めんどくせぇ・・・やっぱりお土産連れて来ちゃった・・・


幸い、都内でも尾行されて気づくこの俺様は、宇都宮のような地方都市で気づかないワケが無い!


って自慢にもならないが、そんなに土地勘があるわけじゃ無いし、撒くにも撒けないな。と思い。


開き直って、その男に向かって行く事にした。教団の人間なら話早いし(笑)


やはり、尾行してたんだろう。その男も俺が向かって行くと、目を外し隠れようとする。


「ちょちょ、お兄さん。面倒だからいいよ。何?なんか用?」


「秋葉(先輩)ですよね?」


「は?何?今、先輩って言った?」


「ええ。公安部の者です。少しお話よろしいですか?」


「え・・?公安部?後輩?」


「はい。2係時代にお世話になってました。」


「すみません。全く記憶がございません・・・」


「ま、いいでしょう。いずれお声掛けさせて頂くことになりましたから。」


そう言うと、その男は俺を連れて、喫茶店へ案内された。


「あらためまして。冴島です。」


そう言うと、警察手帳を出して俺に見せた、確かに懐かしい。


「あ、どうも。何でも屋の秋葉です。」


笑わない・・・ま、公安部の人間なんてどいつこいつもギャグが分かる奴なんていない。


「で?なんの用?一般市民相手にしてるほど暇じゃないでしょ?」


「郷紳会に何の御用ですか?」


「入信しようかなーって」


「信じると思いますか?」


「嘘だとも言い切れないだろ。」


「秋葉さん・・・OBだからって容赦しませんよ。」


「わーった。わーったよ。そんなに怖い顔すんなって・・・どうにかして、潰せないかなぁ・・・って」


「理由は?」


「必要?」


「場合によっては・・・」


「あーなるほどねー。悪いが見えた。」


「・・・」


俺は、この冴島と言う名の男の思惑が見えた。気がした(笑)


そう言うと、冷めたコーヒーをすすり、タバコに火を点けた。何時間ぶりのタバコはウマイ・・・


「見えた?とは?」


「お前ら、あれだろ。カルトと政治家とヤクザをいっぺんに挙げられるチャンスだと思ってんだろ。」


「・・・」


当てずっぽうで言ってみたが、遠からずと言った感じ。俺の推理力と言う名の妄想力は、まだまだ廃れてねぇな(笑)


「分かる。分かるよー。でもさ、さすがにそれは都合が良すぎるだろ。と言うか、その情報どうすんの?本庁に回すの?」


「秋葉さん・・・」


「いいよーーー言える訳無いね。失礼した。で?俺に何して欲しいわけ?」


「帳簿が欲しいのです。」


「は?帳簿?」


(こいつ、何はっきり言ってんだ(笑))

 

「はい。厳密に言えば、郷紳会から流れている金の行先です。」


「検討は?」


「もちろんついてますが、物的証拠が無い。」


「どこ?」


「・・・」


「大丈夫。OB見損なうなよ。ばれた時のリスクは俺も知ってるよ。」


「睦毘会です。」


「何それ?」


「宇都宮を拠点としている、代議士の佐山さんはご存知ですか?民友党の。」


「名前だけ」


「その代議士の資金管理団体です。」


「うわぁ・・・俺じゃ手に負えないなぁ・・・」


「ですから、どうにかしてその証拠を掴んで頂きたい。あなたの依頼に関しては目を瞑りますし、協力もします。如何でしょう?」


「もし、俺がどうにかなっても、あくまで一般市民の泥棒ってこと?」


「そうなります。」


「OK。いいよ。出来る保証は無いけど、やれるだけやってみる。」


「ありがとうございます。」


「じゃ、早速だけど、明日がっつり営利誘拐すっから(笑)見なかった事にしてね。」


「分かりました。」


「じゃ、そういう事で・・・」


俺はそう言い残して、喫茶店を後にした。


参ったな・・・公安にマークされるほどの悪さをしてるのね・・・


ただの信者なら、被害者で終わらせられるけど、まさか運営に関わって無いよなぁ。


意外と時間が無いことに気が付き、少々焦りが見える俺様は、多少強引とは言え短期解決しか無い。と言うことは薄々気が付いていた。


「誘拐するって言っちゃったもんな・・・」


俺はタバコに火を点けて頭を掻いた・・・


こりゃ以外に早くカタがつくかもな。って思ってると火傷するんだよなぁ・・・


と思いにフケて、洋介に電話した。


「どうよ?何か進展あった?」


「ああ、お疲れ様です。今日はもう家に戻ってて、外出する気配は無さそうですね。」


「OK。んじゃ、今日は戻って来て。作戦会議しよう。こっちはこっちで進展あったし。」


「分かりました。これから戻ります。」


どうなるか、出たとこ勝負は嫌いじゃ無いけど、成功率低いんだよね・・・


ともかく、2人を待つこと1時間弱・・・


色んな考えをまとめて俺は翔子さんの店へ向かった。


・・・


なんで、貸切なんだ(笑)


翔子さんのやる気がイタイ・・・


今日は昼過ぎに浩二さんが自宅へ戻り、そこから犬の散歩やら、コンビニへ買い物はあったが


大きな動きは無かった模様。軽い肩すかしにあった翔子さんと洋介は、多少消沈していた。


「で、秋葉さんなんか動きあったって・・・」


「ああ、あったよ。激しく(笑)」


「え!なになに!?」


これまた、翔子さんの視線がイタイ・・・


「んー全部話せないんだけど。一言で言うと時間が無いかな(笑)」


「どう言う事すか?」


珍しく洋介が喰い付いてくる・・・翔子さんに感化されちゃったか?


「今日さ、総本山に行って来たのよ。んで、そこで軽く脅された。」


俺は、公安部との接触があったなんて、話せないから適当に嘘を吐いた。ま、いつもの事なんだが(笑)


「なんて?」


「俺らが、浩二さんを追ってる事まではバレて無いと思うけど、あの教団、色んな所で爆弾抱えてるみたいね。」


「教団に脅されたんですか?」


「んー教団では無いかな(笑)」


「え?どういうこと?」


翔子さんがしきりに喰い付く・・・


「ま、そこの対抗組織って感じかな。詳しくは俺も分からないけど、俺を教団の人間と勘違いしたみたいね。」


「なんて脅されたんですか?」


「ま、この教団から手を引けって。もしかしたら、子飼いのヤクザとかかもね。」


(本当は国家権力だけど・・・(笑))


「じゃあ、この後どうするんですか?」


「そうね・・・まあ、こっちに何か決定的な切り札がある訳じゃ無いし、さらに俺らは浩二さんの資産だけ返してもらえば良いわけで・・・」


「・・・」


二人の視線が熱い・・・熱すぎる・・・(笑)


「ま、ここからは推測ね。多分、あの教団さ地場の連中とつるんで、色んなことやってると思うんだわ。でだ。そこの経理担当とか、そう言う人間から攻めてみようかと・・・」


「どうやって?」


イタイ所つくなぁ・・・


「どうにかして(笑)」