女性特有のホルモン(エストロゲンとプロゲステロン)も、年齢と共に減少します。
男性ホルモンの分泌はゆるやかなカーブを描いて減少するのに対して、50歳ぐらいから一気に激減する女性特有のホルモンは、女性のからだにやっかいな症状をもたらしてしまいます。
そのやっかいな症状をお話する前に、まずホルモンの働きについて簡単に説明しておきましょう。
まずエストロゲンは、卵巣でつくられるホルモンです。
生殖器官の発達を促進し、子宮粘膜の増生促進、子宮の収縮性を高めます。
プロゲステロンは、副腎や卵巣でつくられ、エストロゲンの不足を補います。
年齢とエストロゲン分泌の関係は、10代で分泌が右上がりに増えていくと、乳房が大きくなり排卵と月経が始まります。
それらの分泌は20~30代でピークを迎えます。
そして40歳を過ぎると卵巣の機能が低下し、エストロゲンの分泌は徐々に減少していきます。
そして、50歳前後で閉経を迎え、エストロゲンの分泌は激減します。
このホルモンの減少によって、女性のカラダには様々な影響が出てきます。
その影響というのがやっかいな症状と言っていたものですね。
それらは更年期障害と呼ばれ、
ほてり
のぼせ
動悸
骨粗しょう症
不眠などがあげられます。
これらの影響を受けて規則正しくあった生理が不規則になることもあります。
人によって個人差はあるものの、40歳を過ぎた頃から閉経後まで不定愁訴に悩まされる人は少なくありません。
症状を軽減させるため、ホルモンの補充治療が行われますが、このホルモン治療について、少し付け加えておきたいと思います。
更年期障害の症状を緩和させるため、1930年代から欧米で、エストロゲンを投与するという治療が行われていたのですが、
その副作用で乳がん、子宮がんのリスクが高くなるといったデータが出ていました。
しかし、これらのリスクがでた患者さんは、いずれも肥満であり脂肪量が多かったのです。
脂肪にはエストロゲンを吸着する働きがあり、その代謝産物として16a ハイドロキシエストロンが作られていますが、これが悪玉エストロゲン代謝産物で、乳がんや子宮がんを引き起こす危険因子となります。
脂肪過多の肥満の人は、レプチン分泌量、エストロゲン含有量が多いわけですから、エストロゲンの投与によって代謝産物もますます増え、カラダの中は悪玉エストロゲン代謝産物だらけの非常に危険な状態になってしまうというわけです。
だからといって、更年期障害で苦しんでいる人へのホルモン治療が決して悪いというわけではありません。エストロゲンが減少している人には、適切な量を与えると、良い効果が期待できます。
不定愁訴の症状は軽減し、骨粗しょう症の予防や心臓病の抑制、皮膚のシワやシミを減らし、膣の潤いを保って性欲を回復させます。
アルツハイマーの予防、治療にもなるとされています。
最近のホルモン治療ではエストロゲンを直接投与するのではなくて、その元のホルモンであるDHEAを投与して、自分自身のカラダの中で、必要な量のホルモンの分泌を刺激させる、という方法に変わってきています。
いずれにしても、ホルモン分泌、減少にも多少の個人差がありますので、治療を希望する場合などは、専門の病院や専門の医師に相談をし、血中ホルモン濃度を検査してから、治療にはいることをおすすめします。
最後に付け加えておきますが、30~40代の女性なら、ホルモン補充治療は基本的に必要ないと考えてください。