ここ最近、フクヤマの存在すら忘れていたんですがw
久しぶりに思い出したんで、なんか書こうかと・・・
ある日のこと・・・
フクヤマ君がすげぇ浮かれてたんです。
普段はムスってしてるから
ニヤニヤしてることが珍しい・・・
でね
まーなんでそんなに嬉しそうなのか尋ねたら・・・
なんと、彼女が出来たって言うわけですよw
ほーーーーーーーー
そんな奇特な方と申しますか、ボランティア精神旺盛な女子がこの世に居たのか!?
と、驚きおののいたわけですw
しかも、近いうちに紹介するって、自分から言いやがったんです。
ほーそりゃ、紹介してもらおうやないかい!とw
で、どれぐらい待ったろ?
数週間程度だったと思うんだけど
待ちに待った、紹介day(笑)
もちろん、店は休みで。
で、21:00に約束してるって言うんですよ。
ちょっと遅い気もするが、まあこんなもんか・・・と
で、とあるキャバクラの前で止まりやがるんです。
このデブがw
俺「え?ここ?」
フ「そうだよー」
店「いらっしゃいませ。あ、フクヤマ様。香織ちゃんでいいですか?」
フ「うん。」
店「あ、お連れ様は・・・?」
俺「え?ああ、僕は初回なのでフリーで・・・」
店「2名様ご来店でぇす!」
え・・・?
ええ???
まさかの展開に俺の脳みそがフル回転してて・・・
あーそういう事かって気づくのに、もう少しかかりますw
で、席に着いて
数分待って
香織ちゃん登場
香「あーフクリン今日も来てくれたんだーー」
フクリン…(堪)
フ「うん。友達紹介するって言ったじゃん。だから連れてきた。」
香「あーん。嬉しいーーー。」
ヤバイ・・・完全にイカれとる・・・(笑)
で、フクヤマのいちゃ着きっぷりを十分に見せつけられ
その時は、キャバ嬢の本物の彼女が出来た。んだと本気で誤解しました。
が
店を出て、フクヤマに・・・
俺「良かったじゃん。幸せそうじゃん。この後店終わってから会うの?」
フ「会わないよ。なんで?」
俺「なんで?って、付き合ってるなら時間まで待つとかさ。あるじゃん。無いの?」
フ「ないよー」
俺「そっか。お前、デートとかでどういう所行くの?」
フ「デート?今してきたじゃん?」
俺「は?」
こいつ、もしかして・・・・
俺「お前、店以外で会った事無いの?」
フ「無いよ。香織ちゃん忙しいんだって。」
俺「客じゃん!!!ただの客じゃん!!」
フ「違うよー。だってこの前、写真つきの名刺とかもらったもん。」
俺「え?」
俺「それだけ!?」
フ「そんなに妬くなよー」
あ、ダメだ。面白いからこのまましばらく放置してやろう・・・
と言う事で、幸せな気持ちをブチ壊しても申し訳ないんで
俺はしばらくフクヤマに夢を見させてやることにしました。
だが
この時、フクヤマと喧嘩になってでも
フクヤマが置かれている立場ってのを教えとくべきだったと・・・
今も後悔している。
この後、とんでも無い事件の起因になるのだった・・・
つづくw
うほっ。ニュースになっちゃったw
最近流行の投資詐欺事件。
ちなみにこいつはまだまだ小者、これから芋づる式に出るぞー
人をハメるつもりで金を取った奴の末路・・・
ま、身から出た錆だわな。
さて、どうにかして、郷紳会の経理担当とお友達にならなければならなくなった俺は
場末のスナックで、疲れた脳みそをフル回転させていた。
その店には置いていない、バーボンを無理やり買ってこさせ
それをロックでかっ込む・・・
ウマい・・・
けど、酒がまわり過ぎて、どうにも良い案が浮かばない・・・
土地勘が無いと、どうにも・・・人に頼るも頼る人が居ないし・・・
人に頼る・・・?
頼る・・・
俺は横目で翔子さんを見た。
かなり上機嫌で洋介と恋愛話に花を咲かせている。
「翔子さん。」
「はぇ?」
ほっぺたがすでに赤く、目が据わっている・・・こいつ、酒強くねぇな・・・
「お客さんでさ、県庁に勤めてる人いない?」
「居ない事も無いけど・・・なんで?」
「んーちょっと良いアイデアが思いついた。」
「県庁ならなんでもいいの?」
「なんでもいい」
「わかった。ちょっと待ってて・・・」
そう言って、翔子は流行のスマホを取り出し、鏡のようなピカピカの画面に指を滑らせ始めた。
「はい。送信。」
「公務員の人と会ってどうすんすか?」
洋介も強く無いくせに、調子に乗って飲み続けている。
「そっから、辿るんだよ。」
「辿る?」
「俺たちだけで何とかしようとするから、手詰まる。ここは、翔子さんに甘えて味方を増やさないと。」
そう言うと、翔子も満更でもない笑みを浮かべた。
「まぁ上手く行けば、手塚さんのような被害者も紹介してもらるかも知れないし・・・」
「まあそうですけど。」
「狙いは、出入りの業者か入信者なんだけどね・・・」
「業者すか?」
「あ、そうだ。洋介、あとあいつ呼んどいて・・・名前なんだっけ?あのメカオタク。」
「ああ、武田君すか?」
「そそ、あのハッキングマニアを呼んどいて。翔子さんの紹介してもらえる人来てからでいいから。」
「分かりました。」
ぴんこーん
翔子さんに返信がきたようだ。
「あ、明日お店に来てくれるって。」
「ありがとうございます。見えて来たかねぇ・・・」
つづく
下がりはしたのだが・・・
設定した目標には届かず・・・
しかも、今週から早朝ランニングを開始
今の所、継続中。
ま、一か月続けてみて、どの程度下がるかだな。
酒も少し控えてます(笑)
ガッツだぜ!
めんどくせぇ・・・やっぱりお土産連れて来ちゃった・・・
幸い、都内でも尾行されて気づくこの俺様は、宇都宮のような地方都市で気づかないワケが無い!
って自慢にもならないが、そんなに土地勘があるわけじゃ無いし、撒くにも撒けないな。と思い。
開き直って、その男に向かって行く事にした。教団の人間なら話早いし(笑)
やはり、尾行してたんだろう。その男も俺が向かって行くと、目を外し隠れようとする。
「ちょちょ、お兄さん。面倒だからいいよ。何?なんか用?」
「秋葉(先輩)ですよね?」
「は?何?今、先輩って言った?」
「ええ。公安部の者です。少しお話よろしいですか?」
「え・・?公安部?後輩?」
「はい。2係時代にお世話になってました。」
「すみません。全く記憶がございません・・・」
「ま、いいでしょう。いずれお声掛けさせて頂くことになりましたから。」
そう言うと、その男は俺を連れて、喫茶店へ案内された。
「あらためまして。冴島です。」
そう言うと、警察手帳を出して俺に見せた、確かに懐かしい。
「あ、どうも。何でも屋の秋葉です。」
笑わない・・・ま、公安部の人間なんてどいつこいつもギャグが分かる奴なんていない。
「で?なんの用?一般市民相手にしてるほど暇じゃないでしょ?」
「郷紳会に何の御用ですか?」
「入信しようかなーって」
「信じると思いますか?」
「嘘だとも言い切れないだろ。」
「秋葉さん・・・OBだからって容赦しませんよ。」
「わーった。わーったよ。そんなに怖い顔すんなって・・・どうにかして、潰せないかなぁ・・・って」
「理由は?」
「必要?」
「場合によっては・・・」
「あーなるほどねー。悪いが見えた。」
「・・・」
俺は、この冴島と言う名の男の思惑が見えた。気がした(笑)
そう言うと、冷めたコーヒーをすすり、タバコに火を点けた。何時間ぶりのタバコはウマイ・・・
「見えた?とは?」
「お前ら、あれだろ。カルトと政治家とヤクザをいっぺんに挙げられるチャンスだと思ってんだろ。」
「・・・」
当てずっぽうで言ってみたが、遠からずと言った感じ。俺の推理力と言う名の妄想力は、まだまだ廃れてねぇな(笑)
「分かる。分かるよー。でもさ、さすがにそれは都合が良すぎるだろ。と言うか、その情報どうすんの?本庁に回すの?」
「秋葉さん・・・」
「いいよーーー言える訳無いね。失礼した。で?俺に何して欲しいわけ?」
「帳簿が欲しいのです。」
「は?帳簿?」
(こいつ、何はっきり言ってんだ(笑))
「はい。厳密に言えば、郷紳会から流れている金の行先です。」
「検討は?」
「もちろんついてますが、物的証拠が無い。」
「どこ?」
「・・・」
「大丈夫。OB見損なうなよ。ばれた時のリスクは俺も知ってるよ。」
「睦毘会です。」
「何それ?」
「宇都宮を拠点としている、代議士の佐山さんはご存知ですか?民友党の。」
「名前だけ」
「その代議士の資金管理団体です。」
「うわぁ・・・俺じゃ手に負えないなぁ・・・」
「ですから、どうにかしてその証拠を掴んで頂きたい。あなたの依頼に関しては目を瞑りますし、協力もします。如何でしょう?」
「もし、俺がどうにかなっても、あくまで一般市民の泥棒ってこと?」
「そうなります。」
「OK。いいよ。出来る保証は無いけど、やれるだけやってみる。」
「ありがとうございます。」
「じゃ、早速だけど、明日がっつり営利誘拐すっから(笑)見なかった事にしてね。」
「分かりました。」
「じゃ、そういう事で・・・」
俺はそう言い残して、喫茶店を後にした。
参ったな・・・公安にマークされるほどの悪さをしてるのね・・・
ただの信者なら、被害者で終わらせられるけど、まさか運営に関わって無いよなぁ。
意外と時間が無いことに気が付き、少々焦りが見える俺様は、多少強引とは言え短期解決しか無い。と言うことは薄々気が付いていた。
「誘拐するって言っちゃったもんな・・・」
俺はタバコに火を点けて頭を掻いた・・・
こりゃ以外に早くカタがつくかもな。って思ってると火傷するんだよなぁ・・・
と思いにフケて、洋介に電話した。
「どうよ?何か進展あった?」
「ああ、お疲れ様です。今日はもう家に戻ってて、外出する気配は無さそうですね。」
「OK。んじゃ、今日は戻って来て。作戦会議しよう。こっちはこっちで進展あったし。」
「分かりました。これから戻ります。」
どうなるか、出たとこ勝負は嫌いじゃ無いけど、成功率低いんだよね・・・
ともかく、2人を待つこと1時間弱・・・
色んな考えをまとめて俺は翔子さんの店へ向かった。
・・・
なんで、貸切なんだ(笑)
翔子さんのやる気がイタイ・・・
今日は昼過ぎに浩二さんが自宅へ戻り、そこから犬の散歩やら、コンビニへ買い物はあったが
大きな動きは無かった模様。軽い肩すかしにあった翔子さんと洋介は、多少消沈していた。
「で、秋葉さんなんか動きあったって・・・」
「ああ、あったよ。激しく(笑)」
「え!なになに!?」
これまた、翔子さんの視線がイタイ・・・
「んー全部話せないんだけど。一言で言うと時間が無いかな(笑)」
「どう言う事すか?」
珍しく洋介が喰い付いてくる・・・翔子さんに感化されちゃったか?
「今日さ、総本山に行って来たのよ。んで、そこで軽く脅された。」
俺は、公安部との接触があったなんて、話せないから適当に嘘を吐いた。ま、いつもの事なんだが(笑)
「なんて?」
「俺らが、浩二さんを追ってる事まではバレて無いと思うけど、あの教団、色んな所で爆弾抱えてるみたいね。」
「教団に脅されたんですか?」
「んー教団では無いかな(笑)」
「え?どういうこと?」
翔子さんがしきりに喰い付く・・・
「ま、そこの対抗組織って感じかな。詳しくは俺も分からないけど、俺を教団の人間と勘違いしたみたいね。」
「なんて脅されたんですか?」
「ま、この教団から手を引けって。もしかしたら、子飼いのヤクザとかかもね。」
(本当は国家権力だけど・・・(笑))
「じゃあ、この後どうするんですか?」
「そうね・・・まあ、こっちに何か決定的な切り札がある訳じゃ無いし、さらに俺らは浩二さんの資産だけ返してもらえば良いわけで・・・」
「・・・」
二人の視線が熱い・・・熱すぎる・・・(笑)
「ま、ここからは推測ね。多分、あの教団さ地場の連中とつるんで、色んなことやってると思うんだわ。でだ。そこの経理担当とか、そう言う人間から攻めてみようかと・・・」
「どうやって?」
イタイ所つくなぁ・・・
「どうにかして(笑)」
嫌な予感もたまには外れるもんだ・・・
ママの車は、予想を反して軽の1ボックスカーだった。
これで、ベンツとかだったらどうしよう・・・と思っていた。目立つからね。
ちなみに、ママは翔子さんと言う自称34歳のバツイチだった。
だが、俺の見立てでは39と言ったところか・・・
で、何を勘違いしたのか、黒いスーツで身を固めている所が、痛々しい・・・
「改めまして・・・秋葉です。」
「昨夜はどうも。翔子です(ハート)」
んー
熱が出そうだ。
「じゃあ、秋葉さん、どこへ行きますか?」
「そうだね。3人で行っても怪しいし、先ずは洋介と翔子さんで、偵察して来て。」
「ラジャー」
翔子さんはやる気満々なんだろうな・・・オニヤンマみたいなサングラスもなんか、似合ってるのか似合って無いのか・・・
「で、俺が手塚さんに電話して、今日は何してるか聞いたら、連絡するから。」
「分かりました。」と洋介。
そして、俺は二人を張り込ませることにして、俺は郷紳会の情報を集めることにした。
って言っても、属性も何もかも分からないしなー
とは言え、教団のサイトにはご丁寧に住所も電話番号もあるわけで
住所は、宇都宮よりちょっと郊外か・・・歩けない距離じゃ無いし、先ずは敵情視察することにした。
ちんたら歩いて、1時間。郷紳会の本拠地?総本山?に到着した。
あたりをぐるっと見回すが、なかなかにしてなかなかである(笑)
こりゃ、でけぇな・・・
見た感じ、寺。だけど、なんか寺臭くは無い。そして、神社でも無い。だけど、鳥居はある。
やっぱ、神社風か。て事は、神道か?良く分からん。
そんな感じで、敷地の外をぐるっと一周した。
ま、その間、見つけた監視カメラは14個。かなり本気度が伺える。
そして、都合良く信者であろうお爺さんが総本山から出て、バス停へ向かった。
俺はその後をつけて、バスを待った。
来ねえ・・・
バスがこねぇ・・・
時刻表を見ると、あと40分もあるじゃないのさ。
俺は我慢仕切れなくなり、止むを得ずタクシーを捕まえた。
そして、その爺さんに声を掛けた。
「もし良かったら乗りますか?駅まで行きますよ。」
「ああ、どうも御親切に・・・」
そうして、お爺さんと俺は相乗りに成功した。後は、これで多少でも情報ゲッツ出来たら、充分だ。
ま、こういう時に、どうでも良い話をするのは、天才的な頭脳を持つ俺ならば朝飯前なのだが
方言だけは聞き取れない(汗)
適当に相槌をうつも、何を話しているのかサッパリわからん・・・
まあ、その中でも必死に聞き取れた部分は、長年連れ添った奥さんが去年亡くなった事。
そして、亡くなってから、訪問ボランティアとして教団の人間が現れ、色々面倒を見てもらっていること。
今は、教団が運営?している老人ホームにいる。お金は既に自分の資産で払い済みなんだと。
資産!?
まあ、流石にいくらだったのかは聞けず、なんとなく教団のやり口って言うのが見えて来た。
そして、約束通り駅で別れて、俺は洋介達に進展を聞こうと、携帯を取り出した時・・・
やっべ・・・変なお土産ついて来ちゃった・・・
まあ、俺が施設の周りを意味も無くフラついたからなんでしょう・・・
監視カメラの数を数えていたのが不自然だったんでしょう・・・
尾行されてるよなぁ・・・
つづく
色々考えたが、中々良いアイデアが思いつかない。
そうこうしてるうちに、すっかり日は暮れ、やたらと冷えると思ったら、雪が降ってきやがった。
「マジかーーー」
餃子って言う気分でも無い俺は、なにも口にすることなく、目についたスナックへ入る事にした。
やっぱ、こういう時は地方のスナックだべ!(笑)
考えを整理しようと思って入ったスナックだったが、時間が少し早い事もあって、店はそれなりに混雑していた。
一見さんな俺は、暖簾をかき分けて、出直すと告げて出ようと思ったのだが、若い女の子が「入れるよ!」と元気に言われ、逆に帰るタイミングを失ってしまった。
そして俺は騒がしい店の端で、チビチビと飲めない焼酎をすすっていた。
絶対、空いてると思ったのに・・・
2,30分放置され、下手くそなカラオケをBGMにひたすら修行のような時間を過ごし
雪もちらつく中、22時には早々におっさんどもは退散していた。
そして、ママと俺を悪夢に引きずり込んだ若い女の子と3人になった。
「ごめんなさい。騒がしかったでしょう。」
「ああ、いえ。こっちこそ。突然すみません。」
「あれ?こっちの人じゃ無いの?仕事って感じでもなさそうだし・・・」
「あ、すみません。こんな格好してますが、一応仕事です。」
「へぇ。どんな仕事?あ、タバコいいかしら?」
「どうぞどうぞ。」
俺は持ってるライターでママの煙草に火を点けてやった。大サービスだ。
「純子ちゃん。暖簾片づけちゃってー」
どうやら、もう閉店のようだ。
「あ、すみません。じゃあ、僕もそろそろおいとまを・・・」
「ああ、いいのよーそうじゃ無くて、もうこの時間だとお客さん来ないから。」
「もう少し、お兄さんとお話したいし・・・」
なんか嫌な予感がしたが、まあ、そう言うことなんだろう。俺と飲みたいんだ。と、余計なことは考えずに、俺の脳みそはそう判断した。
そしてそれから、数時間、この土地の景気や地元の話、客層。などなど色々情報を仕入れた。
一つ、有力な情報は、宇都宮の北部で大規模な地上げ話があったみたいで、ちょっとだけ地場のヤクザがプチバブルだったようだ。
話を聞く限りだと、手塚さんが売った農地とそう離れていない。
しかも宅地では無く、霊園かゴルフ場に使われる。と言う話だった。
霊園か・・・
そんな世間話をしてるうちに、洋介から到着したと連絡が入り、俺はこの店を洋介に伝え合流した。
そして、俺は全てを洋介に押し付けて、店を出た(笑)この後、洋介がどうなったかは、想像にお任せするとしよう・・・
翌日・・・
相変わらず焼酎は俺の身体に合わない・・・
完全な二日酔いで、ほぼグロッキー状態だが、意志の強い俺は活を入れ、ホテルに設置されているサウナへ行き、汗と共にアルコールを排出した。
一汗かいて、大分すっきりした俺は部屋に戻り、洋介を呼び出したが帰って来ている様子は無かった。
なんどか携帯にコールを入れ、5回目でようやく電話に出た。
「おはよう。佐竹君。」
「あ、おはようございます。今、何時すか?」
「もうすぐ10時だよ。」
「あー今行きます。」
「お前、どこにいるの?」
「わかんないっす・・・となりに昨日のママが寝てます・・・」
「記憶は?」
「無いっす・・・」
俺は爆笑を堪え、じゃ、待ってるから。と言って電話を切った。
あいつ、ほんと地方では無敵の強さを見せる・・・
ぶっサイクなんですけどね(笑)
待つこと、1時間後、ボロボロの洋介が姿を現せた。
「お待たせしました。」
「お帰り!」
「笑ってるし・・・」
「笑ってないよ!僕はいつも笑顔だよ!」
「はいはい・・・で、今日の予定は?」
「お前さ、もう一回ママの所に戻って車借りてきてよ。」
「えぇー」
「レンタカーだとばれるしさ。毎晩、あの店に行くって事で。」
「貸してくれますかね?」
「大丈夫、お前、無敵だから!」
「はぁ。んじゃ、落ち着いたら行って来ます。で、秋葉さんは?」
「俺?とりあえず、お前が帰って来るまでに作戦考えとく。」
「分かりましたー。じゃあ、借りれたら連絡します。」
そう言って洋介は身支度を整え、またママの自宅へと向かった。
ま、車借りてから張り込みだよな・・・
専業農家って言ってたから、どこかに勤めてるわけじゃなさそうだし。
昨日は家に居ないみたいだったし・・・
絶対にどこかで、何かをしているはずなんだよなぁ・・・
布教活動でもしてりゃ、飛び込むんだけど、新興宗教ってのは大っぴらに、勧誘しないからな・・・
さりげなくお知り合いになるしか無いんだよね・・・
とま、なんだかんだ考えてるうちに、洋介から電話が入る。
「お疲れ。どうだった?」
「ああ、借りれました・・・けど・・・」
「けど?」
「ママも一緒にやるって(笑)」
「は!?」
「あ、いや。借りる時に、なんで必要かってのを話したら、面白そうだからって・・・」
「おま・・話したの!?」
「いや、全部は話して無いです。探偵で、尾行に使いたいって・・・」
「あ、そう・・・ま、仕方ないか・・・」
「と言う訳で、東武デパートの前にいるんで、出てきてください。」
「分かった。すぐ向かう。」
さすが、佐竹先生・・・
必要ないお土産が必ずついてくる・・・
これは、ある種センスだな。
俺は、関心と軽蔑が交錯する複雑な感情を胸に・・・
東武デパートへ向かった。
つづく
寒い・・・
宇都宮市民には申し訳無いが、関東とは言え東北を彷彿させる北風が、物凄く身に染みる・・・
完全に宇都宮を舐めてた俺は、着ていた革のジャケット上にユニクロのダウンジャケットを買うべく街へ繰り出した。
あれ・・・
ユニクロ無くね!?
駅周辺を探してみたが、普通にデパートはあるのにユニクロが見当たらない!
マジか・・・
俺は止むを得ず、近場のショップにあるマフラーと手袋を買い、それで凌ぐことにした・・・
そして、待ち合わせの時間に手塚と名乗る初老の女性と落ち合った。
「遠い所申し訳ございません。」
「い、いえいえ」
寒くて、うまく喋れない・・・
駅から車で30分ぐらい走っただろうか?これ以上北へ向かいたく無いのに、さらに北へ行くことになった。
あたりは、ストレートに北風を受ける田園。その中でも1軒だけかつては豪農だったのであろう、大きな日本家屋に案内された。
藁ぶき屋根かよ・・・
乗って来た車も、農家には不釣り合いな高級車だった。
「何もございませんが・・・」
そう言って手塚さんは俺を居間へ案内した。
大きい仏壇。大きいテレビ。20畳はありそうな居間。代々続くお家柄なんだろう。
金持ちの様子がうかがえる。きっと、教団も財産目当てかなんかだろうな・・・
待つこと数分、手塚さんが色んな写真を持って現れた。
別に写真なんかいらないんだけど・・・
「これが、息子の浩二です。」
「あ、拝見します。」
見た所、すごく普通。小さい頃から最近までの写真をざっと見たが、決して擦れている感じは無い。
成績も優秀だったそうで、大学は地元の国立大学の農学部に在籍していて、成績も優秀だったそうだ。
こりゃ『頭が良い方』だな・・・俺はちょっとだけ不安になった。
「で、その教団に入ったのはいつから?」
「気づいたのは先月です。1年前から専業で農家を継がせていたのですが・・・」
「が?」
「ああ、どうもここ最近、金遣いが荒いと言うか、家の物を色々と処分しているようで・・・」
「家の物?具体的には・・・?」
「お恥ずかしながら、当家は代々農業を営んでおりまして、つい最近一部の農地が宅地に転用されることになったんですが」
「ほぅ」
「父親がおりませんので、浩二に任せていたのですが、そのお金を教団に寄付していたようで・・・」
「全額!?」
「ええ。ですので、農協さんにも説明出来ませんし、近所の目もありますので・・・」
「早急に解決したい・・・と?」
「その通りです。」
「手塚さん・・・まず、この仕事はお引き受けします。ですが、短期間では決着着けられないと思います。」
「そうですか・・・」
安堵と不安の表情が混じり、苦虫を潰したような顔になっていた。
「どうしますか?それでもよろしいですか?」
「はい・・・お願いします。」
「分かりました。では、手塚さんは私のことを伏せておいてください。」
「え?どういう事ですか?」
「そもそも母親が反対しているのに、私を紹介しにくいでしょう。ですので、私が個人的に浩二さんに近づきます。もちろん偶然ね。」
「はぁ・・・」
「ですので、浩二さんがよく行く場所や何かあれば連絡ください。それ以外は、個人的に進めます。」
「分かりました」
不安を隠せない手塚さんを置いて、俺は宇都宮の駅に戻り、洋介に連絡をした。
「はい。佐竹です。」
「あ、俺。今から宇都宮集合。」
「やっぱやるんすか?」
「うん。ちゃんと報酬払うから。」
「危なく無いんすか?」
「多分、危ないと思うから、それなりに覚悟してきて(笑)」
「うわ。出た。嫌だって言ったら?」
「あのことバラす(笑)」
「行きますよー行けば良いんでしょ・・・車は?」
「ナンバー違うからバレるっしょ。こっちで調達する。」
「分かりましたー。夜には着きます。」
「了解。よろしく。」
さて・・・
まあ、2,3日浩二さんとやらを尾行して、どっかで捕まえるしかねーか・・・
その郷紳会ってやつの背景も調べないと、火傷しそうだなぁ・・・
俺は買ったばかりのMacを立ち上げて、軽くネットを漁っても情報は出て来ない。
「やっぱそうだよなー」
諦め半分、これからどうするかを考えるために、俺は宇都宮の街を徘徊することにした。
つづく
「まただ・・・」
「どうした?」
洋介は怪訝な顔をして、携帯電話を見つめている。
「一昔前に流行ったチェーンメールっす。」
「へぇ。今時。で、内容は?」
「なんか、このメールを5人に転送しないと、俺不幸になるみたいなんで…」
「既に不幸じゃん(笑)」
「あ、ムカついた。秋葉さんに転送します。」
「おまっめんどくせぇから、ヤメろ。あっ・・・」
「送信完了ー」
洋介の無駄ににやけた顔が気に入らん・・・
数秒後、俺の携帯にもその鬱陶しい、”不幸のメール”がやってきた。
「うを・・・なんだこれ。妙に具体的だな」
□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■
僕は、とある組織に誘拐され、洗脳され気が付いたら家族もなにも
かも無くなってしまいました。
こんな人を増やしたく無いので、一人でも多くの人に
知ってもらいたいので、最低でも4人に転送してください。
その組織とは、郷紳会と言う宇都宮にある新興宗教団体です。
このメールは履歴を追跡出来るようになってるから
止めた人は教団の関係者としてみなします。
□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■
「前から結構具体的でしたよ。」
洋介の知ったかぶった時の顔はいつ見ても、腹が立つ。
「お前は、チェーンメールマニアか?」
「何通か集めてやめました。」
「暇だったんだな・・・」
「あ、でもこの郷紳会って本当にあるみたいですね。サイトがありますよ。」
洋介は俺の買ったばかりのMacbook Proを覗いている。
「実在してて、こんなメールばら撒いて大丈夫なのか?」
「分からないですけど、きっとダメなんじゃ無いですかね。」
「そうだよな。ダメだよなぁ。」
そんな他愛も無い話をしてるうちに、俺の携帯が鳴った。
携帯のディスプレイに表示された番号は、俺の知らない番号だった。
「秋葉です。」
「ああ、秋葉さんの携帯でよろしかったですか?」
最近、この「よろしかったですか?」と言う物言いをするバカがどうも好きになれん。
正確には「よろしいですか?」であり、しかも俺は今、名乗ったし。と言う苛つく気持ちを抑えて、俺は対応した。大人だからな。
「ええ。そうですが。どちら様でしょう?」
「あ、すみません。私、手塚と申します。以前、吉井様に何かあったらこちらへ。と言うことでしたので・・・」
吉井・・・今は無き俺の元ボス。業突ジジイで、欲張りで最悪の弁護士だった。なんかどっかの金を持ち逃げして、東南アジアで死んだらしい。
と言うところまでは知っている。あくまで『らしい』だがな。
「はぁ。吉井さんのご紹介で・・・で、どう言ったご用件でしょうか?」
「息子を・・・息子を取り返して欲しいんです。」
「取り返す?」
「はい。郷紳会と言う宗教に嵌ってしまって・・・」
「!?郷紳会?」
俺は思わず、デカイ声をあげてしまった。洋介の視線がウザい・・・
「ご存知ですか?」
「あ、いや・・・名前だけ・・・」
「すみません。警察に相談しても、弁護士の方に相談しても事件性が無いから。と言われ相手にしてもらえないんです。」
「はぁ・・・」
「もう、頼る所が無くて、秋葉さんしかいないんです・・・どうか。どうか・・・」
受話器の向こうで、しくしく鳴き声が聞こえる。
まあ、郷紳会っていう偶然はさておき、新興宗教にハマるやつってのは、脳みそが腐ってるか、よっぽど頭の良い奴の2種類に大別される。
考える事を拒絶した人間であれば、正当性の上塗りで、大抵は洗脳が解ける。
だが、頭の良いやつは、そいつなりの持論があり、それを論破しないと解けない。さらに、論破した場合、ほとんどの奴が再起不能になる。
自分自身を否定されるからな・・・そのショックで自殺した奴を何人か知ってる。
あんまり後味の良さそうな仕事では無いな・・・でも、ここ最近仕事無いし・・・
と言うことを、0.5秒で整理し俺は・・・
「分かりました。請けるかどうかは、会ってお話を伺ってからでよろしいですか?」
「ああ、ありがとうございます。本当にありがとうございます・・・」
「では、早速伺いたいのですが、どちらへ伺えば・・・」
「宇都宮です」
うつのみやーーーーーーーー!?
つづく




