりを歩かなければならない人もいます。


それ以外に、「伝統的産婆の新しい役割」の規則に対するTBAの不満も、

TBAが分娩介助を続けている理由の一つです。
今まで村人から一目置かれる存在だった伝統的産婆が、

突然のように仕事を奪われ、

「あなたたちのせいで妊産婦の死亡が多くなっています。

もう分娩介助はしないでください。」

と言われたら、かなり不愉快な思いをした上に仕事もなくして、

この先どうやって生活していけばいいかわからなくなりますよね。
自分が生活していくためには、

禁止されている分娩介助だって続けてしまうと思います。


まあ、そういった様々な理由から、

現在もTBAが分娩介助を続けているのですが、

現状が変わらなければ妊産婦死亡率も変わらない!
ってなわけで、母子保健事業を始めようと決心したのですが、

マラウィ政府の言うことも理解できるし、TBAの不満もわかります。

「じゃあこの国の方針に従いながら、一体何ができるのかな?」と考えた結果、

「TBAの持っている知識や経験をどうにか活かし、

もっと多くの妊婦さんに妊婦健診を受けてもらい、

安全にお産をしてもらえるようにしよう。

妊婦さんへの教育をもっと充実させて、異常を予防することで、

妊産婦死亡数を減らすことに焦点を当ててみよう。」ということで、

TBA主導による母親学級開催をメインとした

母子保健プロジェクトを始めることにしました。


とりあえず、今日はここまで。


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健診を終えて自宅へ帰っていくお母さんと赤ちゃん。

彼女らのよりよい健康を目指して母子保健事業を進めていきます。



「マラウィ食紀行」-アマラサス編-



NICCOンコタコタ事務所の疋田です。


前回のブログで「村で見かける野草に興味を持ち始めた」とお伝えしましたが、
今日はここ最近一番興味を持っている野草(?)についてご紹介します。

それは、「アマラサス」。
チェワ語では「チデデ」と言うらしい・・・。


「あまらさす~??」
「何それ?」
そんな質問が飛んできそうですね。
わかります、その気持ち。
私だって初めて聞いた時は
「何それ?」って感じでしたもん。


このアマラサス、フルーツと言っていいのか、
野菜と言っていいのかよくわかりませんが、
赤い実の部分はジャムやジュースにするようです。
葉の部分は、これまた実はオクラの一種らしく、
付け合わせとして食べるそうです。


では何故私がそんなにこのアマラサスに興味を持っているかというと、
実はこのアマラサス、鉄分を多く含んでいるようなのです。
私は職業柄(助産師です)、「これは妊婦にいいかも!」
と全て妊婦を中心に考えてしまいます。
もちろん、マラウィにも鉄剤はあります。
しかし、全ての妊婦さんがヘルスセンターや病院で
定期的な検診を受けているわけではないので、
「隠れ貧血」の妊婦さんが絶対に多いはずなんです。
「貧血なら薬を処方すればいい」という考え方ではなく「貧血を起こさない」。
つまり「未然に予防をする」ことが、すごく大事だと私は思っています!


ちょっと熱が入ってしまいました・・・。


まあ、私が言いたいのは、
「せっかく身近にこんなにいい野草が生えているのだから、それを利用しない手はない」
ということなのです。


ってなわけで、さっそくアマラサスの種を取ってきました。
私はまだ食べたことはないのですが、同じ事務所の森さん曰く、
「すっぱい」らしいです・・・。
ジャムを食べたみたいですが・・・。
種をまいてからどのぐらいで実がなるのかわかりませんが、

今からちょっと楽しみです。


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村人がアマラサスを取ってきて見せてくれました。


「マラウィ食紀行」-オクラ編-

ご無沙汰しておりました。

NICCOンコタコタ事務所の疋田です。

「マラウィ食紀行」復活です!


マラウィは南半球にあるため、季節は日本と全く逆。今は「冬」です。
冬とは言っても、日本の冬のようには寒くありません。
気温的には、秋に近い感じかな・・・。
朝晩はちょっと肌寒く感じるけど(時々寒いけど・・・)、
昼間は半袖でも過ごせるぐらい。
もちろん、天気が悪い日は、昼間でも長袖が必要になります。


さてさて、収穫の季節を過ぎたマラウィ。
ここ最近、マーケットに行く機会もめっきりと減ってしまいました。
なぜなら、物珍しい食べ物を見なくなってしまったから・・・。
ちょっとつまらない。

でも、ここ最近、私は村で見かける草、
じゃなくて、野草(?)に興味を持ち始めました。
それは・・・オクラ!
オクラというと、日本でも見かける
緑色のネバネバした野菜を思い浮かべると思いますが、
村に生えているオクラは全くの別物。
もちろん、マラウィにも日本で見かけるオクラはあります。
でも、野草のオクラは、実を食べるんじゃなくて、葉っぱを食べるようです。
実の部分は一応あるけど、すごくちっちゃい。
ついでに食べられないらしい・・・。


「そんなのオクラじゃない!」
と私は個人的に思っているのですが、
実の中に入っている種を見ると、
「あー、やっぱりオクラかも・・・」
とちょっと納得してしまう。


野草のオクラには種類がたくさんありますが、
どれもこれも食べるのは葉っぱの部分だけ。
ちょっと試してみたい気もするけど、葉があまりにも小さくて、
手間がかかる割には食べた気がしなさそうなので、今はちょっと遠慮しています。
村の人は、小さな葉っぱを摘み取るあの手間を苦にしないのかなぁ・・・。
ま、いつか機会があったら試してみます。

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野草のオクラ



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摘み取ったオクラの葉。この部分だけを食べる。

「マラウィ食紀行」-マラウィアンカレー編-

NICCOンコタコタ事務所の疋田です。

私が住んでいるンコタコタは、電気はわりと安定して使えますが、

水の供給はいまいち。


つい数週間前までは、断水がほぼ毎日のように起きていました。
なので、シャワーも浴びられなければ、料理もできない・・・。

そんな時は、仕方なく歩いて近くのレストランへ行きますが、

ンコタコタにあるレストランには限りがあり、料理の選択肢も少ない。
というか、どこに行ってもメニューは一緒。

メインをチキン、ビーフ、チャンボ(淡水魚です。)から選び、

主食をライス、シマ(トウモロコシの粉からできた蕎麦がきみたいなもの)、

チップス(フライドポテト)から選びます。

しかし、私と同じ事務所の森さんがよく行くンコタコタで一番(?)の

レストラン「VIP CLUB」には、なんと「チキンカレー」があります。

普通のマラウィ料理に飽きている私と森さんは、

ほとんどいつものようにチキンカレーを注文します。

で、このチキンカレー、当然ながら日本のカレーとは全くの別物。
マラウィアン料理に付いてくるトマトソースがベースになっている感じ。

レシピを聞いたことはないけれど、トマトソースに

カレー粉を加えているといった感じの味。
チキンは、ローストしたものを後から加えている。

(というか、チキンにカレーをかけているだけ?)


毎回食べるたびに味が若干違うけれど、

まあ、それはマラウィだから仕方ないか。

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VIP CLUBのチキンカレー&ライス