涅槃で待つ
世の中にはいろいろな仏像がありますが、
一番好きなのはお釈迦さまが寝ころがってる「涅槃仏」です。
これは釈迦が亡くなった(入滅した)ときの像ですが、
何で亡くなったかって腹痛。食中毒と言われています。
宗教の開祖としては、あまりに平凡な亡くなり方が素晴らしい。
はりつけになって、血を流して苦しんでいる壮絶なキリスト像を
見ると、涅槃仏のなんたる安らかなことよ、と思います。
私がはじめて「涅槃」という言葉を意識したのは、
たぶんイケメン俳優・沖雅也の遺言です。
83年に京王プラザホテルから飛び降りて、31歳で亡くなりました。
「おやじ、涅槃で待ってる」
おやじとは養父の日景忠男さんですが、実は恋人として同性愛
関係にあったという報道が当時流れました。事実は謎ですが・・。
沖雅也の遺書はこんな感じでした(一部略)。
「人は病む。いつかは老いる。死を逃れることはできない。
人間が生きていることは、結局何かを求めていることに他なら
ない。老いと病と死を超えた人間の苦悩のすべてを離れた境地
を求めることが正しいものを求めることと思うが、
今の私は誤ったものの方を求めている者。
おやじ、涅槃で待ってる」
生・老・病・死。沖雅也、明らかに仏教の影響を受けていますねー。
涅槃(寂静)とは、煩悩の火が消えた安らかな境地のことで、
そこで「待ってる」ことが仏教的にアリなのかわかりませんが・・・。
日景さんは、最近では都内某所のフーゾク紹介所に勤めていた
ようで、去年だっけか恐喝容疑で逮捕されています。
ちなみに、沖雅也のドラマ『俺たちは天使だ』の主題歌に出てくる
「♪運が悪けりゃ死ぬだけさ~ 死ぬだ~け~さ~」
というのも、私にとって生涯の名言です。
何かたいへんに苦しいことがあったとき、心の中で、
「♪運が悪けりゃ死ぬだけさ~」と歌って、
涅槃を思い浮かべます。
