こんにちは。NYで役者やってます、まみきむです。

NYアクターの生活、オーディション、現場からのレポートなどをお届けしています。

 

これまでのお話: 

インターネットのおかげで、こちらが仕事を探すだけではなく、雇い主の方からも、ネットで役者を探し出してくれるようになった。しかし、そうして役者にアプローチしてくるのは、雇い主だけではない…雇い主を装った、プロの詐欺師達も、さまざまなアプローチをかけてくる…

 

なぜこれらがRed Flagなのか?

では、前回のメール(そのメールはこちら) で指摘したRed Flagについて、その番号順に解説していきたい。

 

フランスの有名ブランド

フランスの有名ブランドと聞けば、シャネルやエルメスのような高級ブランドをまず思い受かべるかもしれない…あるいは、知らないブランドでもとってもお洒落なイメージが…もしそう思ったら、詐欺師の思うツボである。

もし本物の仕事のオファーなら、ブランド名は勿論、商品名もちゃんと明記されているはずである。なぜなら、そのモデルが、以前に競合会社の商品のモデルをしていたり、あるいはそのブランドの別の商品のモデルをすでにしている可能性もあり、それはConflictと呼ばれるが、オファーの前に必ずそういうConflictがないかどうかを確認しなければならないからだ。「有名ブランド」というだけで、具体的な名前がないのは、絶対に怪しい。

 

あなたの写真をネットで見たのですが、私達のモデルにぴったりなので、ぜひ私達のプロジェクトに参加して頂きたい

本当に有名ブランドなら、オーディションなどで本人に会いもせずに、写真だけで採用を決定するとは、ちょっと考えられない…確かにヘッドショット(宣材用写真)は、本人に似ていなければならない…というのが建前だが、実は必ずしもそうでない場合があるし、5年以上も同じ写真を使いまわしている横着者(はい、私です…)もいるから、信用できない…というのは、ある意味業界の常識で、リスクが大き過ぎるからだ。

確かに、オーディションなしに写真だけで採用…というケースも決してないわけではない(そのお話はこちら: ランチタイムの綱渡り)が、それは大抵、低予算のプロジェクトの場合で、「有名ブランド」のようにお金のかかっているものほど、キャスティングには慎重になるはずである。

 

私達はプロなので、あなたに出演料をお支払いします。あなたは私達には一銭も払う必要はありません。すべてのコストはこちらで負担し、もし立て替えて頂く場合も、必ず全額お支払い致します。

もし本物の仕事なら、ギャラを支払うのも、プロダクション側がすべてのコストを負担するのも、出演者がお金を払う必要がないのも、全て当たり前の事である。その当たり前の事を、わざわざ言うところが、まず怪しい。「これは本当です!」とむやみに強調するのは、それが嘘である場合が多いのと同じである。おそらく、「お金を要求される=詐欺」というのは広く知られているので、「お金を要求しない=詐欺ではない」という印象を植え付けようという苦肉の策なのだろう…また、出演者がプロダクションのお金を立て替えるなどという事はまずありえない…という事を、今一度覚えておいてほしい。(唯一の例外は、撮影現場がNYC内でない場合、そこまでの交通費…これは後で払い戻ししてもらう事になるが、決して高額にはならないはずである。)

 

(その4へ続く)