毒喰らいでちと躓いてる時に浮かんだ、ただの思いつき妄想です。
なんとなーくなくどくて長めなパラレルがはじまってなんとなーく唐突に終わりますぞよ?
もやもや中途半端なものでもなんでも桶な方は、おひとつ暇つぶしにでもいかがでしょうかね?
_(:3」z)_




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「…………おなかすいたなぁ〜」
手に下げた如雨露の中で井戸から汲み上げたばかりの水がちゃぷちゃぷと鳴る音と共鳴するかのようにキュロロロロロロと爽快なまでに音を立てる自分の腹を撫でるひとりの少女。
空腹を愚痴る言葉の通りに、その背中ににょきりと生えるコウモリのような黒の羽も黒地に灰色のレースのワンピースの裾から覗く三角形の先端をした尻尾もしょんぼりと垂れ下がっている。
「どーせ、私なんて……きっとおなかいっぱいになんてなれないまま一生を終えるんだわ。」
ぺたぺたと力なく歩いて行く彼女。
本来なら人間の……主に年若い男の夢へと入り込み淫らな淫欲へと引きずり込んではその精を貪るサキュバスと呼ばれる夢魔であるキョーコ。
けれども…………産まれて17年。成長の早い夢魔としてはもうりっぱな成体の筈が、未だ一度たりとも夢へも渡れぬままのぺっぽこサキュバスなのだ。
「ずっとずーっと、花の蜜しか食べれないでひもじいまま。だって…………色気のない地味なつるぺたーん……だもん。」
深く俯いて、幼馴染みに嘲笑われた言葉を自嘲気味にぶちぶちと零していた。
夢魔のキョーコには通常の食事が出来ない。人間の精気の代わりにはならなくても、唯一口に出来たのが花の蜜だ。なので、空腹をほんの少しでも誤魔化す為に花畑など育てている魔界の中でも変わり者だ。
今もキョーコの花畑へと水遣りに行く途中である。
キューロロロロロとまたキョーコの薄い腹が一段と大きな音で空腹を訴えた、その時だった。
キョーコの目の前に黒い渦が突如として発生した。
「へっ?……ぇ……えぇ!?ひゅぇいぃぃぃっ!?」
ぐるぐると渦巻く度に蠢くように少しづつ大きくなってゆくそれから発っせられるキョーコの感じた事もない強い魔力。そして今にも引き摺り込まれそうな程の強い引力にキョーコの口から情けないような悲鳴が上がる。
それは、この魔界に棲む者たちが使い魔として召喚される時の感覚に似ていたが、常に餓えを抱えて碌な力もないぺっぽこサキュバスなキョーコには召喚のお声などかかった事などあるはずもなく……訳も解らないままにキョーコは黒い渦へと飲み込まれていったのだった。
あとに残されたのは、地面へと落とされたキョーコが持っていた如雨露と
『やっと……やっと、見つけた。』
と、そう満ち足りたように小さく閉じてゆく渦の中から聞こえた低い声だけであった。






次にキョーコが目を覚ましたのは敷き詰められたなんだかぬくぬくふかふかなクッションの上だった。
ついついいつまでもうっとりと撫でていたくなるような手触りの良いそれはまるで生きているかのようで…………
「なんだ、起きたか?」
そう思っていたキョーコに落とされた低い声。へ?と声を上げながら顔を上げたキョーコが見たのは、禍々しいまでの真っ赤な瞳をした大きな大きな真っ黒の毛並みをした犬だった。
のっぺりと寝そべった腹の上にキョーコを乗せていたらしき犬……たが、ただの獣などではなくそんじょそこいらのブラックハウンドドッグなんぞ比べ物にもならないくらいの強力な魔力を纏わせた魔犬だ。もちろん、力のないキョーコなど襲われればひとたまりもないだろう。
キョーコの頭の中に走馬灯のように巡るのは最近聞いた親友の声。
『いい?こんな何にもない魔界の隅っこに魔犬なんて来ないでしょうけど……見つかる前に速攻で逃げなさいよ!?』
最近、魔界のあちこちで出没すると噂の黒い魔犬。アンタなんて見つかったら頭から簡単にバリバリ食べられちゃうんだからっ!とキョーコを脅していたのだ。
でもでもっ!モー子さぁーん、もう既に見つかっちゃってる場合はどーすればいいのぉぉぉ!?と、頭の中の美しき友人のデモネスに助けを求めているキョーコ。
魔犬の紅の瞳とバチッと合ってしまった視線を逸らす事も出来ず、硬直したまま微動だにしない姿はまさに蛇に睨まれたカエルのようだ。
そんなぴきょっ!っと固まったキョーコなど知らぬ気に、魔犬はその真っ黒な鼻をキョーコへと近付けてふんふんと匂いを嗅ぐ。
「っ……ひゃんっ!」
首筋に触れた魔犬の鼻先が冷たくってキョーコの唇から小さな声が漏れると、魔犬はにんやりと笑いその口を薄く開いた。
ひぃぃぃーん、食べられちゃうっ!!とキョーコがぎゅっと目をつぶり、魔犬の舌がキョーコの肌に触れる……その寸前で
「カインッ!!」
怒気を含んだ低い声がした。
思わずにキョーコが声がした方へと振り向くと、そこにいたのはローブを着た背の高い魔術師が魔犬を睨みつけていた。
チッと不服そうな舌打ちの音が魔犬から聴こえてくるのだけど……どうやらこの魔術師が魔犬を従えているらしい。
夢魔としての本能で自分はこの魔術師に召喚されたのだと悟ってしまったキョーコの顔色は益々もって青ざめてゆく。何故ならば、噂好きのインプたちが最近盛んに囀っていたからだ。
魔犬を従えた凄腕の魔術師の恐ろしさを。
人間の身でありながら魔界にやって来るその魔術師の凄まじいまでの魔力。ベリアルやアスモデウスなんて魔界屈指の悪魔大公たちと渡り合っただとか……果てには魔界の王たるルシフェルにまで一目置かれているだなんて…………
そんな凄腕魔術師に招かれる理由が一介のサキュバス、しかもいつでも腹ペコ落ちこぼれサキュバスなキョーコにあるとは思えもしない。
な……なんで、私?使役するにも碌に力なんてないし…………も、もしかして、生贄とか???そんな考えに思い至ってしまってぞぉーっとキョーコが冷や汗をかいたその瞬間だった
「油断も隙もない…………まったく。俺だってまだ味見もしてないのに。」
魔犬とキョーコのもとへと歩きながら、男がそうつぶやくように言ったのは。
魔術師は被っていたローブのフードを取るとキョーコと視線を合わせるように膝をつく。
黒曜石のように深い黒の髪と瞳。酷く整ったその美貌。堕落を誘う為に魔界でも粒よりの美形揃いの夢魔、その中でも飛び抜けて美しいとされたキョーコの幼馴染みのインキュバスさえ影を潜めそうな程の妖しいまでの美しさだったが…………
味見っ!?!?今、味見って言った!?や、ややややっぱり、私……食べられちゃうんだ!!と、恐慌状態に陥ってしまっているキョーコにはなんの慰めにもならなかった。
「わ……わ、わたし……ぉぉぉ…美味しくないです!だからっ!!どうせならひと思いにっ…」
もう駄目だ。凄腕魔術師と魔犬から逃げるなんて出来っこない……食べられるなら、ちみちみじわじわよりパクッとひとくちでお願いします!!キョーコが震える声でそう懇願していると、ぽんっとキョーコの頭に優しく手が置かれた。
そろぉっと恐る恐るに瞼を開けたキョーコが見たのは、にっこりと笑う男の笑顔。
そうして、凄腕の魔術師は夢魔へと夢みるように甘い声で告げたのだ。




「反対だよ、キョーコちゃん。俺がね……キョーコちゃんの『ごはん』なんだ。」





その笑顔は神々しいまでににこやかなのに……淫欲へと誘うベテランのサキュバスも裸足で逃げ出す程にぞくりとする滴る色気に満ちていて夜の帝王のようでした……と、そうキョーコは後に語るのだった。





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ぺっぽこ夢魔なキョコバスちゃん(某会議室にて某ゆるしゃんが言ってらしたサキュバスキョーコをひと言でなお言葉。めっさ可愛くないですか!?)のとこにやって来た押しかけ『ごはん』な蓮くんぷらすでっかいわんこなカイン。
サキュバスのごはんってことは…………まぁ、そっち系よねー?的なの……楽しくないっすか?
具体的な続きとかはまったく考えてないんすけども。
(*ΦωΦ)



と、まぁ。こーんな感じに起承転結の起の部分だけを考えたり書いたりするの凄い楽しくて好きなんですよねぇ。
_(:3」z)_
…………こんなん書いてる前に中途半端に広げた話の風呂敷を畳めよってお声が聞こえてきそーぅ。
いや、書いてるんですよ。書いてるんですけど、頭の中にあるシーンとどう繋ぐかとか何処まで情報小出しにしてミスリードを誘おうかとか考えてちと行き詰まってまして。
ご、ごめんなさーい。
_:(´ཀ`」 ∠):



↓拍手のキリ番っぽいのを叩いちゃった方は、なにやらリクエストしていただくと猫木が大喜利的にぽちぽちと何か書くやもしれませぬ。


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