こんにちは。NYで役者やってます、まみきむです。

NYアクターの生活、オーディション、現場からのレポートなどをお届けしています。

 

これまでのお話:

インターネットのおかげで、こちらが仕事を探すだけではなく、雇い主の方からも、ネットで役者を探し出してくれるようになった。しかし、そうして役者にアプローチしてくるのは、雇い主だけではない…雇い主を装った、プロの詐欺師達も、さまざまなアプローチをかけてくる…

 

衣装合わせと衣装

では、詐欺メール(そのメールはこちら) で指摘したRed Flagについて、その番号順に解説を続けたい。

 

 ⑩衣装をお宅までお届けします。

撮影仕事の前に衣装合わせが必要な事は前にも書いた(そのお話はこちら:衣装合わせと女心)が、特にファッション・ブランドの広告なら、そのブランドの服が当然衣装に使われるわけで、衣装合わせは必須である。

ちなみに、衣装合わせとは、単にその服を着てみるだけではない。サイズや身体に合わないところがあれば、それを調整しなければならず、そういう衣装への加工が必要な場合もあるし、デザインによっては、どうしてもそのモデルには似合わない…という事もたまに起こるから、その場合には衣装の選択の変更も必要になる。そういう過程を全てすっ飛ばして、いきなり自宅に衣装が送られてくるというのは、どう考えてもあり得ない。そもそも、サイズ調整が必要な場合に、誰がいつどこでそれを直してくれるというのか?!もう一度衣装部へ送り返し、衣装さんはモデルとは会わないままサイズ直しをするとでもいうのか…?そんなわけねぇだろう!

これは、「衣装合わせのような面倒な事にわざわざ来なくても大丈夫」という偽メッセージを与えるために書かれたものだろうが、これによって、この書き手が、衣装合わせの重要性を全く理解しておらず、「面倒な事」としか把握していない…つまり、この業界とは無縁の人である…という事が暴露されている。

 

もしその衣装が気に入られたら、撮影終了後に、それをキープして頂いても結構です。

確かに、プロダクションによっては、その衣装を今後は絶対使わないという場合、出演者にそのままくれたり、あるいは安く買い取らせてくれたり…という事はないわけではないが、ファッション・ブランドが、その広告に使った衣装を「不用品」にする…とはちょっと考えられない。そもそもその衣装が、そのブランドからの借り物ならば、勝手にモデルにあげるわけにはいかない。あるいは、プロダクションが衣装を買い取った場合、「有名ブランド」の衣装なら、その衣装代だけで大赤字にならんか?…そんな無駄な事をする会社って…やっぱりかなり怪しい…

 

(その7に続く)