18444番目の拍手を叩いてくださったkomugiさまからのリクエストをすっかりと忘れさられた今ごろになってお応えしてみようかと……
凄腕魔術師は夢魔の夢を見る。のふたりの出会いが気になる……とのことでしたので、↑の続きとなってたりします。
 

 
書く為に読み返しな羞恥ぷれぃをしてみたんすけど……我ながら、あぁ、毒喰らいの途中に書いたんだったんだなって感じのくどい文章。なので、これも、くっどい三人称ですだよ。
_:(´ཀ`」 ∠):
 
 
 
 
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「ひっ……ひゃぁぁぁぁ!!」
キョーコの喉から絞り出された声ははっきりくっきりありありと震え切ってしまっていた。
それはもう、声だけでなくペタリと背中に張り付いたコウモリのような真っ黒の羽から縮こまった尻尾の三角形の先端までプルプルと怯えに震えている。
それも、仕方がないのやもしれぬ。
なにせ……キョーコは夢を支配する魔物たる夢魔の癖に未だに一度たりとも夢へと渡れた事さえない落ちこぼれ。魔界の隅っこな辺境の地で花畑を作りひっそりと花の蜜をすすり、生き延びるのが精一杯のいっぱいっぱいでいつでも腹ぺこな力なきへっぽこサキュバスなのだから。
そんなキョーコは現在、魔界でも名だたる実力派な大悪魔たちと戦い渡り歩いたとインプたちの噂でも持ちきりだった強力な魔犬を引き連れた凄腕の魔術師、その腕の中に抱き込まれているのだから。「キョーコちゃん、逢いたかった。」と、魔術師のしっとりと耳触りの良い低い声でそう言われて抱き寄せられた腕の中。
キョーコの背後にはキョーコの背丈ほどにもな巨大な黒毛の魔犬がのそりと横たわったまま。
魔犬のひと噛み、凄腕魔術師のほんの僅かな呪文の詠唱でさえあっさりとキョーコを消滅させてしまえるだろう圧倒的なまでの力の差。
人外生物たる悪魔もびっくりな超絶美形の男に巻き付かれてしまっているキョーコの心境としては、前門に虎後門に狼なまでのまさに絶体絶命。
なのに、キョーコを呼び寄せ捕らえた魔術師は言うのだ。
「待たせて、ごめん。キョーコちゃんの『ごはん』になりに来たよ?」
と、さも嬉しげに甘く低く囁き、キョーコの髪に愛しげにちゅっとくちづけなど送りながら。
「む……無理ですぅぅぅ。食べれませんっ!?」
ぶるぶると震えながらキョーコは必死にそう訴えてみる。
どう考えても無理!無理でしょうと!!
目の前の凄腕魔術師をキョーコが食べる……逆ならばまだしもだ。凄腕魔術師VS最弱サキュバスな訳で、弱肉強食どころか強肉弱食もいいところ。不可能だとしかキョーコには思えない。
もうライオンにじゃれつかれたハムスターなまでの怯えっぷりなキョーコなのだが、キョーコを腕に捕らえた魔術師はそんなキョーコの訴えの声にがばりとキョーコの肩を掴み胸から離したと思うと
「な、なんでっ!?食べてくれないって?俺が美味しそうじゃないから?キョーコちゃんとの『約束』どおり、誰ともしてないから『はじめて』のままだよ!?」
と、キョーコの鼻先5センチメートルの至近距離にその秀麗にして麗しい顔を近付けて宣う。
必死なまでの真剣さでもっての、あっぱれな勢いでの童貞宣言をである。
「な、なななな……?『約束』って?」
サキュバスとしての落ちこぼれっぷりにより、男の精を糧に生きる生態のくせにその手の経験など微塵もないでいたキョーコ。
ぐるぐるきょどきょどと目を泳がせながら頬どころか耳まで真っ赤に染めてはくはくと唇を動かし、破廉恥ですぅぅとつぶやく様はまるでうぶな箱入りの乙女のようだ。
「…………キョーコちゃん、俺のこと覚えてくれてないの?」
さっきまでのはしゃぐかのような声から一転、沈んだようなトーンの低い声が恐る恐るにそうキョーコへと尋ねる。
キョーコを覗き込む魔術師の黒い瞳はまるで、ほんと?ほんとに俺のこと忘れちゃったの?ひどいよキョーコちゃん。と、きゅーんと縋るわんこのよう。
本能的な恐怖とは別に、キュンッとキョーコの心臓が締め付けられるみたいで…………
だが、そんな捨て犬みたいなかわいい顔までしてみせている目の前の美貌のたぶんおそらく人間の男など、キョーコのまだ短なサキュバスとして生きてきた中にはチラリとも記憶も心当たりさえなくて。
魔術師の言う『約束』どころか、何故、この男がキョーコの名前を知っているのかさえキョーコにはさっぱりとわからないままで……
答えを返せずに黙り込むキョーコと魔術師の間に沈黙が落とされた、その時だった。
ふわりとキョーコの背後で何かが動く気配がしたとそう思った瞬間、ベシッ!とキョーコの視界の端を過ぎり魔術師の黒髪の頭を凄まじい勢いでもって叩いた黒い何か……
 
 
 
 
「お前…………色がレンのままだぞ。」
 
 
 
 
 
キョーコの背後から、地を這うかのように低く唸るようにぼそりと落とされた声。
魔術師の顔面に強かにふさふさの毛並みの長い尻尾を振るい叩いたカインと呼ばれた魔犬は魔術師へとそう告げると、くわっと退屈そうに欠伸をしてみせたのだった。
 
 
 
 
 
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| 壁 |д・)実は魔犬なカインくん、しゃべるんですよ。←だからどうした?
 
 
 
この話、設定だけ無駄にニョキニョキしてくるので困っておりたりします。
そのくせ、思い付いてるふたりの出会いがすんごいありきたりで……
どーすべかなぁ?
_:(´ཀ`」 ∠):
 
 
 
 
次回、へんっしん!とぅっ!!(゚ロ゚屮)屮
 
 
 
↓拍手のキリ番っぽいのを叩いちゃった方は、なにやらリクエストしていただくと猫木が大喜利的にぽちぽちと何か書くやもしれませぬ。

 


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