こんにちは。NYで役者やってます、まみきむです。

NYアクターの生活、オーディション、現場からのレポートなどをお届けしています。

 

これまでのお話:オファー詐欺の見分け方(1)

                       オファー詐欺の見分け方(2)

                       オファー詐欺の見分け方(3)

                       オファー詐欺の見分け方(4)

                       オファー詐欺の見分け方(5)

                       オファー詐欺の見分け方(6)

                       オファー詐欺の見分け方(7)

                       オファー詐欺の見分け方(8)

                       オファー詐欺の見分け方(9)

インターネットのおかげで、こちらが仕事を探すだけではなく、雇い主の方からも、ネットで役者を探し出してくれるようになった。しかし、そうして役者にアプローチしてくるのは、雇い主だけではない…雇い主を装った、プロの詐欺師達も、さまざまなアプローチをかけてくる…

詐欺の手口

敢えて詐欺メールに乗って、詐欺師と連絡を取った彼のもとに、それから間もなく、以下のようなメールが送られてきた。

(これも、原文は英語だが、日本語ならこんな感じ…という翻訳にした。)

 

本日、あなたの御住所へ、前金の$400を含むチェックを郵送しました。郵便局のトラッキング番号はXXX-XXXX-XXです。

チェックがお手元に届いたら、なるべく早く口座に入金して下さい。そして、あなたの前金$400を除いた額を、レコーディング・エンジニアへ送金するようお願い致します。

レコーディング・エンジニアへの送金方法は以下の通りです。

(口座番号や入金方法などの指示が書かれている)

レコーディング・エンジニアへの送金は、録音予定日までに必ず行って下さい。なお、口座への入金や、送金手続きには24時間以上かかる事があるので、御注意下さい。

あなたへの残金の$500は、録音終了後、その日にお支払い致します。

 

 

お分かりだろうか?赤字で示した部分が、詐欺の手口である。

 

録音の直前に「前金」のチェックが送られてくる。そしてそのチェックをすぐに口座に入れ、自分の取り分を引いた額を、別な場所に送金するように言われる…例えば、送られてきたチェックの額が$700だとしよう。あなたはその$700のチェックを、まず自分の口座に入れて換金し、そこからあなたの前金$400を引いた、$300を指定の口座に振り込まなければならない…これが、いきなり自腹を切って立て替えろというならば抵抗を感じるが、手元にはすでにチェックが届いているのだから、もうその分は貰ったも同じ…と考え、その差額分を録音日までに送金する。その入金の手続きには通常数日を要すが、それを待っていては録音日に間に合わない(ようにしてある)から、入金を確認する前に送金してしまう。

ところが、その口座に入れたチェックは偽物で、やがて不渡りになって戻ってくる…つまり、前金のはずの$400は手に入らず、送金した分の$300をだまし取られる…というわけだ。

 

繰り返すが、本当の仕事なら、エンジニアへの支払いなどは、すべてプロダクションが行うもので、タレントがエンジニアに送金しなければならないなんてことは、本来は絶対にあり得ない。

 

あるいは、偽の「前金チェック」を入金しようと口座に入れた時点で、こちらの口座の情報が相手に筒抜けになり、それを悪用される…という可能性もある。その場合は、送られてきたチェックを自分の口座に入れた時点でアウトである。

 

このレポートをしてくれた彼も、実際に送金するわけにはいかなかったので、さすがにこれより先には進めなかったようだが、この時点で詐欺師の目的や手口は明らかである。おそらく、モデルのケースでも、スタジオ代や、衣装の直し代、あるいはフォトグラファーへの支払いなどの名目で、送られた「前金チェック」から送金するように…と言われるのだろう。

 

もう一度言う:本当とは思えない幸運は、大抵本当ではない