釈迦牟尼スーパースター ~仏教のつれづれ~ -228ページ目

仏像21体もよく盗んだね

3月3日に逮捕された、三重県四日市市の社長さん(59歳)。

京都府警は、自宅から21体の仏像を押収したそうですが、

よくそれだけ盗んだものです。
釈迦むに・スーパースター ~そのうち悟りたい~-盗難
右の写真はその押収品ですが、これだけの仏像があるお部屋って

・・うらやましい・・・いや、けしからん!!


東寺の不動明王立像もあったそうですが、

あんなにメジャーな寺で、わりと観光客もいる

ところから盗み出せるものなのでしょうか。

建仁寺からはコートにくるんで持ち出したとか。


不動明王、観音、毘沙門天、韋駄天などなど、

この容疑者の信仰のコンセプトは今ひとつわかりませんが。


手元に仏像が欲しいとは、とくに思いませんが、

ネットで検索してみたことがあります。

めちゃくちゃ小さい金属製の涅槃像、1500円!

どこかで金型に流し込んでいるだけなんでしょうね。

仏像を、1500円で、しかもネット通販で買うというのは、

絶対に西方浄土にはいけない感じもしますが、

それはそれでいいような悪いような。

涅槃で待つ



世の中にはいろいろな仏像がありますが、

一番好きなのはお釈迦さまが寝ころがってる「涅槃仏」です。


これは釈迦が亡くなった(入滅した)ときの像ですが、

何で亡くなったかって腹痛。食中毒と言われています。

宗教の開祖としては、あまりに平凡な亡くなり方が素晴らしい。


はりつけになって、血を流して苦しんでいる壮絶なキリスト像を

見ると、涅槃仏のなんたる安らかなことよ、と思います。


私がはじめて「涅槃」という言葉を意識したのは、

たぶんイケメン俳優・沖雅也の遺言です。

83年に京王プラザホテルから飛び降りて、31歳で亡くなりました。


「おやじ、涅槃で待ってる」

釈迦むに・スーパースター ~そのうち悟りたい~


おやじとは養父の日景忠男さんですが、実は恋人として同性愛

関係にあったという報道が当時流れました。事実は謎ですが・・。


沖雅也の遺書はこんな感じでした(一部略)。


「人は病む。いつかは老いる。死を逃れることはできない。

人間が生きていることは、結局何かを求めていることに他なら

ない。老いと病と死を超えた人間の苦悩のすべてを離れた境地

を求めることが正しいものを求めることと思うが、

今の私は誤ったものの方を求めている者。

おやじ、涅槃で待ってる」


生・老・病・死。沖雅也、明らかに仏教の影響を受けていますねー。

涅槃(寂静)とは、煩悩の火が消えた安らかな境地のことで、

そこで「待ってる」ことが仏教的にアリなのかわかりませんが・・・。

日景さんは、最近では都内某所のフーゾク紹介所に勤めていた

ようで、去年だっけか恐喝容疑で逮捕されています。


ちなみに、沖雅也のドラマ『俺たちは天使だ』の主題歌に出てくる

「♪運が悪けりゃ死ぬだけさ~ 死ぬだ~け~さ~」

というのも、私にとって生涯の名言です。


何かたいへんに苦しいことがあったとき、心の中で、

「♪運が悪けりゃ死ぬだけさ~」と歌って、

涅槃を思い浮かべます。


『犀の角たち』 仏教は合理的でクールで都会的である



「科学と仏教」というと、BGMにシタールのCDを流して

マリファナを一発キメながら「マンダラって量子力学だよね~」

みたいな話を思い浮かべがちです。


でも、お釈迦さまが考えたことは、そういう神秘的で釈迦むに・スーパースター ~そのうち悟りたい~-佐々木閑著(大蔵出版、2006年)

アバウトな話ではなくて、むしろ全く逆らしいのです。

この『犀の角たち』(大蔵出版、2006年)を読んで、

お釈迦さまの合理的でクールなカッコよさを知りました。


著者の佐々木閑氏(今後このブログで何度も出てきそうです)は、

もともと科学者を目指していた理系の人です。

実家がお寺だったので、あまり好きでなかった仏教学者に転じるのですが、

そのうち、初期の仏教は科学とかなり近いじゃん! と気づいたそうです。


この本は、物理学・生物学・数学の歴史を延々と書いて、

「仏教の話いつすんの?」と思ったところで、

満を持して釈迦むに・スーパースターが登場します。


すると、お釈迦さまは科学者とそっくりであることがわかるんです。

この世界は、超越的な神様が創ったり動かしているのではない、

ある法則(=真理)にのっとって動いているのだ、と。


「この言葉を唱えれば救われる」とか「死後に復活して奇跡を起こした」とか、

そういう信仰があってもいいとは思いますが、

私なんかは「そんなわけねーじゃん」と突っ込んでしまいます。

ひねくれた現代人ですから・・・。

そういう方は、この本を読むと、きっと釈迦むにのファンになります。