【NコンS50中・高】昭和50年度NHK全国学校音楽コンクール中学校・高等学校の部
前年のみんなで歌える路線を継承した
中学校の部と対照的なのが高等学校の部。
「平穏無事に愛や友情を
歌い上げるのではなく、
もっと身近な現実の中から
切実に歌われるべき歌を」
という思いから、ガラッと変わった課題曲が。
今も多くの人に愛されている
「海はなかった」が誕生しました。
中学校の部
■課題曲
「ともだちがいる
」
(作詞:岩谷時子、作曲:平尾昌晃、編曲:京健輔)
【最優秀】
◎東京都品川区立荏原第三中学校
■自由曲
「海の若者」
(作詞:佐藤春夫、作曲:金光威和雄)
【優秀】
◎和歌山県田辺市立東陽中学校
■自由曲
「春の岬に来て」
(作詞:三越左千夫、作曲:矢田部宏)
【優良】
◎栃木県宇都宮市立陽東中学校
■自由曲
「雑草の章」
(作詞:山本瓔子、作曲:京嶋信)
【その他】
◎熊本県熊本大学教育学部附属中学校
■自由曲
「森の見える家に住みたい」
(作詞:棗椰子、作曲:川口晃)
◎静岡県藤枝市立西益津中学校
■自由曲
組曲「筑後川」より「みなかみ」
(作詞:丸山豊、作曲:團伊玖磨)
◎愛媛県西条市立北中学校
■自由曲
「若ものたちは」
(作詞:清水凡平、作曲:川崎祥悦)
◎沖縄県那覇市立上山中学校
■自由曲
「海の若者」
(作詞:佐藤春夫、作曲:金光威和雄)
島根県斐川町立斐川西中学校
■自由曲
「草よ」
(作詞:新川和江、作曲:矢田部宏)
北海道札幌市立真駒内曙中学校
■自由曲
「冬の呼吸」
(作詞:貫田百枝、作曲:京嶋信)
宮城県仙台市立五橋中学校
■自由曲
「樹氷の街」
(作詞:竹岡範男、作曲:矢田部宏)
高等学校の部
■課題曲
「海はなかった
」
(作詞:岩間芳樹、作曲:広瀬量平)
【最優秀】
◎東京都立八潮高等学校
■自由曲
組曲「島よ」から第三曲
(作詞:伊藤海彦、作曲:大中恩)
【優秀】
◎山口県立宇部高等学校
■自由曲
「コタンの歌」から「ムックリの歌」「臼搗き歌」
(作詞:和田徹三、作曲:湯山昭)
【優良】
◎鹿児島県鹿児島市立鹿児島女子高等学校
■自由曲
「キャロルの祭典」から「入場聖歌」「聖なる薔薇」「神の恵みによって」
(作曲:ブリテン)
【その他】
◎宮城県尚綱女学院高等学校
■自由曲
「愛の河」から「誕生」
(作詞:和田徹三、作曲:湯山昭)
◎和歌山県立田辺高等学校
■自由曲
組曲「海上の道」から「朝の渚」
(作詞:丸山豊、作曲:團伊玖磨)
◎北海道立富良野高等学校
■自由曲
「愛の河」から「誕生」
(作詞:和田徹三、作曲:湯山昭)
◎愛知県名古屋市立北高等学校
■自由曲
「グロリア」から「ラウダムステ」
(作曲:プーランク)
◎香川県高松市立高松第一高等学校
■自由曲
「コタンの歌」から「臼搗き歌」
(作詞:和田徹三、作曲:湯山昭)
◎沖縄県立首里高等学校
■自由曲
「北への回帰」より「憤怒の竜」
(作詞:小林純一、作曲:磯部俶)
◎茨城県立水戸第二高等学校
■自由曲
「四国の子ども歌」から「四国ばやし」
(作曲:湯山昭)
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昭和56年Nコンでの八潮高校合唱部の名演「爽やかな五月に」のエピソード
組曲「優しき歌」より
爽やかな五月に
作詞:立原道造、作曲:小林秀雄
今日は、ずっと気になっていた八潮高等学校の自由曲「爽やかな五月に」を取り上げます。
というのも、「『優しき歌』といえば八潮」という書き込みをよく見かけるからです。
それについての記事があったので、要約して見てみたいと思います。
昭和56年度Nコン絶版だった組曲「優しき歌」に出会うまで
なぜ「優しき歌」を選んだ?
「立原道造を偲ぶ会」の発起人の一人が、顧問である平松剛一さんの伯父、詩人・鈴木亨さんで、鈴木さんから「若い人たちにもっと歌って欲しい。」と言われた。
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昭和55年の会で、八潮高校合唱部が出演することに。
楽譜探しに奔走、奇跡的な楽譜の発見
あちこち楽譜屋を捜し求め、合唱センターで「優しき歌」を発見。しかし、貸し出し不可だった。
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音楽之友社でも絶版と言われたが、再度倉庫を探してもらうと、6部だけ見つかる。
そして、演奏披露へ…
第一回の偲ぶ会で3曲を披露。
- 「爽やかな五月に」(小林秀雄)
- 「さびしき野辺」(小林秀雄)
- 「序の歌」(萩原英彦)
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昭和55年度Nコンでは、「また落葉林で」を選曲し、2位。
▲昭和55年度コンクール
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昭和56年度Nコンでは、「爽やかな五月に」を選曲し、優勝。
▲全国コンクール
▲最優秀校演奏会
作曲者の小林秀雄さんからのコメント
演奏の巧みさのみならず、皆さんの清々しいマナーや、真に音楽する姿には、心の底から感服します。
高校生のクラブが到達した最高の実例を見る思いがしました。
所感・その1
この年の課題曲である「わが里程標」も作家の方々がとても気に入ったそうです。
作家の方が喜んでくれる演奏って、演奏する方にとっても嬉しいことでしょうね。
▲昭和56年の八潮高校
平松先生にとってのコンクールと現在の合唱界の問題点
ちなみに、八潮高校合唱部の元顧問・平松剛一さんはホームページで昨今のNコンの自由曲について、こういったメッセージを送られています(2005年当時の内容)。
平松先生にとってのコンクールとは❓
純粋な心、無限の可能性に触れ、多くのことを学ばせてもらい、たくさんの財産と想い出を得られた。
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常に心がけたことは“心を学ぶ”こと。
➡ 人間を磨くことによって初めて、音楽に命が生まれる。
⬇
これは、技術的なことを教えるよりも、はるかに難しい。
- 一つの目標に向かって体を張り、全力でぶつかる。
- 切磋琢磨するエネルギーこそ音楽の原点。
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一年の成果を問われるのがコンクール。
- 結果に納得いかず、一週間立ち直れないことも。
- 生徒達に最高の結果を与えてあげたい。
現在のコンクールの様変わり
- 流行の作曲家に偏り、技術偏重、難曲志向で内容の乏しい作品を選曲する学校が多い。
- それが中学校にも及んでいる。
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もっと中高生の命を輝かせる作品があるはずなのに…
- コンクールとは音楽の内面、表現を競うもの。
- 技術や難易度だけを競うものではない。
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《全国の合唱に携わる先生へ》
自分の音楽に対する信念、個性を大切にして、人真似ではない自分だけしか作れない音楽を。
平松先生の記憶に残る合唱
八潮が2位だったとき、1位は山形西だった。
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山形西の選曲は「白鳥」(高田三郎)
▲昭和55年の山形西高校
本当は悔しい思いをするはずだが、この年の演奏は特に素晴らしい演奏で、光景が目に浮かび、それが見事に表現され、涙が止まらず、今聴いても感動する。
➡ その学校の個性、地域の特色があり、音楽に人間の奥深に潜む感情が息づいていた。
平松先生の考える現在の合唱の問題点
1️⃣ 合唱界の素晴らしい発展と同時に…
⇔ 合唱界のみに通じる独特の言語で満たされた、一風変わった世界に引き込まれてしまったように思われる。
2️⃣ 中高生の技術の向上(音程の正確さ・声の安定感)
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発声面で少し問題がある。
- 作られた美しさである。
- 自然な生活の中からできた、素朴な美しさではないような気がする。
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ある作品には大変効果的だが…
⇔ 素朴な美しい旋律や繊細な表現、音楽の自然な息遣いやフレージングには適さない。
⬇
- 現在の合唱界の傾向を、中高生に向けないで欲しい。
- 大向こう受けや表面的な仕上げのよさだけを狙わない、中高生の真摯な演奏の中に熱い感情が燃えた、命輝く合唱を。
所感・その2
最近のコンクールでよく感じますよね。
昔から技術偏重、難易度ばかりを狙った選曲には批判が毎年のように出ていますが、毎年それがヒートアップしてる気がします。
それはそういう選曲を上位に評価してきた審査する方の問題もあると思います。
審査も「難易度よりも、完成度を重視する」というはっきりとした指針を示して欲しい気がします。
団の実態に合った曲をのびのびと歌う姿、これを今年も期待したいです。
▲昭和55年の山形西・八潮の共演「遥かな友に」
参考
- 「教育音楽」中・高版
- 平松混声合唱団「Harmonized Life」
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