さて、どうにかして、郷紳会の経理担当とお友達にならなければならなくなった俺は
場末のスナックで、疲れた脳みそをフル回転させていた。
その店には置いていない、バーボンを無理やり買ってこさせ
それをロックでかっ込む・・・
ウマい・・・
けど、酒がまわり過ぎて、どうにも良い案が浮かばない・・・
土地勘が無いと、どうにも・・・人に頼るも頼る人が居ないし・・・
人に頼る・・・?
頼る・・・
俺は横目で翔子さんを見た。
かなり上機嫌で洋介と恋愛話に花を咲かせている。
「翔子さん。」
「はぇ?」
ほっぺたがすでに赤く、目が据わっている・・・こいつ、酒強くねぇな・・・
「お客さんでさ、県庁に勤めてる人いない?」
「居ない事も無いけど・・・なんで?」
「んーちょっと良いアイデアが思いついた。」
「県庁ならなんでもいいの?」
「なんでもいい」
「わかった。ちょっと待ってて・・・」
そう言って、翔子は流行のスマホを取り出し、鏡のようなピカピカの画面に指を滑らせ始めた。
「はい。送信。」
「公務員の人と会ってどうすんすか?」
洋介も強く無いくせに、調子に乗って飲み続けている。
「そっから、辿るんだよ。」
「辿る?」
「俺たちだけで何とかしようとするから、手詰まる。ここは、翔子さんに甘えて味方を増やさないと。」
そう言うと、翔子も満更でもない笑みを浮かべた。
「まぁ上手く行けば、手塚さんのような被害者も紹介してもらるかも知れないし・・・」
「まあそうですけど。」
「狙いは、出入りの業者か入信者なんだけどね・・・」
「業者すか?」
「あ、そうだ。洋介、あとあいつ呼んどいて・・・名前なんだっけ?あのメカオタク。」
「ああ、武田君すか?」
「そそ、あのハッキングマニアを呼んどいて。翔子さんの紹介してもらえる人来てからでいいから。」
「分かりました。」
ぴんこーん
翔子さんに返信がきたようだ。
「あ、明日お店に来てくれるって。」
「ありがとうございます。見えて来たかねぇ・・・」
つづく