あーぁ。とうとう新しくテーマカテゴリまで作って訳ちゃったですよ、これ。

_(:3」z)_

無駄に思わせぶりな設定にょきにょきさせちゃったお話

魔術師は夢魔の夢を見る。魔術師は夢魔との出会いを語る。前編中編後編凄腕魔術師と夢魔、そして全ての色欲の父にして母なる者。1

な、続きみたいなもの。

タイトル読んでそのまま字のごとしな新居を巡るお話につもりだったような……←あいもかわらずのーぷらん。

 

 

 

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なになに!?なんなの?どうしたらいいの???
キョーコは現在の自分を取り巻く訳の分からなすぎるシチュエーションに混乱の極みの真っ只中で、もはやどうする事も出来ずに目の前を目まぐるしくひらひらクルクルと流れてゆく踊り子たちをただ茫然と眺めるしか出来ずにいたのだった。
優雅に、それでいて激しく情熱的なまで踊る一団。
色鮮やかで煌びやかなドレスとタキシードに揃いの白いレースで編まれたベネチアンマスク。踊り踊るダンサーズの向こうには、いつのまに現れたのやら生演奏で舞踏曲を奏でている楽団まで見られた。
そんな、まるで仮面舞踏会の一幕なまん真ん中に……ぽつーんとキョーコはいた。
ぺたりとコウモリの羽と尻尾を落とすみたいにちんまりと草の上に座り込んだまま、キョーコの手は縋るように首に掛けられたキョーコには少し長めな銀色のチェーンとそれに繋がる愛らしいピンク色の宝石を抱く銀の輪のチャームのネックレスをぎゅぅっと縋るように握りしめていた。
キョーコの夢魔としての核ともいえるもの、そしてそれをキョーコへと返した男を頭に思い浮かべて。
そして、現実から逃避するように灰色の空を見上げ、キョーコは願う。
…………コォォォーン、はやく帰って来てぇー!!と。助けを求めるかのように。
 
 
 
 
 
 
そもそも、どうしてキョーコがひとりでそんな状況に陥っているのか……
それは遡ることほんの数刻ほど前、アスモデウス の刻印を付けた馬車(といっても人の世のものとは違い妖馬がひき空を駆けるものだが)でもってキョーコの花畑へと送ってもらったのがはじまりの事だった。
「で?レンは人の世はもちろん、こっちな魔界でだって放浪してばっかりで決まった住みかとかないんだろう?どうするの?いっそ二世帯住宅にしてうちで『お父様』と一緒に住む?」
にっこりニコニコと、キョーコを誘う悪魔。
部屋は有り余ってるし使用人もいるから上げ膳据え膳生活させてあげるよーと重ねるようにアピールしてみせるキジマの焰を宿した瞳にありありと浮かんでいるのは、はっきりと面白がるような色。
夢魔の始祖、淫欲たる者どもの父にして母たる者であるアスモデウス。その『娘』として側に侍り寵を受ける……本来ならば、夢魔としてこの上ない喜び……の、筈なのだけれど。
キジマに揶揄って遊ばれたくないとその秀麗な顔を顰める魔術師の男と、未だに首を抱えられたままわしゃわしゃと鼻の頭をかくように撫ぜるキジマの手をうんざりと嫌がり振り解こうと首を振るっては喉を唸らせている黒い魔犬。
そんなレンとカインからありありと伺える嫌だとそう訴えるみたいな感情。それでも、宿無しな身の上でありキョーコの『ごはん』としてはキョーコの意見に従うと決めたのだろう沈黙を通すふたり。
なのだが、何があっても離れないとでも語るみたいにキョーコの手を握ったままのレンの手に夢魔は心を決め
「あの……お誘いは嬉しいのですが、世話をしてる花畑もありますし……私のうちに帰りたいと思います。」
と、そう帰宅を申し出たのだった。
パタパタと嬉しげに振るう尻尾の幻覚が見えそうなほどにウキウキとした隠しきれぬ嬉しげな様子の魔術師と、それでもまだなんやかんやとキョーコを引き止めようとしていたキジマ。
そんなふたりに挟まれて困惑していたキョーコだったが……カインに乗って帰れると主張する魔術師に、まぁまぁ。君、そういえば俺の屋敷を破壊してくれたっけねぇ?と痛いところを突くように多少強引にキョーコたちを送る為にと使いの者と馬車を出したキジマ。
魔物蔓延る広いこの世界の中でも外れ、そんなキョーコの花畑へとキョーコたちを送り届けた使いの者は言ったのだった。
「アスモデウス様からキョーコ様への贈り物でございます。」
と、キジマのフットマンたる悪魔は宙に空間を切り開く魔法陣を描き次から次へと取り出してみせたのだった。
優美なカーブの猫脚が愛らしいドレッサーとチェストにキャビネット、揃いのデザインのテーブルに椅子、ふんだんなレースの天蓋の付いた大きなベッドから燭台にリネンの類いに至るまで……
『娘』への花嫁道具だと、そう告げ置かれた家具たち。
キョーコの好みのツボをどストレートに撃ち抜くかのようなそれらに恐縮しながらもキラキラした瞳でうっとりしてみせたキョーコ。そしてキョーコを喜ばせたのが自分でないのが面白くない上に、また遊びにおいでと何度もキョーコを誘っていたあのふふんとしたり顔の目の上のたんこぶみたいな義理の父にあたるかもしれない悪魔の顔が脳裏浮かんでしまっているのだろう苦々しい顔をしているレン。
主人へと報告する為にだろう、そんなキョーコとレンをまじまじと観察した後にアスモデウスの屋敷へと引き返して行った使いの者と馬車。
花畑へと残された夢魔と魔術師。からわらにはのそりと退屈そうにその身を伏せて腕を枕にしている黒い魔犬。
そよそよと風に揺れる花たちをその黒い瞳に映した魔術師は懺悔のようにつぶやく。
「これが……今までキョーコちゃんの『ごはん』だったんだよね。」
夢を渡る夢魔としての力をレンに歪め奪われ……どうする事も出来ないまま、飢えていたキョーコ。空腹を抱え、僅かな糧として花の蜜を求めたキョーコが育てていた花。
「ごめん。これからは、俺が…」
キョーコの紅茶色のキョーコの瞳へと向き合い、真摯に誓うように魔術師が告げようとしたその瞬間だった。
 
 
 
 
「っ!!モー子さぁぁぁぁん!!!」
 
 
 
 
 
パァっとその顔を嬉しくて堪らないといったように輝かせて謎の名を叫び
しゅぱっ!!っと、そんな目にも留まらぬようなスピードでもって魔界でも噂の凄腕魔術師の最愛の愛しい夢魔が一直線に彼も隣から何処かへと走り去っていってしまったのは。
 
 
 
 
 
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猫木以外の誰ぞが楽しいのやら、この話。
おっそろしぃことに要らない細々設定はあれども、乗り越えるべき物語のメイン的な困難なんてものもなーんにも決まってないあやふやさでどこに着地させてよいのかさっぱりさっぱりなんだぜよ!?
(*ΦωΦ)



次回、魔術師さん、カツアゲされる。←のーぷらんですもと。


 

↓拍手のキリ番っぽいのを叩いちゃった方は、なにやらリクエストしていただくと猫木が大喜利的にぽちぽちと何か書くやもしれませぬ。

 


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