久しぶりのBCL史で、"愛読書"の話です。
外国の放送に関する情報源としては雑誌や同好会の会報等がありましたが、私が頻用したのは当時デンマークで発行されていた「ワールド ラジオTVハンドブック(WRTVH)」です。
<ワールドラジオTVハンドブック(WRTVH)>
1年に1回発行されるこの本には国別に世界の放送局がほぼ全て網羅されていました。
<WRTVHの記事>
ただ、年1度の発行ですので、周波数について言えば、この本で紹介されている、とりわけ短波の周波数の全てが役に立つわけではありませんでした。なぜなら、季節によって伝播し易い周波数が違うため、それに合わせて各局とも周波数を変更するからです。
アナログの受信機では細かい数値までは判定できず、最終的には放送を聴いて確かめるしかありませんでした。
この本で、日本の放送局ではNHKとその国際放送であるラジオ・ジャパンがかなり広いスペースを占めていました。
<NHK、ラジオ・ジャパンのページ>
もちろん、NHKだけでなく商業放送*も送信所ベースで全て掲載されていました。
新潟放送(BSN)はこんな具合です。
・・・・・・・・・28)Broadc.System of Niigata・・・・・・・・・・
コールサイン:JODR
周波数:°1116kHz(°:キー局)
出力5KW(指向性)
住所:新潟県新潟市川岸町3-18
社長:S.清水
ニュース:21:50-07:50GMT**毎時
さらに09:00、09:50GMT
受信証明:QSLカード(ベリカード)による
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
*商業放送:日本では民間放送とも呼ばれます。WRTVHではcommercial station(商業放送)となっていて、これが国際的な一般用語なのでしょう。当時のNHKでは民放連の言う「民間放送」を「商業放送」と言っていました。
**GMT:Greenwhich Mean Time(グリニッジ標準時)
<日本の商業放送>
もちろん、新潟放送の長岡局、高田局(当時)の周波数や出力も掲載されていました。ちなみに、上の図で25)は近畿放送(現、京都放送)滋賀放送局、26)は北陸放送、27)は南海放送、29)は出力100KWの文化放送です。
ラジオ関連の広告もあり、日本の会社も多くの場所を占めていました。
<SONY ICF-7600 D の広告>
このハンドブックを日本の書店で買おうとすると、円換算レートが高く設定され、とても高価になりました。さらに、地方都市では比較的大きな書店に注文し、それから発注して数週間待たなければなりません。
一方、当時は国内で、今でいう「通信販売」で比較的安価な物を買う時、代金を切手で代用することがよく行われていました。現金は現金書留でしか送ることができませんし、現金書留料金と買う物の値段のつりあいを考えると、とても高価です。定額小為替も小切手や現金書留ほどではないにせよ手数料がかかります。切手なら、送る時に通常郵便で送ることができます。
国際的にも同じようなことが行われていましたが、その国の切手はその国でしか通用しませんから、切手の代わりに万国郵便連合(UPU)の発行する「国際返信切手券(クーポン)(IRC)」が使われました。このクーポンは相手国でその国の切手と同じ価値を持ちます。
これを使って、私はWRTVHをデンマークから直接購入しました。航空便で送ってくれましたし、バカ高い円換算レートも関係ありません。
今ならクレジットカード払いなのかもしれません。
<国際返信切手券(IRC)(万国郵便連合の第一言語はフランス語)>
今でも日本の書店で"洋書"を買おうとすると、取り扱い業者が価格をドーンと吊り上げるので、私は原則的に直接購入します。社会へ出てからは、ヨーロッパ出張等の折りに現地の書店で買ったりもしました。
このハンドブックはしばらく買っていませんが、今も健在で、DXファンのために様々な情報を発信してくれていると思います。
これまでのBCL史はこちらをご覧ください。
国際放送ファンの方には地域別インデックスもありますのでご利用ください。
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