后前弐時のブランチ -18ページ目

后前弐時のブランチ

少し特異な体験を中心に書いています。
背中がゾクッとするのが苦手な方は片目で
読む様にして下さい(笑)

もう冬なのでしょうか・・・。かなり冷えてきましたね。


事故の後遺症もまだ続いており、首から腰がまだ痛いです。


この数日痛みを鎮痛剤で押さえながら、走り回ってました。


おまけに事務所のネットが停止・・・。ADSLから光に変更したらプロバイダの


設定変更用紙がまだ届かず・・・。


うまくいかないときは色々なモノがうまくいかないモノです・・・。



さて、今日は5年ほど前に友人と会った時の話です。


その当時私は自宅で仕事をしていて、昼間は自分の部屋に閉じこもりっきり


で・・・。


夕方携帯電話が鳴り、出てみると清掃会社に勤める友人でした。



「ちょっと会われへんかな。」


そんな電話でした。久しぶりにかかってきた電話でいきなりそんな話です。


何かあったのだと思い、私は着替えてすぐに待ち合わせの場所に。



待ち合わせは近くのファミレス。友人はラフな格好で、一人座っていました。


「どうしたの。」


私はそう言いながら友人の向かいに座りました。


すると、友人の後輩がドリンクバーのグラスを持ってやってきました。


「今日休みか。」


私はラフな格好で座る友人にそう聞きました。


「いや・・・。仕事帰り。コイツ俺の後輩で佐々木。」


佐々木はぺこりと私にも頭を下げた。



私もドリンクバーを頼み、アイスコーヒーを入れて席に戻った。



「で・・・。何かあった。」


「あー・・・それがな・・・。」



友人は清掃会社にもうその時点で5年以上は勤めていた。


夜のビルの清掃もそうだが、昼間にビルの窓をゴンドラに乗って洗う事もある


らしい。



「今日もそのビルの窓やったんやけど・・・。」


「うん・・・。」


「今日は佐々木と一緒やったんやけど・・・。」



友人とその佐々木は一緒に神戸市内のあるビルの窓の清掃をしたらしい。


ビルの窓の清掃はビルの大きさにもよるが、午前中に1つ。多いと午後から2


つ行うそうだ。


今日は午後から一つその窓清掃があったそうだ。



「たまに、更衣室とか見えて面白いんすけどねー。」


佐々木はそんな事を言っている。たぶんまだ20代前半だったと思うが・・・。



「問題はなー。清掃している向かいのビルやねんけど・・・。」


友人はやたらと喉が渇くらしく、何度も佐々木は友人のドリンクを入れに行っ


ていた。



「向かいのビルってのがある病院でよ・・・。」


「ほう・・・。」


「その病院んの4階の端から二つ目の部屋がいつも真っ暗でな。」


私は友人の怯えようと佐々木の能天気な態度にギャップを感じてた。



「そのビルと病院の間ってそんなに開いてないんやけどな、ちょうどその辺り


の窓を洗ってるとな・・・視線を感じてたんや・・・。」



私はその日、なぜかそんな気分ではなく、その話を聞くのがすごく嫌な感じで


した。


「その病院の部屋か・・・。」


「うん・・・まあそうやねんけどな・・・。」


「なんか今日はその話を聞く気分じゃないな…。」


私はそう言ってタバコを吸った。



「いや・・・。まぁ今まで向かいのビルだけ清掃してたんやけどな。実はうちの営


業がその病院の仕事を取ってきてな・・・。先週初めてその病院の窓の清掃を


したんよ・・・。こいつと二人で・・・。」


友人は佐々木を指さしてそう言う。



「先週の火曜日ですわー。」


佐々木が手帳を見ながらそう言う。



「その日朝からその病院の窓洗ったんやけどな。朝から変な事が起こるんや。


会社出ようと思ったら車が動かんでな。急きょ車乗り換えて。あとパートのおば


ちゃんが会社にこーへんのよ。原付で事故ったって・・・。結局社長の奥さんが


一緒に行く事になったんやけど。それから、その病院について、ゴンドラのセット


してたら、ロープが切れてるんよね・・・会社で確認した時はそんな事無かった


んやけど・・・。それからコイツが指切って・・・。」


佐々木の左手の人差し指には包帯が巻かれてた。



「偶然ちゃうなーってその時は笑ってすましたんやけど・・・。」



少し重い気分になりました・・・。


「それで・・・。」


私は友人の話の続きを聞きました。



ロープを取り替えて、完璧にチェックして友人と佐々木はゴンドラに乗って屋上か


ら降りたようです。



ビルですから四方向に降りて窓を洗うらしいのですが、朝から二面を仕上げたと


言ってました。長い事窓を洗っていない病院だったので、かなり時間がかかった


らしいのです。



そしてその問題の窓がある方向を3面目に降りたそうです。



そのビルの屋上は初めての場所なので、その窓の事は正直忘れていたそうなの


ですが、降りる時に思い出したそうです。



上から順番に窓を洗って行き、どんどんその窓が近づいて来ます。



その窓・・・やはり使われていない部屋のようです。


その日も真っ暗で友人は早くその窓付近を終わらせたくて、急いで洗っていたそう


です。



「その窓・・・カーテンは引いてあるんやけど・・・中がカーテンの陰から見えるんや。」


「何か見えたんか・・・。」


「うん。」


「何が見えた。」






「子どもが暗闇で遊んでた・・・。」




「俺も見たんです。」


佐々木もそう言う。




「たまたま空いてた部屋を使って遊んでたんとちがうのか。」


「うん・・・。まあその窓も普通に洗って全部終了してから、病院の人に挨拶に行ったん


やけどな・・・。」


友人はそう言ってまた飲み物を一気飲みした・・・。



友人は病院の人に、窓ガラスの欠けた部分などの報告をするために営業社員と一緒


に病院の担当者に会ったそうです。


全て報告を終えて、みんなが片付けをしている間に歓談をしていたそうだが、たいそう


窓がきれいになったのをその担当者は喜んで・・・。



「で、俺聞いたんよ・・・。あの部屋の事。子どもが遊んでいたんですが・・・ってな。」


「・・・・・・。」


「その担当者は、そんなはずはないって言うんや・・・。」


その担当者の話によると数年前からその部屋は訳があって使用していないらしい。



「その訳って・・・。」



それがどうやら今日の目的らしい・・・。



「それが気になったんやけど・・・。その場では聞けなかったんよ。でも何となくわかる


やん・・・。」


その担当者も察して欲しいという感じで、言葉を濁したようだった・・・。



「いや・・・それでよ・・・。たまたまその病院にコイツの同級生が看護婦でおってさ・・・。」


佐々木を指さして友人は言う。



「気になって気になって仕方ないから、ほら、お前の友達におったやんか、霊感の強い


ヤツ・・・。」


「Fか・・・。」


「そうそう。そのFと一緒に来てくれんかな・・・。」




「そんなん大丈夫なんか・・・。勝手に入って・・・。」


「実は作業の下見って事で、話はしてるんよ。ホンマは作業する前にやるんやけど・・・。


今回は時間無くて、次回のための下見って事で・・・。」



「う~ん。別に良いけども・・・。Fは東京におるんよ・・・。もうかなり前から・・・。」


「そうなんか・・・。じゃあお前だけでも・・・。」



私は一緒にその病院へ行く事にしました。



その日はそんな話の後、色々と体験した心霊現象を話して帰りました。


かなり遅くまで話していた気がします・・・。



では後日また、一緒にその病院を見に行った時の事を書きますね・・・。







TODAY'S BGM 「月ひとしずく」 小泉今日子

しばらくぶりです。


今週は多忙を極めてしまい、更新が出来ず申し訳ありません。


たくさんご心配をおかけしたようで、メッセージを頂きありがとうございます。


すっかり秋も深まり、気がつくと11月に。


朝晩寒い日がやってきましたので、みなさんもお体にお気をつけて下さい。



さて、今日のお話も秋と冬の境の時期の話です。


その日も寒く、歩いていて温かいモノが食べたくなる様な日でした。



その日は会社の先輩と一緒に飲みに出たのですが、既に電車も終わり、


先輩たちは更に飲みに行くと言うので、私はその店に残りました。


その当時良く行っていた店で、お店の女の子とも仲良くしていたので、


あまりお酒の飲めない私は、その店で始発を待つつもりでした。



お店が暇で、少し早く締めると言う事になり、その店の女の子数名と一緒に


店を出ました。


あまりに寒く、途中でラーメンを食べようと言う事になったので数名でラーメン


屋へ入りました。



飲んだ後のラーメンはやはり美味しい。


ラーメンを食べた後、一人の女の子を残し、後の数名はタクシーで帰りました。


私は手持ちのお金も乏しかったため、神戸駅辺りまで歩いて始発を待つことに


しました。



「私も神戸駅の近くやから、一緒に歩くよ。ダイエット中やしねー。」


その子はそう言って、私と一緒に歩く事になりました。朝方ラーメン食って、ダイ


エットもないのですが…(笑)



少し歩いていると雨が降り出したので、高架下を歩くことにしました。



神戸の方はご存知だと思いますが、神戸は三宮から神戸まで商店街と高架下


がずっと続きます。ほとんど雨に濡れずに歩く事が出来ます。



朝の4時頃だったと思います。


彼女の家に近いと言う事で高架下を歩くことにしたのです。



三宮から元町まで。比較的若者向けのお店が高架下にならびます。


そして元町駅を挟んで、元町から神戸まで続く高架下は古びた店が並んでます。



私とその子は元町から神戸に続く高架下に入りました。


酔っ払っている二人です。その暗い高架下に大声を響かせて歩いていました。



昼までも真っ暗な高架下。この時期の朝は本当に真っ暗で、たまにある明りを


頼りに歩くしかないのです。



私は喉が渇き、自動販売機で飲み物を買ってました。


その時です。



「え。何・・・。」


その彼女が言います。


「ん・・・。」


彼女は真っ暗な高架下を指さして、


「ほら・・・あれ・・・。」



私は、缶コーヒーを取り出し、立ち上がり彼女の差す方を見ました。



しかしそこには何もないのです。



「何・・・。どうした・・・。」


「変な光が見えた・・・。」


「光・・・。なんやろう・・・。」



彼女の気のせいだろうということになりました。


「どうする。高架下歩くのやめるか・・・。」


「いや・・・気になるやん。行ってみようよ・・・。」


その子はそう言います。



勇気のある子でした。たまに私が話す怪談話も好きで、怖い事が大好きで


その時もそんな好奇心が出たのでしょう。



私と彼女は高架下をゆっくり進んで行きました。


シャッターの閉まった店ばかりが並ぶ夜の高架下。歩いた方はわかると思


いますが、不気味です。


たまにホームレスが寝ていたり、酔っ払いが座り込んでいたりします。


女性が一人で歩くのは少々危険かもしれません。



彼女が光を見た場所・・・。その辺りまで来ました。



「この辺やったと思うけど・・・。」


彼女は私の腕を強くつかみ、周囲を警戒してました。



私も周囲を見回しましたが、何もありません。



「何にもないな。」



その時でした。


少し先に人影が見えました。



「人がいる。」


「え・・・。どこ・・・。」



目の前に人が立っていました。


彼女はその人の方を見ているのですが、気がつきません。



「そこ・・・。」


私はその人影を指さしました。



「もう・・・。やめてよ・・・。」


彼女は私にそう言いました・・・。




そうです。彼女には見えないのです・・・。



私はその人影に近付くのを躊躇したのですが、見えない彼女にはそんな警


戒もなく、私の腕を引っ張り歩き出します。



どんどん近付いていきます。真っ暗な高架下。だんだんその人影が見えて


来ました。





その人影は軍人のようでした・・・。




はっきりは見えないのですが、軍服を着て腰にサーベルを下げているのが


わかりました・・・。



そしてその軍人は明らかに怒っている感じでした・・・。



「急ぐで・・・。」


私は彼女にそう言うと走って、その軍人の横を通り過ぎました。



「何・・・。何なん・・・。」


彼女は訳がわからない様子で、とりあえず一緒に走っていた感じでした。




少し走って、明りのあるところで振り返りました。



その軍人はこっちをじっと見ていました。



「あれ・・・。お前には見えんか・・・。」


「何よ・・・やめてよ・・・。何かおるん。」


急に彼女は怖がり始めました。




やはり、彼女には見えなかったようです・・・。




そのまま早足に高架下を抜けました。




雨が強くなっていました。




その日は彼女には詳しく話をせずに別れました。



私は始発を待ち、帰宅しました。




その日は何も考えずに寝てしまったのですが・・・。







その翌週に不思議な事がありました・・・。




会社へ行き、鞄を開けると、鞄の中に入っている資料が切れているのです。


鋭利なモノで切られた様に・・・。そう、サーベルの様なもので・・・。


鞄は切れていないのですが、斜めに疵の様なものがついてました・・・。




数日後、その彼女の店に行き、あの日の話をしました・・・。


軍人が立っていた事、鞄の中身が切れていた事、睨まれていた事。



「もう一生高架下には行かへん。」


なんて言ってました(笑)






その後、その彼女が他のお客さんに色々とリサーチしてくれてたようです。




「高架下って戦争の後、軍人が寝泊まりしてたところもあるって。アメリカの


兵隊に逆らって殺された人とかもおったらしいから、その軍人の幽霊ちゃう


かって・・・。」


彼女はそう言ってた。



その話が事実かどうかは定かではないのだが・・・。




しかし私を睨む軍人・・・。何を言いたかったのだろうか・・・。







TODAY'S BGM 「依存症」 椎名林檎

今日は日曜日です。そして神戸は雨です。


昨日は小学生のバレーボール大会を観戦してきました。


負けて泣く子、勝って泣く子。その涙に感動しました。


昨日ライオンズの先輩と話をしてたのですが、一生懸命な子どもたちを


見ながら、


「あの頃に戻れたら、こんな人生送ってないでしょうね…。戻りたいと思い


ませんか。」


私はタバコを校門のところで吸いながら先輩にそう言いました。


「いやー。俺らは一緒やで、楽な方に流されてしまうやろー。」


と、先輩。


身も蓋もない話でした…(笑)



さて、昨日書きました「ドッペルゲンガー」の話し。


これを読んで友人から電話がありました。



「俺も実は自分を見たんや…。死ぬんかな…。」


久々の電話でいきなりそんな電話でした。


「って…俺のブログ読んでたんか…。」


「うん。こっそりな…。」


そう言って笑ってました。



いろんな人からコメントを頂いたりしたのですが、双子説などもあったの


ですが、霊がその人の姿を借りて実体化したものなどという説もあったり


します。


その友人の体験は、かなり貴重な体験です。



「で、どんなんやったんや…。」


「あー。話すけど…。話すけどやー、ブログに書いてくれるか…。」



ん…。それか…目的は…(笑)



はいはい。ちゃんと約束通り書きましたよ…(笑)



その友人M。Mの体験を私は電話で聞きました。


「実は3回ほどあってよ…。最初の時は会社やってんけどな…。」



営業職のMがある日の夕方、会社に戻ったそうです。


「あ、Mさんさっきの資料、部長に回しておきましたよ。」


机に戻るとすぐに向かいに座る女性のスタッフがそう言って来たそうです。


「さっきの資料って…。」


Mが椅子に座りながら、その女性に聞き返したそうです。


「え…。5分くらい前の話ですよ…。嫌やわ…トイレで脳みそまで流してきたん


と違います…。」


そう言われたそうですが、Mはその時、会社に戻ったばかりでその女の子に何


かを頼んだ覚えはなかったそうです…。


Mもその子が誰かと間違っているんだろうと、その時は何も思わなかったそうで


すが…。



「どう思う…。怖いと思わんか…。」


友人は電話越しに言います。


「でもそれは、ホンマに女の子が間違ったんかもしれんぞ…。」


「いや…それが違ったんや…。」



それがわかったのが新人歓迎会があった日だったそうです。


Mはその日外回りで、会社に戻らずに直接歓迎会の会場に行く事になり、少し


遅れてある居酒屋に行ったそうです。


しかし翌日も自宅から直接客先へ行くために資料を会社に取りに行かなければ


ならず、歓迎会が終わった後に会社にいったん戻ろうと思っていたようです。



会場に入ると自分の席だけ空いてて、ガヤガヤと騒がしい中、その席に座って


宴会に参加したそうです。



誰も何も言わずにその場に溶け込んで宴会を楽しんだそうなのですが、Mはそ


れが少し違和感を感じたそうです。



「そう思わんか…。普通遅れてきたヤツに色々と言うやろ…。何にも言わんしよ。」


確かにそうだろうが…。



そして、宴会の途中で、自分の座っている席の後ろに会社の封筒がある事に気が


ついたそうです。



「あれ…。これ何…。」


Mはその封筒を隣の同僚に見せて聞いたそうです。


「Mさん、明日の資料やって持って来てたじゃないですか…。」


「え…。」



持ってきたはずの無い封筒を隣にいた同僚がそう言ったそうです…。



宴会が終わった後、数人で二次会に行くことになり、あるバーにMたちは行った


そうです…。



そこで、今日の話をみんなにしたそうです。


Mの席の向かいに座る女の子も一緒で、先日の話もそこで出てきたそうです。



「じゃあ、あの時もMさんは本当に知らなかったんですね。」


「もちろん。」


「でもちゃんとあの時、Mさんは私に言ったんですよ。部長に届けておいてって。」



「今日は俺、みんなと一緒に来たんか…。」


「いや…。少し遅れて来たんですよ。明日の準備があるから資料取ってきたって。」



Mは客先から直接会社に寄らずに来た事と、終わってから会社に資料を取りに行


こうと思ってた事をみんなに話した。



「それってドッペルゲンガーってやつちゃいますか…。」


ある後輩がそう言いだしたそうです。



その日自宅に帰ってから、「ドッペルゲンガー」をネットで調べたそうです。





「自分でその姿を見ると死ぬ…。って書いてるしよ…。さすがにちょっとびっくりして


。」


「うん。それはわかるわ…。俺も怖かったしなー。」


「でも不思議でよ…。まったく自分では記憶にないし。俺、自分でおかしくなったかと


も思ったわ…。」


Mはそう言います。




しかし、それからしばらくはそんな事もなく、忘れかけてたそうです。




そしていよいよMは自分と会ったと言います。




「でよ…。今年の春やねんけど…。」


「うん…。」



友人は、数年前に離婚して今は一人で住んでいるそうですが、別れた奥さんとの


間に娘さんがいて、その娘さんのピアノの発表会に行ったときの事だそうです。



その日は奥さんの実家のある大阪のある街へ行ったそうです。



しかし、その朝、車の事故を起こしてしまい、間に合わなかったようです。


ようやく会場に着くと、ちょうど発表会が終わった頃で会場からゾロソロと親子が出


て来ていたようですが…。





Mはその人の中で別れた奥さんと娘…そして自分の姿を見つけたようです。




「びっくりしてよ…。」


「そっくりやったんか。」


「いや…そっくりって言うより、自分そのもの。来てる服も一緒やし…。」



私もその話を聞いて鳥肌が立ちました…。



「俺も車から動けなくてよ…。じっと見てたんやけどな。その俺に似た男だけどこか


に行ってしまってよ。」



しばらく元奥さんと娘を見ていると、向こうがMに気づいて近づいてきたそうです。



奥さんと娘は普通にMの車に乗り込んできたそうです。



「こっちに回ってきたん。電話くれたら良かったのに…。」


と奥さんは言ったそうです。


「え…。」


「車回してくるって言うから駐車場の方かと思ってずっと見てたわよ。」


「あー。ごめんごめん。」


Mは訳がわからないまま、そう答えて、とりあえず奥さんの実家の方へ向かった


そうです。



「実家近くの焼肉屋を嫁さんの母親が予約してくれててよ。そこに行ったんよ。」


「もうびっくりしたわー。事故したって言うから心配しててんでー。」


義母がMにそう言ってきたらしい。しかしMは義母に電話した覚えもなかったようだ。



その日は、奥さんの実家に泊まる事になって、夜遅くに今日の自分の体験を話した


そうだ…。



「何言ってんの…。大丈夫なん…。一人で生活してて不便なんじゃないの。少し疲れ


てない…。」


奥さんはMを心配してたらしい。


奥さんが言うには、Mは事故を起こしたが軽い事故で、すぐに処理が終わり駆けつけ


たらちょうど娘がステージで発表会をしているところで、Mも奥さんの横でちゃんと聞い


ていたと言う。



「ドッペルゲンガーって知ってるか…。」


Mは奥さんに聞いたそうだ。


「知ってるよ。そんな話し私好きやし…。」


奥さんはドッペルゲンガーを知っていると言う。「見たら死ぬってやつでしょ…。」


「そうらしいな…。」


「なに…。見たん…。」


「うん。俺は車をあの場所に停めて、実は発表会間に合わんかってん…。そした


らお前ら出てきて…俺も一緒やってん。だからどんな曲を弾いたのかも知らんし、


感想もわからん…。」



「…。」


奥さんはそれを聞いて黙ってたらしい。



次の日の朝からMは自宅に帰ったそうだ。




「たぶん俺は近々死ぬなー。って本気で思ったわ…。そんな事しか書いてない


しな…。」


「まだ生きてるやん…。たぶん大丈夫なんやで…。見ても生きてる人の方が多


いんちゃうかな…。それどころか、ドッペルゲンガーって実は結構起こってて、


それに気がつかない人の方が多いだけかもしれんしな…。」



「うーん。」


Mは唸るように声を出して黙った。


「パパー。」


電話からそんな声が聞こえた。


「ん…。娘さん来てるんか…。」


私はMにそう聞いた。



「ん…。ああ、実は嫁と娘が戻ってきてな。再婚する事になったんよ。来月の娘


の誕生日に籍を入れる事になってんねん…。」


「おーそれは良かったなー。おめでとう、。」


「あーありがとう。まあ、嫁が俺が精神的に病んでるんやろうって心配してくれて


よ。ドッペルゲンガーで死ぬなら死ぬで、そん時も一人じゃ困るやろーって…。


嫌な事言うで…。」


そう言ってMは笑っていた。



ドッペルゲンガーも悪いもんじゃないかも…。







TODAY'S BGM 「弁解ドビュッシー」 椎名林檎